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 第6章 沖縄県 太平洋上の南大東島(2001年 1月)
     58.那覇から帰りのフェリー

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☆これまでの旅☆
特別な気象台とサトウキビのふしぎな自然いっぱいの島。道には石敢當とお地
蔵さん、お祭りの神社も琉日折衷。荷物のようにクレーンで吊られて、船に揺
られて南大東島ともお別れして、ついに沖縄ともお別れの日がやってきた。
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●帰りのフェリー

 南大東島から帰って来るときちいさな「だいとう」は盛大に揺られたが、は
るかに大きいにもかかわらず、東シナ海へ出るとゆっくりとゆれはじめた。
 船員の話でも、海はシケているらしい。とはいえ、だいとうのことを思えば
まったくゆれていないのに等しい。
 しかし、海を見ると朝よりもうねりが大きいような気がする。ということは
これから揺れるのだろう。それならば、まだそれほど揺れていない今のうちに
夕食を食べてしまおう。
 得てして、フェリーの食堂というのは高くてまず。というか安かったことも
おいしかったことも一度も無い。高くてもおいしければいいのだが、まずいの
だからどうしようもない。
 ということで、スーパーで沖縄らしい弁当を買ったのだ。

●沖縄の味

 夕食は、国際通りの商店街で買ったジューシーおにぎり、ヒジキ入り。食べ
てみると、本土の炊き込みご飯と味が違う。少しすっぱいような感じの味。
 おにぎりのほかはカップ麺。沖縄でしか売っていないものを買った。那覇に
いるときには、やはり食堂で食べたい。だから、帰りのフェリーでカップラー
メンを食べることにした。
 マルちゃんの「沖縄そば かつおとソーキ味」。スープは沖縄そばらしくあ
っさりした味。麺もインスタントながら沖縄そば風に仕上げてある。そのため
か、お湯を入れてから5分待たなければならない。
 具もチャーシューではなく沖縄風ブタの角煮のラフティが入っている。ただ
し、向こうが透けて見えるほど薄い。
 「ソーキ味」とあるので、ソーキ(ブタのあばら骨つきの肉)が入ってるか
と思ったのだが、カップ麺だから、しかたないだろう。
 この味だったら、沖縄以外でも普通に売れると思うのだが、近所のスーパー
では見たことはない。あるときは、沖縄物産展のときくらいだ。残念。

●大きな船はいい

 夕食も済んで18時半。本部半島沖の水納島と瀬底島の間を抜けていく。揺れ
が次第に大きくなってきているように感じる。
 3階のデッキへ出るドアが閉鎖中。揺れで海中に落ちることを防ぐためだろ
う。
 浴室も閉鎖、翌日の昼ごろ再開予定。揺れているときの風呂は面白いので好
きなのだが。
 しかし昨夜はだいとうの中にはシャワーすら無く体を洗えなかったのだが、
お風呂に入れるのは明日になりそうだ。冬でよかった。
 21時前に与論島到着。30分ほどおくれている。だから5分ほどですぐ出港。
あわただしい。
 このままいくと、次の沖永良部島の和泊の到着が20分の遅れに短縮できるこ
とになる。
 翌日、船員が言うには海は大シケだったらしい。しかし、だいとうに乗って
るよりもはるかにましだった。大きい船は揺れなくていい。

●種子島と宮崎

 8時、船内の明かりがつく。10分後には朝食券の販売がはじまる。食事が始
まるのはその少しあとだ。
 乗客が少ないのでインフォメーションで食券の販売が行われる。食券を売っ
た分だけつくればいいので効率的ということだろう。
 夕べほどではないが、まだ揺れている。浴室へ様子を見に行ったら開いてい
たので入ることにした。二日ぶりの風呂。すっきりした。
 それから甲板に出てみると、右に高速船が平行して走っているが、島影無し。
いつのまにか船の揺れが左右のローリングから前後のピッチングに変わってい
た。どこを進んでいるのだろうか。
 航路のモニターが朝からフリーズしているので現在位置がわからない。陸が
見えてないのでトカラ列島まで来ていないのだろう。

●宇宙開発事業団

 12時前に携帯のアンテナが2本立っていた。陸が近いのだろうか。果たして
陸地が見えてきた。種子島の東を航行中だという。
 甲板に出でてみたら宇宙開発事業団のロケット発射場が見える。しかし、行
きの時に見た袖ヶ浦の発射場よりも遠い。
 沖縄まで何度も船で往復しているが、行きと帰りで日本に二つあるロケット
発射場の両方が見れるとは思っていなかった。
 今は省庁再編で科学技術庁と文部省が文部科学省となるにともない、三つあ
った宇宙関連の団体が一つに統合された。
 ロケット打ち上げも将来は有名な種子島に一本化されるのだろうか。

○往路のとき見た鹿児島のロケット発射場
「南大東島03.船〈往路〉2 宇宙科学研究所のロケット発射場」

●東シナ海と太平洋の狭間

 しかし、屋久島が見えなかったし、すでに種子島の東にいるので、夜中の内
に東シナ海から太平洋に出たようだ。
 通常は薩南諸島を西に見ながら東シナ海を北上、トカラ列島をすぎてから種
子島の北を太平洋へ出るのが航路だ。きっと東シナ海の方が荒れていたのだろ
う。
 このように、南西諸島の西と東、つまり太平洋と東シナ海でうねりがまった
くちがうことは中国への船旅でも経験している。
 南西諸島は、ぽつ、ぽつ、と島があるだけだが、それでも海を東西に分ける
働きがあるのだろう。
 単に名前が違うだけでなく、海そのものもちがうと言うことを今回も実感し
た。

○沖縄近辺の略地図
 「13.沖縄1 琉球史概略年表・琉球付近概略地図」

●宮崎、半舷上陸?

 すでに太平洋に出ているので、そのまま宮崎港へ向かう。
 さあ、昼食だ。サン食品の沖縄そば。今回買った3社の中で唯一の沖縄メー
カー。しかもほかよりも50〜60円高い。待ち時間は3分。チャーシュー付き。
ダシはカップうどんのように妙にカツオダシが効いた味。個人的にはマルちゃ
んのほうがおいしい。
 昼食もすんでひと息。14時ごろにはうねりはほとんど無くなった。よかった。
 15時ごろ、鹿児島が見えてくる。船内気温25℃。船外は寒い。15℃くらいだ
ろうか。沖縄からどんどん離れて、北に来ているのが実感できる。
 沖縄にいたから気温に対しての感覚だおかしくなっているが、今は1月の末
なのだ。
 16時、日南沖らしい。予定通り宮崎入港だろうか。宮崎に近づくと海の色が
ライムグリーンに変わった。それだけ海が汚れているのだろうか。いや、たし
か水深が浅いせいだ。
 17時半、遅れて宮崎港に接岸。遅れているので荷役作業終了次第出港するの
で船から下りないようにと船内放送。半舷上陸して、お土産用にあく巻き買お
うと思っていたのだが、残念。

●昨日が嘘のように

 18時すぎ出港。雨が降っている。明日は大阪。今のところ、明日の6時50分
大阪港入港予定だそうだ。その頃には雨はあがってくれるだろうか。
 それでは、夕食を食べよう。今度は明星沖縄そば。沖縄では食べる暇がなか
ったので、フェリーではカップのインスタント沖縄そばばかり食べている。
 これから食べるのは、明星だが沖縄明星がつくっているので沖縄県産品とフ
タに書いてある。
 これもマルちゃんと同じ待ち時間は5分、サン食品とおなじようにチャーシ
ュー付き。
 3社の中ではもっともダシがおいしいが、かなりラーメンに近いような気が
する。そのため沖縄そばらしさはあまり感じられない。
 食事も終わって20時。まったく揺れず、昨日がうそのようだ。

●最終日

 6時前に目が覚める。外はまだ暗い。すでに大阪湾内のようだが、航路を表
示してくれるはずのモニタがフリーズしたままなので位置はわからない。
 船員と客の話からすると入港は6時45分のようだ。早い。しかし、その時間
になっても入港の気配はない。7時45分の間違いだろうか。
 外は10℃弱。思ったほど寒くない。荷物を減らすために沖縄では必要の無い
真冬の大阪に合うような防寒具は持っていない。
 関空沖通過。りんくうタワーらしきものが見える。いや、関空の管制塔のよ
うだ。
 7時20分日の出。雲があるので実際よりも多少は遅いだろう。明るくなった
まわりには大型船だらけだ。さすが大阪湾。
 8時前、大阪南港のフェリーターミナルに到着。船は神戸まで行くので、ま
だ乗ったままの人もいる。
 結局、下りたのは4人だけ。沖縄からは、ぼくを含めて2人。あっと言う間
に全員下船。
 これでぼくの沖縄・南大東島の旅は終わった。

●フェリーの航路

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●つづく●                    Copyright 2004-2008 Fieldnotes. □□□□▲旅のフィールドノートから▼□□□□□□□□□□□□□□□□□
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