しげちゃんが普段、何をしているのかを紹介するコーナーです。テーマは
アウトドアー・旅行・食べ物・酒・お遊び等などいろいろ考えています。
最近は旅行・アウトドアーはお休み状態。ライブレポートが多くなって来ました。
<春のシカラムータ前線 凸凹珍道中2002>シカラムータライブ評
日 時:2002年3月28日
場 所:名古屋今池TOKUZO
出演者:大熊ワタル(cl)、太田惠資(vl)、桜井芳樹(g)、坂本弘道(vc)、関島岳郎(tuba)、ツノ犬(ds)
シカラムータは今池の夜を熱くする。
2002年3月28日TOKUZO@今池名古屋において大熊亘さん率いる、シカラムータのライブを見た。
リーダーの大熊さんとは、1998年にソウルフラワーモノノケサミットのメンバーとして演奏を見てから、ソウルフラワーユニオン、一宮市萩原商店街でのチンドンコンクール、ふちがみとふなとカルテット、映画「豚の報い」での音楽、趙博さんとのライブ、などなどで数多く聞いていた。しかし生のシカラムータを聞くのは初めてだった。ある音楽ファンがアルバム「凸凹」を2001年度最高のアルバムと評していたこと、東京でのライブの評判がよかったことなどから、今回は大いに期待していた。
開場時間をやや過ぎ、TOKUZOに入った。どこに座るか迷いながらもライブハウスの真中のテーブルそれも知らない女性の隣に陣取った。今回は一人で来たのだが、いつもの顔を見かけ隣の席に誘い時間を待った。周りを見渡すと、女性ばかり数人の知り合いが座っていた。TOKUZOは音楽を聴くにはとても良いハコだ。
いよいよ時間になり最初の曲凸凹が始まったとたんに、居心地の良い時間と空間が私を包み込んだ。今まで何度も大熊さんの演奏を聞いてきたがいつもすばらしい。
メンバーの顔をふと見ると、皆真剣に演奏しているのでとても怖い顔をしていた。ビジュアル系のバンドではないから、それで良いのかも知れないが、鬼気迫るものがあった。演奏の真剣さとその音の迫力がどんどん伝わってくる。ずうずうしく真中の席に陣取ったので、クラリネット、バイオリン、チューバ、チェロ、ギター、ドラムそれぞれの音がバランス良く聞こえて来た。楽器を通して音楽に対する情熱を素直にそして気持ちを込めてぶつけてくるのがびんびん伝わった。客の方も、楽しみながらも真剣に聞いている様子。
あるエピソードが紹介された。神戸の警察官の怠慢により、殺されなくても済んだはずの青年が、殺されてしまった事件だ。その青年はシカラムータのファンだったと言う。元気であれば今回のツアーのどこかに来ていたであろうことが紹介された。その青年への鎮魂の気持ちを込めて、曲が捧げられ演奏された。その青年の無念さと怒りをシカラムータが代弁するがごとくの渾身の演奏だった。シカラムータの社会のゆがみに対峙して行く姿勢と決意を感じさせた。私も社会の不条理に立ち向かう気持ちを新たにした。
演奏の合間の大熊さんと長老太田惠資さんの掛け合いが絶妙だった。太田さんが誰かが、今日楽器を忘れたらしいことを匂わせた。その顛末は後で話すことを予告し演奏は続いた。
そして太田惠資さんのマイクに向かってのトークといつものハンドマイクでのトークパフォーマンスでは、名古屋TOKUZOの名前に客が反応しての拍手喝采。そしてよりによって今日リーダー大熊さんが中央線の網棚に楽器置き忘れ、友人に拾ってもらった事件を暴露した。思わず笑ってしまった。
そしてそれより数日前に太田さん自身バイオリンを忘れてしまったこと、それに加えて関島岳郎さんが以前ココイチにあの大きなチューバを忘れてしまった(どうやったら忘れるんだ)話など、時節柄、みんなBSEに犯されその影響が出てきたのではと心配になってしまうような、あるいはただ単に年なのか、と心配させられたエピソードを披露していた。
演奏が進み、アルバート・アイラーメロディーの頃、演奏も客席も最高潮に達していた。演奏中、メンバーはいくつかの小物を用意していた。シャボン玉、風船、クラクション、バイブ、などを持ち出しての演奏(?)。ライブ後その様子を評して、子どもみたいとある女性は賜っておりました。チェロの坂本さんは楽器とは言えないようなドリルまで用意していた。電源か機械の不調で思ったようにならなかったらしく、多少いらだったのかマイクや譜面台を投げ捨て、楽器を振り上げたり、人格も壊れかかっていた。
最後の曲が終わりアンコールの拍手が鳴り止まずアンコール曲へ。チェロがいくらか壊れていたのか、ギターのように持っての演奏だった。2回目のアンコールは、残念ながら人も楽器も壊れかかっており、断念せざるを得ないことが大熊さんから語られ、そして近々また名古屋での演奏することを約束しライブを終えた。
演奏後の余韻の中、列に並びCDにサインを貰い。その後大熊さんとしばらくお話も出来、十分にライブを堪能出来た。シカラムータは、ライブで良し、CDをヘビーローテーションで聞くのも良し、これからも楽しませてくれることだろう。