インターネットが危険だって?

どっかの自殺系ホームページ(とでも言うんですか)の主催者?が、自殺用の薬物を女性に送った事件が話題になりましたね。案の定、マスコミはテレビも新聞も大得意でインターネットの危険性を宣伝しました。匿名であるがゆえに、なんでもありで危険なインターネット。どっかのテレビ局では、キャスターが「自殺」でホームページを検索したら、多数のヒットがあったとか話してたとか。それに対して、アンチマスコミ派のホームページでは、知ったかぶりでインターネットを評論しがちなマスコミを批判しています。あのキャスターの数字は、きっとどこそこの検索サイトを使ったね、とか(^_^;。マスコミも検索で見つかったサイトの数をかぞえる暇があるなら、匿名性が特徴のインターネットと安全につきあう方法について、まじめに考えるべきなのです。

インターネットに限らず、伝言ダイヤルとかダイヤルQ2もそうですが、マスコミは、こうした新手のメディアにからむ犯罪が起きると、その提供者をとりあえず引っ張り出し、そのメディア自体が危険であるかのような論評をしがちです。伝言ダイヤルを使って、会った女性に薬物を飲ませ、眠らせたうえで金を盗んだ男の事件でも、伝言ダイヤルの発案者としてNTTを引っ張り出しています。まずは叩く相手が必要ってことですか。次に、そのメディアを使った犯罪とか、極端な事例を並べ立てて、自分の主張を強化するのです。そういうたぐいの報道ばっかりしてるから、日本では、女子中学生は援助交際という売春行為をするもので、男子中学生はバタフライナイフを持ち歩いているということになる。でも、全国の中学生の何パーセントがそうであって、どう分布しているのかは示してくれない。報道の、日常からのかい離が起きているように思います。みんな、芸能記事を見るように三面記事を読んでいませんか。

話を戻さねば(^_^;。そう、匿名だから危険かどうかですが。インターネットでの匿名性は、普通に使っていれば、言われているほどはないと思います。どこかのホームページのBBSに文章が書き込まれると、その時刻と文章が送られてきたIPアドレスがわかります。IPアドレスから、どこのコンピュータ、あるいは、どこのアクセスポイントにあるルーターから発信されたかがわかります。もし、それがプロバイダの機械であれば、その記録から、どこの電話番号から誰のIDでログインしたのかが分かります。匿名性と言っても、プロバイダの良識の範囲の匿名性であって、たとえば、そこのデータなり記録が筒抜けであれば、書いた人が誰であるかを検索するサーバーなんてのも技術的には可能なのです。だから、本当の匿名性が必要な人物は、他人の名義のアカウントをとります。あるいは、そういうアカウントが売買されているかもしれません。しかし、そういう暗部があるから危険なメディアだと結論するのはどうかと思う。

もし犯罪にからみそうなコミュニケーション手段を規制せよと言うのなら、真っ先に電話が規制されそうですね。でも、それを言わずに、新しいメディアばかり議論するのは、マスコミの担当者がそうしたメディアを理解できないから、あるいは、マスコミが一般読者は理解できないとたかをくくっているからでしょうか。多分、何が問題なのかわからんのですよ、彼らには。だから、名前を出さないからなんでもやり放題で、その結果、薬物も不法に売ってしまう危ないメディアというレッテルを作って、なんども事件の度に再利用するのです。インターネットは、なんか知らないが話題性があるからね。インターネットのホームページでは、自殺も勧めているぞ。あなたのお子さんも危ないですぞと、恐怖心をあおる。彼らはそれでいいのです、新聞が売れて、視聴率が上がれば終わりですから。でも、そんなマスコミは放っておいて(^_^;、実際、何がインターネットの問題なんでしょうね。

これは、私の個人的な考えですが、インターネットの問題は、現実の世界と違う情報の伝わり方にあると思うのです。現実の世界は、距離に反比例して情報が疎くなる。遠くのものはかすんで見えなくなるし、声も小さくなる。ものの影に隠れたものは見えなくなります。ところが、インターネットでの情報の伝わり方には距離がない。ブラジルのホームページも、横浜のホームページも同じように読むことができます。国会図書館のホームページも、アダルトむんむんなホームページも、同じように見ることができます。アメリカでは、www.whitehouse.govをwww.whitehouse.comと入れ違っただけで、大統領の意見を聞きたい小学生が、アダルトな情報を読んでしまったりするのです。視界を遮るものは、唯一、その情報の場所をその人が知っているかいないかという知識の差だけですね。自殺系のホームページで薬物を売るのは違法行為ですが、そこにアクセスした人は、自殺に興味があったから行ったわけで、その人の責任です。よく読んでいれば、そのホームページが命を粗末にする考えのところかどうかは見えてくるはず。冷たい言い方になってしまいますが、暗部に行くかどうかはその人の責任です。ただし、これだけ一般的に使われるようになったのだから、自由なインターネットとは言っても違法行為は摘発すべきだと思いますが。

そうは言っても、ネットワークが世界につながっているかぎりは、安心してアクセスできるインターネットなんて、期待できないと思います。日本の法律が整備されて、インターネットを使った犯罪が減ったとしても、それは日本国内の話です。海外なんて、どうせ文字が読めないって?いや、電話だって、うっかり宣伝に引っ掛かってかけたら、南の島の某国の有料電話だったなんてこともあるんですよ。宣伝で、**.co.jpになってるからってアクセスする。なるほど日本語だし安心だと思って、よくよくURLを見たら、いつの間にかどっか法律のあまい国のサイトに飛ばされていた、なんてトリックには誰でも簡単にひっかかります。かといって、そんなサイトで薬物を買って、警察から呼び出されたからって、それはインターネットのせいではありません。そうインターネットを使った、その人のせいです。インターネットアクセスは海外旅行に似てますね。基本は、得られた情報が違法だと思ったら、そこから離れること。また、いつ違法な情報に当たるかもしれないということを頭に入れておくこと。時には、相手から、違法な情報が来る場合もあるが、そのときは、返事をしないこと。自分の個人情報はむやみに与えない、そして、プロバイダは信頼できるかどうか考えて選ぶことですね。

今回は、わざと、情報源へのリンクは無しで書いています。匿名のソースから出された、この情報が信用できるかどうかは、外の情報と照らし合わせて判断しましょう(^o^)。

1999.01.08
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