◎体内寄生虫
  野生個体のリクガメは必ず体内寄生虫を持っているといいます。
人間の薬にも「虫下し」があります。
  体内寄生虫には大きく分けて回虫や蟯虫の線虫類と単細胞生物の原虫類が
います。線虫類をミミズとすれば、原虫類はゾウリムシのようなもので、
この2つは全然違います。線虫類は成虫は肉眼で確認できますが、
原虫は顕微鏡でなくては無理です。何より、治療する薬が違います。

  野生下では体内寄生虫を持っているのが普通で、要は共存とは
いかないまでも、うまくやっているわけです。ですから、体内寄生虫が
いては行けないではなく、状態が悪くなると病気の原因になるというのが
実際に近いでしょう。

  1.線虫類
      回虫や蟯虫の事で糞に混じるので発見しやすいです。カメの状態が悪くなるなど
    して、増えると食欲が落ちる、軟便、下痢をするなどします。また、異常発生し、
    腸につまるようなケースもあるようです。
      多くのものが腸管に吸い付き血を吸うなどするようです。
      治療薬の成分はフェンベンダゾール、オキシフェンダゾールのものが
    有効との事です。(薬名は知りません)
      犬猫用もありますが、爬虫類には副作用が出る有害な成分のものも
    あるので使わない方がいいです。
      爬虫類用に売っているテトラの「リドワーム」も線虫用ですが、
    この有効成分チアベンダゾールは爬虫類に副作用のあると、
    YIL出版の出しているCD-ROM本、エキゾチックアニマルライブラリIII
    「リクガメ ギリシャ−ホルスフィールド」(森 靖、森 暁生子著)
    にあります。


  2.原虫類
      トリコモナス類やアメーバ類です。こちらは目に見えず、それほど
    有害ではないとの説もありますが、増えると下痢や腸の粘膜剥離など
    起こすようです。また悪質なアメーバ症は急性の場合もあるようなので
    この場合はもちろん治療が必要です。
      この治療薬の有効成分はメトロニダゾールですが、人間用の
    抗トリコモナス剤として、フラジール(シオノギ)、トリコシード(ミドリ
    十字)などがあります。ただ、店頭小売りではなく、病院用なので
    必ず取り寄せで最低100錠箱で、私が買った時は100錠で7,000円しました。
    どちらも経口剤と膣錠剤があります。
      製薬メーカからすると70円/錠は安くてあまり売れない薬らしく、
    一時、フラジールは販売中止の噂も流れたようです。
      メトロニダゾールは原虫を殺すのではなく、分裂しない(増えない)ように
    する薬なので、卵には効きません。そこで時間を置いて、最低2回は
    使う必要があります。また良性の腸内菌も巻き添えで死にます。
    極論すれば、原虫を完全に殺すと腸内菌も全滅し、カメも消化できず
    死んでしまいます。したがって、治療後はナチュラルヨーグルトを与えるなど
    した方がいいみたいです。私はビオフェルミンSを与えました。
      またカメ自身への副作用もあり、投薬で少なくともカメの食欲は
    減退します。下痢/軟便になる可能性もあります。調子もすこぶる悪く
    なり寝たきりになります。また投薬量が多いと抹消神経障害を起こしたりする
    可能性もあります。
      適切な動物病院に行った方が良いでしょう。
      なお、私のやった駆虫方法は7-5:駆虫を参考に
    して下さい。適切な動物病院に通院できない時は実際参考になるかも
    知れません。

  また、体内寄生虫についてはTortoise Landの寄生虫がとても参考になります。

  それと最近、原虫類は殺すより、むしろ良い菌を増やして、活動を押さえると
いう考え方も出てきているようです。それは項を改めて書きたいと思います。


前へ 次へ 戻る