ネアンデルタール人の化石と石器ネアンデルタール人の化石は、ドイツのネアンデルタールで、1857年に発見された。 かつては、現世人類(ホモ・サピエンス)とは別の種と考えられていたが、現在は、現世人類(ホモ・サピエンス)の一亜種とされ、学名は、「ホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシス」に変えられた。 同類の化石は、ヨーロッパ、西南アジア、アフリカで出土している。また、類似体質の化石は、中国の各地でも発見されている。 ネアンデルタール人は、旧石器時代中期のムステリアン文化(ムスティエ文化)の担い手である。ムステリアン文化の名は、南フランスの ル=ムスティエ から代表的遺物が出土していることに由来する。 石器製作技術が進歩した。主として剥片石器を用いたが、使用目的により形の違う石器を使い分けたようである。 狩猟技術に長じ、マンモスなどの大きな獣をも狩った。火による調理も行った。 穴を掘って死者を埋葬する風習があり、呪術や宗教心の芽生えがみられる。 【ネアンデルタール人の特徴】 眼窩上隆起(目の上の眉の部分が隆起し前へ突き出ている)、低い頭蓋、前頭部の後傾、厚い骨壁が特徴的である。背が低く、筋骨たくましく、頭頂部の平たい大きな頭と大きな鼻をもっていたようである。 脳の容積は約1200cc(現代人は約1500cc)。 【ネアンデルタール人の化石】 ネアンデルタール 1856年に、ドイツのネアンデル渓谷を見下ろす高さ20mの断崖に小さな洞窟が発見され、その厚い粘土層の下から化石が発見された。 頭蓋冠(頭骨の上部)、大腿骨、上腕骨、肘骨、鎖骨、肩甲骨、骨盤半分、いくつかの肋骨が発見された。 ジブラルタル人 かつて発掘されていたジブラルタル人の頭骨が再発見され、ネアンデルタール人と同一のものであることがわかった。 ベルギーでの発見 1825年に、ベルギーのリエージュ近郊のアンジス洞窟で、子供の頭骨が発掘されている。この化石の年代は、すぐには認識されなかった。 1865年には、ベルギーのラ・ノレット洞穴で、下顎骨が発見されている。 1886年、ベルギーのスピー近郊で、2体の人骨が発見され、そのうち1体はほぼ完全であった。 ラ・フェラシー遺跡 フランスのラ・フェラシーで発見された。19世紀の終わりに発見され体系的に発掘を進めた結果、巨大な岩陰の洞穴に、合計7体のネアンデルタール人が埋葬されていたことがわかった。 からだを強く折りまげられているものや、頭のうえに平石が置かれているものがある。 【参考ページ】 人類の誕生 【LINK】 AFPBB News ≫ 現代人とネアンデルタール人、ゲノムに交雑の痕跡(2010年5月7日の記事) Neandertals: A Cyber Perspective (リンク切れ) Neandertals: A Cyber Perspective Popular Neandertal Remains (リンク切れ) 参考文献 「新訂版チャート式シリーズ 新世界史」堀米庸三・前川貞次郎共著、数研出版、1973年 「人類の起源」エルベール・トマ著、南條郁子訳、河合雅雄監修、創元社「知の再発見双書」、1995年 「ビジュアル版 世界の歴史1 文明の誕生」江坂輝彌・大貫良夫著、講談社、1984年 更新 2001/7/15 |