'bout HEN-na JAZZ


永らく色々と聴いていると変わったアルバムに出会う事もあります。
中にはただ単につまらないだけのモノもありますが、
ここでは「それはそれで面白い」作品を取り上げていきたいと思います。
決して誹謗中傷する目的ではありませんので、「けしからん!」とか云わないで下さいね(笑)。
私の愛すべき"変な"ジャズアルバムです。
ちょっとジャズじゃないのもありますが、それはそれでご容赦の程を。

1   2   3   4   5   6


オリエンタル度★★ なかなかの完成度★★★★ 
BIRD DANCER / JAZZ ORIENT (ZAH ZAH)
hen36.jpg (8086 バイト) BALUJI SHRIVASTAV(SITAR,VO,DILRUBA,GHATAM,PAKHAVAJ),
LINDA SHANOVITCH(VO,ANKLE BELLS,DANCE,PERC,TANPURA),
CHRIS CONWAY(KEY,G,VO,TIN WHISTLE),
CLIVE BELL(BAMBOO FLUTE,TEMPLE BELL),
JOHN BALL(TABLA)
1.VANITA'S DANCE
2.A AM A NOTE
3.TARANA TOO
4.AMARYLIS
5.THE TRACE
6.HOY
7.KAMA DEVA
8.ZIGMONDI
9.BOSS ME AROUND
10.GOLDEN
11.EMERALD AIR
12.BIRD DANCER

怪しげなジャケットです。
バードダンサーってタイトルを様々な文字で書いてあるのですけど、
ご丁寧に左下には「鳥踊りの人」と日本語にまで対応してくれてます(笑)。
正に直訳!
これはきっとかなりキテるアルバムに違いないと聴いてみたところ…。
意外と良いのですよ。
キーボードがあざとい東洋的スケールを弾く事もあまりないですし、
また、ヴォーカルのおねーちゃんも白人で北欧的な色合いが強いですが、
シタールやタブラが鳴り響く中、これら全てが不思議な調和を見せています。
インド的な部分とそうでない部分が入り交じっていて面白い効果を挙げてます。
"BOSS ME AROUND"って曲は、全くもってブルース調の曲なんですけど、
ここではシタールが精一杯ブルースなソロをとってるのが大笑い。
アルバムの最後、タイトル曲の"BIRD DANCER"は、真面目に凄く良い演奏です。
それぞれの楽器やヴォーカルの特徴によって、西洋と東洋の間を行ったり来たり。
まるで大空を飛ぶ鳥が様々な国を飛び回ってその光景を眺めているかの如く…。
って、ナニ綺麗にまとめようとしとんねん(笑)。

 

ねえちゃん、喉大丈夫か?度★★★★★
ALICE / MARIA JOAO (ENJA)
hen37.jpg (8202 バイト) MARIA JOAO(VO),高瀬アキ(PF),
NIELS-HENNING ORSTED PEDERSEN(B)
1.MC BY WALTER SCHATZLEIN
2.S.JOAO
    〜QUINTA DAS TORRINHAS
3.DR.BEAT
4.MAE-DOU-NAO
5.YORIDORI MIDORI
6.OLD FOLKS
7.PREST V.H.
8.PRIMACCINI
9.ALICE
10.WHAT A WONDERFUL WORLD

ジャズヴォーカルには、器楽的に唄うってテクニックも大切でしょう。
スキャットシンギングなんてのもジャズの醍醐味の一つですよね。
更にその可能性を追求していったミュージシャンとしては、
ジョンヘンドリックス、アルジャロウ、ボビーマクファーリンなどが挙げられます。
しかし、このマリアジョアオ(MCではそう云ってました。)って人の歌唱は、
そんな甘っちょろいものではありません。
正確な音程、はっきりとした発音、魅力的な声質、驚異的な声域といった
一般的な基準で云うテクニック・素質も人並み外れているのですが、
彼女独自の超人的テクニックと云うのがオッタマゲなんです。
彼女は、口から肺にかけての呼吸器官をまるで管楽器の様に扱います。
呼気と吸気の両方で声帯を鳴らしてみたり、
唄いながら舌打ちの様な音を同時に出したり、
痙攣に近い横隔膜の振動で息を出し入れした時の擦音を使ったり…。
これらによって表現される音楽は、怖いくらい狂気に満ちています。
このまま遠い世界に行ってしまうのだうか?と思ってたら、
ところが、急に正気に戻って、かわいい声で唄ったりするんです。
いやはや、オソルベシです。
あんまり友達にはなりたくないタイプですね(爆)。
先日、この人の映像を観たのですが、かなりイっちゃってました(笑)。
まるで二重人格者の様子を観てるようでぞっとしました。

でもアルバムの最後を締めくくる"WHAT A WONDERFUL WORLD"は、
透明感のある彼女の声質を生かした優しい歌唱で、
なんだかとってもホッとします。

 

A面とB面のギャップ度★★★★ 身内の便乗度★★★★
NEW & OLD JAZZ SOUND / ENRICO PIERANUNZI (EDIPAN)
hen34.jpg (5749 バイト) SIDE A
E.PIERANUNZI(PF),,B.TOMMASO(B),
O.JORGENSEN(DS)
SIDE B
E.PEIRANUNZI(PF),A.PIERANUNZI(CHITARRA),
T.FERRELLI(B),V>RESTUCCI(DS),
R.PODIO(DS),A.CORVINI(TP),
M.ROSA(TB),F.FORTI(CL),
A.SERRA(BS)
CHITARRAってイタリア語でチターでしょうか?
 音を聴いてるとバンジョーっぽい撥弦系の音が
 聴こえるのですが。 
A-1.IMMINENCE
  2.THE MOOD IS GOOD
  3.PLAY OFF
  4.AURORA
  5.NIGHT LIGHT
B-1.AS BEFORE
  2.I LIKE...
  3.PLAY ERROL PLAY
  4.AS BEFORE
  5.PLAY ERROLL PLAY
  6.JUST A JUMP
※B面3曲目と5曲目の綴りが違うのは原盤のまま(笑)。

エンリコピエラヌンツィと云えば、エヴァンス系の厳しいピアノを弾く人ですよね。
このアルバムでもA面では、やや小品ながら彼らしい演奏を展開してます。
録音年代等が書かれていないので良く分かりませんが、
結構、初期のモノはないでしょうか。

しかしながらB面になると一気に雰囲気が変わります。
なんとピエラヌンツィがデキシーランドジャズを演ってるんです。
しかもコテコテの(笑)。
メンバーにA.PIERANUNZIって名前がうかがえますので、
恐らく親か兄弟か、ピエラヌンツィ家の人なんでしょう。
恐らくその絡みでエンリコが参加せざるを得なくなったと推測します(笑)。
「よぉ、エンリコよ。最近、調子ええみたいやのー。」
「おかげさんで。」
「そこでちょっと頼みがあんねんけどな…。」
「なんやのん?ゆうてみて。僕で良かったら力になるで。」
「あんなぁ、わしもレコード出したいんや…。」
「はぁ。」
「長い事音楽演ってるけどエンリコみたいに才能あらへんさかい
 近所の呑み屋で酔っ払い相手にカンツォーネの伴奏すんのが関の山や。
 やっぱりミュージシャンやってる以上はレコードの一枚でも出さんとなぁ。」
「そ、そんで僕に何しろって…。」
「ちょっとレコード会社に口利きしてくれたらええねん。」
「そ、そうか。ほな、一回頼んでみるわ。」
「あほ。なんぼお前が頼んでも、そんな簡単に出せる道理あらへんがな。」
「…。」
「そこで相談や…。一緒に演ってくれ。」

なお、この物語はフィクションですので実際にこんな背景があったかどうかは、
定かではありません(笑)。

 

聞き取り不能度★★★★ バックは凄くまとも度★★★★
IN THE TRADITION / ANTONY BRAXTON (STEEPLE CHASE)
hen34.jpg (5749 バイト) ANTHONY BRAXTON(AS,CONTRABASS-CL),
TETE MONTOLIU(PF),NIELS-HENNING ORSTED PEDERSEN(B),
ALBERT TOOTIE HEATH(DS)
DISC 1
1.MARSHMALLOW
2.GOODBYE PORK PIE HAT
3.JUST FRIENDS
4.ORNITHOLOGY
5.LUSH LIFE
6.TRANE'S BLUES
DISC 2
1.WHAT'S NEW
2.DUET
3.BODY NAD SOUL
4.MARSHMALLOW
5.DONNA LEE
6.MY FUNNY VALENTINE
7.HALF NELSON

もともとこのアルバムは、二枚のLPで別々出ていたものです。
アンソニーブラクストンと云えば不思議な幾何学模様のジャケットの
とっても難しい現代音楽的フリージャズがメインの活動ですけど、
ここで演奏されているのは、思いっきりなスタンダード大会。
それと云うのも、そもそもデクスターゴードンのアルバムを作成する筈が、
彼が急病で倒れた為に代役として急遽ブラクストンが立てられたからなんだそうです。
しかし、デクスターの替わりがどうしてブラクストンなんでしょう??(笑)
他にもちゃんとした(失礼!)サックスは、いたでしょうに…。
まぁ、ところが聴いてみると、やや違和感はあるもののなかなかの好演です。
テテモントリュー、ニールスペデルセン、アルバートヒースって云う
いかにもスティープルチェイスな鉄壁のトリオをバックに従えて
結構表情豊かに吹きまくるブラクストンに意外な一面を見た気がします。
殊に"MY FUNNY VALENTINE"のバラッドプレイなんてペッパーを彷彿とさせます。

ま、全体としては良質の仕上がりになっているんですけど、
問題はコントラバスクラリネットを吹いている数曲です。
"ORNITHOLOGY"と"DONNA LEE"なんてバップの急速調の曲を
2オクターヴ下の音程でウネウネ演るもんだから、聴き取り不可能!
テーマならまだしもアドリブともなるとどんなフレーズを吹いてるのかわかりません。
この低音域でブリブリ鳴ってる品のない音に合わせて(と云うより無視するように?)
トリオのバッキングが実に見事なバップの演奏を繰り広げます(笑)。
この奇異なコントラストを聴いて、醜悪と感じた人は正常な感覚の持ち主でしょう。
逆に美しいと感じた方…。こっちの世界の方です。仲良くしましょう(笑)。

 

何もそこまで吹かいでも度★★★★★  
LAMENT FOR BOOKER / BOOKER ERVIN (ENJA)
hen32.jpg (4427 バイト) BOOKER ERVIN(TS),KENNY DREW(PF),
NIELS-HENNING ORSTED PEDERSEN(B),
ALAN DAWSON(DS)
HORACE PARLAN(PF)※B-2.ONLY
A-1.BLUE FOR YOU B-1.BLES FOR YOU(CONT.)
  2.LAMENT FOR BOOKER

このアルバムの聴き所はA面からB面にかけて27分半にも及ぶ
"BLUES FOR YOU"でしょう。
1965年のベルリンジャズフェスティヴァルの実況録音なのですが、
なんせブッカーアーヴィンが最初に「ブルースを演ります。」ってMCを入れた後、
一切誰にもソロを渡さず、延々と吹き捲くっているのです。
別に20分や30分のソロなんてジャズではそう珍しい事ではありませんが、
ブッカーアーヴィンの場合は、お世辞にもインプロヴィゼイションと云えない様な
行き当たりばったりプレイなので、中だるみするわするわ(笑)。
男性的な太い音色でうねうねとのたうつ様にフレーズを紡ぎ、
最後の音は殆どアンブシュアを緩めてフラットさせます。
アイデアの枯渇もなんのその、パワーで乗り切ります。
あまりのフレーズの垂れ流しに呆れたケニードリューは途中休んでたりして(笑)。
予定時間を遥かに超える無茶なパフォーマンスにシビレを切らした会場の係員が
途中「STOP IT!STOP IT!」と割り込んで来ますが、
その後も怯まず演奏が続けられ、観客の喝采を浴びています。

ただ手元の資料を色々調べてみると、この曲の演奏時間について、
異なる説が出てまいりました。
このレコードに収められているのは、最初と最後を編集したモノに過ぎず、
実際は、一時間以上に及ぶ演奏だった…。ひええ〜。
これがホントなら、タイトルは"BLUES FOR ME"ですな(笑)。
コンプリートCD化して欲し…くないや、あんまし。

hen33.jpg (2057 バイト)あと、吹きまくりと云うと思い出すのが
THE SOLO ALBUM / SONNY ROLLINS (MILESTONE)」です。
1985年ニューヨーク近代美術館で行われたライヴが収められてます。
こちらは完全なソロでのパフォーマンスで、56分吹き倒しです。
ただし数回、演奏が解決して、拍手が入ってますので
吹き続けって訳ではありませんが。
ロリンズは、頭の中に閃いた色んなメロディを次々に吐き出していきます。
まるでウイリアムズバーグ橋での彼の練習を聴いてる様な感じ。
これが彼の好調期のプレイであれば、面白い作品になったと思うのですが、
「あちこちに話が飛ぶおしゃべりなおっちゃんのぼやき」みたいな演奏で
やや退屈します(笑)。ロリンズだから許されるって気もしますね。

【追記】99/10/31
とか何とか云ってたらCD化されました。
それまでA面とB面にまたがっていた演奏が1曲としてクレジットされていたので
てっきりコンプリートな演奏かと期待して買ったのですが、
LPと全く同じでフェイドアウト&フェイドインで繋いであるだけでした(怒)。
レコードをひっくり返す手間が省ける程度のメリットですか…(f^^)

 

誰だって恥かしい過去はある度★★★★★  
THE LATIN JAZZ QUINTET / FELIPE DIAZ (PALLADIUM)
hen30.jpg (6117 バイト) FELIPE DIAZ(VIB),ERIC DOLPHY(FL,B-CL,AS),
ARTHUR JENKINS(PF),BOBBIE RODRIGUEZ(B),
TOMMY LOPEZ(CONGA,DS),LOUIS RAMIREZ(TIMBALES)
A-1.YOU'RE THE CUTEST
  2.SPEAK LOW
  3.I GOT RHYTHM
  4.NIGHT IN TUNISIA
  5.CHA CHA KING
B-1.I WISH I WERE IN LOVE AGAIN
  2.YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS
  3.LOVER
  4.MANGOLINA
  5.APRIL RAIN

だっさだっさのラテンバンドです。気恥ずかしさテッペンなくらい(笑)。
そんなところで演奏しちゃ駄目だよー、ドルフィー先生〜。
なんだか大物スターが駆け出しの頃、B級映画に出てるのをみた様な感じです。
その頃流行りだった(のかな?)ラテンのリズムに乗って、
オシャレなダンスミュージックが展開される筈が
ドルフィーの強烈な個性でムードが一気にぶち壊し!(笑)
その割にはドルフィのソロが結構長い尺であったりするので
案外これが狙いだったのかもしれません。
こういったフォーマットでの演奏は逆にドルフィーの特異さを引き立てる気も…。
クレジットにある"CHA CHA KING"ってグリークのペールギュント組曲の
"山の魔王の宮殿"のラテンアレンジでした。むせかえる様にクサイ演奏です。

hen31.jpg (2589 バイト)あとドルフィーがサイドマンとして参加したアルバムで
MACK THE KNIFE / THE SEXTET OF ORCHESTRA U.S.A.(RCA)
なんてのもとっても面白いです。
クルトワイルの穏やかな曲調の中で荒れ狂うドルフィーのソロの
なんて気持ちの良い事でしょう!
マイケルズワーリンによるアレンジは、上に挙げた演奏と違って
「わかって」このコントラストを演出しているのですね、きっと。
ドルフィーが参加してるのは、A面だけなんですけど、
B面にもドルフィー的なソロが入ってて「あれ?」と思います。
パーソネルを確認すると、これはジェロームリチャードソンって人でした。
マックザナイフのテーマがスローに演奏されるのをバックに
速射砲の様なアドリブを重ねるアレンジは実に巧みです。
うーん、これをドルフィーに吹いて欲しかった!

【追記】
hen51.jpg (2421 バイト)更に変なアルバムを発見しました。
CARIBE/THE LATIN JAZZ QUINTET(PRESTIGE)」です。
スペシャルゲストとして全曲にエリックドルフィが参加しているのですが
このラテンジャズクインテットってのがなかなかの曲者なのです。
一言で云うとセンスが悪い。更に補足すれば下手(笑)。
特にヴァイヴのチャーリーシモンズってのが最悪です(-_-;)。
エリックドルフィを異様なカラーを楽しむだけのアルバムかと思ったら
このヴァイヴのヨレヨレ具合まで楽しめたと云うお得盤。
フツーの人は怒るかもしれないので要注意ですが…。

 

おどろおどろ度★★★★★ ディズニー度★★   
SECOND STAR TO THE RIGHT (SALUTE TO WALT DISNEY)
                                  / SUN RA & HIS INTERGALAXTIC ARKESTRA (LEO)
hen29.jpg (7332 バイト) SUN RA(PF,SYNTH,VO),JUNE TYSON(VLN,VO),
MARSHALL ALLEN(AS,CL,FL),ELOE OMOE(AS,CL,B-CL),
NOEL SCOTT(AS,FL),JAMES JACKSON(BASSOON,OBOE,VO),
MICHAEL RAY(TP,VO),TYNONE HILL(TB),
JULIAN PRIESTER(TB),BRUCE EDWARDS(G),
ARTHUR JOONIE BOOTH(B),EARL'BUSTER'SMITH(DS),
NELSON NASCIMENTO SANTOS(SURDO,PERC),
ENSEMBLE(VO,PERC)
1.THE FOREST OF NO RETURN
2.SOMEDAY MY PRINCE WILL COME
3.FRISCO FOG
4.I'M WISHING
5.ZIP A DEE DOO DAH
6.SECOND STAR TO THE RIGHT
7.HIGH HO!HIGH HO!
8.WHISTLE WHILE YOU WORK

サンラの音楽は、ヘタウマ漫画みたいなもんで、
「これで良いのかぁ?」って具合が良いのだと思います(笑)。
音楽性をどーこー云うより、全体を一つのパフォーマンスとして捉えた方が
彼の特異な世界が浮かび上がってくる事でしょう。
そう云った意味では、このアルバムも強烈なパフォーマンスです。
サンラによるディズニー集。
ジャケットだけみてお子様に買って帰ったお父さんがいたら、
それはもう悲劇としか云い様がありません(笑)。

1989年のオーストリアでのライヴの模様を収めたモンですが、
ギスギスのアンサンブルとだみ声のヴォーカルが飛び交います。
観客も遠慮なく爆笑してるのがポイント高し(笑)。
やはり聴き所は"SOMEDAY MY PRINCE WILL COME"でしょう。
サンラのたどたどしいピアノのイントロに続き、飛び出すサックスのいななき!
お姫様の眠りを覚ました王子様はどうやらキ●チガイだった様です(笑)。
お姫様は、また知らんぷりをして眠りについた、に1000点。

 

看板に偽りあり度★★★★★ 看板に間違いあり度★★★★★  
RECORDED LIVE AT THE PERUGIA FESTIVAL / JILL EVANS & STINGMILES DAVIS
hen24.jpg (5960 バイト) DELMAR BROWN(SYNTH),GIL GOLDSTEIN(SYNTH),
JOHN SURMAN(BS,SYNTH),GEORGE ADAMS(TS,VO),
BRANFORD MARSALIS(TS),CHRIS HUNTER(AS),
JOHN CLARK(EL-FRH),DAVID BOURGERON(TUBA,FLH),
MARC EGAN(B),DANNY GOTTLIEB(DS),
URSZULA DUDZIAK(VO),EMILY MITCHELL(HARP),
ANITA E.(PERC),TOM MALONE(B-TB,T-TB),
GEORGE LEWIS(T-TB),MILES EVANS(TP),
STING(VO),GIL EVENS(KEY,CON)
A-1.???
  2.UP FROM THE SKIES *

B-1.STRANGE FRUIT *
  2.SHADOWS IN THE RAIN *
C-1.LITTLE WING *
  2.THERE COMES THE TIME *


D-1.CONSIDER ME GONE *
  2.???
  3.ROXANNE *
E-1.TEA IN THE SAHARA *
  2.ORANGE WAS THE COLOR OF
    HER DRESS THEN SILK BLUE
   
F-1.MESSAGE IN A BOTLE *
※海賊盤なので曲目の表記がなく、
 数曲タイトルのわからないものがありました。
 すみません。
 スティングのヴォーカル入りの演奏には"*"印をつけてます。

とにかく無茶苦茶な海賊盤です。
別に内容が酷いのではありません。とにかくジャケットが大笑いなんです。
まずは、ギルエヴァンスの綴りが間違っています(笑)。
GILじゃなくてJILLだって。
これではジルエヴァンスではありませんか。
更にジャケットに堂々とマイルスデイヴィスと書かれているにも関わらず、
マイルスの演奏は、一切収録されていません(爆)。
ジャケットの写真も他のアルバムからのパクリだし。
どうしてこんな間違いをしたかと推測するに、
メンバーにマイルスエヴァンスってトランペッターがいて、
中でこの人がメンバー紹介をしてるんですね。
そんで最後に「私がトランペットのマイルスエヴァンスです。」って
MCを入れてるんです。
これをマイルスデイヴィスと聞き違えたと云うのが図星ではないでしょうか?

LP三枚が普通の袋状のジャケットに無理矢理突っ込んであって
ありがたみのない仕様になっておりますが(笑)、
内容については、全くもって素晴らしいの一言です。
1987年に行われたジャズフェスティヴァルでの
スティングとギルエヴァンスの共演と云うのは間違いないですし、
ギルエヴァンスバンドのメンバーも凄い顔ぶれです。

特にスティングが唄う"STRANGE FRUIT"は、鳥肌モノです。
ビリーホリデーの悲痛な歌唱とは全く違う霧がかかったような奇妙な果実。
また、ジミヘンの曲を数曲取り上げており、特に"LITTLE WING"は素晴らしい。
後半"FROM ME TO YOU"を引用するなど、イキな演出です。
続く"THERE COMES THE TIME"では、ジョージアダムス(だと思う。)との
ヴォーカルデュオなんてものも聴けたりするんです。でもフェイドアウト‥‥。

hen25.jpg (2445 バイト)このライヴのスティングの歌が入った演奏の一部と
1986年ベオグラードでのライヴの音源をカップリングした
STRANGE FRUIT / STING AND GIL EVANS (ITM)
と云うアルバムがCDで発売されています。
数曲カットされているのが残念です。
それならカップリングなんてしなきゃ良いのに(笑)。

 

イスラム度★★★★★ トリップ度★★★★★
AFIRICA TEARS AND LAUGHTER / DOLLAR BRAND (ENJA)
hen26.jpg (6968 バイト) DOLLAR BRAND(VO,PF,SS),TALIB OADR(SS,AS,VO),
GREG BROWN(B),JOHN BETSCH(DS)
1.TSAKVE
2.THE PERFUMED FOREST WET
3.ISHMAEL
4.DID YOU HEAR THAT SOUND?
5.LIBERATION DANCE
6.IMAM
7.TSAKVE

ダラーブラントと云えばアフリカ回帰的なスタイルで異彩を放つピアニストで、
熱心なイスラム教とでもあります。
ですから最近ではダラーブラントと云うよりも回教徒名の
アブドゥーライブラヒムを名乗っています。
そのお陰でジャズに詳しくないレコード屋などででは、二ヶ所にわかれて
陳列されていたりします(笑)。
このアルバムは、そのイスラム色が前面にでた作品です。
特に"ISHMAEL"が笑っちゃうほどイスラムなんです。って、失礼。
ダラーブラントは最初のテーマを相方のTALAB OADR(なんて読む?)と
サックスでユニゾった後、コーランを唄い始めるのです。
やがてTALAB OADRも唄い始めて2人は遠い世界にトリップしていきます。
聴いてる方は不思議な雰囲気に包まれながらも、
宗教的な共感を得る事ができないので、一緒に行く事はできません。
冷めた気持ちで聴くと2人の按配が妙に滑稽に見えてしまいます。
是非、日本のミュージシャンにも般若心経あたりで演ってもらえないかと(笑)。

hen27.jpg (2644 バイト)ダラーブラントのスタイルは、単純なコード進行に基づいて
しつこくしつこくメロディを反復していくと云う
アフリカ民族音楽的なアプローチで展開される事が多いです。
AFRICAN PIANO / (ECM)」は、鮮烈な個性を剥き出しにした名盤。
カリカリとした録音の音質も相俟って全てが新鮮。

ただ私はダラーブラントはその手の音楽しかできないのではないかと
疑惑を抱いています(笑)。

hen28.jpg (2719 バイト)1978年に日本企画で吹き込まれたシェップとのデュオアルバム
DUET / ARCHIE SHEPP-DOLLAR BRAND (DENON)」で、
珍しく"LEFT ALONE"や"人間の証明のテーマ"と云うような
普通の曲を演ってるんですが、やっぱりどの曲も
アフリカの薫りがするんですね。
左手で刻まれるリズムがいつもと全く一緒なんです。
それはそれでカッコイイ演奏なんですけど、人間の証明と云うよりは、
野生を証明してるみたいだなぁ(笑)。

Home