4回 星になったモモ

今回は神奈川県にお住まいのKellyさんから寄せられた哀しい子猫の物語をご紹介します

「モモに会いたい」

ねずみ取りに捕まったその子猫を見に行ったのは1992年の春だった。

ある日、友達が大学構内に捨てられていたダンボール箱を不審に思い覗いてみると、黒い固まりが入っていたという。何とか猫らしいと判ったが、片目がつぶれ、体中べたべたで、彼女は最初「腐ってる」と思ったらしい。しかし、もう一度覗き込むと、そのべたべたの物≠ヘ口を大きく開けて「シャーッ」と一人前に威嚇したのだ。
「生きてる」。猫好きで有名な友達はすぐさまそのダンボール箱を近くの獣医に持ち込んだ。
最初威嚇し続けていた子猫は、べたべたの原因『とりもち』を取る為に小麦粉の中で転がされ、毛を刈り取られて、すっかり意気消沈し、おとなしくなってしまったらしい。片目もとりもちで開かなくなっていただけで、わたしが見に行った時には少したれ目で可愛い顔立ちの元気な子猫に戻っていた。ダンボールのへりにはドライフードが乗せてあったそうで、「エサをやるぐらいなら獣医に連れていけばいいのに」と友達は怒っていた。

ペット禁止のアパート暮らしで、動物を飼うつもりはなかったが、生来動物好きのわたしがこの可愛い小さな生き物を見て我慢できるはずはなかった。名前はモモ≠ノした。女の仔だったし、肉球がすべてピンクだったから。誕生日も3月3日にした。

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