(以上12月25日更新)
死刑執行に抗議するミニ集会報告 1998年11月22日死刑廃止フォーラムinなごやのメンバー約10名は、19日の名古屋拘置所での死刑執行に対して抗議するために、そして現在拘置所にいる死刑囚や死刑判決を受けている未決囚の人達を励ますために、午後6時拘置所前に集合した。私がついた頃にはすでに7,8名集まっており、報道陣も7,8名いた。
突然の呼びかけにも、これだけ集まってくれた。
簡単な打ち合わせの後、死刑執行の抗議の横断幕を拘置所のほうに向かってみんなで持った。そして大島さんが、用意したハンドマイクで、大きな声で、拘置所の建物に向かって、死刑執行の抗議声明を読み上げ、そして励ましの言葉を語り掛けた。中の人に聞こえたかどうか分かるわけもないが、きっと聞いていてくれるだろう。そしてその後、励ましの意味を込めて誰もが知っている「うみ」「赤とんぼ」「夕焼け小焼け」「小さい秋見つけた」などの童謡と「聖しこの夜」を私達はいつも死刑囚のことを思いながら、死刑廃止運動をしているとのメッセージを込めて大きな声で歌った。
そしてメンバーが交替で拘置所の中人に、それぞれの気持ちを呼びかけた。
最後に先ほど読み上げた抗議声明文と歌詞カードを拘置所の中のポストに入れ、私達の抗議の意思を伝えた。
塀と高い建物に外から情報を遮断されている死刑囚の人達。しかしその中まで私達のメッセージは、きっと伝わっただろう。
「死刑執行に抗議するミニ集会」今回の名古屋拘置所での死刑執行に抗議するために下記の通りミニ集会をします。拘置所前でのアピールと中の人たちに励ましの意味で歌を歌います。急なことで、お忙しいとは思いますが、多くの方に参加して頂くようにお願いいたします。
目 的:今回の名古屋拘置所での死刑執行に抗議をする。
何 を:歌・アピール
日 時:
1998年11月22日、日曜日、夕方6時集合、1時間程度場 所:拘置所の正面玄関(地下鉄名古屋市役所下車、東へ徒歩5分)
方 法:横断幕をもってアピールする。歌を歌う。懐中電灯をもって集まる。
赤とんぼ・聖しこの夜・童謡・夕焼け小焼け・など
用意するもの:懐中電灯、横断幕、歌詞カード
死刑廃止フォーラムinなごや 抗 議 声 明 中村三郎法務大臣は、本日、3名の死刑確定者に対し、死刑を執行した。
これは、はなはだしい暴挙である。今回の執行は、中村法務大臣があえて記者会見まで行い明言した国連規約人権委員会の勧告をすべてないがしろにするため、そして国会での非難を避けようと休会中を選んで死刑執行したのものである。さらに本日は米クリントン大統領の来日日にあたり、マスコミの対応がそちらに集中することを狙ってなされたきわめて恣意的・政治的な執行である。
国連規約人権委員会が去る10月28日・29日の両日開かれ、日本の人権遵守状況に関して審議し、11月5日に最終的所見を採択した。@人権の保護や人権の規準が世論調査によって決定されることのないよう強調する。義務違反を行っている締約国の姿勢を正当化するために世論調査結果を繰り返し使用することには懸念を有する。A(自由権)規約の文言は死刑の廃止を指向している、と極めて強い論調で現状の日本政府の死刑制度・死刑執行の在り方について勧告している。この勧告に中村法相は11月10日の定例記者会見において、「死刑の執行は国内問題だ」との見解を表明、公然と勧告を無視することを表明した。
死刑廃止を求める議員連盟は11月16日、中村法務大臣を訪問、死刑執行をしないように直接申し入れた。この席で法相は「執行をしないようにするためには、国会で議論し決めてくれ」と、議論の必要性を強調した。国会では5月の衆議院で「死刑問題の実質上の集中審議」が行われ、参議院においても同様の議論がなされようとしていた。
中村法相は、国会ではじまった死刑をめぐる議論をまったく無視し、執行を命じたと言わざるを得ない。
世界の過半数の国と地域が死刑を廃止しており、死刑廃止は世界の潮流である。政府が唯一のよりどころとしている国内世論にあっても条件付き死刑廃止の意見を含めると、すでに死刑廃止の意見は死刑存置の意見を凌駕している。このような状況下で、年二回、一度に複数の執行の維持と、執行命令を出さない法務大臣を作らないことを目的とした死刑執行は、不当で異常な行為である。
私たちは、法務大臣ならびに法務省及び内閣に対し、
1 直ちに死刑の執行を停止し死刑廃止に向けて努力すること
2 死刑に関する情報をすべて公開すること
3 手続きのあらゆる段階において弁護士の適切な援助を受けることを含む弁護を準備する時間と 便益を受ける特別な保護を受けることができる等の死刑に直面する者の権利を保障する法律を創設すること
4 物心両面にわたり、犯罪被害者に対する救援制度を改善することを求める。
私たちは、すべての人々にとりわけ政治家及び専門家に対し、死刑存置及び廃止の立場を超えて、国民的合意の形成を目指し、広く議論を尽くすことを呼びかける。
1998年11月19日
死刑廃止フォーラムinなごや
byしげちゃん(11月2日更新)(写真無断転載および使用禁止)
10月17日(土曜日)
、ずっと準備を進めてきた「もののけに出会う夜」いよいよ今日が本番。しかし天気予報は雨、しかも台風が接近中。何も台風まで来なくても良いのにと思った。しかしその時はあまり心配していなかった。 11時から坪井さんと配布する資料の印刷作業。昼過ぎに印刷作業を終え、食事をし、集合時間の午後1時に少し遅れ東別院ホールに到着した。台風が接近している影響で、どしゃ降りだ。階段の下に水が激しく流れていた。 すでに音響をお願いした松田さんは到着しており、多くの音響機材をエレベーターで運ぼうとしていた。電話で話しただけなので、誰が松田さんかは分からない。運搬している人に声を掛け自己紹介し挨拶をする。すると「このまま雨が降り、交通機関に影響が出た時のことを考えて下さい。」と言われ、急に心配になった。 何とか天気がもってくれれば良いが…。 今年の初めからソウル・フラワー・モノノケ・サミットを呼ぼうとずっと準備を進めてきた。それは今までの死刑廃止の活動をしてきた中で、ネックになっていたのが、被害者遺族の感情を理由に世論が死刑廃止を支持していないことだった。 昨年から高校生向けにサマーセミナーに講師を派遣する形で参加し、一所懸命に耳を傾けてくれる若い人たちに死刑制度について語りかけることの重要性を強く感じていた。そこで、何か若い人を呼べる企画を考えようということになった。そして浮上したのが講演会+コンサート。いくつものバンドの名前があがった中で選んだバンドがソウル・フラワー・モノノケ・サミットだった。 何度か手紙やファックスで連絡をしたが、やはり一度会っておこうと思い5月に滋賀県野洲市で行われた「セレブレーションコンサート」にメンバー3人プラス3人で出掛けて行った。そのイベントは阪神大震災の被災者を救援する目的で行われており、今後も各地で開催されるそうだ。コンサートの後、名古屋へ来てもらうように交渉した。その後承諾の返事をもらい、「もののけに出会う夜」の準備を進めてきた。 チラシの印刷が出来、チケットを売る段階で、もののけを知る人が少なくチケットがなかなか売れないと実行委員からの声が聞こえてきた。実際に「ソウル・フラワー・モノノケ・サミット」を生で聞いたのはメンバーの中でも3人だけで他の人はCDでしか聞いていない。良さがいまいち分からないらしい。売るにも力が入らないのだろう。しかしあきらめないで、ガンバってと励ましながら準備をしてきた。 その結果が、今まさに出ようとしていた。しかしどしゃ降りの雨、しかも台風にじゃまされそうになっていた。 音響のセッティングがほぼ終わるころ、最初に現れたのは、伊丹さんだった。他のメンバーはそれぞれ別の交通機関で来る予定だ。しばらくすると車2台に便乗して数人現れた。まだ全員揃わない。最後にボーカルの中川敬さんが来た。これでモノノケは全員集合。 講演をお願いした原さんは3時過ぎに到着。これで出演者は全員集合した。しかし近づいている台風がどうなるのか心配だ。テレビもラジオなく、詳しい情報が入らない。でもその頃から雲は厚いが、雨は止みこのままでいけばなんとかなりそうだ。Nahokoから電話があり。開催するかどうかの問い合わせがあったという。「今のところ開催します。」と答えたらしい。今度あったらどうしようと言う問いかけに「交通機関が止まったらもう一度確認の連絡を下さい。」と答えるように指示をした。 その頃大きな音で音響の調整をしていた。すると警備員さんらしき人が来て、下の会議室から音がうるさいとクレームがついたと言う。一応松田さんに伝えた。「それでは調整が出来ない。」と言われ、「もちろんやって下さい。ただし短めに。」と頼んだ。 リハーサルが始まった。聞きなれた曲が、次々に演奏された。本番では聞けないだろうから、少しでも聞いて置こうと座席に座った。しかし落ち着かない。入り口と座席を行ったりきたりしていた。 そうこうしているうちに、5時になり、実行委員のメンバーもほぼ集まり、頼んでおいた弁当が到着した。もののけの8人と音響の3人に配り、スタッフの打ち合わせをしようとした。しかしリハーサルがうるさくて、聞こえない。仕方なく屋外へ出て最終の打ち合わせ。すでに観客の若い人たちが十数名集まっていた。用意した確認事項を見てもらいながら最終の打ち合わせ。そして順番に弁当を食べてもらうように伝えた。それぞれが奥のロビーなどに弁当を持ち出しては食べていた。私は販売担当なので、主催者控え室へ行き、あまり食欲がなかったが、食べることにした。これからのことを考えながらの食事。落ち着かなかった。幸い天気は持ちそうだ。今日来る人は今ごろ出ていると希望的な観測。
時間が迫り全員持ち場につき、手の空いている人には入り口に集まってもらい、6時になりいよいよ開場。
一時にどっと観客が入場をした。受付は大変な状況になっていた。
6時30
分になりいよいよ講演開始だ。幸い警報は出ていなかった。少し雨が降っただけだった。ここまではくればもう大丈夫。 最初の約1時間は、原さんと坪井さんの話。私はいろいろ気になって聞くことが出来なかった。出来が良いのか悪いのかは分からない。 休憩を挟みいよいよソウル・フラワー・モノノケ・サミットの演奏が始まった。大音響が、ホールをそしてロビーを一杯にした。 楽しみにしていたのが半分、心配が半分。私は聞けないだろうなと思っていた。しかし入り口を他の人に任せて半分以上は座席に座り聞くことが出来た。モノノケの歌はすでにCDで殆ど知っている。しかしCDで聞くのとホールの大音響で聞くのとではやはり迫力が違う。音響の良さもあって、コンサートは満足の行く出来であった。皆にこの歌を聞いてもらいたくてこの企画をしたようなもので、そしてそれが実現したのだから、私としてはもっとうれしくても良かったのだが、…。やはりいろいろなことがあって落ち着いて楽しんではいられない。まだ心配は尽きなかった。
曲が進むに連れて、他の初めて聞く実行委員や入場者が踊りながら楽しそうにしているのを見てやって良かったと思った。
コンサートが終わり、多分モノノケファンの人には、音響といい、時間といい、もちろん演奏にも満足してもらったのではと期待出来た。その後回収したアンケートにもそれははっきり表れていた。
その後打ち上げをした。近くの居酒屋に集合。皆疲れたのか出席者が思ったより少ない。半日以上だから、疲れるのは理解でした。お疲れ様の乾杯をし、それぞれ話が進んだ。モノノケに音楽論を挑む石川さん。わざわざ東京からこのためにやってきた中嶋さんはわやの中島さんと話している。(ややこしい)中嶋さんは言わばこの企画の発案者だから、思い入れもあっただろう。
そして平川さんからは、実際に聞いてみてなぜこのグループを呼んだのかが理解できた。との感想を聞いて、私たち3人が半ば強引に進めてきたこの企画をもののけを実際に聞いてみてから理解頂けたのかな。と感じた。
打ち上げは時間も迫った頃、せっかくだからとモノノケのメンバーの回りに集まり、話し始めた。ところが話題が、なぜかコンピューターのことになり、それももののけの河村さん、坪井さん、原さんがマック派で、マック大好きと言った意見が強くなった。ウィンドウズ派の私とタケチャンは形勢不利だ。マックの使い易さを盛んに言う3人に、感化され、そのうちマックを買いたいな。とタケチャンまで言う始末。マック派の思い入れはやはり根強い。
そうこうしているうちにお開きの時間。名残惜しいが、体の疲れもありかえることにした。ところが、原さんを送りがてらもう一件行こうということになりタクシーへ。ホテルの近くで降り、飲み屋さんへ行った。4人でそれから又しばらく歓談。内容は覚えていない。夜も更け帰宅の途についた。心配された台風の影響で、雨が強く降っている。「今ならいくら降ってもいいぞ。」心の中で考えながら帰宅。帰ってからも、終わった安堵感ともう少し入場者を呼びたかったと言う残念な気持ちが交錯していた。
終わってやっと「死刑廃止フォーラムinなごや」のメンバーにモノノケの良さが理解してもらえたと思った。
今回の企画の評価は、詳しくは今後の皆さんの意見を聞いた上でないと出来ないが、アンケートをみると「なぜモノノケと講演会を一緒にしたのか。」「講演会は良くなかった」と言った意見があった反面「今まで考えたことのない死刑制度について話が聞けて良かった。」「マスコミには出ない話が聞けて良かった。」など肯定的な意見も多かった。狙いであった若い人に死刑制度について語り掛ける。死刑制度について考えたことのない人たちに少しでも興味を持ってもらう。と言う目的はある程度成功をした。しかしその反面、予想以上に入場者が少なく、収入が少なかったのは反省点だ。今回の企画を何とか今後の活動につなげたいと考えている。そのために何をするかが今後の課題になるだろう。
コンサートの中でモノノケの中川さんが12月にすばらしいバンド「ソウルフラワーユニオン」が名古屋のクワトロに来るので私もぜひ見に行くと言っていた。それは是非行かなければと私とNahokoはライブのチケットをすでに購入した。
来年1月にも他の団体がモノノケを呼ぶ。そちらにも是非行きたい。
そして最近私は仕事の車の中で、ずっと「ソウル・フラワー・モノノケ・ユニオン」の音楽を掛けている。
いつか又「ソウル・フラワー・モノノケ・サミット」のコンサートが出来らたらいい。
10月17日、東別院ホールで「もののけに出会う夜」と題してコンサート+講演会を開催しました。当日はお昼に雨が激しく振り、開催をあやぶまれましたが、何とかもち開催できました。 講演会は司会の質問に朝日新聞の記者原さんが答えながら死刑廃止について語って頂き、若いもののけファンに死刑制度の問題点を少しでも考えてもらう、と言う狙いだった。 そして後半のコンサートは、本来ロックバンドであるソウル・フラワーモノノケ・サミットが昔懐かしい歌を彼らなりにアレンジし、チンドンバンドで歌い上げ、決して若いとはいえない私たちスタッフも思わずのってしまう、たのしい音楽であり、アンケートからも「最高!」といった感想が多く寄せられた。 ここからは司会を担当した坪井さんの報告です。 愛知県では毎年夏休み、私学教員組合主催の高校生を対象としたサマーセミナーが開かれています。死刑廃止フォーラムinなごやは、若い人たちに死刑について考えてもらいたいと思ってこれに講師を派遣しています。彼らの反応は様々ですが、みんなとても柔軟な考えを持っており、毎年私たちは手応えを感じています。このことから、「若い人たちに訴えたい」「死刑のことを考えたことがない人たちに考えてもらいたい」との思いを強くしました。こうして「もののけに出会う夜」の企画がスタートしたのです。若い人を集めるにはどうしたらいいかが難問でした。人気者を呼べばいい、もちろんです。しかし「キャー!」と言っておしまい、では困るのです。死刑について考えてくれなくては。何カ月もの話し合いの末、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットにお願いしました。彼らはロックバンドとして活動する一方で、阪神大震災の被災地や釜が崎などをまわり、チンドン音楽で支援し、勇気づけているバンドです。死刑についてのアピールは、「極刑を恐れし汝の名は」を最近出版されたばかりの新聞記者、原裕司さんにお願いしました。
10/17(土)は台風になってしまい、スタッフ一同気を揉みましたが、18時会場のところを16時頃から人が並び始め、「さすがはモノノケ!」とうれしくなったものです。 原裕司さんのお話は、司会の私(坪井)が簡単なインタビューをしながら、前出の本の内容を中心に進みました。モノノケが目当ての人たちと常に死刑廃止フォーラムinなごやのイベントに来ている人たち、死刑についての知識に差のある両者を前に、どこにポイントを置くかを悩みながらのトークでした。そのため原さんの知識や経験を十分に聞き出せなかったことが非常に心残りです。結局、死刑問題が初めての人にはやや難しく、慣れている人にはやや簡単な内容になったのではないかと思います。ソウル・フラワー・モノノケ・サミットは「竹田の子守歌」「ラッパ節」など多くの人が知っている曲をチンドンで演奏し、大いに盛り上がりました。前の方の席の人たちが立ち上がって踊っている姿を見て、こういう楽しい死刑廃止運動っていいなあ、と私は思いました。
会場で書いてもらったアンケートを読むと、これまでフォーラムinなごやのイベントに参加したことがなく、死刑について初めて真剣に考えたという人が多くいました。この点では私たちの狙いが当たったわけです。「今日初めて死刑に興味を持ったけれど、この関心が今日だけに終わらないよう、これからも勉強し続けたい」との感想にとても励まされ、死刑に関心を抱く人たちの裾野を広げていくことの大切さを感じました。 ここからはモノノケに出会う夜当日に入場者のみなさんに配った資料を掲載します。 私達からのメッセージ 私たち“死刑廃止フォーラムinなごや”は、死刑制度を廃止するべきだと考えています。その理由は以下の通りです。〈死刑廃止は世界の趨勢である〉
現在では、法律上または事実上死刑を廃止している国は、死刑を存置している国を上回っています。先進国で死刑を存置しているのは日本とアメリカだけです。国連では、1989年に「死刑廃止条約」が成立し、1991年に発効しました。
〈死刑は非人道的で、不道徳・反倫理的な刑罰である〉
「生命の尊重」はあらゆる宗教・倫理・道徳の根本です。死刑は人が人を殺す刑罰で、この理念に反します。
〈死刑はとても残酷な刑罰である〉日本では絞首刑が行われています。踏み板がはずれ絶命するまでの平均時間は12〜3分だそうですが、30分もかかる場合もあるそうです。しかし死刑の残酷さは執行だけに限りません。死刑囚は死刑が執行されるまでの間、拘置所の中の死刑囚監房にいます。日本では執行がいつ行われるか直前まで告げられないので、死刑囚は毎日、今殺されるか、今殺されるか、と待っているのです。この極限状態は、執行そのものよりも残酷かもしれません。また忘れてならないのが、刑務官のつらさです。彼らは、個人的には何の恨みもない人間の命を、極めて冷静な状態で奪わなければならないのです。
〈国家に個人を殺す権利はない〉
死刑は、国家が個人の生命を奪う刑罰です。現在の日本は、その憲法が示すとおり、自由主義・民主主義・個人主義の国家であり、「個人の尊重」を基調としています。そのような国家は、すべての個人の「命と暮らし」を守るために存在しています。国家が個人の生命を奪うことは、このような国家の役割に反するものであるといえます。
〈死刑は刑罰として無意味である〉
死刑の犯罪抑止力については多くの研究がなされているにもかかわらず、死刑に無期刑と異なる特別な抑止力があることを実証した研究はいまだにありません。また、刑罰の役割は犯罪者を改善・更生させて社会に復帰させることにあります。死刑は犯罪者を社会から排除し、抹殺するものです。この点でも、死刑は無意味な刑罰だと言えます。
〈冤罪で死刑になった場合、取り返しがつかない〉 1980年代に、4つの事件で一度死刑が確定した人が再審で無罪になりました。これは裁判に危険が伴うことを実証しています。無実の人を死刑にした場合には、後で冤罪とわかっても取り返しがつきません。
《被害者感情》
多くの被害者が思うのは、亡くなった人を返してほしい、事件の起こる前に戻りたいという回復感情で、これは死刑では満たせません。被害者が復讐心や憎しみだけを持ち続けて生きていくのだとしたら、それを和らげていけるようなカウンセリングを重ねることの方が重要です。また、被害者の感情と、加害者にどのような刑罰を科すかは別問題です。もし殺された方に身内がいなかったらどうでしょうか。悲しむ人がいないのなら、その人を殺した加害者の刑は軽くてもいいということでしょうか。被害者感情を量刑に反映させてしまったら、不公平が生じます。
《世論》
重要な資料とされている総理府の世論調査には問題があります。死刑制度存置への誘導的な質問がなされていること、調査時期が一定でないことなどです。また、私たちの前に世論調査に答えるだけの情報が公開されているとはいえません。正しい知識が広く一般に公開され、議論される必要があります。
坪井 ちひろ
死刑制度の情報公開を
日本の死刑制度の実体を、われわれはほとんど知りません。
その知らされない状態のまま、死刑制度の賛否を問う世論調査を行うことは無意味です。
法律の改定もないまま、“通達”によって死刑囚の交通権は制限されたりもしています。
死刑執行の情報も公開されていません。
情報公開法が制定されたとしても、恐らくもっとも厚い壁が残るのは、死刑制度と思われます。死刑制度の実態を何も知らないまま賛否を問うという異常な現状を変えていきたいと考えています。
アムネスティ・インターナショナル星が丘グループ
國分 正夫
断ち切ろう暴力の連鎖
人を殺すというのはとても残虐な行為です。でも、そのような罪を犯した人を罰として殺すこと、すなわち死刑はもっと残虐だと思います。もうこんな恐ろしい暴力の連鎖はやめにしたい、と心から願っています。
下川 玲子
私の子どもの頃
私が10代のころ、住まいがA市の拘置支所の官舎でした。庭の向こうのトビラを開けると、拘置支所の中庭につうじていた。
そのころ、散髪は所内の床屋で囚人さんにしてもらい、七三にわけられた。 また、父が営繕の仕事だったので、囚人の1日の食費が50円でやりくりに大変な事も聞いていた。 父の上役の副官の人などは早くに死んだ。どちらも、死刑執行の当事者かもしれない。今、私は、死刑廃止を1日もはやく実現したいと思う。
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個人を殺害する権利は国にない。
寺山修司さんの作品に「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」という短歌があります。 敗戦前の日本には徴兵制度があり、敵前で、上官の命令に服従しなかったり、敵にはしったり、従軍をまぬがれようとすれば死刑の対象でした。また、社会秩序(国体)を
変革しようとすれば死刑という法律もありました。
死刑制度は、国を守るため、または社会秩序を守るためなら国は個人を殺害できる、という考えです。しかし、悲惨な戦争の教訓から、国が個人を殺害する命令(法律)は
認められない、と私は思います。
石川 徹
死刑について考えてみませんか?
死刑で、被害者の心は本当に癒されるのでしょうか?死刑は犯罪の防止に役立っているのでしょうか?死刑囚は、どんな人たちで、どんな状況でいるのでしょうか?日本では、法務省が死刑を人々の目から隠しているために、死刑について考える機会はほとんどありません。とくに若い人たちに、死刑について知って頂き、21世紀の日本を死刑のある社会にするのか、死刑のない社会にするのかを考えて欲しいと思います。
平川 宗信
死刑制度があるから、僕は人を殺さないのだろうか。死刑制度があるから、僕は殺されないのだろうか。死刑制度がないと、人々はもっと殺し合うだろうか。
間違って(罪なき人を)死刑にしてしまうことはないだろうか。そのとき、だれが、どのようにその過ちを償うだろうか。
死刑制度を支えているのは何だろうか。自分より愚かで、不幸で、生きる価値のない者、正義の名でいくらでも非難でき、許せない者を僕は必要としているのだろうか。
稲垣 清
死刑台の見学会
私も最初はたいていの人々と同じで、「悪いやつは死刑だ!」と信じていました。でもその考え方が、ある一定の枠の中の考えにすぎないと言うことも少しずつわかってきました。たとえば、免田さん(再審請求で無罪になった死刑囚)が獄中で密かに記録した一緒にいる死刑囚の中で「冤罪の可能性がある人」に○をつけているわけですが、映画を見ていてその数の多さに唖然としました。又、私はアムネスティ・インターナショナルという世界中での「良心の囚人」を救援する活動を行っているのですが、やはり「罪のない人々」が死刑の恐怖にさらされています。まぁ10人の死刑になるに値する人々が助かってしまっても、1人の冤罪の死刑囚を助ける方が意味があると思います。ただ、現実の日本の社会はまだ死刑に賛成の方々が多いのが現実だと思います。真っ向からまじめに死刑に賛成か反対かを議論していても余り生産的でない部分があります。それより現在の死刑制度の訳の分からない不透明性、情報公開の少なさを探り、年に一度くらいは名古屋拘置所の死刑台を市民に開放して、”私たちがなしていること”の現実を見ることは何にもまして必要なことだと思います。
早く死刑囚に会えるように、死刑台を見学できるように!
竹村 宏昌
「死刑廃止フォーラムinなごや」は1991年から活動をしています。メンバーは、大学の先生、弁護士、サラリーマン、自営業者など様々な職業の人が集まっています。
今までに、私たちの名前の元になった「死刑廃止フォーラムinなごや」、裁判劇「死刑制度を裁く」、映画「獄中の生」、「宣告」の上映会などのイベントをしてきました。
また死刑執行のたびに抗議声明を出したり集会をしたりしてきました。今回のこのコンサート+講演会「もののけに出会う夜」は出来るだけ多くの方に楽しみながらも死刑制度の問題点を知って頂くために企画しました。
これをきっかけに、皆様に少しでも死刑制度に興味を持って頂けることを期待します。1日も早く死刑廃止が実現するために、今後も私たちは活動していきます。これからも私たちを応援して下さい。
「死刑廃止フォーラムinなごや」
連絡先:稲垣法律事務所内 〒461-0023 名古屋市東区徳川町1310番地 振替口座00850−1−133608 (このコーナーの写真の転載しないで下さい) 参議院議員選挙候補者アンケート (7月1日更新)死刑廃止フォーラムinなごやでは死刑制度に関するアンケートを参議院議員選挙候補者へ行った。その結果は以下の通りであった。
アンケートを発送したのは事前に、立候補が把握できていた11名で、そのうち回答があったのは
5名だった。下記の質問事項に対し6月中に回答をいただくようにお願いした。候補者名 質 問 | 杉本てる子氏 | さとう 泰介氏 | 大木 浩氏・ 浦野烋 興氏 | 八田ひろ子氏 |
1.犯罪被害者救済制度を作ることを推進する。 | Yes . |
Yes . |
「死刑廃止フォーラムinなごや」御中 時下、益々ご清祥のことと存じます。 ご質問に対しては、下記をもって回答に代えさせて頂きます。 平成10年6月29日 自由民主党立候補者 大木浩・浦野烋興 死刑廃止に関しては、被害者、加害者双方の人権に関わる問題であり、慎重に議論、対処したい。 殊に、被害者及びその遺族などの心情、その後の諸環境を鑑みまた、法体系の整合性の観点から現時点、現行法を遵守することが妥当と考えます。 | Yes . |
2.死刑制度をこのまま維持したほうが良い。 | No. |
No. |
No. |
|
3.Yesの方はその理由をお書きください。 | ||||
4.その他ご意見があればお書きください。 | @死刑の執行を停止する。法務大臣は執行命令書に簡単にサインすべきではない。A日本は早急に「死刑廃止国際条約」を批准すべきである。B制度としての死刑を廃止し、刑罰のあり方も検討し直す。 | 衆議院議員時代から、死刑廃止フォーラムに加入していました。人権という普遍的観点から、今後とも、廃止に向けて取り組んでまいりたいと思います。 |
以上
死刑制度が選挙の争点にならないためか、死刑執行が実際にあり、またごく簡単な内容のアンケートにしたのにもかかわらず、候補者の回答率が考えていた以上に低かった。政治の場で、死刑廃止がテーマになり、議論が進むことを望みたい。 死刑執行に抗議します (6月27日更新)法務大臣
下稲葉 耕吉 殿報道によれば、
6月25日、東京拘置所で島津新治さん、福岡拘置所で村竹正博さんと 武安幸久さんに対して、死刑が執行されました。私たち「死刑廃止フォーラム
inなごや」は、この3人の死刑執行に強く抗議します。しかも、世間とマスコミの関心がワールドカップと参議院議員選挙に向いているこの時期に執行したことに、私たちは強い怒りを感じます。死刑は人の命を奪う刑罰です。政府は、「悪いことをしたから殺してもいい」のではなく、「悪いことをしても殺さない」姿勢を貫くことによって、命の大切さを、未来を担う子どもたちに伝えるべきです。少年事件が多発している今、これこそが必要な人権教育であり、生き直す希望を創ることこそ犯罪抑止につながるはずです。
死刑の問題は被害者問題を抜きに考えることはできません。しかし、加害者を死刑にすることは被害者を救うことにはなりません。日本各地で被害者救済組織ができ、それぞれが多様な救済方法を真剣に探し求めている時、死刑で問題をかたづけてしまうのはあまりにも安易です。それは被害者救済への道を阻むものです。
世界の過半数の国々は、すでに死刑を廃止しています。今後、日本で死刑執行が一切おこなわれないよう、また死刑廃止へ向けて政府が着実な一歩を踏み出すよう強く訴えます。
1998年6月26日 死刑廃止フォーラムinなごや 「死刑廃止フォーラムinなごや」では、同様の抗議文を、橋本 龍太郎 総理大臣と、法務省刑事局長原田明夫氏に送りました。今回の執行は、1年の空白期間を作らない、そして死刑執行命令を出さなかった法務大臣を出さないために、執行したと考えられる。法務省は十分な情報を出さないばかりではなくその合理的な説明をしないままに、そしてかたくなに死刑制度を維持しようとしているが、役所の秘密主義と併せてそこからは公表できない理由があるのではと勘ぐってしまうのは私だけだろうか。(6月22日更新)
6月17日、以前から希望している、バンドのコンサートが出来るかどうかで、話しあった。滋賀県野洲市のコンサートに視察と話しに行ったメンバーからの報告の後、彼らの希望との相違点をどう解決するかを探った。コンサートを希望する気持ちを再度確認し、こちらの希望を伝えることにした。その他には、7月に予定されている参議院議員選挙の候補者へのアンケートの実施。サマーセミナーについて具体的に連絡は来ていないが、昨年通り実施することを確認した。
(1998年4月27日更新)
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月24日金曜日、参加者6名。話題はまず今年の秋に開催を希望しているコンサートのその後。招致のための要請文を送ってからまだ返事が来ていないことが報告された。再度連絡をし、返事をもらうことに。昨年参加したサマーセミナー実行委員会から、今年も参加の依頼が来ており、参加することに決定。犯罪被害者遺族救済制度について各地からの要請や実際の活動ぶりの報告があった。今後の検討課題に。久しぶりに参加をしたHさん。テレビ取材の様子や放映の感想などが報告された。その後「ケナリ」へ。Tさんが来春結婚をするという!彼の話で盛り上がった。(酒の肴にしてごめんなさい)閉店時間の11時までご苦労様でした。表紙へ