パソコンと地図の親密な関係

初めての場所を訪問するとき、パソコンで目的地を検索して地図を表示して、駅からの道順を確認することができたら便利だと、誰でも思うでしょう。でも、これは既にインターネットでは可能となっています。もちろん、地図の細かさがその地域の人口密度に比例するのは、本屋で売っている地図と同じですが。それにしても、パソコンと地図をつなぐビジネスは、この先、GPSやPHSや携帯電話による位置情報収集の技術と組み合わされれば、さらに実用から趣味に至るまで、一般に定着していくでしょう。

インターネットで地図情報を提供しているサイトは、いくつか有って、それぞれ特長を出しています。例えば、マピオンは地名などのキーワードから検索するか、日本地図からクリックしていくオーソドックスな方法で、全国規模で道路地図を表示します。このサービスはインターネット検索サイトのYahooからも、YAHOO! MAPSというサイトから使うことができます。当然、地名は日本国内で重複する場合が多いわけですが、そのときは該当する地名のリストから絞っていくようになっています。また、サイトに登録されている店などの情報を表示できるという付加価値も有ります。他に、MapFanというサイトも全国をカバーしていて、こちらはマピオンよりも細かく倍率も変えることができます。再接続時に前に検索した地図が表示されたり、地図上のクリックした点を中心にして表示範囲を移動できるなどの特長もあります。ただし、店舗情報などのサービスは有りません。キーワードのほかに住所や電話番号も使えるのがWildBirdというサイト(注:ここは、1999年6月30日にサービスを止めてしてしまいました)ですが、こちらは東京23区と川崎、横浜市に検索できる範囲を限っています。範囲を狭くした分、前の二つよりも詳しい地図が表示されます。これも、地図上のクリックした場所を中心しにして表示範囲を移動できます。また、このサイトに登録された店舗情報から、たとえば、そば屋を探して地図上にマークをだしたり、最寄りの駅からそのそば屋までの道を表示するなどのサービスも無料で提供しています。これらのサイトを比べると、マピオンが全国規模の道路地図にタウン情報を加えた基本形で、同様に全国規模でありながら、道路情報にチューンしたのがMapFan。地域を首都圏の一部に限定して、タウン情報を強化したのがWildBirdということでしょうか。こうした地図検索が可能なサイトは他にもあって、アルプス社のリンク集の「地図を見ることができるサイト」で探すこともできます。

こうした、地図検索サイトでは、会員サービスを使えば、さらに多様な機能を使うことができます。例えば、道路地図情報に徹しているMapFanなどでは、地図上の2点を指定することで、カーナビの様な最短経路の探索をウェブですることができます。また、飲み会の会場を周知するようなばあい、検索した地図を電子メールで他の人に伝えられると便利ですが、これも、地図検索サイトのWebページへのリンクの形で送ることができるようになっています。これは、MapFanとWildBirdの会員サービスにあります。この場合、相手は送られてきたメールにある、MapFan等のURLリンクをブラウザで呼びます。このリンクには、地図上の座標情報も入って居るので、送り手の見せたい地図が、Webブラウザの画面に表示できる仕組みです。もちろん、こうして収集した地図の位置や、お店屋さんなどののタウン情報は、自分でメモしておきたくなりますが、そうした、ブックマークをサイト上に保存するサービスも提供されています。ここまでくると、地図はパソコンで十分という感じですが、でも、こうした地図の検索は、出先でモバイルパソコンを使ってできた方が便利ですよね。できれば、自分の位置なんかもわかるともっと便利。そんなわけで、こうした地図検索サイトでは、位置情報の表示サービスの提供もはじまっています。

例えば、マピオンで提供している「いまどこマピオン」の場合ですと、NTTパーソナルのPHSの位置情報確認機能を使っています。このサイトにつないで、PHS番号と登録したパスワードを入れると、そのPHSの場所が、半径100m程度の精度(電波の届く範囲ですね)でWebブラウザの地図上に表示されます。このサイトにはデモ画面もあります。PHSを使った位置情報確認システム「いまどこサービス」の情報が知りたい方は、NTTパーソナル中央のホームページからたどってください(トップページしかリンクしちゃいけないそうだ)。同様のサービスは、WildBirdでも、「ここNavi Lite」というサービスで提供しています。パソコンで位置情報というのには、GPSを使ったものもありますね。例えば、MapFan The GPSKITというのは、アンテナ付きのPCカードをパソコンに差して、地図CD-ROMをロードすれば、カーナビのように自分の位置が地図上に表示できるというものです。ただ、モバイルユーザーからみると、CD-ROMドライブを内蔵したノートパソコンはちと重い。もっとも、このソフトの場合、地域を限定すれば、必要な地図データをハードディスクにロードしておくことは可能だそうです。すると、専用機として使うなら、1GB位確保すれば、全部のデータをロードしておくという手も有るかな。自分の位置情報を得るという話は、携帯電話でもあって、GPSと組み合わせてPHSより精度の高い位置情報を提供するという計画が報道されています。ただ、これと地図検索サイトを組み合わせるには、携帯での通信速度がPHSを越えないと現実的でないかも知れない。

地図にからんだ話は、地図検索サイトばかりでは有りません。最近、私は国土地理院が刊行して、日本地図センターが売っている数値地図50mメッシュというCD-ROMを本屋で買いました。これは、日本を50mのメッシュに切って、各地点の標高と位置を数値データにしたものです。これだけだと、なんの意味もないのですが、これを地図に直すソフトを使うと、パソコン画面上に日本地図が(地名や道路がでないけど)表示できます。このデータを知ったのは、ある展示会なのですが、そのときに、このデータを元に山の3D画像を表示していたのをみて感激したのですね。このデータを3次元化するソフトは、国土地理院でも有料で売っていますが、インターネットにはカシミールという無料のソフトも出ています。このソフトは、山岳部の表現が得意で、まるで航空写真みたいな絵を作ることができます。私が試しに作ってみた3D画像は、ここにあります(^_^)。これは、趣味としては結構楽しめます。ただ、欲を言えば、人家や道がないので、平野の絵を作っても、どこを見ているのか分からなかったりする(^_^;。ちなみに、このソフトはモバイルGPSと組み合わせると、登山中に自分の位置や自分が歩いた経路がわかるというすぐれものでもあります。これが、フリーソフトなんだから驚きます。

それにしても、日本全国の数値化した地形データが売られたり、インターネットからタウン情報がダウンロードできるなんて、数年前までは想像できなかったことです。多分、これからも、こうした地図の情報は手軽にパソコンで検索したり表示できるようになっていくでしょう。その先に有るのは、迷子になれない世界なんだろうか(^_^)。あるいは、店や会社のデジタルな位置情報を宣伝に組み込まないと商売にならない世界かな。それはともかく、行ってみいたい場所の地図やタウン情報を集め、風景を地形データから再現して行った気持ちになるなんてのも、安上がりな趣味かも知れませんよ。

1998.11.13
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