バイキン純生 よりつづく
ヒトと共生するバイキン |
100万種を超える微生物のうち、ヒトには、少しの原虫類、数十種の真菌類、700種の細菌類が棲みついている。 そのうち、口の中には、300〜400種の細菌がいると見られる。(1224) |
唾液の中にいるバイキン |
ヒトの唾液の中の細菌の量は、1ミリリットルあたり10の8乗から9乗個といわれる。 ちなみに、体の皮膚表面は、1センチ平方あたり10の5乗、耳では10の6乗、鼻の中はまた10の7乗であるといわれる。(1224) |
バイキンが住まないとヒトは生きられないか |
正常で健康なヒトには、その局所固有の細菌が住んでいるが、ヒトが生きてゆく上で、細菌の寄生は必須の条件ではないらしい。 無菌の環境で育てた動物は、その中で生涯暮らす限り、どうも長生きするらしいから。(1224) |
よそ者を排除するイケズ |
口の中の細菌は、外から新来の細菌がやってきた際に、それらが住みにくいようにする物質を作ったりして妨げる。 又住む場所を占領してしまって、よそ者がそこに居着けないようにする。(1224) |
毒のあるバイキンにはヒゲがある |
腸の中や口の中に定着する多くの細菌が、いろんな役目の繊毛を持っている。 たとえば、毒を産生する腸管大腸菌でも、腸の粘膜に付着するための繊毛を持たないと、病原性がないのである。(1224) |
口は居良いか住み良いか |
細菌は、必要な栄養素に恵まれ、適当なPH、温度、酸素濃度の下で、分裂増殖する。 口の中は、巷間、いわれているような好条件の場所とはいい難いようである。又お互いに優勢を維持しようと細菌同士が争って住み難くしている。(1224) |
菌軍基地問題 |
歯周病の原因は細菌感染である。歯肉縁下で、細菌集団同士は粘液を介して、独自の生態系を形づくっている。これをバイオフィルムという。 細菌は、多糖類で保護され、抗菌物質や免疫系に抵抗性を示す。また生体への菌や菌物質の補給源となり、侵襲基地ともなる。 |
歯周病菌の内毒素の効き目 |
細菌の産生する毒素には、菌体外に出す外毒素と、グラム陰性菌の外膜成分である内毒素とがある。 内毒素は、外毒素よりも毒性は弱いが、中和する抗体産生も弱い。これにより、じわじわと歯周の炎症や骨吸収を起こす。(1224) |
じゅげむじゅげむ… |
歯周病の原因菌と言われるものは多数あるが、その名前はとても長い。例えば、成人の歯周炎の原因菌として、ポリフィロモナス・ジンジバリスがある。略称Pg菌である。ほかに、Bf菌バクテロイデス・フォーシンサス、Td菌トレポネーマ・デンティコーラ菌。 若年者の歯周炎の原因菌は、アクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンス菌、略称Aa菌である。 |
お母さん、歯を磨いた? |
虫歯の原因菌であるミュータンス菌は、連鎖球菌ストレプトコッカスのひとつで、歯が生えてから、主に歯と歯茎の縁のプラークに住む。 母子間の垂直感染が明らかにされており、母親のミュータンス菌を減らすことが、子供の虫歯予防になる。(1224) |
虫歯の主犯ではないようだ |
乳酸を作り、酸性の強い中でも生きられる乳酸菌(ラクトバシラス)は、歯牙脱灰菌として、虫歯を作る主役とされてきたが、歯面への定着性が低いため、今では、虫歯の穴の拡大にかかわるという、助演者に格下げされた。(1224) |
女性ホルモンで元気付く菌もある |
歯と歯茎の間にポケットと呼ぶ隙間ができると、そこにはグラム染色陰性の菌が多くなる。 黒い色素を産生する嫌気性菌の一種であるプレボテラ・インターメディア菌、略称Pi菌は、女性ホルモンで発育が促進され、思春期性や妊娠性の歯肉炎を起こす。(1224) |
外毒素を出す菌もある |
歯周病菌のひとつであるアクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンス菌は、繊毛を持ち、ロイコトキシンという外毒素を産生する。 これに、内毒素と、繊毛などの付着性や免疫、酵素がらみの病原性を持つ。(1224) |
歯周ポケットで動き回る菌 |
位相差顕微鏡で見て、活発な運動性を示す菌は、鞭毛をもつセレノモナス菌とカンピロバクター菌である。 らせん状のスピロヘータは、軸糸を持ち、伸縮させて錐揉み運動をしている。歯周ポケットができると爆発的に増える。(1224) |
入れ歯にカビがわく |
掃除の悪い入れ歯のヌルヌルは、カビである真菌のカンディダ・アルビカンスである。レジンに付着しやすい。義歯床下粘膜に炎症を起こす。 このカビは又、抵抗力の弱った感染者や高齢者の口の中で爆発的に増えて、病原性を示す。(1224) |
続・お口のバイキンへ (工事中)