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生命の誕生


 誕生したばかりの生命は、化石を残すような存在ではないため、生命の誕生はいまだに謎に包まれたままである。

 従来は、最初の生命は、潮だまりや暖かい池のなかで、稲妻などをきっかけとして生まれたのではないかと考えられてきた。しかし、近年は、火山付近の煮えたぎる熱泉や海底の熱水噴出孔といった熱水のなかで誕生したのではないかと考えられるようになってきた。このような環境に、地球上で最も古い起源をもった微生物などが生息していることが確認されている。このような生物が、そののち、現在は一般的な低温の環境に適応していったと考えられている。

 生命の化石記録としては、約35億年前 39億5千万年前(出典:LINK 産経ニュース世界最古? カナダで39億5千万年前の生物の痕跡発見 東大准教授ら英科学誌に発表(2017年9月28日付) の細胞のようなものが発見され、また、生物の存在を示す化学的痕跡を残した約38億5千万年前の岩石が発見されている。


【最古の生命活動の痕跡を留める鉱物】
 化石ではないが、38億5千万年前の岩石から生物の存在を示す化学的痕跡を発見したと発表されている。これは、自然界に存在する炭素12(陽子6個と中性子6個の炭素原子)と同位体の炭素13(陽子6個と中性子7個の炭素原子、数は少ない)との比率が、生物の体内に取り込まれると炭素13の比率がいくぶん減少することが知られているが、この鉱物のなかにもこの減少率を示す炭素を留めているものである。しかしながら、生命活動以外でもこの減少率を示す原因がないとは言い切れないとの指摘もある。

【最古の化石】
 約35億年前のものとされる最古の化石は、カリフォルニア大学ロサンジェルス校のJ・ウィリアムス・ショップ博士らによって発見された。この化石は、現在のシアノバクテリア(70℃以上の高温を好む好熱菌)によくにている。

【DNA解析】
 DNAの塩基配列を比較することにより、生物の系統樹を作成する研究が進められている。これにより、生命がどのように進化してきたかが明らかになるかもしれない。
 次のページを参照のこと。 遺伝子のしくみ

 DNA解析では、主に、DNAから転写された遺伝情報をもつRNAを分析する。特に、細胞内でタンパク質を合成するリボソームの中にあるRNAを比較する。
 2000を越す微生物の解析結果から、次のような系統樹が考えられている。約40億年前、生命誕生の直後に共通の祖先から、バクテリアと古細菌がわかれ、のちに現在の真核生物の祖先が古細菌からわかれた。


    約40億年前         約20億年前
       ┌─バクテリア(原核生物)───────────── 
 最初の生命─┤  
       └─古細菌───────┬───────────── 
                   │  
                   └真核生物───────── 


    (注:等幅フォントでご覧ください。)

 原核生物のDNAは、細胞のなかを漂っている。真核生物のDNAは、細胞核のなかに納まっている。1977年に好熱菌のなかから発見された古細菌は、DNAが細胞のなかを漂ってはいるが、バクテリア(原核生物)とは遺伝的にまったく別のものであった。

【真核生物の誕生】
 核のある真核細胞の起源は、従来は、「内生説」(細胞の膜などが進化して細胞内小器官ができたとする説)が有力であったが、遺伝子の研究により、細胞核の遺伝子と細胞内小器官の代表である葉緑体とミトコンドリアの遺伝子が別の遺伝子を持っていることがわかり、全く違う細胞同士が合体して新しい細胞(真核細胞)が誕生したという「共生説」が支持されるようになってきた。
 この「共生説」は、細胞の進化ばかりでなく、生物の進化を考えるときにも重要な手がかりとなりそうである。





【LINK】
LINK 産経ニュース【びっくりサイエンス】“死の水”にすむ謎の微生物 生きる仕組みは全く不明 日本の研究者が発見(2017年10月31日付の記事)



参考文献
「化石は愉しい!」ニコラス・ウェイド著、冨田幸光監修、神保睦訳、翔泳社、1999年
「進化論が変わる ダーウインをゆるがす分子生物学」中原英臣・佐川峻著、講談社ブルーバックス、1991年
LINK 産経ニュース世界最古? カナダで39億5千万年前の生物の痕跡発見 東大准教授ら英科学誌に発表(2017年9月28日付の記事)


更新 2017/11/1

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