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 第6章 沖縄県 太平洋上の南大東島(2001年 1月)
     26.南大東島へ

◆◇◇◇◇◆ 旅のフィールドノートから ◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆
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☆これまでの旅☆
南大東島へ行く前の、那覇と首里でいろいろ見て、聞いて、食べて、琉球の歴
史に触れて、観光もとうとう終わり。ついにこれから南大東島。いろいろあっ
て飛行機で行きます。久しぶりの飛行機だ。さあさあこれから、空港へ。
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●那覇空港へ

 翌朝6時起床。まだ真っ暗。暖かいといっても、真冬なのだ。
 7時前にユース出発。宿泊費はすでにチケットで支払っているので、特にす
ることはない。
 空はうっすらと青みかかっている。その空の下を5分も歩けば国道58号線沿
いのバス停「泊高橋」につく。
 124系統のバスを待っていると、時間通りに来る。渋滞で有名な那覇のバスも、
こんな早朝なら遅れない。空港まで200円。
 20分もしないで空港に到着。途中、国際ユースホステルの近くにある明治橋
のたもとにA&Wを見つけた。沖縄に来てはじめて見たA&Wなので、うれし
い。

●那覇空港

 空港に到着してすぐにチェックイン。結局荷物は8.3キロ。10キロを超えると
別料金ということで資料など重くてすぐに使わないものを中心にゆうバックで
送ったが、努力の甲斐があったということだ。
 着陸のときに大東島が見える方の窓際がいいというと、わざわざ電話して聞
いてくれた。ところが朝が早くて事務所がしまっているので、搭乗の30分前に
来てくれといわれた。そのときに変更してくれるそうだ。なんて親切なのだろ
う。
 あずけ荷物のX線チェック無し。機械のところに誰もいなかったので、その
まま持って行ったらOKになった。これでいいのだろうか?
 前の女性は二人とも手荷物を持っての体重チェックがあった。荷物を持った
まま計量機に乗る。が、ぼくにはない。きっとぼくが乗るのよりも小型の飛行
機でちがうところに行くのだろう。

●やっとA&W

 空港にはA&Wがあるはずだ。やっと、ルートビアが飲める。チェックイン
が済んだらさっそくA&W探しだ。そのために空港に早く来た。
 空港に来る前に、バスの中で明治橋の近く、那覇国際ユースホステルの前で
見つけたのだが、もちろん寄ることはできなかった。
 那覇空港といってもそれほど広くないので案内板ですぐに見つけた。これが
今回のA&W初体験。まったく予想しなかった展開だ。
 甘酢カツオサンドコンボ703円。内容は甘酢カツオサンド。ポテトS、大きな
カップに入ったルートビア。
 味は相変わらずで、ポテトもルートビアも前年タイで食べた味と同じだ。し
かし、高い。気分的には、モスよりも割高感がある。
 甘酢カツオサンドは、名前から想像したとおりの味。いや、ちょっと辛い。
千切キャベツがドムドムのようだ。

●ルートビア

 日本の支店のほとんどが沖縄にあるというアメリカ系のハンバーガーショッ
プであるA&Wだが、YHさんの話では主力商品であるはずのルートビアの人
気が無いという。店が減っていく理由もこのためだろうか。
 そのルートビアだが、トレイシートの説明によると、ルートビアの「ルート」
とは木の根っこのことで、もともと美味しい薬としてアメリカ人が考え出した
ということだ。
 その味については、沖縄出身の小説家の神野オキナ氏はその小説の中でこう
表現している。

   初めての人間は「飲む炭酸入りシップ薬」とたじろぎ、なれた人間は
  「ブロン液とは似て非なる、この味がたまらない」と評する独特の風味が
  ……

 神野オキナ『あそびにいくヨ3 たのしいねこのつかいかた』
 メディアファクトリー 2004

 これは絶妙なたとえだ。日常的にルートビアが存在する沖縄の人でも、なれ
ない人はたじろぐ味なのだろう。

●不快なボディチェック

 ひさびさのA&Wだが、あまりのんびりして乗り遅れてしまうと困るので、
食べ終わるとすぐに登場口へ向かう。
 例によってセキュリティを通るのだが、ゲートを通るときチャイムが鳴った。
カギもなにもないのにベルトのバックルだろうか。やばいものは何も持ってい
ないので、鳴っても平気だ。
 ゲートの次は、手に持った機械でチェックされ、それでも反応があるのかボ
ディチェックをされた。ベルトのあたりを念入りに。体の外側はもちろん、ベ
ルトの隙間からズボンの中にまで手を入れられた。もちろん、そんな深くでは
ないが。
 外国に行っても体をここまで調べられたことはない。担当者が女性だったの
で、考えようによってはセクハラだ。
 まあ、それもしかたないとあきらめたが、そこまで執拗な調べ方をする説明
はまったく無かった。いきなりベルトのところから手を入れ、そのまま終わっ
た。
 しかし、職務なのはわかるが、「失礼します」「失礼しました」くらいの言
葉はあってもいいと思う。こちらはなにも悪いことはしていないし、服装今ま
で何度も海外に行っている服だ。だからこちらに何らかの落ち度があるわけで
はないはずだ。だから、とても気分が悪い。
 彼らの失礼な態度はともかく、自衛隊と共用している空港だからきびいしい
のだろうか。と思ったが、この二年後に那覇空港を使ったときは、アラームは
ならなかった。よくわからない。

●飛行機は小さい

 気を取り直して、待合室に待機する。これから乗る飛行機DHC−8はとて
も小さいので広い待合室にいる人間はまばら。それでも、満席のはずだ。
 8時50分、いよいよ搭乗開始だ。外に待っているバスに乗り込み。何十人も
乗れない小さなプロペラ機だから、当然のことだろう。
 バスの中を見回すと、ネクタイにビジネスカバンという通勤するようなスタ
イルの人が目立つ。荷物の量からも泊まりには見えない。日帰りだろう。それ
から、作業着で手ぶらの人たち。彼らも島で作業をして日帰りするのだろう。
 このような、まるで通勤の電車のような雰囲気の飛行機など、今まで一度も
乗ったことはないし、これからものることはないだろう。
 これから乗るよりも小さな飛行機に乗ったという旅人は多いが、日本の日常
的な通勤風景そのままの飛行機というのは、外国でも、もちろん日本でもそう
経験できることではないだろう。
 バスは空港の端にぽつんと止まっている小さな飛行機に向かって走っていく。

○駐機場のDHC−8
 駐機場のDHC−8

●小さくても旅客機だ

 小型機なのでドアを兼ねているタラップを数段上るともう機内だ。
 前から乗り込み。荷物は後のドアから後部に入れられる。座席は中央の通路
を挟んで左右に2席ずつの一列四席だ。
 こんなに小さいにもかかわらず、ちゃんとスチュワーデスはいる。琉球エア
コミューター(RAC)のスチュワーデスだ。飛行機は小さいが今日は快晴、いい
フライトになるだろう。
 一気に乗り込んで32名満席。9時3分、ドアが閉まる。ぼくの席はプロペラ
の真横。プロペラ機に乗るのははじめてだ。
 エンジンが動き始めると、聞きなれたタービンの音ではなく、扇風機のよう
な空気を切り裂く音がする。
 小型機といっても、旅客機。機内にはテレビはないが、スチュワーデスが救
命胴衣の使い方を説明してくれる。
 9時7分、動き始める。機内での説明では飛行時間は50分らしい。小型のレ
シプロ機といえどもフェリーとは比べ物にならないほど速い。フェリーなら半
日かかる。
 飛行機はゆっくりと動き出す。那覇の空港は自衛隊と共用しているので、あ
ちこちに軍用機が見える。F−4EJという古い機体から、F−15Jのよう
な比較的新しい機体。それから、プロペラ双発の偵察機だろうか。
 滑走路を前に飛行機が止まったと思うと、滑走路を3機のF−15が次々と
離陸していった。1個小隊の訓練飛行だろうか。
 すごい音がするが、それはすれ違う一瞬だけ。さあ、いよいよ離陸だ。

○那覇空港から離陸するF−15J
 那覇空港から離陸するF−15J

●つづく●
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