'bout JAZZ in AUTUMN 2001:VOCAL SIDE Vol.2
 


THE ISLAND
MY FAVORITE SONGS / KAROLINA STYLA (NOT TWO)
KAROLINA STYLA(VO),JOACHIM MENCEL(PF),
ANDRZEJ CUDZICH(B),LUKASA ZYTA(DS),
RYSZARD STYLA(G),LESZEK SZCZERBA(SS),
STAWOMIR BERNY(PERC)
今年見つけたヴォーカルアルバムの中で気に入ってるモノの一つです。
このポーランド人と思われるジャズヴォーカリスト、
安定した歌唱で無理せず唄う今風のテイストが魅力です。
しかも取り上げている曲がインスト系が多い。
"CRYSTAL SILENCE"、"GOODBYE PORK PIE HAT"、
"AFRO BLUE"、"DOODLIN"と云った感じ。
それらを無理して器楽的に唄うのでなくヴォーカル作品として
完成度の高いトラックに仕上げているのがセンスの良さでしょう。
ここではイヴァンリンスの"THE ISLAND"を。
自分の声の魅力を良く理解していますねぇ。理屈抜きに良いっ。
ゲストでピョートルヴォイタシクも参加してますけど、
今一つ冴えません(笑)。

 

DOODLIN'
MLYNARSKI JAZZ / KATARZYNA ZAK (POLPNIA)
KATARZYNA ZAK(VO),PIOTR BARON(TS),
ANDRZEJ JAGODZINSKI(PF),ANTONI DEBSKI(B),
JACEK PELC(DS)
ポーランドをもう1枚まいりましょう。
カタジーナジャック(と読むらしいです。)は
ハスキーな声質でスイング感を表に出すオーソドックスなスタイルながら
ポーランド語で唄っているのが面白いですね。
曲目も全曲ポーランド語で書かれているのですが、
英語訳を見ると、何の事はないスタンダード大会ですやん(笑)。
ピョートルバロンが参加していて全曲のアレンジを担当。
この"DOODLIN'"ではイントロでピンクパンサーのテーマを引用してます。
誰もが考えてたベタなネタを実践した貴方は凄い(笑)。

 

DAYBREAK
LISA EKDAHL SINGS SALVADORE POE / (BMG)
LISA EKDAHL(VO),SALVADORE POE(G),
MAGNUS LINDGREN(FL),FREDRIK JONSSON(B),
SONAS HOLGERSSON(DS)
今度は北欧へと参りましょう。
スウェーデンの妖精、リサエクダールです。
「リサエクダール、サルヴァドーレポーを唄う。」って云われても
サルヴァドーレポーって誰なんだよ〜、って感じですが、
実は今の旦那さんなのでした(笑)。
こんな可愛い顔と声からはイメージできませんけど、
今年30歳にしてニ度の結婚&二人の子持ちと
結構激しい人生を送っておられる様であります。
なんか女性週刊誌みたいな話題になってしまった…(笑)。
しかしこのサルヴァドーレポーの曲、なかなか良い。
全編ボサノヴァタッチで明るく幸せな雰囲気に溢れています。
"DAYBREAK"のラストで二人がスキャットでユニゾるのですが
これまた幸せそう…。
リサが小さく笑う声なんかが入ってて実にイイカンジ。
ごちそうさまです(笑)。

 

BYE BYE BLACKBIRD
POP POP / RICKIE LEE JONES (GEFFEN)
RICKIE LEE JONES(VO),JOHN LEFTWICH(B),
JOE HENDERSON(TS),WALFREDO REYES(DS)
ロリータヴォイスで繋げてみました。
リッキーリージョーンズはジャズヴォーカルではありませんが、
ジャンルにこだわらない選曲をする人で、
アルバムの中でスタンダードを良く取り上げます。
このアルバムは特にジャズ寄りのアルバムでしょう。
ジョーヘンダーソン、チャーリーヘイデン、ディノサルーシetc.…、
大物ジャズメンも参加してるのが凄いですね。
この"BYE BYE BLACKBIRD"、なかなか壊れ気味でして
いきなり調子っぱずれのフェイクから入ります。
無邪気にはしゃぐ子供の様です(でも当時37歳)。
しかしこのアルバムにはオチがあります。
ラストの"COMIN' BACK TO ME"で
いきなりウイスパーな大人のヴォーカルに…。
女性の怖さを見た様な気がして、少しぞくっとしました。

 

FOOLS RUSH IN
LOVE IS...THE TENDER TRAP / STACEY KENT (CANDID)
STACEY KENT(VO),JIM TOMLINSON(TS),
COLIN OXLEY(G),DAVID NEWTON(PF),
DAVE GREEN(B),JEFF HAMILTON(DS)
今度は素直そうで実にキュートなステイシーケントを(笑)。
オーソドックスなスタイルのジャズヴォーカルですが、声が魅力的。
若手ながら可愛らしさだけを表面に出すのではなく、
ジャズヴォーカルの王道をきっちりと押さえているところが良いです。
小粋にスイングする余裕のフェイクは隙がなくベテランはだし。
バラッドでも豊かな表現力が感じられます。
個人的に大好きな曲"FOOL RUSH IN"を取り上げてくれているのが嬉しい。
この曲って案外唄われていないんですよねぇ…。
目指す方向はキャンディドと云うよりコンコードだっ(笑)。

▼2000/10/14 更新しました。

MAKE THIS CITY OURS TONIGHT
MAKE THIS CITY OURS / CLAIRE MARTIN (LINN)
CLAIRE MARTIN(VO),GARETH WILLIAMS(PF),
PETER WASHINGTON(B),GREGORY HUTCHINSON(DS),
GERARD PRESENCER(TP)
ステーシーケントに続き、英国で活躍するヴォーカルを取り上げましょう。
(但し、ステイシーケントはニューヨーク生まれですけど。)
クレアマーチンは実に優れたシンガーだと思います。
ハスキーな声質は重さと軽さを兼ね備えており、
スローテンポからファストテンポまで見事に唄いこなします。
シンコペイテッドで凝ったアレンジの曲も多いのですが、
演奏とヴォーカルが実に良く噛み合っています。
そして何よりも彼女の素晴らしいところは、レパートリーの幅の広さ。
誰もが取り上げる様なスタンダードはあまり唄う事がなく、
様々なジャンルから魅力のある曲を見つけてくる姿勢が頼もしいです。
ただの綺麗なだけのヴォーカリストではないのですね。
ここで取り上げたのは英語タイトルになっていますけど、
ミルトンナシメントの"CANCAO DO SAL"です。
かなり早めのボサビートで滑舌良く英語で唄われると
「あれ?なんて曲だったっけ?」って感じです(笑)。

 

PENNIES FROM HEAVEN
A PLACE IN MY HEART / CAROL KIDD (LINN)
CAROL KIDD(VO),
THE ROBERT FARNON ORCHESTRA
LINNレーベルの看板シンガーをもう一人。
しかしキャロルキッドはクレアマーチンと対照的です。
澄んだ美しい声で良く知られたスタンダードをストレートに唄うタイプ。
あまり速い曲は唄わない様で、ミディアム前後の曲が中心。
最近はオーケストラバックに唄う事が多いみたいですね。
ここでは古いスタンダードナンバー"黄金の雨"を取り上げて見ました。
ビングクロスビーの主演映画の主題歌としてヒット、
ビリーホリデイなども良く唄ったハッピーな内容の曲です。
こう云った曲にはキャロルキッドの暖かい声が良く合ってますねー。

 

GEE,BABY AIN'T I GOOD TO YOU
BY MYSELF / KARIN KROG (PHILIPS)
KARIN KROG(VO),EGIL KAPSTAD(PF),
KURT LINDGREN(B),JON CHRISTENSEN(DS)
イギリスから東側に海を渡るとノルウェーです。
ノルウェーを代表する歌手、カーリンクロッグを取り上げましょう。
やや流れが強引な気もしますが…(笑)。
このアルバムは1964年に録音された彼女のデビューアルバムです。
その後、多岐に渡る活動をしていくクロッグも最初は割とオーソドックス(笑)。
この"GEE,BABY AIN'T I GOOD TO YOU"ではアドリブパートで
ミュートトランペットの口真似をしたり、ライヴ的なネタを披露してます。
節回しが非常にダイナワシントンに似ているのは、コレもモノマネかな?
カーリンクロッグの若き日の歌声に興味がある人は是非。

 

GUESS I'LL HANG MY TEARS OUT TO DRY
BETTER THAN ANYTHING / IRENE KRAL (AVA RECORDS)
IRENE KRAL(VO),JUNIOR MANCE(PF),
BOB CRANCHAW(B),MICKEY ROCKER(DS)
カーリンクロッグに続き、アイリーンクラールの若い頃のアルバムを。
1963年の録音ですから、上で挙げたクロッグのよりも1年早いのですが、
ちょっと面白いのは、クロッグが"KARIN'S KICK"で、
クラールが"BETTER THAN ANYTHING"で、
ガレスピーやコルトレーンなどのジャズメンの名前を織り込んで
ユニークな唄を唄ってる事…。ま、ただの偶然だと思いますけど。
つまらない話はさておき、アイリーンクラールって云えば、
やはりバラッドが素晴らしいですよね。
ここでもしっとりと唄った"涙がかわくまで"が抜群に良いです。
しかしこのアルバムではアップテンポの曲も結構唄ってまして、
こちらもなかなか瑞々しくて良いのであります。
ジュニアマンスのさらりとした黒さと相俟って気持ち良くスイングします。
聴いておいて損はありますまい。
ところでこのジャケット、梅宮アンナに似てません?(笑)

▼2000/11/04 更新しました。

GENTLE RAIN
LIVE / IRENE KRAL (CULTURE PRESS)
IRENE KRAL(VO),ALAN BROADBENT(PF),
FRANK DE LA ROSA(B),BENNY BARTH(DS)
アイリーンクラールをもう一枚。
1977年、つまりは彼女が亡くなる前年のライヴです。
この時の調子が悪いのかもしれませんが、
アイリーンクラールは予想以上に音程が良くない。
全体としてフラットしているのはいつもの事ですが(笑)、
"THE TOUCH OF YOUR LIPS"などかなり危うい…。
でもそんな部分が不思議と気にならないくらいの深い味わいが
彼女の魅力でもあります。
アランブロードベントのピアノで彼女の歌が聴けるだけで
幸せになってしまう人は沢山いるのではないでしょうか。
アルバム「GENTLE RAIN/(CHOICE)」でも唄っていたこの曲。
私はつい最近になってルイスボンファの曲だと知りました(恥)。

 

WALTZ FOR DANA
A WILDER ALIAS / JACKIE & ROY (CTI)
JACKIE CAIN(VO),ROY KRAL(VO,PF),
HARVIE SWARTZ(B),STEVE GADD(DS),
ROY PENNINGTON(VIB),HUBERT LAWS(FL),
JOE FARRELL(TS)
今度はアイリーンクラールのお兄さん、ロイクラールと
ジャッキーケインのおしどりコーラスユニットに繋げましょう。
名盤「JACKIE AND ROY/(STORYVILLE)」に行くのも良いのですが、
アイリーンクラールと同じく70年代のアルバムにしてみました。
でもこれ、かなりの異色作なんですね。
参加メンバーをみれば見るからに70年代だし、
レーベルはクリードテイラーのCTIだし、
聴く前からわかってしまいそうな感じですが、
…正にその通りのサウンドです(笑)。
殆どの曲に歌詞がついておらず、スキャットコーラスで展開。
それがまた時代を感じさせて、なんかこうムズムズするのです(笑)。
ここで取り上げた"WALTZ FOR DANA"って曲、
なかなか構成が凝っております。
爽やかに疾走するところにいきなりジョーファレルの
ハードで身も蓋もないソロが絡んできたり、
急にスローになってヒューバートロウズのフルートと
スキャットコーラスが美しく溶け合ったりと
油断のならない展開なのであります。

 

I LEFT MY HEART IN SAN FRANCISCO〜I'LL BE SEEING YOU
REMEMBERINGS / LYNNE JACKSON & MIKE PALTER (CELESTE)
LYNNE JACKSON(VO,PF),MIKE PALTER(VO,B)
おしどりなユニットをもう一枚。
このアルバムでしか聴いた事ありませんが、
これが実に幸せ度の高いとても愛らしい作品なのであります。
旦那がベースで奥さんがピアノ、それで二人で唄う。
寄り添いながら楽しく演奏している姿が目に浮かびますね。
ここで取り上げた"I LEFT MY HEART INSAN FRANCISCO "と
"I'LL BE SEEING YOU"ですが、メドレーじゃありません。
なんと同時に唄っているのです。
これが意外にも美しく対位していて、全く違和感のない見事な仕上げ。
二人の声が違う曲を唄ってても当たり前の様に融け合って、
休みの朝のカフェオレみたいにホッコリさせてくれるのでした。

 

WALKIN' ONE AND ONLY
PARADISE FOUND / TUCK & PATTI (WINDHAM HILL)
PATTI CATHCART(VO),TUCK ANDRESS(G)
オシドリを更にもう一枚。
今度は有名ドコロでタック&パティです。
この二人の音楽はかけがえなく澄み切っていますよねぇ。
例えばここで取り上げた"WALKIN' ONE AND ONLY"にしても
ブルースフィーリングをこんなに軽やかに&爽やかに表現した音楽を
他の誰の唄や演奏からも聴いた事ありません。
パティの声とタックのギターのどちらが欠けても存在し得ない音楽ですね。
安直なジャズっぽさにジャズヴォーカルを閉じ込めてしまわないで
もっと豊かな感性で聴きたい素晴らしいユニットだと思います。

 

SOMETIME AGO
TEMPER / LINA NYBERG & JACOB KARLZON (PROPHONE)
LINA NYBERG(VO),JACOB KARLZON(PF)
今度はオシドリなのかどうかは不明ですが(笑)、
ヴォーカルとピアノのデュオアルバムです。
と云うのもこのリーナニーベリって女性ヴォーカル、
違うピアニストともデュオアルバムを出してるんですよね。
その「CLOSE/LINA NYBERG&ESBJORN SVENSSON(PROPHONE)」も
静かなピアノと丁寧な唄のハーモニーを楽しめるアルバムでしたが、
こちらのヤコブカールソンとのデュオの方は全体に冷たい空気が漂い、
二人の鋭い絡み合いが刺激的なのであります。
この人のピアノはまともな歌伴に落ち着いておらず、
触ったら切れる様な危ないフレーズを投げかけてきます。
ここで取り上げた"SOMETIME AGO"にしても
テーマが終るといきなり突き放した様に内省的なピアノソロへ。
そして唄が入ってくると微妙に音色が柔らかくなる。ホントに微妙に。
だから思わず耳を澄ませて心を静めて聴いてしまうんですね。

 

NO DIA EM QUE AS FLORES COMERAM OS PASSAROS
DANCAS / MARIA JOAO & MARIO LAGINHA (VERVE)
MARIA JOAO(VO),MARIO LAGINHA(PF)
ヴォーカルとピアノのユニットと云うと、
やはりマリアジョアンとマリオラジーニャでしょう。って、そ、そう?(笑)
マリアジョアンの場合はヴォーカルと云うよりヴォイスですね。
スキャット程度で器楽的唱法なんて云ってたら、
彼女の事をなんて表現したら良いのやら…。
「人間の体は管になってて、空気が通りぬける際に
声帯を振動させて声になる」と云うのが良くわかるヴォーカル(笑)。
「変なジャズ」のコーナーでも紹介した「ALICE/(ENJA)」が
今まで聴いた中で一番強烈ですが、ちょっとイってしまってるかも…。
もともとジャズ的なテイストは希薄な人ですので、
高瀬アキとかマリオラジーニャの様に
クラシック的素養のあるピアニストとの相性が良い様です。
でも、ここでは彼女の愛らしく美しい声に注目したいと思います。
ピアノの最初の一音からマリアの声が消え入る最後の一音まで
静かな音の流れに浸っていたいと誰もが感じる曲です。

 

A TIMELESS PLACE (=THE PEACOCKS)
WELL KEPT SECRET / NORMA WINSTON (KOCH JAZZ)
NORMA WINSTONE(VO),JIMMY ROWLES(PF),
GERGE MRAZ(B),JOE LA BARBERA(DS)
ヴォーカルをインストと対等にポジショニングしながらも
声と云うモノの魅力を決して忘れないのがノーマウィンストンだと思います。
スキャットと云うと「シャバダビ〜」なイメージになってしまいますが、
AZIMUTHでの彼女の言葉を使わない唄は次元が違う。
ジョンテイラーやケニーホイーラーと絡み合い、様々な表情を見せます。
ヴォーカルは何もピアノトリオをバックでスタンダードを唄うだけじゃないと
感じさせる人なのです。
と、その人がピアノトリオバックにスタンダードを唄ったアルバムがこれ(爆)。
このアルバムの聴きドコロは何と云っても"THE PEACOCKS"でしょう。
作曲者のジミーロウルズをピアノに迎えて彼女の自作の歌詞で唄います。
言葉もメロディも誤魔化す事なく大切にしているのがわかります。
この曲はロウルズ&ゲッツで世に出て、エヴァンスなどが取り上げましたが
思うに映画「ラウンドミッドナイト」でショーター&ハンコックが演奏した事で
その後演る人が増えた様に思います。
そしてノーマウィンストンが歌詞をつけた事で唄う人も増えてくるでしょう。
難曲なので実力がないと唄えないと思いますが…。

 

A TIMELESS PLACE (=THE PEACOCKS)
UNSUNG HEROES / TIERNEY SUTTON (TELARC)
TIERNEY SUTTON(VO),CHRISTIAN JACOB(PF),
TREY HENRY(B),RAY BRINKER(DS),
GARY FOSTER(FL)
"THE PEACOCKS"を続けます。
ティアニーサットンは最近注目株の女性ヴォーカリスト。
彼女もこの曲に強い魅力を感じている一人の様で、
ライナーノーツにもその思いが語られています。
それはさておき、タイトルにあるようにこのアルバムは
彼女が影響を受けたジャズメンのインスト曲を取り上げると云うコンセプト。
ありていに云えばヴォーカリーズと云う事になりますが、
言葉遊びに陥るのではなく、きちんと唄に仕上げているところが素晴らしい。
ジョーヘンダーソンの"RECORDAME"をスローで演ってるのにはマイッタ!
とにかく唄が上手いので危ういところや曖昧なところがありません。
少し気になったのがスインギーな曲でテクニカルに節回しをして
音節を分解するように唄う事。(エラも良く演ってた。)
それが得意気で厭味な唄い方になっていきませんように…。
"THE PEACOCKS"でもしっとりと余裕たっぷりに唄いあげています。
クリスチャンジェイコブのピアノ、ゲイリーフォスターのフルートも魅力。

 

A TIMELESS PLACE (=THE PEACOCKS)
REFLECTIONS / KENDRA SHANK (FOCUS)
KENDRA SHANK(VO),FRANK KIMBROUGH(PF),
DEAN JOHNSON(B),TONY MORENO(DS)
もう一枚"THE PEACOCKS"を。
全然知らないヴォーカリストだったのですが、
アルバムタイトルの「REFLECTIONS」ってのを見て、
「をっ。」と手に取ったらモンクの"REFLECTIONS"じゃなくて、
エリントンの"REFLECTIONS IN D"だったので、更に「をっ。」(笑)。
選曲にも個性のある人って好きだなぁ。
"THE PEACOCKS"もそう云った人が取り上げるタイプの曲ですね。
ここでは非常にゆったりと、タダでさえ澱みがちなテンポを更に落とし、
1コーラスに4分半もかけてじっくりと唄っています。
それでいて弛んでしまわないのは、彼女の力量もありますが、
フランクキンボローのテンションの高いバッキングに因るトコロも大きい。

 

TOMATO KISS
TOMATO KISS / KELLYE GRAY (PROTEUS)
KELLYE GRAY(VO),DAVID CRAIG(B),
KUKO MIRANDA(PERC),ERICH AVINGER(G),
DENNIS DOTSON(TP),DAVE CATNEY(PF),
WARREN SNEED(TS),SEBASTIAN WHITTAKER(DS)
"THE PEACOCKS"に続いて、もっと取り上げて欲しい曲を。
テナーのラリーシュナイダーの"TOMATO KISS"です。
ビルエヴァンスとトゥーツシールマンスのアルバム
「AFFINITY/(WARNER)」の中で取り上げていた曲と云えば
「あー、あの曲ね。」と云う人も多いのではないでしょうか。
個人的には捻くれててとても魅力的なメロディだと思うのですが(笑)、
あまり演奏してるのを聴いた事がありません。
ましてヴォーカリーズともなると…。
それにしてもこのケリーグレイと云う人、かなりのテクニシャンです。
音程もしっかりしてますし、ノリも良い。
"BILLIES BOUNCE"の様な速い曲でも楽々スキャットで唄いこなし、
アドリブを入れ、インストとハモったりしてます。
"TOMATO KISS"でも得意のトロンボーンの口真似スキャットで
アドリブパートで演ってます。
あまり心をこめてバラッドを唄うタイプではありませんが、
この卓越した実力は特筆モノです。

 

HER TOMATO KISS (=TOMATO KISS)
...NIGHT AND THE MASIC / JUDY NIEMACK (FREE LANCE)
JUDY NIEMACK(VO),KENNY WERNER(PF),
RAY DRUMMOND(B),BILLY HART(DS),
JEANFRANCOIS PRINS(G)
"TOMATO KISS"でヴォーカルモノと云うだけで紹介します(爆)。
スキャットやアドリブを思いっきり演ろうとして無理する事もあるタイプ。
そんな彼女だから"TOMATO KISS"に手を出したと云う話もあるかも(笑)。
自ら付けた歌詞で飛び捲くるメロディを雰囲気たっぷりに唄っています。
スキャットもやや苦しげながら無事乗り切ったと云った感じ。
あ、ピアノはケニーワーナーだ。
もーどこにでも顔を出す人だなぁ…(笑)。

 

BILHETE
BARE / MADELINE EASTMAN (MADKAT)
MADELINE EASTMAN(VO),TOM GARVIN(VO)
マデリーンイーストマンもどちらかと云うと
テクニック重視のヴォーカリストだと思っていたら、
2001年の新譜は何とピアノとのデュオによるバラッド集でした。
これ、理屈抜きに無茶苦茶良いです!
失礼ながら彼女がここまで丁寧な歌を唄うとは思っていませんでした。
大きなフェイクもなく、アドリブもなく、淡々と唄ってるだけなのに
彼女の芯のしっかりした気丈な声質はバラッドに説得力を与えます。
全ての歌が素晴らしいのですが、ここではイヴァンリンスの曲を。
私の今年のベストヴォーカルアルバムかもしれないです。

 

BEST IS YET TO COME
LEFT COAST LIFE / KITTY MARGOLIS (MADKAT)
KITTY MARGOLIS(VO),PAUL NAGEL(PF),
JOHN SCHIFLETT(B),JASON LEWIS(DS),
STEVE ERQUIAGO(G),MIKE SPIRO(PERC)
マデリーンイーストマンを取り上げたら
キティマーゴリスも取り上げないと悪いですね。って誰に?(笑)
彼女も2001年に新譜を出しました。
こちらは今までのスタイルを発展させた形のアルバム。
全体的にソリッドで女性らしさをこれまで以上に押し殺した感じがします。
今までの彼女のアルバムの中でも完成度の高いモノだと思います。
この"BEST IS YET TO COME"はかなりイカレた解釈が面白い。
こんなハードに演ったのなんて聴いた事ありません。
他にも凝ったアレンジ満載で、あっと思わせられっぱなしです。
さんざん盛りあがり捲くった後、アルバムラストを飾るのが
トムウェイツと云うロック系(?)の人の"TAKE IT WITH ME"って曲。
これがまたしっとりとしたバラッドで、ぐっときます。
マデリーンに負けない良さがありますね(笑)。
キティマーゴリスもバラッドアルバム出さないかなぁ…。



 

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