マイクロソフトの言い分

Windows 98がをオンラインサインアップのときに、ハード情報もこっそり送っていたという問題について、マイクロソフトがプライバシー保護の取り組みというページで詳しく説明をしています(英文)。この通りだったら、問題は解決するでしょうが、なーんか信用できないような感じもするなぁ。

このページで、マイクロソフトは、どんな個人情報がサービス向上に必要なのかを示し、ユーザーが自分の情報が第三者に渡すかどうか選択できるようにし、ユーザーが個人情報を確認修正できるようにし、勝手に個人情報が漏れないことを約束すると書いています。特に、個人情報が勝手にマイクロソフト以外に漏れることはないと繰り返していますね。これは、私がここに書いた危惧と一致していますから、私の言い分もあながち的外れではなかったようです(^_^)。さらに、第三者機関に自分のプライバシー保護に対する活動が、一般的な基準を満たしているかどうかをチェックさせると書いています。そこまでしないと、信じてもらえないということですね。私も、いまだに、マイクロソフトのWebに接続すると、自分のパソコンの個人情報がモニターされているんじゃないかと不安ですから。ハードウエアID(多分、GUIDのことでしょうね)については、これはユーザーへのサービスには不要なものだと判断して、随時これを取り除く方針だとか。このなかには、サインアップサーバーの処理でIDをとらないようにすることとか、ユーザーのパソコンからレジストリを消去するツールを配付することとか、当然、マーケティング用のデータベースから消去することも含まれています。こうしたアナウンスが、本当に実行されれば今回の騒ぎは、沈静化されるでしょう。それにしても、なぜに、そんないらん機能を導入していたのか疑問は残りますが。そんなIDでユーザーからのクレームに対する応答の速さに違いが出たとも思えないのですが。やっぱり、Webからの監視でしょうかねぇ。

識別情報を知らないうちに文書に埋め込んでいたと報道されたOffice 97製品についても、対応がアナウンスされています。マイクロソフトによると、このIDとWindowsのユーザー登録との間には関係はないそうな。「原文:There is no relationship between the Windows registration process and identifying numbers contained in the property stream of Office 97 documents.」しかし、これもインターネットアダプタのIDから作られているから、GUIDに似てますな。ユーザー登録で得た情報と、Office文書に埋め込まれたコードは同じではないから、文書から個人は同定できないという理屈ですが、それでも同じアダプタIDから作られているとすれば、何らかの相関がとれないだろうかと勘ぐりたくなります。そういう人のために、マイクロソフトは、Office 97ソフトがこのIDを付けなくするパッチと、すでに作ってしまった文書からIDを削除するツールを配付しています(WiredNews)。ただ、さっき私がつなごうとしたら、ダウンロードサイトは応答しなかったぞ。世界中の人が殺到して、めちゃこみかもしれん。まぁ、こうしたパッチやツールを使えば、ほんとうにOffice 97から問題の部分が除かれるのかどうかは、マイクロソフトを信じるしかありませんが、多分、問題があれば来週にでも第三者から報告が出るでしょう。現に、マイクロソフトのセキュリティパッチでは、解決していないぞという報告がでたこともあったし。

マイクロソフトさんの商売については、ほかにも面白いニュースが出ています。IE5にバージョンアップした方は、ブックマーク、ぢゃない「お気に入り」のリンクフォルダのところに、「Hotmailの無料サービス」なる項目が入っているのに気づくと思います。無料が大好きな日本人ですから、すでに使っておられるかたも多いでしょう。このHotmailは、Webベースの電子メールサービスということで、受けたメール本体はサーバーにあるので、誰かに読まれることもなくセキュリティもばっちりといううたい文句です。でも、それを読むときには、インターネットをhtmlに載って文章がながれているわけだから、どこがセキュリティに優れてるのか分かりませんけど。もしかして暗号化してるのかな。嘘だったらすんません、何しろ私は登録してないから。なぜ、登録しないかというと、これに登録すると止められなくなるって言う記事があるもんで。このサービスを解約できるのは、120日間使わなかった人だけなんですって。でも、120日間も放っておいたら、アカウントにメールが来てるかもしれないと心配になりますね。で、試しに読んでみると、そこでクリア。解約できる日にちは、さらに120日後になるというシステムです(^_^;。メールって、相手のアカウントが無くなるとエラーメッセージが送り主にきて、この人のアカウントが無くなったと分かるのですが、それがあるかぎり、送ったほうには、相手がなぜに返事を出さないのか分からない仕組みになっているのです。だから、ホットメールのユーザーは、止めるとき、知らないうちに相手からすっごく無礼な人に思われる可能性がありますね。

そうそう、MacOS Xのオープンソース化にからんで、OSのソースが公開される意味を前回書きましたが、先日、たまたま本屋でLinux World(IDGコミュニケーションズ)を見かけて買って読んでみました。この本によると、Lunuxは1991年の最初の公開時には1万行のソースコードだったが、今では150万行のフル機能のOSになっているのだそうです。この差分は、ネットワーク上のプログラマがボランティアで不足した機能の部分を書いたわけですね。で、この作業にかかわったエンジニアの人件費は100億ドルになると言われていて、マイクロソフトの年間開発予算が25億ドルであるのに比べても驚くべき開発投資規模であると、この本は書いています。そんな、ボランティアでやったような仕事は信用できんのかね、という疑問もでますけど、99年1月の段階で、ヨーロッパのプロバイダや教育機関で使われているサーバー用のOSの30.8%がLinuxであるというデータも出ていました。これが本当なら、OSを開発していくオープンソースの文化というのは、欧米ではかなり枯れていて信用できるのかもしれないと思いますね。ま、Linuxサイドの雑誌ですから、悪くは書きませんけど。この雑誌には、マイクロソフトの意見も出ていて、それによると、「(引用)オープン・ソースの開発手法にはマーケティングという重要な要素が欠けている」とのこと。これに対して、Linux側は、開発者は直接ユーザーの意見を聞いているから、問題はないと反論しています。そうね、マーケティングして作られたOSがWindows 98やWindows NTだから、あとはユーザーの趣味の世界でしょうか。それにしても、サーバー用のOSに限って言えば、Windows NTほど重たいOSにする必要があるかという意見は、もっともかなぁ、なんて思っちゃいますけど(^_^;。

それにしても、マイクロソフトのプライバシー問題に対する対応の速いこと。これも、インターネットの速報性のおかげでしょうか。デマが飛ぶのも速いもんね。マイクロソフトもほっとけなかったのでしょう。日本でも、この問題は報道されているかもしれませんが、なんか問題意識があまりない。冒頭の、マイクロソフトのアナウンスページにしても、マイクロソフトの英語版トップページには、ちゃんと「Microsoft Addresses Customers' Privacy Concerns」というリンクがあるのに、日本語のホームページにはプライバシーというキーワードが見当たらないのです('99.3.26現在)。私は、上の日本語版の説明ページをサイト検索でさがしました。なんか、こういうところにプライバシーへの取り組みを軽く見る、日本人の傾向が見えているような気がするのですが。これは、私だけの気のせいかな。

1999.03.26
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