その四
寄書帖より 月斗・貞子
水仙の匂ひに暮れぬ三ケ日 貞子
海の春魚の春のさくら鯛
桜鯛大阪人の舌に乗る
尾の道は海を抱いてさくら鯛
桜鯛明石がすんで堺かな
時鳥今朝鳴きつるは早口に
時鳥木山は雨にぬれそぼち
舌たらずに大き聲のほととぎす
山も田も雨にぬれけり時鳥
時鳥毎日泣きぬ句成らず
昭和21年善教寺句会稿
月斗
梅雨の山に面りしつ寺の句座
寺障子梅雨のしめりの風に鳴る
寺庭の樹々の青さや梅雨の降
寺鄰庵にて(正氣亭)
窓外に大きな寺の梅雨の屋根
宇治の茶をかけてくれたり鯛茶漬
山居
我が几覗きに来たり時鳥 月斗