'bout JAZZ? in SUMMER 2004

昨年一年は企画をさぼってしまいましたので二年ぶりの更新となります。
その間、大してネタをしこんでおりませんので、部屋の棚の発掘で急場しのぎ(笑)。
もう完全にジャズのコーナーではありませんね。
お許しを。

↓このコーナーは下に行くほど新しくなっています。ややこしい事ですみません。↓


ESTE SEU OLHAR
JOAO GILBERTO IN TOKYO/(UNIVERSAL)
JOAO GILBERTO(VO,G)
今年はやはりこれを取り上げないといけませんね。
2003年、ついに初来日を果たしたジョアンのライヴアルバム。
私も含めて残念ながら聴きにいけなかった人達にとっては
このライヴのCD化は大変ありがたいです。
唄とギターについては悪い筈がないので、説明なんて割愛(笑)。
特筆すべきは録音状態の良さ。
最高の機器で録ってるんだから、当たり前って話もありますが、
目の前にジョアンが浮かび上がってくるくらいのリアリティ。
今年の夏はこの一枚だけで充分ですね。
よって、夏の特集、終了。…って訳にもいかないか。

 

AMEI TANTO
SAMBA SINCOPADO / ANA MARTINS (LEPOLLEN)
ANA MARTINS(VO),JOYCE(G,VO),
JORGE HELDER(B),TUTTY MORENO(DS,PERC),
ROBERTINHO SILVA(PERC),LULA GALVAO(G)
 
待ちに待ったアナマルチンス三枚目のアルバム。
今回はナラレオンの愛唱曲を取り上げております。
母親のジョイスもアレンジ、ギター、バックコーラスと全面バックアップ。
ナラレオンとはタイプは違いますけど、素直な唄い方と云う点では似てます。
あまり比較しても意味がないですが、
ナラの方が声と表現に落ち着きがあり、アナの方が軽やかで可愛らしい。
この"AMEI TANTO"って曲、日本語訳では"愛しすぎて"との事。
死をも意識するくらい重度の恋煩いの歌なのに、アナが唄うと、
思春期の揺れる乙女心(※日本では絶滅)に聴こえてきます。

アナマルチンスもジョイスと共に2004年夏、来日してるんですね。

 

AGORA
NOVA BOSSA / CAROL SABOYA (AOSIS RECORDS)
CALOR SABOYA(VO),GABRIEL GROSSI(HARMONICA),
RICARDO SILVEIRA(G),LUIZ AVELLAR(PF),
MARCELO MARIANO(B),JURIM MAREIRA(DS)
キャロルサボヤの2004年発売のアルバム。
今流行のCD+DVDの仕様になっております。
CDの帯にはセカンドアルバムとの記載がされてますけど、
このレーベルでのセカンドと云う意味でしょう。
それ以前にLUMIAR DISCOSってレーベルから、
私が知ってるだけでも2枚の作品があります。
(2002年の特集で取り上げておりますので宜しければコチラも。)
で、このアルバムなんですが、耳あたりが良いけど常套句的なアレンジで
印象に残るモノはあんまりないです。
邪魔にならないオシャレなBGMを目指して作られたかの様。
ミュージシャンはほぼブラジル人っぽいだけど、企画が日本人だから?
キャロルサボヤも心なしか爪を隠し気味。
聴きどころと云えば2曲の彼女のオリジナルですね。
特にこの"AGORA"はメロディラインの美しさが特筆モノ。
愛を求める女性の心を唄った曲です。

 

LADEIRA DA PRESUICA
AZUR / ROSA PASSOS (VELAS)
ROSA PASSOS(VO),LULA GALVAO(G),FABIO TORRES(PF),
PAULO PAULELLI(B),CELSO DE ALMEIDA(DS),
SIDINHO MOREIRA(PERC),WALMIR GIL(FLH),
FRANCOIS DE LIMA(TB),UBALDO VERSILATO(TS),
PROVETA(AS)
ホーザパッソスです。
録音年月日、発売年等の記載がないので、いつの録音かわかりませんが、
ブックレットのホーザパッソスの写真の髪型がオシャレになってたので
最近(ここ2〜3年)のモノではないかと思われます。
サウンド的にも新し目のビートを取り入れたりしておりまして、
ボサと云うよりMPB寄りな曲も見受けられます。
ここで挙げたジルベルトジルの"LAUDEIRA DA PRESUICA"は
ホーンセクションとエレベが躍動するアレンジが魅力的。

 

VOCE ABUSOU
ENTRE AMIGOS / ROSA PASSOS & RON CARTER (CHESKY RECORDS)
ROSA PASSOS(VO,G),RON CARTER(B),
LULA(G)
2003年に発売されたホーザパッソスのアルバムです。
ベースの大御所ロンカーターとの顔合わせでボサのスタンダード大会。
アメリカ人の考えそうな事です(笑)。
でも別段ロンカーターが出すぎてる訳でもなく、
全体的には落ち着いた雰囲気でホーザパッソスの魅力が出た良い作品。
並んでる曲はホントに超名曲のオンパレードですので
これからボサノヴァを聴く方に最適のアルバムではないでしょうか。
ホーザパッソスの唄う"GAROTA DE IPANEMA"や
"O GRANDE AMOR"が聴けるなんて思ってませんでした。

 

A FABRICA DO POEMA
A FABRICA DO POEMA / ADRIANA CALCANHOTO (EPIC)
ADRIANA CALCANHOTO(VO,G),ZECA ASSUMPCAO(B),
SACHA AMBACK(SAMPLER),JAQUES MORELEMBAU(CELLO),
RICARDO RENTE(SS),MARCELO COSTA(PERC)
アドリアーナカルカニョートは才能溢れるMPB系シンガーソングライター。
何でもカエタノヴェローゾに強く影響を受けているのだそうで。
彼女の唄は何だか胸が締め付けられる様な憂いを含んでいます。
曲のメロディラインがそうなのか、彼女の声質がそう思わせるのか…、
良くわかりませんが、聴いてると軽くブルーな気持ちになります。
個人的に他にも同じ様な感覚に陥るミュージシャンがいまして、
それは日本のSAKANAってバンドのヴォーカルPOCOPEN。
うーん、引き合いに出したのがマイナーでイメージが伝わらない…。
この不思議な魅力を感じていただくには、まずは聴いてみるしかないです。

 

BATEU PRA TRAS
E LALA LAY-E / JOAO DONATO (DECKDISK)
JOAO DONATO(VO,PF)
ジョアンドナートの2001年のアルバムです。
ジョアンドナートはボサノヴァ誕生の初期に活躍した…、
と云うよりどうも先進的過ぎて受け入れられなかった天才らしいですが、
1995年に小野リサとの共演がきっかけで20年余年ぶりに活動を再開。
最近は若手との交流も含めて、活発な活動を続けているとの事です。
で、ここで取り上げる"BATEU PRA TRAS"は
ピアノ一本の弾き語りによる美しいバラッドであります。
朴訥とした唄い口に深い説得力がある…。
変わった人だとか云う情報が先に耳に入ってきてるだけに
勝手に「奇人だけどホントは素直な良い人」みたいな
イメージで聴いてしまう自分。いかんいかん(笑)。
それにしても最後の和音。全く脈絡のない音なんですが、
何か意図があったんでしょうか??

 

A RA
QUEM E QUEM / JOAO DONATO (ODEON)
JOAO DONATO(VO,PF),
他不明(私の持ってるCDのジャケットがLPの縮小なので
文字が潰れて読み取れません。)
ジョアンドナートを続けます。
彼自身の音楽は聴いた事なくても、曲を聴けばご存知の方も多い筈。
中でもこの"A RA"(ホントは"A"の上に"~"が付きます。)は、
色んな人が唄っていますので「あー、この曲か。」って感じだと思います。
蛙の鳴き真似を歌詞にした言葉遊びの曲なのですが、
それが不思議なシンコペイションを生んで印象的な名曲になりました。
本人の唄を聴いてみると、「呑む音」が効果的に使われています。
他の人のヴァージョンでここまで表現してるのってないんじゃなかろうか?
またまた手元の資料に頼りますと、
ブラジル本国で活動が続けられなくなったドナートは
アメリカで十年以上過ごしたのだそうです。
で、1973年に久々にブラジルに戻って録音したのがこのアルバム。
彼にとって初めてのヴォーカル入り作品なのだそうな。

 

AQUI,OH!
TONINHO HORTA / (ODEON)
TONINHO HORTA(VO,G),ROBERTO RIBEIRO(VO),
LUIZ AVELLAR(PF),LUIS ALVES(B),
PAULO BRAGA(DS),ROBERTO SILVA(COCO),
ELISEU(TAMBORIM),LUNA(TAMBORIM,SURDINHO),
GORDINHO(SURDO,GANZA),etc.…
ケンシロウではありません。
トニーニョオルタの1980年の超名盤です。
タイトルに自分の名前が付いてるので、ファーストアルバムかと思いきや
2枚目のアルバムなのでした。
最初から最後まで全てが聴きドコロと云う濃い内容のアルバム。
その幕開けを飾る"AQUI,OH!"を一聴しただけで、
これから始まる極上の時間を確信しますね。
サンバ歌手のホベルトヒベイロが掛け声で参加しているのですが、
途中、どう聴いても「おー、ばっちり〜。」と聴こえる空耳現象が(笑)。

 

ON LINE
ESCAPE / MARCOS VALLE (FAROUT)
MARCOS VALLE(G,PF,KEY,ORG),ALEX MALTEIROS(B),
ROBERTINHO SILVA(PERC),THIAGO(PERC),
PATRICIA ALVI(VO),PAULINHO WILLIAMS(TB),
ROC HUNTER(PROGRAMMING)
ベテランのマルコスヴァーリーの2001年のアルバム。
ジャンル分けができないくらい様々なサウンドを取り入れながらも
ベースにはブラジルの血がしっかりと流れてる気がします。
云い換えれば、ビートは新しいけど、メロディセンスはベタって事かも(笑)。
インストで"LOST IN TOKYO SUBWAY"なんて曲が入ってるんですが、
「今どきそれはないだろー。」ってくらいキャッチーでメロディアス。
この作曲センスはヴォーカルの方が合ってる感じですね。
って事で、比較的オーソドックスな曲を選んでみました。
アコースティックギターに続いて出てくるヴァーリーのメロウな声。
ちょっと哀愁を帯びたメロディに「おー、ばっちり〜。」です。


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