パリ/ルーブル美術館(1)

 この巨大美術館について、なにから書き出したらいいのかと迷っているうちにずいぶんと時間がたってしまいました。すべてを見るには、少なくても1週間はかかると思えるこの美術館は、ヨーロッパだけでなくアジアやアフリカなどからの膨大な収蔵品で多様な顔を見せてくれます。私は、12、3回通ったのですが、とてもすべてを見ることは出来ませんでした。絵画は一通り見たつもりですが、流すように見たものがほとんどです。この美術館については、数回に分けて書くことにします。
 フランス絵画の優れた作品は19世紀に多く生み出されていると思うのですが、もっと古い時代のもので強く惹かれる作品が、アンゲラン・カルトンの「アヴィニヨンのピエタ」です。この弓なりになったキリストと聖母マリア、マクダラのマリア、ヨハネによる緊張感に満ちたドラマは、少々硬い描写と優れた調和を見せています。国際ゴシック末期のテンペラによって描かれた作品は、かなり痛みが激しいものの、十分にそのすばらしさを今に伝えています。
 この作品を過ぎて、右の方に行くとフランス絵画、左の方に行くとフランドル絵画の部屋があります。この作品とほぼ同時代の、フランドルの巨匠、ファン・アイクの代表作の一つ、「ロランの聖母」を見てみましょう。
 


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