ブリュッセル/王立美術館

 

 2001年6月にベルギーを訪れました。目的は、ブリュッセルの王立美術館とゲント(ガン)の祭壇画を見るためです。美術学校の授業が終了し、課題提出の期間を利用した2泊3日の旅です。パリからブリュッセルまでは、TGVで2時間ほどで着いてしまいます。ブリュッセルは、フランス語圏で文化的な共通性を街の作りからも感じますが、建物やドアの色などに赤が多く、その色が空一面を染める夕焼けの色にとけ込んで、不思議な感じがします。
 この美術館には、世界に知られた大傑作ではないが質の高い佳作がたくさんあります。初期フランドル絵画は、ファンデル・ウエイデンやクリストゥス、デルク・バウツ、マサイス、メムリングなど巨匠の重要な作品が収蔵されていますし、ボス、ブリューゲルの重要な作品、ルーベンスやヨルダーンス、また、私としては嬉しい、象徴主義の画家達の代表作を見ることが出来ます。
 最初の作品は、ボッスの「聖アントワーヌの誘惑」です。ところで私が新鮮に感じたのは、クインテン・マサイスの三連画です。地の色を生かしたと思われる軽やかな色彩は現代に通じるものを感じましたし、女性の省略された顔の描き方が、コミックなどを見慣れた私たち現代人に通じるものがあるような気がするのです。ブリューゲルの傑作「反逆天使の失墜」もあります。次は一気に19世紀象徴派のデルビルの作品ですが、この神秘的な肖像画は表現と技法が見事に一致した傑作だと思いました。他にもクノップフやシュルレアリスムのマグリットやダリなどの一級品がありますし、私が学生の頃に注目していたヴンダーリッヒも見ることが出来ます(近現代の作品は、著作権の関係でここには掲載できません)。

 


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