ネグリロ(ピグミー)「ネグリロ」は、中央アフリカに住む非常に低身長(1.5m以下)な人々で、ネグロイド(黒色人種)に含まれる。 低身長という意味で「ピグミー」とも呼ばれるが、差別的なニュアンスがあるとしてこの語を避ける向きもある。 東南アジアなどに住む「ネグリト」が、ネグリロと同様に非常に低身長であることから、かつては同じ集団に属するのではないかとみられたこともあるが。現在は遺伝学的に近縁でない事がわかっており、ネグリトはオーストラロイドに属するとされる。 このページから入られた方は、上位ページ 「人種」 についても、ぜひ参照してください。 ・参考文献に掲げているアンリ・V・ヴァロア著「改訂新版 人種」では、ネグリロの特徴として、次のようなものを上げている。 非常に低身長(1.5m以下)、皮膚は黄褐色、ひげがよく発達。以前はもっと広く分布か?。 ・ ネグリロ - Wikipediaでは、その身体的特徴について次のように述べている。 「平均身長が150cmに満たない。他の黒人ほど肌の色は濃色ではない場合がある。体は筋肉質で胴は長くて太く、腕は長く足は短い。頭部が大きい。 髪質は細くちぢれていて体毛は毛深い。また、ブッシュマンやホッテントットといったカポイドにも見られる「脂臀」といわれる特殊な形質が女性にあらわれる事がある。」 |
(注:「カポイド」は「コイサン」人種とも呼ばれる。南部アフリカに住むコイコイ人(ホッテントット)とサン人(ブッシュマン)の2民族を総称した人種概念。初期ホモ・サピエンスの特徴を残しており、アフリカ最古の人種ともいわれる。 「脂臀」とは、お尻が上に突き出した特徴的な形のことをいう。 コイコイ人 - Wikipediaこのサイトに、「特徴的な臀部」の絵が載ってます。 コイコイ人 - Wikipedia によると、これを「ステアトパイジア」と呼ぶらしい。 ) |
・この集団の低身長という特徴は、熱帯森林環境への適応であるとみる研究者がおり、同じ起源を持つ集団ではなくそれぞれ異なる起源を持つのではないかとみる研究者もいるそうです。 竹内潔の研究室 ≫ 竹内研究室アフリカ熱帯森林の狩猟採集民「「ピグミー」という語の由来と使用について」の項から引用。 「アフリカ熱帯森林の狩猟採集民の低身長という身体的特徴は、成長ホルモンの一種であるインシュリン様成長因子が遺伝的に欠如していることによりますが、これは、熱帯森林環境への適応だと考えられています。我々日本人を含めて、ヒトの集団形質的な特徴は環境の影響を強く受けます。アフリカ熱帯森林の狩猟採集民集団が低身長という特徴を持つのは、熱帯森林という環境では身体の小型化が活動にとって適応的であることの結果にすぎず、形質的に異常である、あるいは病的であるというわけではまったくありません。」 ピグミー - Wikipedia「ピグミーの起源」の項から引用。 「 ピグミーの起源 ピグミーは様々な民族名を持ち、それぞれ異なる言語を話す。しかしその一方でひとまとまりの存在だとみなされてきた。その理由は一つには小柄という身体的な特徴であり、もうひとつは文化的な共通性である。しかし一部の研究者は様々な根拠から異なる起源を持つ集団ではないかと異論を提出している。彼らは共通祖先の形質を継承したからではなく、熱帯雨林における狩猟採集生活という環境が自然選択として働いた結果、似たような身体に収斂したとする。もしそうだとすると、ピグミーという言葉で複数の集団をまとめることに問題点が生じることになる。」 ・彼らはどの集団も独自の言語を持たず、農耕民の言語を借用しているそうです。 竹内潔の研究室 ≫ 竹内研究室アフリカ熱帯森林の狩猟採集民「固有言語の謎」の項から引用。 「 固有言語の謎 アフリカ熱帯森林の狩猟採集民集団については、歴史的・系統的関係をはじめとして今でも分かっていないことがたくさんあるのですが、そのなかでも最大の謎は、どの集団も独自の言語を持たず、農耕民の言語を借用しているという点です。固有言語がどのような言語であったのか、またどうして喪われてしまったのかという問題は古くから注目されてきましたが、なかなか説得力のある説明はあらわれず、現在に至っています。最近ではフランスやベルギーの研究者が、語彙比較や、あるいは音声体系の比較から、いくつかの集団の共通祖語を類推していますが、まだ仮説の構築の段階で、今後の研究の進展を待たねばならないというのが現状です。」 ・ ピグミー - Wikipediaによると、これに属する主な民族は次のとおり。人数の少ない集団も多い。 ムブティ エフェ トゥワ バカ バギエリ バボンゴ アカ・・・学術上の民族集団名で、近隣に居住する農耕民からはバンベンガなどさまざまな呼称で呼ばれている。(出典: 竹内潔の研究室 ≫ 竹内研究室アフリカ熱帯森林の狩猟採集民「アカ(AKA)の社会と文化 概要」の項。) バベンゼレ ビンガ ウォチュア など ・これらの民族が分布している地域は、コンゴ民主共和国、ルワンダ、カメルーン、ガボン、中央アフリカ共和国 、コンゴ共和国などで、民族紛争の激しい地域が多い。 AFPBB News ≫ ルワンダで「絶滅」寸前のトワ民族、ピグミー系への偏見根深く(2010年4月23日付の記事) 【 アフリカの諸人種 】 「改訂新版 人種」アンリ・V・ヴァロア著、寺田和夫訳、文庫クセジュ、1971年から引用 【LINK】 AFPBB News ≫ ルワンダで「絶滅」寸前のトワ民族、ピグミー系への偏見根深く(2010年4月23日付の記事) Google ≫ ピグミーで画像検索 YouTube ≫ 中央アフリカで"ピグミー・アカ族"に出会った/ Leprosy in Central Africa YouTube ≫ ピグミー族の踊りとハンセン病 / Pygmy people dance & leprosy ネグロイド - Wikipedia 参考文献 ネグリロ - Wikipedia ピグミー - Wikipedia 竹内潔の研究室 ≫ 竹内研究室アフリカ熱帯森林の狩猟採集民 「改訂新版 人種」アンリ・V・ヴァロア著、寺田和夫訳、文庫クセジュ、1971年 カポイド - Wikipedia 更新 2012/8/30 |
アンリ・V・ヴァロア著「人種」 (1971年) (文庫クセジュ)
Amazon.co.jp を「人種」で検索 Amazon.co.jp を「ピグミー」で検索 |