2001年にロダン美術館を訪れました。多くのロダン作品の中で、私は、カレーの市民の表現性に惹かれました。一方で、この美術館を訪れると、ロダンの弟子で愛人だったカミーユのことを考えずにはいられなくなります。彼女は、ロダンのような偉大さは持っていなかったかも知れませんが、感性豊かな若い彫刻家でした。良家に生まれ文化的な環境で育ったカミーユは、純粋で一途な性格だったのでしょうか。ロダンにとっては芸術的なインスピレーションを与えてくれる女神のような存在だったのかも知れません。しかし、ロダンは若く貧しい時代を支えてくれた内縁の妻ローズを選びます。カミーユはやがて狂気に取り付かれ、亡くなる迄の３０年間精神病院を出ることはありませんでした。残されたカミーユの作品からは、優れた才能と感性を感じると共に、激しいロダンへの思いが表現され、見ていると恐ろしくも感じられてきます。この美術館には、ロダンの代表作と共に、カミーユの代表作も展示されており、二人が影響を与え合っていることや男女の関係についてもいろいろと考えさせられる，少々心に重たく感じる美術館です。ちなみに、カミーユの弟のポールクローデルは、詩人で外交官でしたが、日本との関係も深く、調べてみると興味深いです。