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 第6章 沖縄県 太平洋上の南大東島(2001年 1月)
     24.沖縄4 沖縄の味

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☆これまでの旅☆
南大東島へ行く前に、いろいろまわったのは那覇と首里。お城に行ったり山に
登ったり。見るものいっぱいありますが、おいしい食べ物もいっぱいあります。
有名なものからあまり知られていないものまで。いろいろ紹介いたします。
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●むーちー

 内金城嶽(うちかなぐすくうたき)のところで書いた「むーちー」だ。
 「むーちー」とは、「餅」のこと。琉球方言の母音は標準語の「O」が「U」
に変化する。つまり、「m[o]chi」→「m[u]chi」ということだろう。
 お菓子として沖縄では売られているが、冬の特別なときにつくるもちの一種
だ。
 このむーちーが冬のものだと言うのは、2年後の6月に訪れたときには、ま
ったく見かけなかったことで納得した。
 むーちーを売っている店の一つが、牧志市場の近くにある商店街の松原屋製
菓。どの種類も1個300円。だから、3種類買った。
 むーちーは、見た目も餅だ。ただ、もち米を杵で搗いたもちではなく、羊羹
のような歯ざわりのもち米粉を練って作ったもちだ。
 そのむーちーには種類がある。黒糖と紅芋と白。どれも月桃(さんにん/ゲ
ットウ)という植物の葉でくるんでいる。そう、本土のチマキと同じようなも
のと思えばいい。

○プレーンの白

 粉を練った餅だから、時間がたっても柔らかい。なんとなく薬っぽい味がす
る。それは餅本来の味ではなく、くるんでいる月桃の葉のせいだ。
 チマキに笹の葉が使われるのと同じ意味で、月桃の葉には殺菌効果があるら
しい。年中通して気温が高い亜熱帯の沖縄だから必要なものだろう。
 月桃の葉は殺菌効果があるというだけに独特の風味があり、それが苦手な人
は食べることができないだろう。
 包んでいる葉をはいでいくと、中から現れたムーチーは、少し黄色がかって
いた。おそらく、月桃の色が移ったのにちがいない。
 そして、味は甘くも何とも無い。チマキのもちは甘い。だから見た目から勝
手に甘いものと思い込んでいたのでちょっと驚いた。しかし、これが昔ながら
の味なのだろう。

○黒糖

 こちらも同じように月桃の葉でくるんでいるが、色は黒っぽい。例の月桃の
風味は同じで、味もそれほど甘くないが、その分黒糖のえぐみも無い。

○紅イモ

 こちらの色は紫。あまりベニイモの味はしない。どの餅もあまり濃い味付け
がされておらず、逆に月桃の風味が強く、それで味が決められてしまうように
感じる。
 だから、月桃の風味をどう感じるかで、むーちーに対する評価は正反対のも
のになってしまうだろう。

●ぎぼ饅頭

 むーちー以外にも沖縄名物のおかしはいろいろある。
 首里には人気を二分する首里二大饅頭なるものがある。山城饅頭と、ぎぼ饅
頭だ。いずれも餡がたっぷり入った白い饅頭で、月桃のはでくるまれていると
いう。
 ぎぼ饅頭の方は、饅頭の表面に赤く大きな「の」の字を書いてくれるので
「のーまんじゅう」の愛称がある。ぼくは「の」の字が気になって、ぎぼ饅頭
の方に行くことにした。
 県道82号線の儀保交差点の近く、道からちょっと入ったところにあるが、ガ
イドブックの地図を見ながら迷わずいくことができた。
 「ぎぼまんじゅう」という幕がかかっていて、近づけばすぐわかる。民家の
軒先で売っているという感じで、店は田舎のよろず屋という雰囲気がある。
 1個100円。日持ちしないのでその日のうちに食べなければならない。蒸した
てをその場赤い「の」の字を書き、月桃の葉でくるんで終わり。
 見た目も食べた感じも基本的にはあんまん。おいしいが、やはりこれも月桃
の風味があるので、好き嫌いの別れるとこだろう。もし、月桃が嫌いならその
旨伝えれば、月桃無しでも売ってくれる。
 しかし「の」には何の意味があるのだろうか。どうみても、味や形などに影
響を与えていない。謎だ。
 もちろん、「怪傑のーてんき」とはまったく関係ないだろう。

○ぎぼ饅頭製造販売
ぎぼ饅頭製造販売

●さーたーあんだぎー カボチャ

 沖縄名物のお菓子で有名なのは、やはり丸いドーナツのさーたーあんだぎー
だろう。もちろん、沖縄のあちこちで売っているが、ぼくはどうしても平和通
商店街の松原製菓へ行ってしまう。
 この店で揚げたてを売っている。何種類もあるが、カボチャを買う。1個100
円。
 味はかぼちゃ? と言う感じで、迫力は無いが、中が黄色いのは、カボチャ
らしい。ここのさーたーあんだぎーはいろいろ食べたが、やはり基本形の黒糖
が1番だと思う。

●らふてぃー

 沖縄でどうしても食べたかったものの一つが、沖縄風東坡肉のらふてぃーだ。
どこで食べることができるのかわからないので、とりあえず牧志市場の2階の
食堂街へ行った。
 予想通りいくつかの店のメニューにあった。いろいろ悩んだ結果、ある店に
入った。らふてぃーが500円、ごはん大盛り100円。量は十分。おいしい。
 ほかの店が800円なのであまり期待していなかったが心配無用。ただ、定食に
なると千円になる。
 通常、沖縄ではおかずにはごはんや一品ついてがついて「定食」と書いてい
なくても定食になっていることが当たり前だが、「定食」というメニューがあ
ることが、ここが観光客向けになっていると言う証だろう。
 らふてぃーのような食べ物は、中国にも本土にもある。本土は豚の角煮、中
国は東坡肉(とんぽうろう)。この三者がどのような関係にあるのかよくわか
らないが、らふてぃーも豚の角煮も東坡肉が元になったにちがいない。
 もともと、沖縄の食文化は中国漢族のものに似ていると感じるところが多々
ある。たとえば、炒めものは中華鍋を使うなど。だから、日本から伝わったと
言う可能性は低いように感じる。

●へちま

 いろいろ文化について考えながら国際通りをうろついているうちにに時間は
夕方。18時24分、20℃。風があるので少し寒いが、Tシャツ+シャツで十分。
さすが沖縄だ。
 今日の夕食は、あかさたな。国際通り沿いの見るからに観光客向けの食堂。
店内は広く、内装も観光客向けっぽい。
 注文はなーべら味噌煮とごはん大盛りで600円。なーべらとはへちまのことだ。
食べたかったむじちゃんぷる品切れだった。残念。
 なーべらはニンニクの味でコクがあっておいしい。付いてきたのりのおすま
しもおいしい。
 いかにも観光客向けで、とちょっとばかにしていたのだが、なかなかどうし
て、ばかにできない。しかし、若干値段が高めで量が少ないところはやはり観
光客向けだ。

●島豆腐

 沖縄県立博物館の近くに酒処一乃と言う店があった。居酒屋のようだ。訪れ
たのは昼なので食事ができた。居酒屋だから昼食の時間は暇なのだろうか、二
十歳すぎくらいの若い女性が一人でやっていた。
 食べたのはとうふちゃんぷる500円。沖縄では、このようにおかずの名前だけ
書かれていても、そこには漬物やごはん、みそ汁などがつく定食となっている。
「定食」がつくのは、観光客向けの店くらいだ。
 さて、とうふちゃんぷるだが、ほかのちゃんぷる料理と同じように豆腐を炒
めたうす味の食べ物だ。もちろん、豆腐の炒め物と言うのは、本土の柔らかい
やつでは難しい。沖縄の固い豆腐だからこそできる料理だ。
 味の方は、家庭の味のようにおいしい。見た目は二十歳そこそこの女性がつ
くっているのにちょっと意外だった。

●つづく●
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