'bout HEN-na JAZZ


永らく色々と聴いていると変わったアルバムに出会う事もあります。
中にはただ単につまらないだけのモノもありますが、
ここでは「それはそれで面白い」作品を取り上げていきたいと思います。
決して誹謗中傷する目的ではありませんので、「けしからん!」とか云わないで下さいね(笑)。
私の愛すべき"変な"ジャズアルバムです。
ちょっとジャズじゃないのもありますが、それはそれでご容赦の程を。

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日本人なりきり度★★★★★   
MUSIC FOR ZEN MEDITATION / TONY SCOTT (VERVE)
hen20.jpg (19600 バイト) TONY SCOTT(CL),
SHINICHI YOUIZE(KOTO),
HOZAN YAMAMOTO(SHAKUHACHI)
1.IS NOT ALL ONE?
2.THE MURMURING OF
    THE MOUNTAIN STREAM
3.A QUIVERING
4.AFTER THE SNOW,THE FRAGFANCE
5.TO DRIFT LOKE CLOUDS
6.ZA-ZEN
7.PRAJNA-PARAMITA
         -HRIDAYA SUTRA
8.SAN-ZEN
9.SATORI

以前、インドに傾倒したアルバムを紹介させていただきましたが、
ここでは思いっきり邦楽をやっちゃってるトニースコットさんです(笑)。
そのなりきり具合が凄い。
ライナーの中の写真では裃(かみしも)をつけた神妙な面持ちの
トニースコットさんの姿を見れます。
形としては山本邦山の尺八との双頭コンボなのですが(笑)、
クラリネットですっかり幽玄の美学を表現しちゃってるのです。
やはり表現力では邦山の尺八の深みには数歩及ばずと云った感じですけど、
外国人が西洋楽器で立ち向かった事を差し引いて考えると
見事としか云い様がありません。

 

なんでそんな曲知ってんねん度★★★★ アドリブ全部一緒やん度 ★★★   
SAKURA / TRIO ACOUSTIC (PANNON JAZZ)
hen19.jpg (5929 バイト) ZOLTAN OLAH(PF),PETER OLAH(B),
GYORGY JESZENSZKY(DS)
1.桜 さくら
2.山念仏
3.かごめかごめ
4.あられ コ・コン・コン
5.オチョ オチョ かいな
6.ホーホ ほたる 来い
7.八戸地方神楽
8.お花見 おはなみ
9.花輪ばやし "祇園ばやし"
10.松坂節
11.本荘追分
12.セッセッセッ
13.桜 さくら 桜 さくら
14.花いちもんめ

かなりゲテモノなアルバムですね(笑)。
日本の曲を演奏してるジャズメンは沢山いますけど、
ここまで徹底して、更には日本人ですら知らない曲までも
演奏してるアルバムって他に知りません。
この人たちは一体どうやってこれらの曲を知り得たのか
大変興味のあるところです。

hen22.jpg (4090 バイト)桜と云えばやはり「
SAKURA / 山下洋輔 (VERVE)」が
素晴らしい作品ですけれども、これは山下洋輔と云う
日本人が演奏したアルバムですから、
あたりまえと云えばあたりまえですよね。

しかし、この TRIO ACOUSTIC ってユニットによる日本の音楽集、
思ったほど面白い演奏には仕上がっておりません。
テーマは確かに民謡だったり童謡だったりするのですけれど、
アドリブパートは全然関係ないコード進行に基づいているのです。
窮屈そうにテーマを奏した後、解き放たれたようにモーダルな演奏に突入(笑)。
それやったらこんな企画やらんでもええんとちゃうの??

 

ドナドナ度★★★★★(笑) 美しい子守唄度★★★★   
HELEN MERRILL SONGS FOLK / HEREN MERRILL (PADDLE WHEEL)
hen21.jpg (5686 バイト) HELEN MERRILL(VO),
HOZAN YAMAMOTO(SHAKUHACHI) & ALL STARS
MASAO YAGI(ARR),NORIO MAEDA(ARR)
1.DONNA DONNA
2.DANNY BOY
3.BLOWIN' THE WIND
4.LULLABY OF CHUGOKU-CHIHOU
5.BLACK IS THE COLOUR
6.WHERE HAVE ALL THE FLOWERS GONE
7.MOTHERLESS CHILD
8.WHAT HAVE THEY DONE TO THE RAIN?
9.WAYFARIN'STRANGER
10.GREENSLEEVES
11.LULLABY OF ITSUKI
12.THE LAST ROSE OF SUMMER

日本企画で作られたヘレンメリルのフォークソング集。
いきなりドナドナです(号泣)。
誰もが小学生の頃、縦笛で吹いたあの悲しい歌、ドナドナ。
小牛が悲しそうな目をして売られていってしまうあんまりな曲、ドナドナ(涙)。
ヘレンメリルのハスキーヴォイスでこれを唄われるのですから
たまったものではありません。おーん、おーん。
すみません、取り乱しました(笑)。

その他も日本人好みのフォークソングがこれでもかとならんでおります。
ヘレンメリルが日本語で唄う"中国地方の子守唄"、"五木の子守唄"は、
是非とも聴いていただきたい名唱です。

hen23.jpg (5814 バイト)特に素晴らしいのは、"MOTHERLESS CHILD"での
山本邦山の尺八との絡みです。
山本邦山のプレイは、完全にブルーススケールを意識したフレーズ。
5度の音を4分の1から半音下げたブルーノートを多用し、
巻き舌によるダーティーなトーンを頻繁に聴かせます。
同じ曲を「
MUSIC MAKERS / HELEN MERRILL (OWL)」で唄ってますが、
こちらはソプラノサックスのスティーヴレイシーとのコラボレーションです。
聴き比べて見るのも面白いと思います。こちらも名演。

 

親の心子知らず度★★★★★ 
NOTE TO NOTE / LENNIE TRISTANO (JAZZ RECORDS)
hen17.jpg (18754 バイト) LENNIE TRISOTANO(PF),SONNY DALLAS(B),
CAROL TRISTANO(DS)
1.JUST PREZ
2.PALO ALTO SCENE
3.IT'S PERSONAL
4.NOTE TO NOTE
5.THERE WILL ALWAYS BE YOU

レニートリスターノのピアノを満足行くまで堪能できるアルバムって
ホントに少ないです。
THE NEW TRISTANO / (ATLANTIC)」と「鬼才トリスターノ /(ATLANTIC)」くらい。
でもそれらを聴いた時の凄みを忘れられなくて、発掘盤を見つける度に
手を伸ばしてしまいます。f(^^;)
しかしそれらは、録音状態が無茶苦茶悪かったり、
別テイクだらけだったりして、「やっぱりかぁ。」って感じなんです(笑)。
hen18.jpg (10826 バイト)
THE COMPLETE LENNIE TRISTANO / (KEYNOTE)」なんか、
9曲しかやってないのに別テイクだらけで19トラックもあります。
その内"INTERLUDE(=NIGHT IN TUNISIA)"なんか6回やってて、
演奏を途中で止めてるテイクまで入ってます。
コンプリートなのはわかるけどね‥‥(笑)。
しかもトリスターノが全然冴えてない。

それでもって今回取り上げたこの作品。
録音も良質だし、トリスターノの演奏も押し殺したような凄みを感じさせます。
1964〜1965年と云えば、トリスターノが一線から退いた後の吹き込みです。
既製の曲のコードを借りてアドリブに終止するスタイルも健在で、
一曲目がわからなかったんですけど、その他は下記の通りです。
"PALO ALTO SCENE"="STELLA BY STAR LIGHT"
"IT'S PERSONAL"="OUT OF NOWHERE"、
"NOTE TO NOTE"="ALL THE THINGS YOU ARE"
"THERE WILL ALWAY BE YOU"="THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU"

しかし、しかし、しかし!
このアルバムの「変」たる所以は、ドラムにあります。
恐らく名前から推測するに、ドラムのキャロルトリスターノは、トリスターノの子供。
貴重なトリスターノの未発表音源がベースとのデュオだったのをいい事に、
自分のドラムをリミックスしたのですよ。
んでもって、このドラムの出来が悪いのなんのって‥‥。
素晴らしい演奏を全てをぶち壊しにしてくれています。
ドラムマシーンの様にシンバルレガートを抑揚なくチンチキやるわ、
おかずと云えばスネアをテトテトとワンパターンに繰り返すだけ。
おいおい!おまえはドラム初心者かよ〜!!
満足できるベース、ドラムがいない事を嘆きながら、
自分の音楽を狂気的に突き詰めていったトリスターノが、
このアルバムを聴いたらきっと怒りに打ち震える事でしょう!
親の心子知らず。きっと草場の陰で泣いてます。

それにしてもこのレーベル名も凄いですね。「JAZZ RECORDS」って。
‥‥そのままやん。

<追記>
その後の調べで(笑)、このアルバムのオーヴァーダビングについては、
生前のトリスターノの希望であった事がわかりました。
よって「親の心子知らず度★★★」に変更させていただきまして、
替わりに、「トリスターノも親馬鹿だったのね度★★★★★」
と云う事にさせていただきます(笑)。

 

中近東度★★★★ 高橋名人級連打度★★★   
EASTERN EXPOSURE / FRED KAZ (ATLANTIC)
hen12.jpg (22568 バイト) FRED KAZ(PF),VICTOR SPROLES(B),
ROGER WANDERSCHEID(DS)
A-1.SAND
  2.AMEER
  3.ALMS
  4.BENEATH
  5.SALAAM
B-1.ONE WHITE WHALE
  2.TURKISH BLUES
  3.FEZ
  4.MUEZZIN
  5.TASSEL

フレッドカズがアトランティックに残した特異なアルバムです。
全編中近東で染められたオリジナル作品。
とは云えこの人、生まれも育ちも東洋ではありませんし、
シカゴ生まれの純粋なジャズピアニストな訳です。
ですから、行った事もない中近東への憧れを散りばめたって感じでしょうか。
アドリブパートでは、ほっとくとバップフレーズに流れてしまいそうになるのを
中近東スケールを弾く事でなんとか踏みとどまっています(笑)。
ゲテモノっぽい感じもしますが、なかなかにグルーヴ感のある良い演奏ぞろい。
中でも"MUEZZIN"の演奏は、結婚行進曲を引用したテーマも面白く
アドリブパートの中近東ぶりも濃ゆい感じに仕上がっていてなかなかのもの。
あと、この人の特異なところは、同音の連打がやたら多いって事です。
ピアノで一つの鍵盤の連打をこんなにやる人を他に知りません。
暇さえあれば演ってる感じです(笑)。

 

印度★★★  
BILL PLUMMER AND COSMIC BROTHERHOOD / (IMPLUSE!)
hen13.jpg (24431 バイト) BILL PLUMMER(SITAR,B),HERSH HAMEL(SITAR,TAMBURA,VO),
RAY NEOPOLITAN(SITAR),JAN STEWARD(SARODE,TAMBURA),
MILT HOLLAND(TABLA),MIKE LANG(PF,HARPSICHORD),
MIKE CRADEN(TRANSCELESTE,DUO VIGONG,AMERICAN TREE BELLS,
BOO BAMS,SURROGATE VITHARA,WHICH STAND),
LYNN BLESSING(VIBES,BELLS),RAY ANTHONY(G),
DENNIS BUDIMER(G),TOM SCOTT(SAX,FL,ELECTRICS),
CAROL KAYE(B),MAURICE MILLER(DS),
BILL GOODWIN(DS)
A-1.JOURNEY TO THE EAST
  2.PARS FORTUNA
  3.THE LOOK OF LOVE
  4.SONG PLUM
B-1.ARC 294°
  2.LADY FRIEND
  3.ANTARES

これは、訳の分からないアルバムです。
シタールやタブラと云ったインドの楽器を使用していながらも、
そんなにインドの音楽に傾倒している風でもありません。
まともなインド音楽は"ARC 294°"ぐらいで、逆にこれなんかは、
ジャズとの融合でも何でもないと思います(笑)。
全体の雰囲気としては、シタールやタブラの鳴り響く中、
ダサ目の8ビートジャズが繰り広げられている感じです(爆)。
でも一曲目の"JOURNEY TO THE EAST"は、妙にカッコイイです。
英語のヴォーカル入りなのですが、ナントこれが歌ではなくラップ。
1970年代前後にラップを編み出していたとはオソルベシ。しかもインド風(笑)。
メンバーにトニースコットではなくてトムスコットがいたのでびっくり。
まあドンエリスオーケストラからの流れだとは思いますが。
あ。ドラムにビルグッドウィンも。あんたこんなとこで何やってんの(笑)。

 

印度★★★  案外クール度★★★★ 
INDO JAZZ FUSION / JOE HARRIOTT-JOHN MAYER DOUBLE QUINTET (ATLANTIC)
hen14.jpg (22783 バイト) JOE HARRIOTT(AS),SHAKE KEANE(TP,FLH),
PAT SMYTHE(PF),COLERIGE GOODE(B),
ALAN GANLEY(DS),JOHN MAYER(VIOLIN,HARPSICHORD),
DIWAN MOTIHAR(SITAR),CHANDRAHAS PAIGANKAR(TAMBURA),
KESHAV SATHE(TABLA),CHRIS TAYLOR(FL)
A-1.PARTITA
B-1.MULTANI
  2.GANA
  3.ACKA RAGA
  4.SUBJECT
INDO JAZZ SIUTE / JOE HARRIOTT-JOHN MAYER DOUBLE QUINTET (ATLANTIC)
hen15.jpg (25491 バイト) JOE HARRIOTT(AS),KENNY WHEELER(TP),
PAT SMYTHE(PF),COLERIGE GOODE(B),
ALLAN GANLEY(DS),JOHN MAYER(VIOLIN,HARPSICHORD),
DIWAN MOTIHAR(SITAR),CHANDRAHAS PAIGANKAR(TAMBURA),
KESHAN SATHE(TABLA),CHRIS TAYLOR(FL)
A-1.OVERTURE
  2.CONTRASTS
B-1.RAGA MEGHA
  2.RAGA GAUD-SARANGA

この二枚がカップリングされて EAST WEST JAPAN からCD発売されました。
ジャケットのお姉ちゃんに魅せられて思わず買ってしまったんですが(笑)、
意外と楽しめる内容だったので紹介させていただきます。
この演奏のコンセプトは、ジョーハリオットのジャズユニットと
ジョンメイヤーのインドユニットが同時に演奏すると云ったものです。
hen16.jpg (12258 バイト)まるでオーネットとドルフィーの実験的作品
FREE JAZZ / ORNETTE COLEMAN (ATLANTIC)」を
彷彿とさせますが、ややこれとはコンセプトが異なる様です。
対等のユニットが同質の音楽を同時演奏して
衝突に近い形でインスパイアしあうと云うよりも、
異質なユニットを効果的に絡ませあうと云った感じです。
だからジョーハリオットのジャズユニットは、
無理にインド風のフレーズを模したりしません。
このアイデアによってプレイヤーが伸びやかに演奏しながらも
インドテイストを獲得する事ができました。
よく見てみるとナント私の好きなケニーホイーラーの名前が!
色んな事やってたんですね、あなたも(笑)。

 

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