あとがき

ありがとうございます

 このたびは拙作 《 雫 − 取り残されたこころ − 》 を閲覧して下さって誠にありがとうございます。え? 後書きを先に読んでいる? かまいません。この後書きを読んで興味が湧いたら是非とも本編も目を通して下さい。

この物語の背景

 この小説はリーフが発売しているPC9801シリーズ用ゲーム(18禁、WINDOWS95版もあります)のを元にしたサイドストーリー(SS)です。
 内容は瑠璃子編のトゥルーエンド後(ハッピーエンド後ではないです)の主人公を追ったものです。「そんなもん巷に溢れ返っとるわ」 とお思いでしょうが、それだったら今更、発売から3年も4年も経ったゲームのSSなんか発表しません。他のどんな作品とも違った味を出していると思います。(いや、基本ラインが同じ物はあると思いますよ。でも、そこに至る道筋とか雰囲気とかがね……) その辺は自信があるので是非ご覧になって下さい。

この物語について

 それにしてもえらく難解な小説になってしまった。
 一人称の小説の便利な所は主人公が感じたことをそのまま表現できることで、たとえそれが理論的に破綻していても、またその表現が他者には理解に苦しむものであっても、物語中ではすべて正しい事として表現できます。これが三人称の小説であるのならある程度の客観性が必要とされますが、一人称ならばそんなものは無用なので突っ走れるだけ突っ走れます。この小説では主人公がナニなためその傾向に拍車が掛かってしまっています。ですからこの物語をどう解釈するかはみなさんにお任せしたいと思います。
 しかし振り返って見ると、重要であるはずの狂気の表現がだいぶヌルイような気がします。当時としては限界まで行ったつもりでしたが、もっともっと自分を追い詰めなくっちゃいけなかったと反省しています。でも、私も一応社会生活を営まなくちゃならないんで、カミングアウトすれすれの状態を半年も続けるのは至難の業だったんです。え? もうお前は扉の向こう側へ行っちゃってるんじゃないのか? 自分ガマトモダト思ッテイルノハ自分ダケダ。

謝辞

 この小説を書くにあたり、根本敬氏と村崎百郎氏共著の「電波系」(太田出版刊)を多大に参考させて(ほとんどパクリかも……)もらいました。電波を受信してしまうことの苦しみやその状況についてはこの本がなければ書くことが出来ませんでした。
 またサルトルの「嘔吐」(訳:白井浩司、人文書院刊)からは一文を引用させてもらいました。両書の著者並びに訳者、それに出版社の方々には感謝の意を捧げたいと思います。

 話しは少しそれますが、この小説もだいぶ書き進んだ頃ナボコフの「ロリータ」(訳:大久保康雄、新潮社刊)を読んでいましたが、この主人公ハンバートが自分の書いている小説中にあるのと同じ倒錯した言い回しをしているのを発見して、「俺もハンバートと同類かい」 と思わず苦笑いを浮かべてしまったことは君と僕との内緒だ。
 ちなみに今、花村萬月に夢中です。私の目指していた小説のひとつの形がここにありました。花村萬月サイコー。

最後に

 結局この物語を完成させるのに半年も掛かってしまいました。仕事のせいで段々とペースが落ちていくのが悔しいです。
 さあ、次は何を書こうかな? 頭の中にはかなり構想の進んだものがあるのですが、例えば電波三部作第二弾とか、オリジナル長編ものとか、はたまた別のゲームのSSだとか(「志保ちゃんハ〜イテンション」もあるな……)。ぼちぼちと形にしていきますので、どうか長〜い目で見てやって下さい。
 どうも、ご閲覧ありがとうございました!

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