規制が広がるハイパーリンク

他のサイトからのハイパーリンクに条件をつけるホームページが一般的になってきました。これは、著作権で保護されていない部分を守るための手段であると推測しますが、もともと、ワールドワイドウェブ(WWW)という言葉は、世界的にクモの巣の様に張られたハイパーリンク(Webページから他のWebページに移ったり、データを呼んだりする技術)をイメージしているわけで、そのクモの糸に制限が加えられたネットワークは、WWWを始めた人たちの意図とは違ったものになっていくでしょう。

私のホームページは、ネットワーク上でパソコンやインターネット関連の情報を手に入れやすくするためにリンクを集めたのが始まりなので、ごらんのように多くのリンクがあります。ここを始めた97年の9月の段階では、表立ってリンクを制限するホームページは見当たらなかったので(見識のなさだけかもしれませんが)、おもいっきりリンクしまくったわけです。しかし、自称謎のネットワーカーとして、リンクを制限する動きを無視することもできないので(^_^)、この際だから、リンク先を当たってみて、だめなものは整理することにしました。調べる方法としては、まず、そのサイトのトップページに行って、「コピーライト」「著作権」とか「利用方法」といったリンクを探します。それすらないところについては、リンクは(著作権が守られる範囲で)自由であると判断しました。見たところ、企業が運営しているサイトの場合は、かならず著作権の記述があります。個人のホームページで著作権を表に出しているところは、あまりみかけませんが、中には一ページを使って、著作権とリンクの制限について書いている方もいらっしゃいます。日本の著作権法では権利の発生に届け出が必要ない「無方式主義」というのをとっているそうなので、こうした一文が無いからと言って著作権が放棄されたわけでは有りません。ただ、ハイパーリンクについては物理的に複写しているわけでもないので、著作権が侵害されているかどうかの判断が難しいのですね。

ともかく、リンクについては判断が難しいのですが、一番WWWの世界で制限に熱心なのが新聞社のサイトのようですね。これらのサイトに行くと、必ず表紙から新聞協会のホームページへのリンクが有るはずです。ちなみに、このホームページへのリンクは大歓迎だそうですが、リンクを張った場合には電子メールによる連絡が必要です。さて、この中には、新聞協会としてのホームページの著作権についての説明が有ります。この協会に参加している新聞社のホームページを使用するには、このルールに従うことになりますね。著作権にかかわる点については、1998年1月から改正施行された著作権法に従って、インターネットにWebページを公開することが、本やCDで作品を公開することと等価であって、そうしたものには著作権が発生するという説明をしています。では、ハイパーリンクについてはどうかというと、「引用」とならんでケースバイケースであるという判断のようです。つまり、ハイパーリンクであっても、丸写しの引用と同様に著作権を侵害している可能性が有るという考え方のようです。したがって、リンクをする場合には、リンク先の新聞社に電子メールを打つのが基本のようです。ただ、ケースによると言う点が、とても不透明で、何を基準にして判断しているのか分からないところが、許可をお願いするほうから見ると納得できないところなのですね。でも、私は、まめに電子メールを出すことにしました。ただ、ここみたいな零細サイトからまで電子メールが来たら、対処するほうも大変だろうなとは思いますが。

ホームページの表紙のことをトップページというのですが、その下の階層へのリンクについては、また、サイトによって対応がまちまちになっています。トップページへのリンクを推奨するサイトでは、そのサイトがトップページから読むように設定されているとか、その下の階層のページは消滅する可能性があるなどの理由を上げています。例えば、朝日新聞やNECのホームページでは、トップページへのリンクのみを許可しています。一方で、TBSや日本テレビの場合は、どのページに対してもリンクが可能です(アンケート送信や電子メールが必要)。もっとも、朝日新聞の場合でも、担当者の判断で許可されたりしますから、これまたケースによります。もちろん、こうした許可もいらないところもあって、HotWiredやインプレスの場合は、どのページでも自由にリンクしてよいということです。これは、海外のニュースサイトも同様のようで、電子メールを出して確かめたわけでは有りませんが、ホームページにも著作権には触れているもののリンクについての注意は見当たりません。ただし、こうしたニュースサイトで、ニュースの記事のような下の階層のページに直接リンクをする場合は、リンクを設定する側で注意が必要です。というのは、表紙のURLが変わることはまれですが、下の階層のページが消えてなくなるのは日常茶飯事だからです。私のこの頃欄でも、古い記事につてはリンク先が無くなっている場合が有ります。気がついたものはリンクを外していますが、全部をチェックするのは大変なので、そこは賞味期限が切れているとして御容赦くださいm(_ _)m。もっとも、海外のニュースサーバーの場合は、こうしたリンクの消滅は少ないように思うのですがね。

結果的に、リンクの制限があるとはいっても、リンクを完全に禁止しているところは無いようで、少なくともトップページへのリンクは可能なようです。でも、一方でこの先、別な面からの制限が入って来る可能性は高いですね。例えば、フレームなどの技術で、ページの見かけを変えてしまうことの禁止です。さらに、特定の画像のみのリンクも禁止されていくでしょう。これは、ハイパーリンクの特長として、リンク先の文字や画像を材料として持ってきてしまうことが可能だからです。例えば、新聞記事を引っ張ってきてフレームに入れ、ほかのフレームに勝手に広告を貼って、広告収入を得るなんて事も可能ですし、気に入った製品のカットだけを、自分のページにはめ込んでしまうこともできます。これらは、ハイパーリンクではありますが、もともとの作者の意図に関係なく見かけや素材の意味を変えるものです。こうした技術を使って、この先、ハイパーリンクを著作権侵害の抜け道に使う人間がでてくる可能性があるのです。すでに、HPやTBSのように、こうした問題を避けるために、注意書きを出しているサイトもあります。しかし、こうした規制は、WWWが最初に想像した世界とはちょっと違ってきていると思います。WWWは電子的な資産を世界的に共有しようという理念が最初に合ったと思います。それが、ホームページそのものを一つの著作物として見なし、作者の意図を外れた利用を許さなくなる。すると、これからのハイパーリンクは、お互いのホームページを紹介しましょうみたいなリンクだけになり、ターゲットとなる知識に直接リンクすることは困難になっていくでしょう。うーん、すると、「この頃欄」なんか自由に書けなくなりますなぁ。おや、今回は新聞協会のリンクだけだ(^_^;。

1998.11.06
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