'bout JAZZ

 S

SAHIB SHIHAB

SENTIMENTS / (OVERSEAS)
sahib01.JPG (9891 バイト) SAHIB SHIHAB(SS,BS,A-FL),KENNY DREW(P,ORG),NIELS PEDERSEN(B),
JIMMY HOPPS(DS)
A-1.MA'NEE
 2.THE CALL
 3.RUE DE LA HARPE
B-1.SENTIMENTS
 2.FROM ME TO YOU
 3.EXTASE
 4.COMPANIONSHIP

最近、サヒブシハブの発掘モノかなんかで、
箱入り、豪華ブックレット付きの
「AND ALL THOSE CAT / (REARWARD)」なる
CDが出ていてびっくりしました。
内容的には、相変わらずのB級の仕上がりでした(笑)。
ここで取り上げた「SENTIMENTS」なるアルバムを昔に買ってなければ、
私にとってサヒブシハブは、何てことないミュージシャンだったのです。
このオーヴァーシーズレコードのものが本当に
オリジナルなのかどうかも定かではありません。
なにせジャケット裏に日本語で解説が書かれていた時代の中古品。
そう思ってみると、ジャケ写も何やら胡散臭い感じです(笑)。
ただ1960年代の渡欧組ジャズマンですから、ヨーロッパでマイナーレーベルに
色々録音してても不思議ではありません。
しかし、見かけに反して、内容は、素晴らしい。
メンバーにも驚異的に恵まれており、スティープルチェイスかと思わせます(笑)。
普段よりもソプラノサックスを頻繁に吹いており、
それが粗削りでいて、いい味を出しているのです。
哀愁のある凄みとでも云うのでしょうか。
このアルバムが気に入って、彼の名前を見つけては買っていたのですが、
どれも今一つぱっとしない・・・。
もう彼に騙されるのは、これくらいにしときます(笑)。

 

SHEILA JORDAN

SHEILA / (STEEPLE CHASE)
sheila01.jpg (17811 バイト) SHEILA JORDAN(VO),
ARILD ANDERSEN(B)
1.SONG OF JOY
2.HOLD OUT YOUR HAND
3.LUSH LIFE
4.THE SAGA OF
        HARRISON CRABFEATHERS
5.WHAT ARE YOU DOING
        THE REST OF YOUR LIFE
6.ON THE GREEN DOLPHIN STREET
7.IT NEVER ENTERED MY MIND
8.DON'T EXPLAIN
9.BETTER THAN ANYTHING
10.THE LADY
11.PLEASE DON'T TALK ME
               WHEN I'M GONE
12.SONG OF JOY

シーラジョーダンは、ベース一本で唄うのが好きな様です。
ミューズレーベルからもハービーシュワルツとのデュオ作品が何枚か出てますが、
この「SHEILA」が初の試みとなったアルバムです。
彼女は、器楽的なアプローチ(スキャットや極端なフェイク)を頻繁に行います。
でも音程が不安定なのでどうも今一つ魅力を感じません(笑)。
彼女の持ち味は、崇高な響きすらたたえる声質だと思うのです。
ですから、バラッドでは他の歌手にはない澄んだ美しさが漂います。
このアルバムは、"LUSH LIFE","これからの人生","IT NEVER ENTERD MY MIND",
"DON'T EXPLAIN","THE LADY"とバラッドが多いのが嬉しいです。

 

SONNY CRISS

SONNY'S DREAM(BIRTH OF NEW COOL) / (PRESTIGE)
criss01.jpg (20628 バイト) SONNY CRISS(AS,SS),DAVID SHERR(AS),TEDDY EDWARDS(TS),
PETE CHRISTLIEB(BS),CONTE CANDOLI(TP),DICK NASH(TB),
RAY DRAPER(TUBA),TOMMY FLANAGAN(PF),AL McKIBBON(B),
EVERETT BROWN Jr.(DS)
A-1.SONNY'S DREAM
 2.BALLAD FOR SAMUEL
 3.THE BLACK APOSTLES
B-1.THE GOLDEN PEARL
 2.DAUGHTER OF COCHISE
 3.SANDY AND NILES

ソニークリスは、とにかくフレーズがくさいです。
有名盤
「UP,UP AND AWAY / (PRESTIGE)」も、
「SATURDAY MORNING / (XANADU)」もくさいです。
渋さなんて欠片もない下世話なフレーズの連発(笑)。
だけど、そこがたまらなく好きって云う人が多いのでは?

この「新たなるCOOLの誕生」と仰々しい副題のついた本作は、
ホレスタプスコットによってクールなアレンジがなされた
高いテンションの曲が居並びます。
クリスは、いつになくクールな面持ちで静かにテーマを奏します。
そしてアドリブパートに突入するや否や、「うおー、いつものクリスだー!!」(爆)

ミドルコンボによるアンサンブルがクリスのソロを盛り上げ、
手癖のかたまりの様な音数の多いクリスのアドリブラインがうねるうねる。
う〜ん、ここまで吹かれると、やっぱり気持ちいいや。
一体、どこがクールなのやら(笑)。

 

SONNY ROLLINS

SAXOPHONE COLOSSUS / (PRESTIGE)
rolins01.jpg (20489 バイト) SONNY ROLLINS(TS),TOMMY FLANAGAN(PF),
DOUG WATKINS(B),MAX ROACH
A-1.ST.THOMAS
  2.YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS
  3.STRODE RODE
B-1.MORITAT
  2.BLUE SEVEN

ソニーロリンズの歴史的名盤です。
ジャズを聴き始めた頃に買っとかないと後で恥かしくて買えない位の名盤(笑)。
唄わないアドリブはアドリブじゃないと感じさせてくれます。
マックスローチのドラムも冴えまくっています。

冒頭の"ST.THOMAS"は、テーマだけをとっても実に表情付けが深いです。
このちょっとしたフガフガ感がロリンズらしさの一つ。
アドリブの最初、何度もGCGCって単純なフレーズの反復がみられますが、
これとて表情が変化しているため耳障りにならず見事な効果を出しています。
一旦ローチにソロを渡した後、スネアのロールに弾き出されるように
再度アドリブをとります。
これは、最初からそう云う構成だったのか、堪らず飛び出したのか‥‥?

"YOU DON'T KNOW LOVE IS"は、出だしのフェイクでメロメロです。
こんなにも胸を締め付けるようなメロディを瞬時で生み出した奇跡。
豪快でありながら繊細なアドリブが神懸り的です。

個人的に最も好きなのは、B面ラストの"BLUE SEVEN"。テーマが凄い。
B♭のブルースなんですが、ダグワトキンスのソロ2コーラスの後、
いきなり出てくるのが#11度音程のD♭。このテンションが堪りません。
更にテーマ最後の音も♭5度音程のEと不安一杯だ〜(笑)。
トミフラのソロがフツーのブルースしてる以外は素晴らしい演奏です。
ラストテーマに戻るのかと思ったらフェイクから再度アドリブに突入。
ドラムとの4バースにまで展開するイレギュラーな構成。

永らく聴いてない方も久しぶりに耳を通してみはっては、如何でしょう。

 

A NIGHT AT THE VILLAGE VANGUARD VOL.2 / (BLUE NOTE)
rolins02.jpg (19482 バイト) SONNY ROLLINS(TS),WILBUR WARE(B),ELVIN JONES(DS),
DONALD BAILEY(B)*,PETE LA ROCA(DS)*
A-1.A NIGHT IN TUNISIA
  2.I'VE GOT YOU UNDER MY SKIN*
B-1.SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE
  2.WHAT IS THIS THING CALLED LOVE

井上陽水ではありません(爆)。
rolins03.jpg (7315 バイト)このVOL.2が良いのです。
最初に出された
「ヴレッジヴァンガードの夜(BLUE NOTE)」
未発表音源をかなり後になって出したのが、このVOL.2とVOL.3です。
但し、現在は、それら3枚分を2枚のCDにまとめて発売してますので、
そっちのVOL.2とは、内容が異なってます。ややこしい話ですね(笑)。

魅力的な曲を豪快に吹きまくるロリンズの演奏にどっぷりと浸れます。
特に私は、この"朝日の如く爽やかに"が出色の出来だと思います。
テーマの解釈からアドリブに至るまで完全なロリンズ節の嵐。
「ヴレッジヴァンガードの夜」でもこの曲は演っていますが、
完成度は明らかにVOL.2の方が高いです。
同じ日のライブでテーマの吹きこなしがこんなにも違う事にも驚きますが。

ピアノレスと云う形態でエルヴィンジョーンズのドラムが一段と際立っています。
ロリンズを煽ってどんどんヒートアップしていく様子が実にエキサイティング。

 

STACEY KENT

LET YOURSELF GO / (CANDID)
STACEY KENT(VO),JIM TOMLINSON(TS,AS),
COLIN OXLEY(G),DAVID NEWTON(PF),
SIMON THORPE(B),STEVE BROWN(DS)

1.LET YOUR SELF GO
2.THEY CAN'T TAKE AWAY FROM ME
3.I WON'T DANCE
4.ISN'T THIS LOVELY DAY
5.THE ALL LAUGHED
6.HE LOVES AND SHE LOVES
7.SHALL WE DANCE
8.ONE FOR MY BABY
9.S'WONDERFUL
10.A FINE ROMANCE
11.I GUESS I'LL HAVE TO CHANCE
   MY PLAN
12.I'M PUTTING ALL MY EGGS
   IN ONE BASKET
13.BY MYSELF

私事ながら久しぶりに女性ヴォーカルに惚れこんでしまいました。
そしてジャズヴォーカルについて色々考えさせられました。
ステイシーケントは若い人ですが、1930年代の少し古風なヴォーカルスタイル。
このアルバムだってサブタイトルが「フレッドアステアに溺れて」ですもん。
彼女の魅力はスタンダードをスタンダードらしく丁寧に唄う事だと思います。
とは云っても原曲に忠実に唄うのが丁寧と云う意味ではありません。
ステイシーケントもかなり大胆にフェイクします。
でもそれが曲のメロディラインに馴染んだ質の良いフェイクなんですね。
ほら、良くいるじゃないですか、メロディそっちのけで得意気にフェイクしまくる人。
そう云うのを聴いてると、スタンダードの魅力って何なんだろうと思ってしまいます。
ステイシーケントの唄は、そう云った意味で手練手管に溺れない瑞々しさに溢れてます。
彼女の愛らしく清清しく優しく明るくたおやかな声は(ベタ褒め)、
聴き手を美しいメロディにとっぷり浸らせてくれたり、歌の中の物語へ誘ってくれたり、
忘れそうになっていたジャズヴォーカルの幸せ感を思い出させてくれます。
それはまるで遠い記憶の中の"大好きだった幼稚園の先生"的な感じです(笑)。
また彼女は今あまり唄われなくなった曲を探してくるのが好きな様で、それも魅力の一つ。
新しい曲との出会いや既知の曲の再発見が一杯あって、ついついCDをセットしてしまいます。
リーダーアルバムも何枚か出ていて、それはどれをとっても素晴らしい。
また旦那のジムトムリンソンのアルバムにも参加して数曲唄っています。
「CLOSE YOUR EYES/(CANDID)」
「DREAMSVILLE/(CANDID)」
「LOVE IS...THE TENDER TRAP/(CANDID)」
「ONLY TRUST YOUR HEART/JIM TOMLINSON(CANDID)」

 


STEVE KUHN

REMEMBERING TOMORROW / (ECM)
steve01.jpg (7078 バイト) STEVE KUHN(PF),DAVID FINCK(B),JOEY BARON(DS)
1.THE RAIN FOREST       
2.OCEANS IN THE SKY      
3.LULLABY           
4.TRANCE           5.LIFE'S BACKWARD GLANCE
6.ALL THE REST IS THE SAME
7.EMMANUEL
8.REMEMBERING TOMORROW
9.THE FEELING WITHIN
10.BITTERSWEET PASSAGES
11.SILVER

ここのところコンコードでスタンダード中心の
骨抜きのアルバムを作らされていたキューンですが(笑)、
やっと彼らしい演奏が戻ってきました。
やはりキューンは、こうでないといけません。
選曲的にもかつてのECM時代への回帰といった感じです。

美しさの中に厳しさや激しさを持つ彼のプレイを感じ取るには、
あらゆる日常の作業の手を止めてじっくりと耳を傾ける必要があります。
そして、震える心を彼に鷲づかみにしてもらいましょう。

 

STEVE LACY

THE STRAIGHT HORN OF STEVE LACY / (CANDID)
lacy01.jpg (22759 バイト) STEVE LACY(SS),CHARLES DAVIS(BS),
JOHN ORE(B),ROY HYNES(DS)
A-1.LOUISE
  2.INTROSPECTIOM
  3.DONNA LEE
B-1.PLAYED TWICE
  2.AIR
  3.CRISS CROSS

ジャズの様などちらかと云うとマイナーな音楽にも
ちゃんとコマーシャリズムってものはあると思います。
ジャズとある程度付き合ってれば、誰だってコルトレーンやマイルスは聴くし、
名盤と呼ばれてるアルバムを聴く方向に知らず知らずに向けられてるもんです。
そういった意味であらゆるコマーシャリズムから無縁のところにいるのが
このスティーヴレイシーの様なミュージシャンではないでしょうか?
もの凄く禁欲的に自分の音楽を追求し続けるミュージシャンで派手さがない。
自発的に聴き求める人じゃないと出合う頻度も少ないかもしれません。

このアルバムでも変則的なユニットで聴き手に甘えを許さない様な
厳しい骨格むき出しの音楽を展開しています。
隙間だらけの空間に彼らの音が浮遊している危うさ‥‥、
ちょっと抽象的な表現なのですが、聴いていただければ納得いただける筈です。

彼のライフワークであるモンクの楽曲が6曲中3曲、
彼の良き共演者であったセシルテイラーの曲が2曲、
そして、意外にもチャーリーパーカーの曲が1曲。
どれも「渋い」だの「クール」だのと軽い表現で説明するのが
躊躇われるほどの求心的な演奏ばかりです。

 

T

29TH STREET SAXOPHONE QUARTET

THE REAL DEAL / (NEW NOTE)

29th01.jpg (20847 バイト) BOBBY WATSON(AS),ED JACKSON(AS),RICH ROTHENBERG(TS),JIM HARTOG(BS)
A-1.FREE YOURSELF
 2.I MEAN YOU
 3.THE LONG WAY HOME
 4.UN POCO LOCO
B-1.CONFIRMATION
 2.WHEEL WITHIN A WHEEL
 3.ARE/WERE
 4.29TH STREET THEME

ボビーワトソンを中心としたサックス4管によるカルテット。
このユニットで今まで何枚かリリースしていますが、
個人的にこのアルバムが一番まとまってて好きです。

この29丁目サックス四重奏団(笑)は、サックスアンサンブルとして、
実に理想的な形だと思うのです。
一人一人の個性が潰される事なく、また個性が際立ちすぎる事なく、
いいバランスなんですね。
・・・ちなみに前者がイッチーフィンガーズあたりで、
後者がワールドサキソフォーンカルテットあたりです(笑)。

驚くのは、テンポがめまぐるしく変化しても息がぴったりと合ってる事。
"CONFERMATION"の冒頭なんかは、テンポが思いっきりルバートなのに
一人のプレイヤーが多重録音してるかの様な如く音が積み重なる。
ううむ、凄い・・・。

 

U

V

VIKTORIA TOLSTOY

BLAME IT ON MY YOUTH / (KAZA)

29th01.jpg (20847 バイト) VIKTORIA TOLSTOY(VO),JACOB KARLZON(PF),MATTIAS SVENSSON(B),
RASMUS KIHLBERG(DS),DAVID BJORKMAN(VLN),
CHRISTOPHER OHMAN(VIOLA),HENRIK FRENDIN(VIOLA)

1.WE'LL BE TOGETHER AGAIN
2.MIDNIGHT SUN
3.LAURA
4.BABY PLAYS AROUND
5.SAGA OF HARRISON CRABFEATHERS
6.BLAME IT ON MY YOUTH
7.DESTINY
8.PEACE
9.SUMMER NIGHT
10.ANGEL EYES

ヴィクトリアトルストイは今活躍しているヴォーカリストの中で
最も音楽的な興奮を与えてくれるミュージシャンだと思っています。
比較的女性ヴォーカルには癒しを求めてしまうんですけど、
この人を聴くときはインストを聴くのと同じ感覚で聴いています。
音楽的センスと声質とサイドメンに恵まれ、どのアルバムを聴いても満足度が高いです。
中でもこのアルバムは何十回と聴いても色褪せる事ない魅力に溢れています。
彼女のハスキーで体感温度の低い声とテンションの高いピアノトリオが見事に融合。
中でも"SUMMER NIGHT"の展開はなんとスリリングな事でしょう。
まだヴィクトリアトルストイを聴いた事のないジャズファンの方は是非このアルバムを!

前にもどこかで取り上げた気がしてたんですが、
期間限定企画でヴォーカルを特集した時でした。
常設展示(?)ではないので、興味のある方はコチラから→2001年秋ヴォーカル編

 

MY SWEDISH HEART / (ACT)

29th01.jpg (20847 バイト) VIKTORIA TOLSOY(VO),JACOB KARLSSON(PF),
LARS DANIELSSON(B),PETER DANEMO(DS),
ULF WAKENIUS(G),NILS LANDGREN(VO,TB),
ALE MOLLER(MANDOLA,FL),CHRISTIAN SPERING(B),
WOLFGANG HAFFNER(DS),BOHUSLAN BIGBAND
 
1.GRANDMAS SONG
2.MIND IF I
3.FROM ABOVE
4.DIALOGUE
5.YOU GAVE ME THE FLOW
6.DEN FORSTA GANG
7.DANNYS DREAMING
8.THE MORNING OF YOU
9.MAYDAY
10.I HOPE IT'S SPRING FOR YOU
11.JAG YET EN DEJLIG ROSA

いきなり民族色の強い曲から始まりますので、面喰いますけど、
次第に普段のスタイルになっていきますのでご安心ください(笑)。
3曲だけトラディショナルソングを入れているのはタイトルと関係があるのかな?
その他の曲は、このアルバムは上で取り上げた「BLAME IT ON MY YOUTH」と違って
参加ミュージシャン他のオリジナルソングが中心になっています。
そのどれもが魅力的なモノばかりなのです。
LARS DANIELSSONの"FROM ABOVE"、JACOB KARLZONの"YOU GIVE ME THE FLOW"、
LARS GULLINの"DANNYS DREAMING"、
そしてエスビョルンスヴェンソンの"THE MORNING ON YOU"etc.…。
どれも難しそうなメロディラインで彼女じゃないとここまで表現できないんじゃないかと。

彼女を聴いてて、いつも思うのは、彼女の様な新鮮なジャズヴォーカリストに
もっと活躍してもらって、ジャズヴォーカルのイメージを変えて欲しいって事。
ナイトクラブで歌われるようなありていのスタイルがジャズヴォーカルの
固定イメージになっているのが悲しいんです。
おっと、小言になってしまいました。

同じACTレーベルから出ている
「SHIHING ON YOU」はエスビョルンスヴェンソン曲集。
こちらも猛烈に高い音楽性と、
思ったより聴きやすい泣きのメロディラインが魅力です。


W

X

Y

ZOOT SIMS

ZOOT AT EASE / (FAMOUS DOOR)

zoot01.jpg (25272 バイト) ZOOT SIMS(TS,SS),HANK JONES(PF),MILT HINTON(B),
LOUIS BELLSON(DS),GRADY TATE(DS)*
A-1.SOFTLY AS IN A MORNING
                 SUNRISE
  2.IN THE MIDDLE IF A KISS*
  3.ROSEMARY'S BABY
  4.BEACH IN THE A.M.*
B-1.DO NOTHING TILL YOU HEAR
                FROM ME 
  2.ALABAMY HOME*
  3.COCKTAILS FOR TWO
  4.MY FUNNY VALENTINE*

ズートの音色は、ホントに美しいです。
ここでは、珍しくソプラノを頻繁に吹いていますが、
その音色もこの上なく美しいです。
ズートの演奏スタイルは、フォーブラザーズやアル&ズートの頃から
最後のパブロ時代に至るまで、殆ど変わっていません。
ハートウォームな音色とスインギーなフレージングが魅力で、
どのアルバムを聴いても安定していて素晴らしいです。

特にこのアルバムでは、ソプラノでの演奏に特筆すべきものがあります。
A-1の"朝日の如く爽やかに"やA-3の"ROSEMARY'S BABY"あたりで見せる
クールなフレージングは、テナーでは聴かれないものです。
またハンクジョーンズの参加も大きな魅力です。
できれば、全編グラディテイトに叩いて貰いたかったと云うのが個人的な思いです。

 

ZSOLT KALTENECKER

SONGS FROM THE 20TH CENTURY / (KCG)

ZSOLT KALTENECKER(PF)
1.THINGS AIN'T WHAT
       THEY USED TO BE
2.CARAVAN
3.RIVER OF DREAM
4.TIME AFTER TIME
5.SHE'S TOO GOOD FOR ME
6.FLYING
7.GRAGILE
8.I'M STILL STANDING
9.IN A SENTIMENTAL MOOD

さて、読み方がわかりませんが(笑)…。
調べて見たところ、1970年生まれの白人ピアニストで、
ブタペストのリスト音楽院のジャズピアノ科を卒業した人らしいです。
1994年からZSOLT KUTAS の名前でアルバムを何枚か出してます。
名前や経歴を見るとヨーロッパ系のリリカルなスタイルを想像しますが
かなりゴリゴリと弾ける力強さも持っている人だと感じました。
このアルバムは20世紀に残された名曲を取り上げると云う企画で
1999年1月に行なわれたソロライヴ録音です。
取り上げた作曲家もデュークエリントン、マーサエリントン、ビリージョエル、
スティング、エルトンジョンetc.…と幅広い。
中で1曲だけ自分の曲を取り上げているのはご愛嬌(笑)。
他のアルバムではオリジナル曲を中心に吹き込んでいるみたいですから
その気持ちも分からいでもない(笑)。
しかしまぁ、とにかくこの人のソロピアノは楽しいですよー。
ソロにありがちな「弾き手のタイム感覚でルーズにリズムが崩される退屈な仕上り」
なんてモノとは程遠く、気持ち良く聴き手を乗せてくれます。
特にブギウギ系のリズムパターンの曲が一番活きが良いっ。
"THINGS AIN'T WHAT THEY USED TO BE"とか"SHE'S TOO GOOD FOR ME"がそれ。
また、一方でスティングの"FRAGILE"などで見せる透明感のあるピアノも良いです。
聴きこんで良さが出てくるタイプのアルバムではありませんが、
あーこんなライヴを聴きに行ったら楽しいだろうなぁと思いながら
時々棚から出して聴きたくなるアルバムなのです。

【追記】
彼の名前はソルトカルトネッカーと読むのだそうです。
彼は「全てを自分のピアノで弾いてしまいたいタイプ」だと思います。
煌びやかのは右手だけでなく、左手も有能なリズムセクションの役割を果たします。
ですからパーカッションのDES ANDRASとのデュオアルバム
「IN THE BEGINING THERE WAS THE RHYTHM/(KCG)」を聴いても
ベースレスの音の薄さなど微塵も感じられないばかりか、
パーカッションと左手のリズムとがシンコペイテッドに働いて
ヘヴィーなのに軽やかな躍動感を持った強靭なドライヴ感を生んでいます。
またトリオモノの「RAINY FILM/(KCG)」あたりも面白いです。
ベースがいても、カルトネッカーはやっぱり左手も弾きたいらしく、
途中でベース&ドラムが休んでピアノがソロになる構成がやたら多い(笑)。
選曲は"枯葉"や"雨にぬれても"に始まって
果てはオーネットコールマンの"BLUES CONNOTATION"まで
幅広く、と云うより、まとまりなく取り上げられております(笑)。
でもこのオーネットは常識的に解釈し過ぎじゃないかなぁ…。
それよりもやはり"枯葉"の様な演奏に魅力を感じる人が多いのでは?
前半では力強いシングルトーン、後半ではストライドなソロパートと
彼のピアノスタイルの縮図の様な演奏ですからね。
現在のピアノトリオは「ピアノとベースとドラムの三位一体」で評される事が多い中、
彼のワンマンぶりが良く出たトリオ作品だと感じました。