Release : Apr 1994
Producers : Alan Douglas / Bruce Gary
Engineer : Mark Linett
ブルーズ・ギタリストとしてのジミにターゲットを絞り、アラン・ダグラス・プロデュースの下に編集されたアルバムです。ジミが演奏した、ルーツでもあるブルーズ曲をまとまった形で聞くことができ、編集盤としては非常にポイントの高い内容だと思います。また、未発表曲も多数収録されており、非常に興味深いアルバムでもあります。
ほとんどがスタジオ録音のものですが、最後11曲目のバークレーのライヴは RAINBOW BRIDGE (未CD化)でしか聞くことができなかったもので、アルバム・ラストを締めくくるにふさわしいものとなっています。
ずっと廃盤になっていたのですが、1999年にリマスターされたものがクスペリエンス・ヘンドリクスから再発されました。
●1999年リマスター盤について
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1994年リリース |
1999年リマスター盤 (ジミのサイン) |
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1994年リリース |
1999年リマスター盤 |
ジャケットはパッと見ただけでは同じですが、良く見ると右上にある"Jimi Hendrix"のロゴが、1990年代のアラン・ダグラス時代によく使われていたものから、ジミ本人のサインに変わっています。(右図→)
また、ブックレットもリニューアルされています。初回盤ではマイケル・J・フェアチャイルドによる詳しいライナー(対訳付き)がついていたのですが、今回はジェフ・ハナッシュのライナーに変わりました。日本盤のライナーも新しくなり、CDのラベルも変わりました。尚、歌詞カードは割愛されています。
肝心の音ですが、僕の持っているラジカセでは違いが良くわかりませんでした。基本的には同じもので、リミックスなどはされていないようです。
- 1.Hear My Train A Comin'(Acoustic)
- 12弦アコースティック・ギター(借り物のゼマティスだそうです)によるソロ弾き語り。録音されたのは1967年12月19日。時期的には、ちょうどセカンド・アルバム AXIS: BOLD AS LOVE がリリースされたあたりです。翌年に予定されている2回目のアメリカツアーのプロモーション・フィルム撮影の時に、イギリスにて録音されています。
モンタレー以降、ワイルドなイメージができあがってしまったジミでしたが、これとは別のブルースマンとしての姿がここに表れています。曲最後の「ここまでやると思っていたかい?」というジミのせりふが印象的。
この演奏を映像で見た方もおられると思いますが、初めて見たとき、「うおぉ、アルバム・ジャケットと同じものが動いとるぅ」と感動したものです。
- 2.Born Under A Bad Sign
- アルバート・キングやクリームの演奏で有名なこの曲は、フィルモア・イーストコンサートの2週間前、1969年12月15日レコード・プラントにて録音されています。作曲はブッカー・T・ジョーンズとウィリアム・ベル。
ジミの曲としては珍しくベース(ビリー・コックス)から始まり、バディ・マイルスとジミが続きます。シンプルなベースラインで音もスカスカなんですが、それがまたいい感じを出しています。
ギターはレスポールかSGではないでしょうか。トレモロアームも使っていないようだし。
- 3.Red House
- ARE YOU EXPERIENCED (日・英)と同じテイク。アメリカ盤は SMASH HITS で初登場でしたが、別テイクだったので、このテイクはアメリカ初登場でした。
- 4.Catfish Blues
- マディ・ウォーターズのレパートリーとして知られている曲で、1967年11月10日、オランダのテレビ局で録音されたもの。バックはもちろんミッチとノエルです。
オリジナルは "Robert Petway" とクレジットされていますが、 僕は初めて聞く名前です。
イントロの乾いたストラトの音が気持ちいい。約1ヶ月前(67.10.6)の演奏を BBC SESSIONS で聞くことが出来ますが、それよりもハードな音になっています。
ジャズドラマーのエルヴィン・ジョーンズに影響を受けていたというミッチ・ミッチェルのドラム・ソロがめずらしい。
エンディングにかけての盛りあがり方はザ・フーを思い出しました。
- 5.Voodoo Chile Blues
- ゲストとして、ベースにジャック・キャサディ、オルガンにスティーヴ・ウィンウッドを迎えてのセッションから。1968年5月2日レコード・プラントにての録音。
これは ELECTRIC LADYLAND に収録されている "Voodoo Chile" セッションのアウトテイクを編集したものです。
この日は3回のテイクが行われ、3回目がおなじみの ELECTRIC LADYLAND 収録で、:BLUES 収録のものは1回目と2回目のテイクを編集してつなぎ合わせたものだそうです。(「ジミ・ヘンドリックス・レコーディング・セッション」より)
- 6.Mannish Boy
- マディ・ウォーターズで有名な曲。ローリング・ストーンズもレパートリーとしていました。
ベースにビリー・コックス、ドラムにバディ・マイルスというバンド・オヴ・ジプシーズでのスタジオ録音。録音日が1969年4月となっているということは、まだエクスペリエンスで活動しているときの録音になります。
ジミの演奏を聞いていると、「歌いながらなんでこんなギターが弾けるの?」と思ってしまうことがあるけど、これもそんな曲のうちのひとつだと思います。
- 7.Once I Had A Woman
- "Red House" や "Hear My Train A Comin'" を思い浮かべるスロー・ブルーズです。
これもバンド・オヴ・ジプシーズによるスタジオ録音。録音が1970年1月23日ということだから、この面子での最後のスタジオ録音になるのではないかと思われます。
MIDNIGHT LIGHTNING にも同じ曲が収録されていましたが、これはその未加工ヴァージョン。イントロ部分が少しカットされていますが、 MIDNIGHT LIGHTNING ヴァージョンと基本的にテイクは同じようです。
:BLUES ヴァージョンの方がギターソロが編集されていない分、ギタープレイをたっぷり楽しむことが出来ます。
ストラトじゃないような音だけど、SGかもしれません?
- 8.Bleeding Heart
- これもバンド・オヴ・ジプシーズによるスタジオ録音。オリジナルはエレクトリック・スライド・ギターで有名なエルモア・ジェイムス。
1994年リリース初回盤では1969年3月18日(withミッチ&ノエル)録音となっていましたが、今回リリースされたCDのブックレットを見ると5月21日(with バディ&ビリー)になっており、訂正が入ったのでしょうか。
また、曲のクレジットも "Traditional, Arranges by Jimi Hendrix" から "Elmore James" に変わっています。
"Peoples Peoples" の歌いだしで始まるロイヤル・アルバート・ホールのライヴを思い出しました。
- 9.Jelly292
- 1969年5月14日レコード・プラントにて録音。バックはミッチ・ミッチェルとビリー・コックス。録音された当時は曲名がついていなかったのですが、テープの箱にかかれていた数字からこのタイトルがついたものだそうです。
LOOSE ENDS に "Jam292" という曲があり、同じ曲のようですが、良く聴くとギターは違うフレーズを弾いているし、ミックスされているピアノの音が小さかったり、ベースやドラムの音質も違っていて、別テイクだと思います。
- 10.Electric Church Red House
- 1968年10月29日TTGスタジオにて録音。(withミッチ&ノエル)
「電気教会(Electric Church)を紹介します…」とかなんとか(多分)言いながら演奏が始まります。オリジナル "Red House" のスタジオ・ライヴといったところでしょうか。オルガンを弾いているのはリー・マイケルズ。
- 11.Hear My Train A Comin'
- 1970年5月30日バークレイでのライヴから。バックはミッチ・ミッチェルとビリー・コックスです。
この演奏、ヴィデオでは登場していたのですが、これまで RAINBOW BRIDGE でしか聞くことが出来ませんでした。
ジミのギターに身をまかせて聞くしかない12分間。ミッチのドラミングにも注目したいところです。
この曲は他に、エクスペリエンス時代(LIVE AT WINTERLAND)やバンド・オヴ・ジプシーズ時代(LIVE AT THE FILLMORE EAST)他、(:WOODSTOCK)でも聞くことが出来るので聞き比べてみるのもいいかも。
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