宮島と厳島神社

宮島は日本三景の一つに数えられる風光明媚な景勝の地で、瀬戸内海国立公園の一角として、
特別名勝・特別史跡、風致地区、天然記念物などの指定を受けている。
島は長さ約9km、幅約6kmのほぼ長方形で、西岸を幅わずか500mの大瀬戸を挟み広島湾の中に浮かび、広島県廿日市市宮島町となっています。

古くから島そのものが神として信仰され、瀬戸内海の島々の中においても自然がよく保たれていて厳島などの景勝地はもとより、
弥山、駒ヶ林、岩船岳山塊の山々があり、いずれも海岸から急にそそり立った形で島を形どっています。
また山塊では花崗岩が大きく露出し絵馬岩、三劔岩や、幕岩、獅子岩などの名所となり景観に変化を添えています。

宮島港
宮島港は、対岸宮島口から島への船の外に、広島・宇品港、瀬戸田港と大三島港を結ぶ定期観光船が発着しています。
島の人々の日用物資の多くはここから宮島に運び込まれ、数多くの来島者には島の玄関となっているところです。
現在の港が出来たのは、1977(昭和52)年で、以前はここ港町や北の町の海岸に松大汽船や国鉄連絡船の船着き場が分散していました。
国鉄連絡船は、トンネル開通や架橋により青函・宇高・関門航路が廃止され、唯一、ここ宮島口・宮島間だけが残っています。

大屋根で葺れた桟橋の建物は、厳島神社の社殿、平安時代の寝殿造りをイメージしており、周辺の植栽は、海上から見たとき、
特別史跡及び特別名勝厳島の風致を壊さないように配慮されています。

 

宮島口
宮島向けにJR連絡船と松大汽船が就航しているが、JRは厳島神社の朱丹の大鳥居に近いコースを運航している。

  

大鳥居
厳島神社の朱丹の大鳥居は、楠の自然木を使った四脚造りで、明治8年7月に完成したもので、平安時代から数えて8代目に当たります。
主柱の用材は九州宮崎県と四国香川県から選び、総高53.3尺(約16m)、主柱の高さ44.5尺(約13.4m)、
主柱のまわり33尺(9.9m)、棟の長さ77.8尺(23.3m)、本社の拝殿より108間、火焼前より88間の海面に、自然の重みで立っています。
額の文字は、有栖川宮熾仁親王の染筆で沖側「厳島神社」、神社側「伊都岐島神社」、
額の裏面に「明治7年甲戌四月二品熾仁親王謹書」と記されたものが掲げてあります。

 

厳島神社(世界文化遺産)
平成8年12月、「厳島神社」が、世界遺産委員会で正式に世界文化遺産として登録されました。

登録された区域は、社殿を中心とする厳島神社と、全面の海および背後の弥山原始林(天然記念物)の森林を含む区域の 431.2 ヘクタールで、
厳島全島の約 14 パーセントを占める広い範囲にわたっています。
弥山を中心に深々とした緑に覆われた山容を背景として、海上に鮮やかな朱塗りの本社本殿・大鳥居等の社殿群を展開するという、
世界でも例をみない大きな構想の下に独特の景観を作り出しています。

登録された遺産のうち、厳島神社の本社本殿・弊殿・拝殿等 17 棟・大鳥居・五重塔・多宝塔3 基からなる建造物群は、
6 棟が国宝、11 棟・3 基が重要文化財に指定されています。

厳島神社から宮島港をへて海上を走り対岸の宮島口への路はれっきとした県道です。

  

客神社祓殿(国宝・平安時代)
客神社は摂社第一で、御祭神 は天忍穂耳命、天穂日命、天津彦根命、活津彦根命、能野椽樟日命の5神。
すべての祭典は先ずこの神社で行われる。

  

本社本殿(国宝・平安時代)
   祭神 ── 市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命
 桁行正面8間、背面9間、梁間4間、一重両流れ造りの本殿は、屋根に神社の定番とも言える千木と鰹木を持たず、
寝殿造りの様式である桧皮葺の屋根に瓦を積んだ化粧棟のスタイルを取り入れているところが大きな特徴です。
厳島神社の社殿の主要部分は、大体平安時代に創建されましたが、その後たびたび火災にあって、現在の本社本殿は、
元亀2(1571)年、毛利元就によって改築されたものです。

 

五重塔(国重文)
応永14年(1407)建立の高さ15間1尺(約27.6m)にも及ぶ檜皮葺(ひわだぶき)の3間五重塔。
普通の五重塔は、中心柱が塔の上九輪の心柱から基礎まで達しているが、この塔の心柱は二層で止まっていて、
上下支点のほかはこの柱になにも取り付けてありません。三層、四層で柱を押してみるとゆれます。

能舞台(国重文)
 
桁行1間、梁間1間、一重切妻造り、妻正面、桧皮葺の能舞台は、海上に建っているため、
通常能舞台の床下に置かれている共鳴させるための甕がなく、床は響きをよくするため一枚の板のようになっています。
床板は間隔を広くとった根太(床板を受ける横木)と井桁に組まれた大引(根太を受ける板)の上に置かれているため、
床が太鼓の皮のような役割を果たし、足拍子のたびに大きく共鳴して響きます。
また、潮の満ち引きによって響きの音色が変わるのも、全国で唯一の海に浮かぶ能舞台ならではといえます。

 

宮島離宮太鼓
厳島神社の参道に建つ神撰の宿「ホテルみや離宮」従業員による勇壮な和太鼓ショーです。最後には宿泊者も参加して盛り上がります。