Release : Feb 1999
Compilation Producers : Janie Hendrix / Eddie Kramer / John McDermott
Remixing Engineer : Eddie Kramer
Original Sound Recordings Produced By Heaven Research
●このアルバムについて
以前から噂になっていたバンド・オヴ・ジプシーズのフィルモア・ライブの未発表音源が30年の歳月を経てリリースされました。
ジミが一番信頼していたエンジニア、エディ・クレイマーのリマスタリングにより、30年も前のライヴを聞いているとは思えないような素晴らしい音になり、フィルモアに流れていた空気をより近くに感じることが出来るようになりました。
収録されているものにヒット曲こそ少ないものの、新しい試みにチャレンジしているジミの姿勢を感じることが出来るはずです。
このアルバムで印象に残ったのはビリーのベースです。硬質なサウンドが、ピッキングの音も生々しく聞き取ることが出来て、感動を新たにしました。
バディ・マイルスのドラミングに関してはいろいろ評価があるようです。ビートを刻んでいるだけとか、ジミの足をひっぱっているなど、割と否定的な意見が多く聞かれます。
確かにミッチ・ミッチェルに比べるとジミにとっては力量不足のドラマーだったかもしれません。しかし、ヴォーカルをとることができた点においては、ブラック・ミュージック風のヴォーカルの掛け合いも聞くことができ、バンドの音楽に広がりをもたらしたと思います。
同じ時期に活動していたスライ・ストーンもジミの視野の中に入っていたはずです。
Disc one
- 1.Stone Free
- 正月2回目のステージ1曲目。
「懐かしいあの人を新しい名前でお迎えしました」とビル・グラハムの紹介で始まります。ジミのところでひときわ大きな拍手。
オリジナルとは少し違ったヴォーカルラインが少しシャープ気味で不安定だけど、軽快に飛ばしてゆきます。
ワウ・ワウをかませた焼け付くようなギターの音。途中からはユニヴァイブも追加されて「どうしたのん?」と思うほどなが〜いギター・ソロです。
もう最初から持って行かれます。もう身を任せて聞くしかありません。
ギター・ソロが終わった後、バディ・マイルスがワウ・ワウの物まねをしているのが面白い。
後半再び曲が始まるところがかっこ良すぎ。エンディングが感動的で、この部分のギター・ソロだけでも聞く価値はあると思います。
- 2.Power Of Soul
- これは正月1回目のステージから。
変拍子があったり、テンポが変わったりしてわりと複雑な曲ですが、ここではヘンドリクスお得意のリズム・ギターを弾きながらリード・ギターを弾くというパターンを聞く事が出来ます。
地の底で響くようなビリーのベース・リフが印象的。イントロに比べてエンディングはわりとあっさり終わります。
- 3.Hear My Train A' Comin
- ちょっと前後するけど、これは大晦日1回目のステージから。
BAND OF GYPSYS (+3)(9曲ヴァージョン)に収録されていた音源のリマスター・ヴァージョンになります。今回はステレオ・ミックスになっていて、ジミのギターがよりクリアになり、ストラトのハーフ・トーンが実にいい音で聞こえます。
これを聞くともう以前のヴァージョンではあまり聞く気がしません。
- 4.Izabella
- これも大晦日1回目のステージから。
ウッドストックでも演奏されていた曲。このときはミッチ・ミッチェルがかなり派手にプレイしていたのですが、バディのドラムはきっちりとした8ビートでプレイしているのでなんかヘン。
ここではビリーのベースに注目です。また、ジミのギターに関しては、ウッドストックではキツめにかかっていたユニヴァイブも使っていないようで、クリアなサウンドで聞くことが出来ます。
- 5.Machine Gun
- 正月2回目のステージから。
既発表のテイクより少しテンポが少し遅い感じがします。また、ギター・ソロの後から入ってくるコーラスのタイミングが早いような気もします。
後半、バディがジミのギターに合わせてスネアの連打で掛け合いをしているところが面白い。
- 6.Voodoo Child (Slight Return)
- バンド・オヴ・ジプシーズの演奏としては珍しい "Voodoo Child (Slight Return)"
ミッチ・ミッチェルのドラムを聞きなれているから、ここでのバディのドラムに違和感を感じました。悪くはないけど。ベースもノエル・レディングのほうが合っていると思う。
でも、ジミのギターはエクスペリエンス時代と同様、弾けまくりです。
- 7.We Gotta Live Together
- 前の曲とメドレーで続きます。バディ・マイルスがリードしてオーディエンスを煽ります。
オリジナル BAND OF GYPSYS 収録と同じテイクですが、編集カットされていた部分も全部聞く事が出来ます。
既発表のヴァージョンで覚えているから、所々に聞き覚えのあるフレーズが出てきたりして、なんかヘンな感じ。
オクタヴィアを使った後半のギター・ソロがカッコ良い。
どちらかというとロックというよりもソウルです。
Disc two
- 1.Auld Lang Syne'
- カウントダウンの大歓声で年が明けます。"Auld Lang Syne'" というと何の曲か分からないけど「蛍の光」のことだったのですね。でも、新年明けて蛍の光っていうのもおかしいような気がする。
曲の途中で聞かれる痙攣のようなアーミングが強烈。これほどアームを使ってもほとんどチューニングが狂っていないのが信じられません。
- 2.Who Knows
- 前曲から続いて "Who Knows" のイントロ・フレーズに入ります。
新年用に歌詞を変えて歌い始めます。ハッピー・ニュー・イヤー。後半、ヴォルテージが下がりますが、そのままエンディング。なんかもうひとつ盛りあがりに欠けている感じ。
- 3.Changes
- バディ・マイルス作詞・作曲の曲。リード・ヴォーカルもとります。「バディ・マイルスが演奏したがっているチェンジズです」とジミが曲紹介。
どっしりとした8ビートのドラムと体型に似合わない高い声でソウルフルに歌います。血管キレそうなシャウトが強力。
ビリー・コックスのちょっと歪み気味で硬質なベース・サウンドが僕好み。
- 4.Machine Gun
- DISC1と同じくこれも未発表音源。大晦日2回目のステージからです。
ちょっとだけイントロを弾いたあと、曲紹介から再びスタート。前半はおとなしく曲は進みます。バディ・マイルスのコーラスが入る部分まではもう1つ盛りあがりに欠ける感じ。
途中のオクタヴィアをかましたギター・ソロでは一瞬ヘンなスケールを使ったフレーズが光るけど盛りあがりきれず。
10分を過ぎがあたりからキレたギター・ソロが続きます。飛行機の爆音をイメージした音や、爆発する音。
エンディングはなんかまとまりに欠けている感じ。
- 5.Stepping Stone
- 曲紹介では "Ttrying To Be" と言っていますが、まだ決まっていなかったのでしょうか。ウッドストックでは "Voodoo Child (Slight Return)" の後半部分に挿入されて演奏されていました。
スタジオテイクは FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN や WAR HEROES で聞くことができますが、こちらはミッチ・ミッチェルのドラムになっていて、オリジナルであるバディのヴァージョンは KISS THE SKY や CORNERSOTNESに収録されています。
- 6.Stop
- 重心の低いドラムにソウルフルなコーラスの掛け合い。エクスペリエンスとは明らかに違うものがここには存在しています。
オクタヴィア使用のギター・ソロがこの曲にアクセントを付けています。エンディングが印象的。
BAND OF GYPSYS (+3) に収録されていた音源のリマスター・ヴァージョン。
- 7.Earth Blues
- これは珍しい。この曲を聴くとレインボウ・ブリッジの映画を思い出します。
スタジオ・テイク (RAINBOW BRIDGE, FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN) において女性コーラスだった部分をバディがハイトーンでがんばっています。
ギター・ソロですが、スタジオ・テイクでは聞くことができないすごいフレーズのオン・パレード。飽きさせません。エンディングもグッド。
- 8.Burning Desire
- これも珍しい。ジャズ風に始まるけど、ズン・ズッ・チャーのいつものノリになります。展開がめまぐるしく、リズムチェンジや転調もあったりして、組曲風、複雑なアレンジの曲です。
よくこれだけ変化するフレーズが出てくるものだと聞きながら思いました。
オリジナルは LOOSE ENDS に収録されていました。
- 9.Wild Thing
- イントロのリフ、モンタレーの時のチリチリというノイズ混じりの歪みに比べると少し大人しめ。
最後の方、キコキコ歯で弾いている音がしてるので、ファン・サービスといったところだったのでしょう。
わりとあっさり終わってしまい、少しもの足りませんでした。
●フィルモア・イーストでのセット・リスト
太字はアルバム収録曲
December 31 (1st show)
December 31 (2nd show)
- Auld Lang Syne
- Who Knows?
- Stepping Stone
- Burning Desire
- Fire
- Ezy Ryder
- Machine Gun = LIVE AND UNRELEASED / LIFELINES
- Power Of Soul
- Stone Free / Sunshine Of Your Love
- Changes
- Message To Love
- Stop
- Foxy Lady
- Voodoo Child (Slight Return)
- Purple Haze
January 1 (1st show)
January 1 (2nd show)
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