月斗翁の大阪俳人「忠臣蔵見立」

 亀田小蛄

 

 

阪俳人忠臣蔵見立

(鵜川東京俳人対照見立)

 

塩谷判官      中村露石

 

寺岡平右ヱ門    片岡月兎

 

星野勘平      中村鬼史

 

斧定九郎      市川墨水

 

高野師直      尾上牛伴

 

桃乃木若狭之助   片岡秋窓

 

加古川本蔵     嵐別天樓

 

大星由良之助    市川青々

 

顔世御前      市川虚明

 

妻となせ      岩井素石

 

與一兵衛      片岡月村

 

 

斧九太夫      尾上北渚

 

おかる       片岡圭岳

 

鷺坂伴内      實川方閑

 

薬師寺治郎左ヱ門  片岡橡面坊

 

娘小浪       實川南窓

 

大星力彌      中村秋星

 

千崎彌五郎     市川烏人

 

石堂右馬之丞    尾上古泉

 

原郷右ヱ門     大谷一蓑

 

妻お石       中村愚哉

 

 

 

 

俳誌『くぢら』明治三十六年七月第一巻第七号所載。

(無署名なれども月兎作)

(前略)

一方何事も先駆創造的だった月斗翁は、青年時代から相当な劇通であった。今私は明治時代の爛熟期にある大阪劇壇も又偲び得るという、翁が当時の大阪俳人の誰彼を代表藝題の「仮名手本忠臣蔵」に見立てられし一表をゆくりなくも得たので、初春のお慰みにここに掲ぐることにした。

 所属なかなかに細かい。亦配役もそれぞれに微笑まれる。人別に市川、青々に門下烏人(巨口)虚明があり、嵐別天樓、岩井素石など一門一名の中立も面白く、親近なグループの代表を含める片岡一門月兎、月村、圭岳、秋窓各氏など御大を除いて今御健在なのはめでたい事である。ゆめ役不足を申されな。

(『春星』昭和三十四年新年号より)

 

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