Mouthpiece Review
いま使っているマウスピース

パックスマンとのベストマッチは何か?マウスピースを替えることで楽器の吹奏感ががらっと変わることがある。現在使用しているマウスピースの印象をまとめてみた。なお、歯並びや唇の厚さ、吹き方が違う他の人にはあまり参考にはならないのでご注意ください。

使用時期 ブランド モデル
2001/11〜現在 Bach 7
1999/9〜2001/11 PHC 22A/AN
1998/12〜1999/9 PHC 21A/US-2

Vincent Bach 7

PHCの22Aカップ/ANリムを2年ほど使用してきた。かなり気に入ってはいたが、2001年11月の酒田フィル演奏会の2週間前に--よいこはまねをしないように--マウスピースをバック7番に替えた。Osmun Musicに注文して1週間で届いた。バックに替えた理由は音程と高音対策。PHCでは音程のツボがやや広めなため、ソルフェージュができていないと調子外れになることがある。リム内径とボアを小さくすることで高音域は楽になる。ただその分低音域の安定性と音量はやや犠牲になる。幅広い音域をカバーするホルンという楽器の性質上、避けては通れない難しい選択である。

Rim:リムは比較的フラットで薄い。市販のマウスピースの中でも、もっとも薄い部類に入るだろう。内径は17.25mm(メーカー発表)でPHCよりもわずかに小さい。

Cup: メーカー発表ではカップの深さはミディアムだが、実際は深めのVカップという印象だ。肉厚のカップは、フォーカス(音の密度)を高め、遠くまで音を飛ばしてくれるような気がする。バックのマウスピースはアメリカ製ながら、ドイツの楽器にもイギリスの楽器にも使える融通が利くことが特長だ。アレキサンダーのホルンにバックを合わせている演奏家として、ティルシャル、バボラク(いずれもバック10を使用)の名が思い浮かぶ。パックスマンのレシーバーと相性は悪くないが、レシーバーと接する面積が少ないため、しっかり挿入しないと落としてしまうことがある。コンピュータ制御の機械で製作したリムの仕上げはなめらかで均一だ。しかしシャンク先端はやや雑な仕上げ。

(2002年1月記)

現在の組み合わせ(楽器/マウスピース/奏者)が安定して続いている。この間に他のマウスピース(パックスマン4Cカップ/4Xリム)も試したが、すぐにバックに戻った。製作時期の違う3個のバック7番を所有している。それぞれ微妙にリム形状が異なるが、基本の部分は同じだ。そのなかでメインで使用しているのは、マウント・ヴァーノン・バックと呼ばれる古いモデル。1953年から1965年頃に製造されたものらしい。現行モデルに比べカップが肉厚で重く、よりリッチな響き(のような気がする)。
(2004年1月記)

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PHC 22A cup with AN rim

マウスピースの選び方として一般には中庸な大きさのものが無難とされる。極端なものは避けるべきという意見が一般的だ。一方で、ピツカ教授のように薄いリムとより深く太いボアのカップの組み合わせを善しとする意見もある。これはホルンの伝統的な音色と正しい奏法のために不可欠という考えだ。ナチュラルホルンやウィンナホルンで使用されるのはこうしたタイプだ。モデルにもよるが、PHCのコンセプトは後者に近い。

1998年12月から9ヶ月間、PHCのUS-2リムと21Aカップの組み合わせを使用していたが、ひとまわり大き目のANリムと22Aカップに切り替えた。音色はよりダークになった。1999年9月に、藤田乙比古氏(パックスマン20Lを使用)のANリムと23カップを試奏したのがきっかけ。吹き心地・音色ともそれまで使っていたものよりもいい感じがした。ただカップが深くボアの大きい23カップでは、スタミナ、コントロール、特に高音域でのピッチに自信がなかったので、やや浅めでボアの小さい22Aにした。

Rim: ANリムはUS-2より内径は大きく、平らで幅は狭いリムは、唇の自由度が増した。リム内径が大き目のマウスピースは“口先”でのコントロールが犠牲になる反面、息の使い方に注意を集中できるという効用がある。

リムの材質: ANリムでは、ニッケルシルバーとプラスチックの2種類の素材を試してみた。その感触と音は明らかに異なる。金属製の方が唇へ吸い付く感じがあり、感触をつかみやすい。レスポンスが速く、音の輪郭がはっきりするようだ。プラスチック製は素材に響きが吸収されるのか響きが鈍くなる感じがする。

Cup: 22Aカップは、ウィーン・スタイルのダブルカップで、21Aよりもダーク(豊かで深い)な音色。カップが深くボアが大きくなると一般に高音が苦しくなるものだが、ラージベルのパックスマンには相性がいいのか、さほど苦にはならない。むしろ抵抗が減ったことで息がスムーズに入るのが心地よい。もう少し慣れたらよりボアの大きい22カップも試したいところだ。

(1999年11月記)

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PHC 21A cup with US2 rim

Rim:PHCは、大き目の内径とやや広めのリムが特徴で、スタンダードなASでも内径は17.50ミリ、リム幅は4.50ミリ(メーカー発表)もある。メーカー発表の数値で比べた限り、アレキサンダーの8番や、ジャルディネリのほとんどのモデルと内径が同じことになるが、PHCのASはこれらよりひとまわり大きく感じられる。これはリムバイトのどこで計測したかの違いと思われる。US-2の内径は、ASよりも小さい17.00ミリ、リム幅は3.80ミリで、他のメーカーのものと比較しても中庸なサイズといえる。リムカンターは、オーソドックスなオーヴァルタイプで、頂点はリム幅の中心よりやや内側。手持のマウスピースと比べてみると、バック10ほどは平たくなく、ジャルディネリのS-14ほどは丸くない。パックスマン3のサイズに近いが、内径が大きいUS-2の方が柔軟性がある。またUS-2の方がアタックが明瞭になるようだ。これはパックスマン3のリムバイトが丸く落ち込んでいるからだろう。

リムの材質: PHCのリムには、ニッケルシルバー、ゴールドプレート、プラスチック製の3種類がある。好奇心から白いプラスチック製 (white acetal) を選んだ。プラスチック製リムは金属アレルギーの心配がないという。実際に使用してみると、温度変化が少ないことから口当たりがソフトな感じがする。真冬の車載用マウスピースにも最適だ。あまり他の人が使っていない点もいい。白いリムは金管奏者の目を引きやすく、彼らの反応を見る楽しみもある。

Cup:私は、オケでは2・4番ホルンのいわゆる下吹きを担当することが多いが、あまりそれにこだわらず、全音域が楽に鳴ることと、明るめの音色を基準にカップを選んだ。アマチュアでもオーケストラでは全音域が要求されるから、特定の音域に特化してマウスピースを選ぶと後で苦労する。また明るい音色の楽器の方が、音色の変化がつけやすく、音を遠くまで伝えることができると考えられる。

21Aのカップは、15種類あるPHCのラインナップ中、シャロー/ミディアムに分類される。ボアサイズは4.50ミリ。内部の形状はお椀(U字)型で、音色は明るめ。ほどよい抵抗で少ない息でも全音域が吹きやすい。以前、PHCでは標準的なサイズの23Aをしばらく使ったことがある。V字型のカップ形状をもち、深さ23ミリ、ボアサイズ4.70ミリの23Aは、息が入りすぎて私にはコントロールが難しく感じられた。そこで浅めの21Aを選んだ。

US-2と21Aの組み合わせは、ボアサイズが同じパックスマン3Bに近い印象を受けた。パックスマンの3Bのリムやカップのネジ部分の規格はPHCと同じようだ。しかしリムとカップの接合部分の内径はPHCの方がやや大きく、組み合わせると段差ができてしまう。

(1999年2月記)

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