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第6章 沖縄県 太平洋上の南大東島(2001年 1月)
25.沖縄5 沖縄のお茶
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☆これまでの旅☆
南大東島へ行く前に、見るものいっぱい那覇と首里。おいしいおいしい食べ物
を、いっぱいいっぱいもぐもぐ食べると、のどが乾くのは自然の摂理。という
ことで、沖縄で出会ったお茶をいろいろ紹介いたします。
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●ぶくぶく茶の生まれ故郷
首里城の近くには、沖縄の民俗的お茶のぶくぶく茶が飲める喫茶店のかーり
ーさんふぁんがある。首里に行ったついでにこう。と思ったのだが、この日は
定休日。ぶくぶく茶飲めなかった。残念。
ぶくぶく茶というのは、お茶を泡立てたものだ。同様のお茶は本土にもある。
関連はわからないが、なぜか海沿で北前船の航路、そして沖縄だ。
現在、どの地方でもこの習俗は失われたか、かろうじて有志によって伝承さ
れている程度であるというところも共通している。というわけで、今の沖縄の
人でも知らない人は結構いるらしい。
それから単純に考えると、第二尚氏時代後期(本土では江戸時代)に、北海
道の昆布を運ぶ船員たちによって広められたとも考えることができる。
ところで、島津侵入以後(1609年、江戸開幕の3年後)の琉球では、清朝に
対して表向きには日本色をすべて消して、「琉球風」に装わなければならなか
った。そのころ「琉球風」として中国の冊封使に供せられたのがぶくぶく茶だ
という。
ということは、実は琉球発祥で、それが日本へへ広がったという可能性も考
えられる。今のところ、歴史的な根拠を見つけることはできていないが。
●さんぴん茶について考える
図書館で資料を集めまくって夕方、一度民宿に戻って荷物を置いて再出発。
足は自然と牧志周辺の商店街に向かう。ここが一番飲食店を見つけやすい。そ
れに、色々な店があるのがいい。
小さなスーパーのミヤギミート。ここではお茶を買う。清明茶450円とばらさ
んぴん100グラム180円。清明茶もさんぴん茶も、簡単に言うとジャスミン茶だ。
どうして名前がちがうのだろうか。
沖縄のお茶といえば「さんぴん茶」が有名だが、これは沖縄特産のめずらし
いお茶ではなく、中国から輸入したジャスミン茶だ。
中国では、ジャスミン茶を「茉莉花茶」と書くが、「香片茶」とも書くこと
がある。で、この「香片」が中国語の共通語(北方方言)では「シャン・ピァ
ン」というような感じになる。
これが「さんぴん」の語源なのだろうと思うが、沖縄と関係の深かった福建
や、現在も関係が深い台湾のビン南語でも、この発音なのかどうかはわからな
い。
●132万人に無数のブランド
で、この沖縄のさんぴん茶のすごさは、飲料として販売されているメーカー
の数にストレートに現れている。
ぼくが確認しただけで、UCC、ダイドー、ポッカ、バヤリース、森永と本
土系の大手飲料メーカーが参入している。ただし、すべて沖縄の系列会社がつ
くっているので、基本的に沖縄限定商品なのだろう。
また、琉仁などの沖縄メーカーも参入していて、さながらさんぴん茶戦国時
代のようだ。
これらのメーカーに共通していることは、すべてが黄色から黄土色あたりを
イメージカラーとしていることだ。黄色については「うっちん茶」のイメージ
カラーでもあるが。
そういう状況の中で、伊藤園は本土でも販売されているジャスミン茶を販売、
この製品名の違いがどのように販売数に現れているのかが気になるところだ。
と思っていたら、この2年後には伊藤園もジャスミン茶からさんぴん茶に名
前を変えて販売していた。やはり、ジャスミン茶では売れなかったのだろう。
味については、ひとつだけ「これは……」というのがあったが、これだけブ
ランドが多ければどれも似たり寄ったり。売上は露出度に大きく左右されるだ
ろう。
●さんぴん茶の消費者
商店街を見ていると、あちこちに無数にあるさんぴん茶。本土では「さんぴ
ん茶」という名前がまだマイナーなことから考えると、市場は沖縄県だけ。そ
のせまい市場でこれだけの種類が発売されていると言うことは、それだけ沖縄
での消費量が多いと言うことだろう。
もちろん、さんぴん茶の茶葉もいろいろな等級や種類があり、一つのメーカ
ーでも等級を細かく分けているところもある。本土の中華街などで売っている
黄色い缶に入った輸入品もある。
中には日本語が印刷されているものもあるので、これも沖縄の消費量がかな
あり多いことを反映しているのだろう。
なにしろ、全県をあわせても東京の区部の6分の1の人口しかないのに、こ
れだけの種類があるのだから。
●沖縄とお茶
沖縄にはさんぴん茶以外にも清明(しーみー)茶と言うお茶がある。見た目
も味もさんぴん茶だ。
その都市の最初の茶摘の時期である清明節に摘まれる特別なお茶ということ
だろうか。実際、ぼくが行ったときには清明節前だったので、ほとんど見かけ
なかった。
しかし、このさんぴん茶と清明茶は、沖縄名物といってもつくられているの
は中国だが、実は、沖縄でもお茶の木が栽培されている。もちろん、出荷も日
本一早いようだ。
しかし、スーパーや茶葉店を見る限りは、まだまだブランドとして集客でき
るほどではないようだ。「沖縄茶」と書かれているお茶はほとんど見たことが
ない。
やはり、日本茶のブランドといえば、静岡が幅を利かせている。有名な茶所
でも、スーパーのお茶のコーナーでは伊藤園が一番目立つ。
それ以外には、ゴーヤーを乾燥させたゴーヤー茶や、お茶に様々なものを混
ぜた健命茶、お茶以外の植物を利用したお茶がある。こういうものが豊富なと
ころは、お茶が取れないところによく見られるが、沖縄もお茶が取れなかった
地域なのだろう。
たしかに、沖縄は日差しが強く台風が多い。塩害に弱いお茶は育ちにくそう
なところだ。
●UCCの鴛鴦茶
国際通りは、沖縄の歴史あるショッピング街であると同時に、沖縄の観光地
の一つでもある。だから、土産物屋が軒を連ねているところもある。
国際通りのちょうど真中、沖映通の角にUCCカフェ・メルカードという世
界のコーヒーをメニューにしている喫茶店がある。店の前にいくつかのおすす
めが書かれたボードが置いてあった。その中に鴛鴦茶(えんおうちゃ)をみつ
けた。
鴛鴦茶とは日本ではめったにお目にかかれない飲み物だ。しかし、香港やマ
カオの喫茶店や食堂でごく当たり前に飲めるのだ。広東語では一般的には「イ
ンヨンチャ」と呼ばれているらしい。
紅茶とコーヒーという陰と陽の飲み物を合わせたと言う、陰陽説にあわせた
飲み物ということだ。
「鴛鴦」はおしどりのことで、これが紅茶とコーヒーの組み合せを表してい
るのだろう。
●コーヒー? それとも紅茶?
で、味のほうは、紅茶とコーヒーとミルクと砂糖を混ぜたものなので、紅茶
風味のカフェオレというのが香港やマカオで飲んだぼくの飲んだ感想だ。
さて、沖縄の鴛鴦茶だ。中に入ると、暑い! 客の回転をよくするためだろ
うか。水にはレモン入り。もしかすると、沖縄の水はおいしくないのだろうか。
大阪よりもまずいということは無いと思うが。
いや、そんなことよりも鴛鴦茶味だ。この店での名前は「インヤン茶」。練
乳、コーヒー牛乳、コーヒー、茶色い泡の四層になったすました感じの飲み物
だ。
味は少々水臭い? それとも、別れているそれぞれの味を混ぜてから飲むの
だろうか? ともかく、香港やマカオで飲んだような「コーヒー風味の紅茶」
という感じはなく、変わった味のコーヒーという感じだった。値段は420円。高
いのか安いのかわからない。
沖縄観光のついでにちょっと立ち寄っても、香港気分は味わえないかもしれ
ない。それに、多くの人にとっては沖縄に行くよりも直接香港に行って鴛鴦茶
を飲むほうが旅費が安いだろう。
しかし、UCCということは、ポートアイランドの博物館に行ったら飲める
のだろうか? あそこはUCCがつくった博物館だが。
●つづく●
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