LAURA | |
BLAME IT ON MY YOUTH / VIKTORIA TOLSTOY (KAZA) | |
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VIKTORIA
TOLSTOY(VO),JACOB KARLZON(PF), MATTIAS SVENSSON(B),RASMUS KIHLBERG(DS) |
トルストイのひ孫と云う肩書きが話題を呼んでいる様ですが、 実力的にも個性的にも高いレベルにあるヴォーカリストだと思います。 声に色気と力強さがあって非常に期待の高い逸材ですね。 この"LAURA"は1944年にデヴィッドラクシンによって書かれた映画音楽に ジョニーマーサが後に歌詞をつけたモノですが、 そんな昔に書かれたとは思えない新鮮なメロディラインを持っています。 その魅力を更にミスティックに磨き上げた名演奏だと云いきりましょう。 このアルバムでは他にも聴きドコロが山ほどあります。 スティーヴキューンの"SAGA OF HARRISON CRABFEATHERS"、 ホレスシルヴァーの"PEACE"、マットデニスの"ANGEL EYES"など 彼女の声質を活かした曲が素晴らしい。 また"SUMMER NIGHT"で見せる力強いドライヴ感も凄い。 本気で演奏するピアノトリオの上に彼女のヴォーカルが乗っかり まるで猛獣使いの様に演奏の主導権を握ります。 あー、ベタ褒め(笑)。 |
BYE BYE BLACKBIRD | |
NIGHTCLUB / PATRICIA BARBER (BLUE NOTE) | |
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PATRICIA
BARBER(V0,PF),MARC JOHNSON(B), ADAM NUSSBAUM(DS) |
弾き語りの実力派パトリシアバーバーの2000年のアルバム。 重みのあるシリアスなヴォーカルです。 不勉強で全然知らなかったのですが、キャリアは結構長く、 作編曲の才能にも溢れたシンガーソングライター系の人なのだそうです。 だから普段あまりスタンダード中心に唄う人ではないとの事。 このアルバムは逆に大スタンダード大会になっていますが、 それぞれの曲へのアプローチが一捻りあってオリジナリティを感じさせます。 マークジョンソンの参加も光ります。 |
LIFE IS HER FRIEND | |
TEARS / JASON REBELLO & JOY ROSE (MARINA) | |
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JASON REBELLO(PF),JOY ROSE(VO) |
音を聴いていただければ分かると思いますが、 ジャズピアノと云うよりポピュラーなスタイルのピアニストです。 活動も幅広くアシッドジャズ、ヒップホップ、ソウル、クラシック…、 そしてスティングのバンドのキーボーディストと八面六臂の活躍。 以前このHPの'bout JAZZ BY MY FRIENDSのコーナーで どらみちゃんが「MAKE IT REAL/(VICTOR)」を紹介してくれていますので 興味のある方はそちらをご覧下さい。→ココ さてこのアルバムですが、黒人女性ヴォーカルのジョイローズとのデュオ。 このローズの声が実に美しい。 崇高な響きすら湛える彼女のヴォーカルに、 一点の翳りもないリベロのピアノが絡み、 極上のコラボレーションを聴かせてくれます。 やや毒っ気がなさすぎる感もありますけど、捻くれてしまった耳を この際浄化してみるのも宜しかろうと…(笑)。 ここで取り上げたのはリベロのオリジナルでファストテンポの曲。 スムースに躍動する声とピアノ。 途中、スキャットとシングルトーンでユニゾるところなんか良いなぁ。 他にスタンダードで"GOD BLESS THE CHILD"なんかも演ってます。 |
WHY SHOULDN'T I | |
LIVE AT CENTURY PLAZA / CARMEN McRAE (ATLANTIC) | |
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CARMEN McRAE(PF,VO) |
コールポーターの余り唄われる事のないバラッド。 こう云う曲にスポットを当てて唄うのがカーメンマクレエの素敵なところです。 このアルバムは1968年にL.A.のセンチュリープラザでのライヴ録音で ノーマンシモンズのピアノトリオがバックをつとめているのですが、 この"WHY SHOULDN'T"を含め何曲かは彼女の弾き語りが聴けます。 音数の少ない間を大切にしたピアノで彼女の語り口にしっとりと花を添えます。 この時の彼女は実に声のコンディションが良く、張りがあって伸びやかです。 但しトリオ演奏に於いて、フランクセヴィリーノのドラムが ドンドンとベードラを踏み、パシパシとスネアを叩きすぎるのが難。 これさえなければもっと評価の高いアルバムだったのになぁ…。 他にチャックドマニコのベースとデュオで唄われる"AWAY,AWAY,AWAY"も良い! |
IT'S EASY TO REMEMBER | |
BALLADS / KARRIN ALLYSON (CONCORD) | |
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KARRIN ALLYSON(VO),JAMES
WILLIAMS(PF), JOHN PATITUCCI(B),LEWIS NASH(DS) |
カーリンアリソンって巧いんですけど声に魅力が乏しいので地味な存在。 しかし今年、ツボを得た企画で良いアルバムを作ってくれました。 「バラッド」。サブタイトルが「REMEMBERING JOHN COLTRANE」。 コルトレーンの愛奏曲のバラッド集であります。 ヴォーカルでこれをやってくれたのが嬉しいところですね。 |
THE NIGHTINGALE | |
BLUESAND / KARIN KROG & JOHN SURMAN (MEANTIME RECORDS) | |
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KARIN KROG(VO), JOHN SURMAN(SS,B-CL,SYNTH) |
カーリンクロッグとジョンサーマンのデュオアルバムです。 この二人は正に同じ資質を持った同志と云えます。 震える空気のひんやりとした冷たさを感じさせる様な 見事なコラボレイションを聴かせてくれます。 クロッグのヴォーカルで絡むサーマンのソプラノは ナイチンゲールの鳴き声を模しているのでしょうか? 名盤「NORDIC QUARTET/(ECM)」よりも更にナチュラルな 声と楽器の関係を追及したアルバムではないでしょうか。 |
HAUNTED HEART | |
HEART STRINGS / SHEILA JORDAN (MUSE) | |
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SHEILA JORDAN(VO),ALAN
BROADBENT(PF), HARVIE SWARTZ(B),MARVIN"SMITTY"SMITH(DS), THE HIRAGA STRINGS QUARTET 〔AMY HIRAGA(VLN),LAURA FRAUTCHI(VLN) MARIA LAMBROS KANNEN(VIOLA),PETER WYRICK(CELLO) 〕 |
シーラジョーダンのストリングス入りのアルバム。 ストリングスアレンジをアランブロードベントが担当しています。 決して甘すぎないハーモニーが彼女の美しいヴォーカルを際立たせます。 彼女は少し音程が曖昧なので自然なメロディラインを持った ゆったりとした曲が一番合っていると思います。 またアルバムのラストでブロードベントとのデュオによる "LOOK FOR THE SILVER LINING"が収録されています。 これも素敵です。 |
LONELY HOUSE | |
SINATRA|WELL / JEANETTE LINDSTROM (CAPRICE) | |
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JEANETTE LINDSTROM(VO), NORRBOTTEN BIG BAND, NORRBOTTEN CHAMBER ORCHESTRA |
ジャネットリンドストレームの1999年のアルバムです クルトワイルの曲とシナトラの愛唱曲を取り上げています。 ここで取り上げた"LONELY HOUSE"はクルトワイルの作品。 彼女の美しさそのままのヴォーカルも魅力的ながら、 なんと云ってもケニーワーナーのストリングスアレンジが凄い。 ストリングスパートだけ抜き出してもそのままクラシック作品として 成立するくらいのクオリティなのです。 近代〜現代的な弦の響きがジャネットの声を深淵の中に漂わせます。 なお、このアルバムでも2曲でケニーワーナーとのデュオが聴かれます。 こちらも緊張感に満ちた素晴らしい演奏ですので是非。 |
LOST IN THE STARS | |
WHICH? / JACKIE ALLEN (NAXOS) | |
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JACKIE ALLEN(VO),BILL CUNLIFFE(PF) |
ジャッキーアレンはバラッドがとても良いです。 白人らしいサラリとした唄い方の中に豊かな情感が込められています。 個人的には声の余韻を活かすのが上手いなぁと思いました。 アップテンポの曲ではフェイクも大胆にするし、スキャットも器用にこなしますが、 やはりバラッドでの丁寧な唄い込みが彼女の持ち味だと思います。 このアルバムは3管を加えたコンボバックからピアノとのデュオまで その彼女の様々な魅力をバランス良く聴く事ができます。 |
YOU STEPPED OUT OF A CLOUD | |
YOU STEPPED OUT OF A CLOUD / RAN BLAKE & JEANNE LEE (OWL) | |
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JEANNE LEE(VO),RAN BLAKE(PF) |
このアルバムはシリアスサイドの方で取り上げた方が良いかも。 ジーンリーとランブレイクの1989年のデュオアルバムです。 この二人はお互いのデビュー間もない頃に同じようにデュオで 「THE NEWEST SOUND AROUND/(RCA)」と云う作品を残していますので これは再会セッションと云ったところでしょうか。 ランブレイクはシリアスで難しいピアノを弾く人で ジーンリーも詩人の様に唄う人ですので 当然この二人によって描かれる音楽は緊張感の高いモノになります。 薄暗い空間を彷徨うジーンを幽かな光で導くランブレイク…、そんな感じです。 |
GOODBYE PORK-PIE HAT | |
FIRE WALTZ / JEANNE LEE & MAL WALDRON (OWL) | |
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JEANNE LEE(VO),MAL WALDRON(PF) |
ジーンリーが続きます。 こちらはマルウォルドロンとのデュオアルバム。 マルもタイガイ陰鬱なピアノを弾く人ですので、 聴く前から大体の想像がつくでしょう?(笑) でも比較的スタンダードを中心に取り上げていますので ランブレイクとのアルバムよりは寛いだ感じに仕上っています。 そりゃアフターアワーズですもんね(笑)。 ここで取り上げたのは、云わずと知れたミンガスの名曲。 かなり抑え気味のテンポでマルのピアノが始まった瞬間、 「マルの曲だったっけ?」と思ってしまいました。あまりにも嵌りすぎ。 ジーンリーもタダでさえハスキーな声だと云うのに、 一段と息を洩らしながら唄います。これまた嵌りすぎです。 |
BELIEVE IN YOURSELF | |
LULLABYE / MALA WALDRON (DAN) | |
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MALA
WALDRON(VO,PF),寺井尚子(VLN), 吉野弘志(B) |
上からの流れでマルウォルドロンの愛娘マラウォルドロンを。 親の七光り的日本企画アルバムっぽいですが ピアノは親父よりも遥かに巧い(笑)。 ヴォーカルは少し発音にシマリがないながら奔放に唄える力はあります。 この彼女のデビューアルバム、ビリーホリデイに捧ぐと云う企画で、 愛唱曲を多く取り上げているのですが、意外とマラのオリジナル曲が良い。 この"BELIEVE IN YOURSELF"も彼女のオリジナル曲で ミディアムファストテンポでキレの良いピアノとヴォーカルを聴かせてくれます。 |
I WANT TO TALK ABOUT YOU | |
TAKE LOVE EASY / ELLA FITZGERALD & JOE PASS (PABLO) | |
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ELLA FITZGERALD(VO),JOE PASS(G) |
個人的にどうしても欠かせないのがエラフィッツジェルドです。 晩年のエラの代表作と云えるのが、このアルバムに始まる ジョーパスとのデュオシリーズではないでしょうか。 ここではその一作目にあたるアルバムを取り上げてみました。 ビリーエクスタインの名曲、そしてコルトレーンの愛奏曲、 "I WANT TO TALK ABOUT YOU"をじっくり聴いてみてください。 スキャットや巧みなフェイクと云ったスインギーな部分も エラの持ち味の一つである事は間違いありませんが、 晩年、声が衰えてくる中、高音を張り上げるエラは少し痛々しい…。 一方、エラのもう一つの魅力である丁寧なバラッドシンギングは 歳を重ねて更に味わいを深めたと思うのです。 ジョーパスのギターもヴァーチョーゾシリーズの様な粗さもなく しっとりとエラの唄を労わる様に包み込んでいます。 考えてみたら、彼ってエラとのデュオシリーズ、 カーメンとの「GREAT AMERICAN SONGBOOK/(ATLANTIC)」、 サラとの「CRAZY AND MIXED UP(邦題:枯葉)/(PABLO)」と 御三家の名盤に参加してるんですねぇ。 |
MUSIC'S THE ONLY THING THAT'S ON MY MIND | |
MUSIC'S THE ONLY
THING THAT'S ON MY MIND / JIMMY ROWLES & GEORGE MRAZ (AUDIOFILE) |
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JIMMY ROWLES(VO,PF),GEORGE MRAZ(B) |
上で触れたカーメンの「GREAT AMERICAN
SONGBOOK」のピアニスト ジミーロウルズは、自身も渋い唄を唄います。ホント渋いです。 普通の渋さを100としたら、場末の赤提灯で呑んでる宮坂さん(52歳・会社員) くらい渋いです(笑)。 このアルバム、全編唄入りではありませんが、数曲で弾き語ってます。 面白いのはアルバムの選曲。 ヴォーカルトラックではオールドファッションドな曲を唄い、 インストトラックではウェインショーターの曲なんかを演ってます。 全9トラックの内、なんとショーターの曲が4曲! 地味ながら個性の強い彼らしさが出てますね。 |
SOMETHING TO LIVE FOR | |
LOOK AT ME NOW / AUDREY MORRIS (AUDIOFILE) | |
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AUDREY MORRIS(VO,PF),NICK
SCHNEIDER(B), GREG SERGO(DS) |
枯れた味わいのアルバムが続きます。 しかもまたオーディオファイルレーベル&弾き語りモノです。 オードリーモリスは1950年代にデビューし、 その後、暫くの活動休止期間を経て、1980年になってカムバック。 …と、手元の資料には書いてありました(笑)。 昔からバラッドが上手い人だったらしく、 このアルバムに於いてもバラッドが実に良いです。 若いヴォーカルがムードたっぷりに唄うのも良いんですけど こう云った人生の哀しみを唄った曲はやはりある程度の年齢を重ねて 説得力が出てくる様な気がします。 但しこの人、逆にビートのある曲ではオモテ系のピアノなので ノリがちょっと…。 |
SOMETHING TO LIVE FOR | |
THE STOCKHOLM
CONCERT,1966 / ELLA FITZGERALD & DUKE ELLINGTON (PABLO) |
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ELLA FITZGERALD(VO), DUKE ELLINGTON ORCHESTRA |
"SOMETHING TO LIVE
FOR"と云えば、このアルバムを取り上げないと! もう理屈は何も書きません。 聴くと涙が出ます。 鳥肌が立ちます。 エラのバラッドの中で私が最も好きなモノの一つです。 是非聴いてください。 |
THIS COULD BE A START OF SOMETHING BIG | |
ELLA IN HOLLYWOOD / ELLA FITZGERALD (VERVE) | |
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ELLA FITZGERALD(VO),LOU
LEVY(PF), JIM HALL(G),WILFRED MIDDLEBROOKS(B), GUS JOHNSON(DS) |
エラをもう一枚! 前にもこのHPのどこかで取り上げたと思うのですが、再度掲載です(笑)。 こないだ井上祐一トリオのベーシスト工藤精さんと話をしてて、 「ELLA IN HOLLYWOODは良いっ!」 「このスイング感は凄い!」 「これを薦める人が少ないのはどういうことだ!」と 思わず二人で手を取り合って盛りあがってしまったんですね(笑)。 このアルバムにはジャズヴォーカルの楽しさが一杯に詰まっています。 エラも正に絶好調ですし、バックのメンバーも完璧。 |
LULLABY OF BIRDLAND | |
AN EVENING WITH GEORGE SHEARING AND MEL TORME / (CONCORD) | |
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MEL TORME(VO),GEORGE
SHEARING(PF), BRIAN TORFF(B) |
スイング感溢れるジャズヴォーカルと云えばメルトーメを挙げないと。 1982年に録音されたメルトーメとジョージシアリングのライヴアルバム。 (あ、ベースのブライアントーフさんも居ます(^-^;) グラミー賞を受賞したアルバムですのでご存知の方も多いでしょう。 息の合ったコラボレイションとは正にこの事ですね。 アルバムの最後を飾るのがこのジョージシアリングの代表曲。 変化に富んだエンターテインな構成は流石。 お客さんもすっかり盛りあがってて、実にイイカンジです。 スローで唄い始めて拍手が起こり、インテンポに入って拍手が起こり、 スキャットが始まって拍手が起こる。あー楽しそう〜! ソロ廻しの後、バッハ調の二人のソリが入るのが実に粋ですね。 (あ、ベースのブライアントーフさんも居ます(^-^;) 途中4バースのチェイスでトーメが、この曲の元コード曲 "LOVE ME OR LEAVE ME"を引用し、シアリングが応えます。 聴きながら思わず頬の筋肉が緩んでしまう演奏ですね。 そして最後はトーメお得意の「いぇ〜〜」で決まりっ。 |
TWO FOR THE ROAD | |
TWO FOR THE ROAD / CARMEN McRAE & GEORGE SHEARING (CONCORD) | |
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GEORGE SHEARING(VO,PF) |
ジョージシアリング繋がりで今度はカーメンマクレエとのデュオアルバムを。 (ベースのブライアントーフさんは居ません(^-^;) アルバムタイトルにもなっているこの曲は、 オードリヘップバーンの「いつも二人で」('66年)の主題歌として ヘンリーマンシーニが作曲したナンバーです。 アルバムのラストでジョージシアリングがカーメン抜きの弾き語りで この曲を唄うと云うのもなかなか粋な演出ですね。 まるでカーメンとのデュオを終えて、その余韻に浸っているかの様。 シアリングのヴォーカルは先に挙げたジミーロウルズとは質の違う渋さ。 普通の渋さを100としたら、間接照明の落ち着いたバーで 一人ドライマティーニを楽しむ勅使河原さん(60歳・会社経営)って感じ(笑)。 |