BACK_HOMEトップのページ   BACK世界史のページ   年表1年表1に戻る   前へ戻る前へ戻る

遺伝子のしくみ


 生命の進化に関する研究は、これまで主に化石の比較により行われてきたが、遺伝子の研究が進むにつれて、遺伝子の比較によりさまざまなことが明らかにされようとしている。


【遺伝子のしくみ】

1 遺伝子DNAの構造
 DNA(デオキシリボ核酸)は、糖(デオキシリボースという名の糖)+リン酸+塩基という組み合わせの単位(この単位をヌクレオチドという)がつながったひも状の分子である。
 塩基の部分は次ぎの4種類がある。
  A:アデニン
  G:グアニン
  T:チミン
  C:シトシン

 ちなみに、人間の遺伝子は、約30億個の塩基からなっている。人間や哺乳類などの複雑な生物の方が、必ずしも塩基数が多いとは限らない。生存のためにあまり役に立っていないDNAを多く抱えている生物もある。


2 遺伝暗号表
 3個の塩基の並びが1つのアミノ酸に対応していることがわかっており、この3個の塩基の並びをコドンと呼んでいる。コドンは、コード(暗号)の単位という意味である。
 コドンと、対応するアミノ酸の種類は、次の表のとおりであり、この表は「遺伝暗号表」と呼ばれている。

コドン アミノ酸 コドン アミノ酸 コドン アミノ酸 コドン アミノ酸
TTT フェニルアラニン TCT セリン TAT タイロシン TGT システイン
TTC フェニルアラニン TCC セリン TAC タイロシン TGC システイン
TTA ロイシン TCA セリン TAA 終止コドン TGA 終止コドン
TTG ロイシン TCG セリン TAG 終止コドン TGG トリプトファン
CTT ロイシン CCT プロリン CAT ヒスチジン CGT アルギニン
CTC ロイシン CCC プロリン CAC ヒスチジン CGC アルギニン
CTA ロイシン CCA プロリン CAA グルタミン CGA アルギニン
CTG ロイシン CCG プロリン CAG グルタミン CGG アルギニン
ATT イソロイシン ACT スレオニン AAT アスパラギン AGT セリン
ATC イソロイシン ACC スレオニン AAC アスパラギン AGC セリン
ATA イソロイシン ACA スレオニン AAA リシン AGA アルギニン
ATG メチオニン ACG スレオニン AAG リシン AGG アルギニン
GTT ヴァリン GCT アラニン GAT アスパラギン酸 GGT グリシン
GTC ヴァリン GCC アラニン GAC アスパラギン酸 GGC グリシン
GTA ヴァリン GCA アラニン GAA グルタミン酸 GGA グリシン
GTG ヴァリン GCG アラニン GAG グルタミン酸 GGG グリシン

 表中の「終止コドン」は、コード(暗号)領域の終わりを宣言するものである。開始を宣言する「開始コドン」は、ATG が兼任している。

3 RNA
 遺伝子DNAの塩基配列上にある遺伝子情報は、まずメッセンジャーRNAに転写され、それがさらにタンパク質のアミノ酸配列に翻訳される。

4 ミトコンドリアDNA
 ミトコンドリアは、核内の遺伝するDNAとは異なる独自のDNAを持っている。このため、もともとミトコンドリアは原始的な真核生物と共生したバクテリアの仲間ではないかと考えられている。人間を含む脊椎動物では、ミトコンドリアDNAは母性遺伝することがわかっており、女性のみをたどって伝えられる。
 人間の場合、ミトコンドリアDNAの塩基数は約1万6500個で、核内のDNAに比べて少ないことから研究が進められている。





参考文献
「遺伝子は35億年の夢を見る」斎藤成也著、大和書房、1997年


更新 2003/3/16

  <広告>
  cover「遺伝子は35億年の夢を見る」


  <広告>


 BACK_HOMEトップのページ   BACK世界史のページ   年表1年表1に戻る   前へ戻る前へ戻る