化政期俳人短冊より

 

 

 

阿伏兎の盤臺寺にほり

陽炎の欄に手は放され        帯梅

 

かきりなき海をむかふにきぬたかな  秋挙

 

雄島の夜またもつめたいめにあふた  乙二

 

江の上やしくるゝ山のものかたり    椿堂

 

 

帯梅

村瀬氏、暮雨巷三世と号す、暁臺門、尾張人、文政九年没。

秋挙

中島氏、称大乃進、曙庵、呂斎の号あり、士朗門、三州刈谷土井侯の家士、岡崎に住す、文政九年没、享年五十。

乙二

亘理氏、名清雄、松窗と号す、白居門、奥州白石千手院住職、権大僧都に任ぜらる、文政六年没、享年六十九。著「蕪村発句解」。

椿堂

徳田氏、名時生、字子行、称長兵衛、東竹庵、長峰と号す、士朗門、伊勢古市人、文政八年没、享年六十八。

 

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