中興期後俳人短冊より

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雛祭盆三日よりあはれなり　　　 　　　　五明

海士の子の母よふこゑや秋の暮　　　　重厚

布?讃　にこやかな関取の腹福々し　　　嘯山

市中に閑ある夜話亭を訪らひけるは

仲秋望の日なりけれは

いちなかも月の扉となる夜哉　 　　　　　闌更

五明　吉川氏（本姓那波氏）、名了阿、小夜庵、一方庵、虫二坊、樟岡、披襟

舎、了閑人、半居士、鶴頭翁の号あり、梅隣門、秋田人、初め談林に入

り、美濃派を学び、後ち正風に帰す。享和三年没、享年七十三。

　　重厚　菅原氏、又、井上氏、落柿舎、椿杖斎、無名庵七世と号す、蝶夢門、京

　　　　　都人、初め嵯峨落柿舎に住し、後ち粟津義沖寺に移る、晩年明を失ふ、

享和四年没、享年六十三。

嘯山　三宅氏、名芳隆、字之元、滄浪居、葎亭と号す、宋屋門、京都人。享和

　　　元年没、享年八十四。

　　闌更　高桑氏、名忠保、称長次郎、半化庵、南無庵、三夜庵、芭蕉堂、花の本

　　　　　の号あり、希因門、加賀金沢人、京都住、初め医を業とす、俳諧の復古

　　　　　を唱へ、中興俳諧五傑の一人に数へらる、「枯蘆の日に日に折れて流れけ

　　　　　り」の句によって枯蘆の闌更と称せらる、寛政十一年没、享年七十三。

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