'bout HEN-na JAZZ


永らく色々と聴いていると変わったアルバムに出会う事もあります。
中にはただ単につまらないだけのモノもありますが、
ここでは「それはそれで面白い」作品を取り上げていきたいと思います。
決して誹謗中傷する目的ではありませんので、「けしからん!」とか云わないで下さいね(笑)。
私の愛すべき"変な"ジャズアルバムです。
ちょっとジャズじゃないのもありますが、それはそれでご容赦の程を。

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唄は味だ度★★★★★     
DINAH / 山本剛 (ウーノ・コーポレーション)
山本剛(VO,PF),増尾好秋(G,KEY),
岡田勉(B),EARL WILLIAMS(DS)
1.SOMETIMES I'M HAPPY
2.君に言われた
3.STARDUST
4.DINAH
5.WHO CAN I TURN TO?
6.月光値千金
7.MY MELANCHOLY BABY(TAKE 2)
8.BODY & SOUL
9.P.S.I LOVE YOU
10.KID
11.JUST A JIGORO
12.雨に唄えば
13.MY MELANCHOLY BABY(TAKE 2)

あのピアニストの山本剛さんのヴォーカルアルバムです。
とにかくお世辞にも上手いとは云えない唄なんですけど(と云うより、かなりヒドイ唄です。)
聴いてると思わず顔がほころんでしまうんですよね。
"SOMETIMES I'M HAPPY"とか"WHO CAN I TURN TO"等は英語で唄ってて、
この発音がまたまた日本人のカタカナ読みレベルなモンですから、
スムースな演奏とのギャップが強烈です(笑)。
"DINAH"と"月光値千金"は案の定エノケンヴァージョンの日本語で唄ってます。
飄々としたヴォーカルの味わいはこちらの方がよく出てると思います。
でも気恥ずかしさが残った微妙な悪ノリがちょっとむず痒い(笑)。
ライナーには最初で最後のアルバムだと書かれていますけど、
もっとこなれてきたら面白くなる様な気がするんですよねー。
オリジナルの"君に言われた"や"KID"を聴いてると、
ボブドローやデイヴフリッシュバーグに繋がる味わいが
出てくるんじゃないかと思うのです。

 

そっくり度★★★★   古き良きジャズ度★★★★      
THE FUETHER ADVENTURES OF LITTLE VOICE / JANE HORROCKS
JANE HORROCKS(VO),EWAN McGREGOR(VO),
ROBBIE WILLIAMS(VO),DEAN MARTIN(VO)
DENNIS MACKREL(DS),TONY SCHERR(B),
TED ROSENTHAL(PF),BUCKY PIZZARELLI(G),
EARL GARDNER,JOE MOSELLO,TONY KADLECK,
GLENN DREWES(TP,FLH),ANDY FUSCO,WALT WELSKOPF(AS,CL),
DAVE D'ANGELO GARY KELLER(TS,CL),KEN BERGER(BS,CL),
JOHN MOSCA,BRUCE BONVISSUTO,
SAM BURTIS,DOUGLAS PURVIONE(TB),
ANDY CUSS(TP),FRANK RICOTTI(XYLOPHONE),
ROBIN ASPLAND(PF),PETE LONG(CL),
JULIET LEWIS(COR ANGLAIS),LEO GREEN(TS),
ALEX GARNETT(SAX),MARK ARMSTRONG(TP),
ANDY BAKER(TB),STEVE RUSHTON(DS),ANDERS JANES(B),
RICHARD BUSLAKLEWIC(PF),RAY GELATO(TS),
LEO GREEN(PERC),
1.HELLO DOLLY
2.THE BEST IS YET TO COME
3.IT DON'T MEAN A THING
4.DREAM A LITTLE DREAM
5.JUST IN TIME
6.YOU'RE JUST IN LOVE
7.IT WAS A VERY GOOD YEAR
8.THAT OLD BLACK MAGIC
9.CRAZY
10.TOO CLOSE FOR COMFORT
11.BABY WON'T YOU PLESE COME HOME
12.ONCE I LOVED

端的に云えば、モノマネアルバムです。
ジェインホロックスがジュディガーランド、マリリンモンロー、ビリーホリデイ、
マリーネデデートリッヒ、シャーリーバッシーそっくりに唄うって内容。
これだけ聴けば、ゲテっぽい企画モノに思えますが、さにあらず。
ジェインホロックスはイギリスで活躍している女優さんで、
彼女の歌マネの才能に惚れこんが脚本家ジムカートライトが
「THE RISE AND FALL OF LITTLE VOICE」ってミュージカルを作った程なのです。
そしてこのアルバムはその流れを汲む作品って訳。
そんでもってこのミュージカル、なかなか泣かせる良い作品の様です。注)観てません(笑)。
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【あらすじ】
亡き父の残した古いレコードを聴いて毎日を過ごすひきこもり系の少女ローラ。
飲んだくれの母親は無口な娘をリトルヴォイスと云って馬鹿にしていた。
ある日、母親が家に連れ込んだ男が2階から聴こえてくるローラの歌声を耳にする。
ジョディガーランドそっくりに唄う彼女の歌を聴いて、「こいつぁいける。」と思った彼は、
ローラを舞台に立たせようとする。
内気な彼女が亡き父の幻に勇気付けられてステージを成功させた時、
周囲の人間は更に華やかなショービジネスの成功に夢を膨らませていた。
しかしローラの心の内は…。
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と云う感じのお話です。
ミュージカルがヒットし、「リトルヴォイス」('98英)と云うタイトルで映画化までされてます。
その時の主演も当然ジェインホロックス。正にはまり役と云うヤツでしょう。

でもこのアルバム、それらの流れを汲んで聴いてしまうと
なんだか能天気に笑ってられないですね(笑)。
ミュージカルでヒットして、映画が作られて、
それらの匂いをちらつかせたアルバムが作られる…。
正に芸能・音楽ビジネスの常套手段に乗せている訳で、
ローラの気持ちがわかるような、そんな気がします。注)映画も観てません(爆)。

なんだかひねくれた事を書いてしまいましたが、
古き良き時代のジャズと銀幕が相思相愛だった頃のムードが楽しい。
個人的にはビリーホリデーの唄う"スイングしなけりゃ意味がない"が好き。
えっと、彼女ってこの曲唄ってましたっけ?(笑)

 

能天気度★★★★★   電化度★  
IT'S WHAT'S HAPPENIN'  THE VARITONE SOUND OF CLARK TERRY / (IMPULSE)
CLARK TERRY(VARITONE TP),DON FRIEDMAN(PF),
GEORGE DUVIVIER(B),DAVE BAILEY(DS)
1.ELEVTRIC MUMBLES
2.SECRET LOVE
3.TAKE ME BACK TO ELKHART
 
4.TAKE THE'A'TRAIN
5.TEE PEE TIME
6.GRAND CANYON SUITE

ジャズの電化のお話。
まだまだエレクトリック楽器が今の様な表現力を手に入れる前の時代、
ジャズの電化については色んな動きがあった様です。
その中で一世を風靡したのがヴァリトーンサックスやヴァリトーントランペットと云う
アコースティックジャズのメイン楽器を電気処理してしまおうと云うシロモノです。
リーコニッツ、トムスコット、エディハリス、ドンエリスと云った
先進的なミュージシャンが積極的に使用を試みる一方で
これらの流れに懐疑的な人も沢山いて、物議をかもしていたらしい。
有名なところでは「DUETS/LEE KONITZ(MILESTONE)」で
その不思議な音を聴く事ができますが、
今の耳で聴くと「うーん?」な感じがしないでもないです(笑)。

そんな中、完成したてのヴァリトーントランペットをいち早く取り入れて
アルバムを作った人がいました。
なんとそれがクラークテリー!って、なんでアンタやねん(爆笑)。
世界一、音色の笑ってるトランペッターが何を血迷ったのでしょう。
世の中が電化ジャズの是非についてシリアスな議論をしてるところへ
"ELECTRIC MUMBLES"と、きたもんだ(笑)。
ハナモゲラ系スキャットとヴァリトーントランペットで
掛け合いをやらかしていますけど(あえてバースチェンジとは云わない)
これってワウワウミュート代わりに使ってるだけだと思うぞー(笑)。
しかし、この新しいオモチャをすっかり自分流に使いこなしているところが
さすがクラークテリーです。はっちゃけた楽しさがたまりません。

古本屋で買ったスイングジャーナルの1968年10月号に
「エレクトリック・ジャズ=可能性と問題点」と云う特集記事があって
これにビルエヴァンスの話が引用されています。
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ピアニストのビル・エヴァンスがドン・エリス・バンドの
「オープンビューティ」についてその冒険性を高く評価しながらも
『問題は音楽的な内容だ。
この演奏は、ただちに人の耳をアトラクトする何かをそなえているが、
いまは新しい何かが、20年のちには全く無意味になりかねない。
その意味でもかんじんなのは内容でしかあり得ない』と語っているが、
至言であろう。(文:児島紀芳氏)

【志保注】ドンエリスの"OPEN BEAUTY"は
アルバム「ELECTRIC BATH/DON ELLIS(COLUMBIA)」
に収録されている曲で、ヴァリトーントランペットではなく
テープを使ったディレイシステムでの実験的演奏。

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あと他にもスイングジャーナルの古い号に面白い広告を見つけました。
ヴァリトーンサックスの簡易版と思われるエーストーンマルチボックスなるモノ。
「コルトレーン・タッチ ロリンズ・トーンが思いのまま再現でき」るらしい(笑)。
ちなみにこのエース電子工業鰍ゥら分かれたのがローランドだったりします。

 

プレイボーイ度★★★★   高度経済成長度★★★
円楽のプレイボーイ講座12章 / 前田憲男とプレイボーイズ (CD:SOLID RECORDS)
三遊亭円楽(NARRATION),
前田憲男とプレイボーイズ

前田憲男(PF),沢田駿吾(G),
村岡俊(TS),伏見哲郎(TP),
原田政長(B),日野元彦(DS)
 
第1章 女
SUNNY
第2章 ギャンブル
TABOO
第3章 酒
SUMMER WINE
第4章 ファッション
EN BLUE JEANS ET BLOUSON DE CUIR
第5章 車
MUSTANG SALLY
第6章 
セックス
MORE
第7章 ダンス
LAND OF 1000 DANCES
第8章 音楽
YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC
第9章 スポーツ
THE IN CROWD
第10章 ビジネス
YESTERDAY
第11章 話術
SOUND OF SILENCE
第12章 エチケット
GIRL FROM IPANEMA

変なジャズのコーナーにおあつらえ向きのアルバムがCD化されました。
1969年に発売されたこのアルバム、実にその頃の世相を反映しております。
まず注目すべきはジャケット。松岡きっこ嬢(当時)です。
更に見開きの内ジャケには下着姿まで披露されています。
そして次に注目すべきは円楽さんのナレーション。
どうやら当時、円楽さんは落語会きってのプレイボーイだったらしい。
笑点でつまらないネタに馬鹿笑いしてるだけの人ではなかったのであります。
12章の各項目に分けてプレイボーイの何たるかを小粋に解説してくれます。
「女、この世の中で君の全てを投げうつに値する唯一のもの」
「ダンスでエネルギーの全てを使い果たすな、(中略)
プレイボーイはダンスの後に待っているものがあるから…。」
「女を口説くのに多くの言葉は必要としない。
女を口説く時は何を云うかよりどこで黙るかの方が難しい。」
「では、別れの言葉を一つ。『別れなければ、また逢えないじゃないか。』」
もー、どーにでもしてーって感じですねー(笑)。
そして最後に前田憲男とプレイボーイズの演奏に注目してみますと…。
これが実に時代がかったジャパニーズジャズであります。
あまりここに期待して買うとスカくらう事になります。
あくまでもその頃の日本のジャズに触れる資料として聴きましょう(笑)。
手元にある当時のスイングジャーナルなんかを見てみても
数多くのジャズバンドがあって、今の感覚では「これってジャズ?」って人まで
いっしょくたになって盛りあがっていた流行りの音楽だったようです。
各章のタイトルに合わせて曲を選んでいるのですが、
かなり苦しいところもありますね。
しかし第6章セックスで"MORE"ってのは粋だなー(笑)。
"TABOO"はコード進行とアドリブがあってないところがあって気持ち悪い…(-_-;)

円楽さんのウィットに富んだ語りを聞きたい人、
見開きの松岡きっこ嬢(当時)の下着姿を見たい人にお薦めのアルバムです。

 

ベイシーの寄り切り勝ち度★★★★★   ビートルズ度★  
BASIE'S BEATLE BAG / COUNT BASIE (VERVE)
hen68.jpg (17593 バイト) COUNT BASIE(PF) & HIS ORCHESTRA
1.HELP
2.CAN'T BY ME LOVE
3.MICHELLE
4.I WANNA BE YOUR MAN
5.DO YOU WANT TO KNOW A SECRET
6.A HARD DAY'S NIGHT
7.ALL MY LOVING
8.YESTERDAY
9.AND I LOVE HER
10.HOLD ME TIGHT
11.SHE LOVES YOU
12.KANSAS SITY

ビートルズのナンバーは魅力がありますから多くのジャズメンが取り上げています。
各ミュージシャンが自分なりの解釈で演奏するところに面白みがあるのですが、
このカウントベイシーのビートルズ曲集は強烈です。
何しろ完全なベイシーサウンドにアレンジされてしまっていて
もはやビートルズの曲の持つムードなどは払底されているのです。
「うわー、"ヘルプ"が完全なベイシーサウンドに〜!(笑)」
なんて笑ってられるのは最初の2〜3曲までで、
聴き進めていくうちに、あたかもベイシーのオリジナル曲を聴いてる様な錯覚に陥ります。
特に"MICHELLE"や"YESTERDAY"や"AND I LOVE HER"と云ったバラード系の曲の
変わり様ったらもう…(笑)。
まるでオシャレなお姉さんを云い包めて盆踊りを踊らせてしまった様な感じです(笑)。
ベイシーのシングルトーンのピアノのイントロで始まり、
キレの良いブラスアンサンブルがお決まりのフレーズを決め、
エディロックジョーディヴィスが噎び泣くソロを吹く。
もうこれ以上ない大ベイシー大会が展開される楽しいアルバムなのでした。

 

歌のない歌謡曲度★★★★★   てんこもり度★★★★★  
PARTYMUSIC FOR SKYSCRAPERS / SAX'N'DRAWBARS (SUNDANCE RECORDS)
hen65.jpg (6871 バイト) BENJAMIN KOPPEL(AS),DAN HEMMER(ORG),
JACOB ANDERSON(PERC),JASPER MECHLENBURG(DS)
1.SUMMER SAMBA
2.CHARADE
3.IT'S NOT UNUSUAL
4.BILLIE JEAN
5.WHITER SHADE OF PALE
6.A FROGGY DAY
7.BATUCADA SURGIU
8.LOVE STORY
9.JAMES BOND
10.AGUA DE BEBER
11.I JUST CALLED TO SAY...
12.MUSIC TO WATCH GIRLS BY
13.EL CHOCLO CHA CHA CHA
14.GODFATHER
15.DOMANI
16.FINAL COUNTDOWN
17.EL CUMBANCHERO
18.BAMBOLEYO
19.LAMBADA
20.FROM RUSSIA WITH LOVE
21.A MAN AND WOMAN
22.AMAZONAS
23.DELILAH
24.ALLEY CAT
25.MAMA
26.PARADOR(BESAME MUCHO)
27.BARBIE GIRL
28.CHAPLIN TANGO
29.PINK PANTHER THEME
30.DIGGELU-DIGGELEI
31.STOPTIME
32.VEM KAN SEGLA
33.DALLAS
34.DOLLARS
35.EL BIMBO
36.MASQUENADO
37.YAKETY SAX
38.BIRGER(SUNNY)
39.THIRD MAN THEME
40.BRAZIL
41.TICO TICO
42.DI-DO-DI
43.BABY ELEPHANT WALK
44.RAINDROPS KEEP FALLING...
45.TANGO JALOUSIE
46.DO YA THINK I'M SEXY?
47.HALLELUJAH
48.NEW YORK,NEW YORK
49.KOM TILBAGE NU
50.SUMMER SAMBA,REPRISE

殆ど場末のキャバレーで流れるムード歌謡のノリで
1960年代から1990年代までの世界的なヒット曲をメドレーで演奏しております。
この選曲がクサイ上にハモンドオルガンと噎び泣くサックスのラテンタッチが古さを際立てます。
しかしこれ、1998年の録音なのですねー(笑)。完全に狙ってるんです。
殆どの曲は2分以内で、短い曲になると15秒で終っています。
アドリブパートも殆どなくヒット曲のオンパレードに徹しているのですが
このサックス、かなり巧い。
喩えるならパキートデリベラ系の吹き捲りサックスなのです。
時折見せるアドリブやフェイクではダーティートーンやフラジオを多用して
熱く聴かせてくれます。
しかしまあ1枚のCDに50曲とは凄いですねぇ。
(昔、エラフィッツジェラルドのLPで「30 BY ELLA/(CAPITOL)」ってのがありましたが…。)
取り上げている曲の節操の無さがまたこのアルバムの魅力です。
"サマーサンバ""シャレード"なんて曲が続くので「はは〜ん、その辺で行くのねー。」
なんて思ってると、いきなり"ビリージーン"が飛び出してきてズッコケます。
もー何でもありの状態で、"ある愛の歌"から"ジェームスボンド"へ繋げたかと思うと、
"ランバダ"から"ロシアより愛を込めて"へメドレーしたり(笑)、演りたい放題です。
「あー、こんな曲演ってるしー。」と笑いながら聴いているうちに幸せになってくると云う
実に下世話な楽しみに満ちたアルバムなのでした。
あと特筆すべきは、分厚いライナー…と云うより26Pもあるブックレット。
1970年頃のムード溢れる写真が実に良いっ!
hen66.jpg (4343 バイト) hen67.jpg (3126 バイト)

 

時代の流れには逆らえない度★★★   でも時代遅れ度★★★    
IF YOU CAN'T BEAT 'EM,JOIN 'EM / GERRY MULLIGAN (VILLAGE RECORDS)
hen63.jpg (4662 バイト) GERRY MULLIGAN(BS),PETE JOLLY(PF),
JOHNNY GRAY(G),JIMMY BOND(B),
HAL BLAINE(DS)
A-1.KING OF THE ROAD
  2.ENGINE,ENGINE NO.9
  3.HUSH,HUSH SWEET CHARLOTTE
  4.I KNOW A PLACE
  5.CAN'T BUY ME LOVE
B-1.A HARD DAYS NIGHT
  2.IF I FEEL
  3.DOWNTOWN
  4.MR.TOMBOURINE MAN
  5.IF YOU BEAT 'EM,JOIN 'EM

1965年に録音されたジェリーマリガンの変なアルバムです。
曲目を見ていただいたらおわかりかと思いますが、
ビートルズナンバーやその他のポップチューンを取り上げています。
でも、今よくあるようなビートルズ曲集とかとは趣きが違うんですね。
タイトルを訳すと「あいつらに勝たれへんのやったら、ついていきますわ。」って事で、
要するにロッッケンローに主導権を奪われてジャズが取り残されてしまったと云う
時代背景から生まれてきたアルバムなのです。
hen64.jpg (3395 バイト)ジャケット裏で肩をすぼめておどけているマリガンの姿が写っています。
しかしながら"JOIN 'EM"なんて云ってるわりには彼は全く以って
普段のペースでほのぼのとしたプレイを聴かせてくれています。
それどころか明るいロックのメロディに乗って一段と寛いだ感じ(笑)。
しかも全編に渡って8ビートで演奏してる曲は一切なくて、みんな4ビート。
「ついていきまっせー。」と揉み手をしながらも、
裏でぺロっと舌を出してるマリガンの姿が目に浮かぶ様です(笑)。

 

ひとり舞台度★★★★    はにわ度★★★★★          
SEMBA〜リズムのこづち〜 / 仙波清彦 (VILLAGE RECORDS)
hen57.jpg (3468 バイト) 仙波清彦(PERC)
1.JUST OPENING
2.骨折
3.37°11'N〜
4.ヨクネタ
5.JAZZ?
6.LE LION D'OR
7.CURRY UDON
8.COUS COUS キムチ
9.LE REPOS
10.BERIM'N'BASS
11.ドラム天国
12.元祖オレカマ・キングス

1999年に発売された仙波清彦の全編パーカッションによるアルバムです。
ドラム・和太鼓からおもちゃの鳴り物に至るまでありとあらゆるパーカッションを
オーヴァーダビングしてたった1人でこなしております。
音楽の3要素であるメロディとハーモニーとリズムのうち、
ほぼ2つを放棄している訳ですから、並みのパーカッショニストだったら
鑑賞に耐え得る作品に仕上げるのは困難なところです。
しかし、我らが仙波清彦師匠。やってくれました。
パーカッションにも音程がありますので、その辺りを巧みに使い、
リズムパターンの変化で曲全体の構成をしっかりと描き、
各楽器のポリな絡み合いで飽きさせない展開に気を配りながらも
その中にもミニマルミュージック系の陶酔感も持ち合わせていると云う、
ビックリ仰天(死語)なアルバムなのであります。
特に、はにわオールスターズでも主要なレパートリーだった"オレカマ"を
彼1人の演奏で聴けるのは嬉しい。当然、オーヴァーダビングですが…。

「様々な分野で活躍」って云われる人は沢山いますが、
彼ほどホントに様々な分野で活躍しているパーカッショニストはいないと思います。
って云うより、彼にとってはジャンルなんてどうでも良いのかもしれません。
なんでもありのゴッタ煮的音楽の面白さを味わえるのが仙波清彦師匠の醍醐味でしょう。
って事でまだ未経験な方はにわ系も是非聴いて欲しいです。
「はにわ/仙波清彦とはにわオールスターズ(SONY)」
「かなしばり/はにわちゃん(SONY)」
「IN CONCERT/仙波清彦とはにわオールスターズ(SONY)」
「"HAPPY PEOPLE"/HANIWA(SONY)」

hen59.jpg (1111 バイト) hen58.jpg (2249 バイト) hen60.jpg (3518 バイト) hen61.jpg (2371 バイト)
特に「IN CONCERT」はにわの頂点を捉えた素晴らしいアルバム。
ヴィデオも出てましたが残念ながら廃盤です(2000年12月現在)。
hen62.jpg (2990 バイト)あと1996年に発売された
「JUSMINE YALK/仙波清彦(SONY)」は、
アジア系の女性ヴォーカルをフィーチャーし
はにわゆかりの歌モノを中心に取り上げた
心に沁みる超名作だと思います。

あ…、変なジャズのコーナーだった(笑)。

 

ベトナム度★★★★★ 良質のジャズ度★★★★ 
BIRTH / QUYEN VAN MINH (PIRKA MUSIC)
hen56.jpg (5531 バイト) QUYEN VAN MINH(TS,SS),QUYEN THIEN(TS),
PHAM LE PHUONG(PF),PHAM TUAN HUNG(PF),
PHAN TRUNG KIEN(B),DAO DING HUY(DS),
LE VIET HUNG(DS),HIROKI KOICHI(G)
1.NGAY HOIMUA
2.GIAI DIEU SAPA
3.VAN VOUNG
4.HO KEO LUOI
5.NGAU HUNG TAY NGUYEN
6.MUA XUAN KINH BAC
7.CHIEU THON QUE
8.SONG HAY LA CHET
9.MISTY

ベトナムのジャズです。
CDのライナーによると「世界で初めて公表されるベトナムジャズの第1作」らしい。
このクェンヴァンミンって人はベトナム戦争中のラジオでジャズを聴いて
独学でサックスを勉強し、国立ハノイ音楽院でジャズを教えるまでに至ったって云う
大したヒトなんであります。
私もこのアルバムでしか知りませんがストレートアヘッドなジャズでありながら
民族色が見事に織り込まれていると云う魅力あるスタイルです。
正直、変なジャズのコーナーではなく、'bout JAZZの方で取り上げようかと迷いました(笑)。
ミスティを除く全ての曲はミンのオリジナルで、
彼の目で捉えた現在のベトナムの風景や人々の生活を題材にしています。
それは農民の収穫の唄だったり、漁師のはやし唄だったり、ハノイの街の情景だったり…。
こうした民族色を出した演奏って時としてチンケなモノになりがちなんですけど
ミンの演奏は、単にジャズと云う生地をベトナムの染料で染めてみましたってモンじゃなくて、
縦糸がジャズ、横糸がベトナム音楽のしっかりした一枚の布になってるんです。

ミンの音楽は、我々日本人の耳で聴くと妙な懐かしさを覚えます。
曲によっては民謡と似た感じもあるし、沖縄音階と類型の旋律なんかもあります。
のほほんとした雰囲気に浸りながらアジアの音楽の歴史なんぞに
思いを馳せてみるのも面白いかも知れませんよー。

 

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