Rain Forest Aerial Tram

熱帯雨林ゴンドラ遊覧  ブラウリオ・ガリージョ国立公園


コスタリカ日記

12月25日(水) その1

今日のツアーは、熱帯林ゴンドラ遊覧(アエリアル・トラム)である。6:30分にホテルを出発する。トルトゥゲーロ国立公園と同じコース、幹線道路32号線でブラウリオ・ガリージョ国立公園へ向かう。途中、木にぶら下がっているナマケモノを見る。
8:00頃、Rain Forest Aerial Tramの入り口に到着する。バスを降り、受付で名前を書かされる。バーコード付きの入場券シールを胸に貼られ、専用バスに乗り換える。しばらく走ると、バスから降ろされ、木道を歩かされる。目の前に谷があらわれ、釣り橋が架かっている。釣り橋を徒歩で渡ると、専用トラックの乗り場に着く。どうやら谷に車の渡れる橋を架けないために、この様な面倒くさい事をしているようだ。専用トラックで山道をしばらく登ると、ゴンドラの乗り口に到着する。 ゴンドラに乗る前に熱帯雨林の研究方法やアエリアル・トラムが建設される過程小学生等に行われている熱帯雨林の保護などに関する教育プログラムを紹介するビデオが放映される。説明が全て英語なので、半分位しか解らない。ビデオが終わると5人1組にされて、ゴンドラの乗り口に向かう。
ゆっくりと進む開放的なゴンドラは6人乗りで、乗客5人にガイドが1人付き、熱帯雨林の中や、樹冠の上からジャングルを眺め、野鳥や蝶の解説を聞く事ができる。しかし、説明は英語かスペイン語である。
ここでも我々は謎の東洋人である。ガイドのおじさんが英語で、英語が解るかと聞いてくる。恥ずかしがり日本人は、すぐには返事が出来ない。しつこく聞くので、一人が少し解ると言うと、そっちを向いて話始める。全員が少し解ると言うと、少し安心した顔をして、ガイドの紹介やゴンドラに乗る際の注意を始める。ガイドの1人は女性で、おじさんのガイドが美人のガイドだと紹介するので、みんなで盛り上げてあける。ゴンドラから手をだして、動植物に触れてはいけないと注意する。その後ジョークで、彼女に触ってはいけないとか、自分に触ってはいけない、とか言うので、みんなで笑ってあげた。
カメラやビテオを手に持ちゴンドラに乗り込む。皆がカメラ等を持っているので、ガイドは、カメラ会社の社員かなどと聞いてくる。ゴンドラは歩くようなゆっくりとしたスピードで、熱帯雨林の中を進んで行く。基本的にゴンドラの支柱は1本で登りは下の方を、下りは上の方を通る。森の中は静寂の世界で、誰もが言葉を失い森の中にとけ込んでゆく。野鳥や蝶が目の前を飛び、野鳥の鳴き声が心地よく響いている。樹冠の上から森を眺めると、ランや、アナナスなどの着生植物の世界が広がっている。またツル植物などが幹を覆い熱帯雨林特有の光景を目の当たりにする事が出来た。ゴンドラは森を一周し、素晴らしい森林浴をとなった。ガイドはゴンドラから降り、我々をカフェテリアに案内し、しばらく休憩した後、熱帯雨林の中の遊歩道を案内するという。カフェテリアにはハミングバードが餌付けされていて、なかなか楽しい一時を過ごした。


12月25日(水) その2

ガイドとともに熱帯雨林内の遊歩道を歩く。青少年に対する教育プログラムが出来上がっており、ガイドの説明は解りやすく、間合いの取り方もなかなか上手い。 遊歩道をハキリアリが横切っていく。「キリストの血」とか「牛の舌」とか「雄鳥の尾」と名付けられた植物が紹介される。木の幹からは針が出ていて、この針に毒カエルの毒を付けて吹き矢として利用したとか、板根は石でたたくと良い音がしてインディアンは合図として利用したとか、という説明をうける。クモやアリ、クワガタムシなどもたくさん見る事が出来た。林内は薄暗く、分解が速いのか落ち葉の層は薄かった。落ち葉は葉脈を残して分解されていく様子も説明している。落ち葉の分解速度について質問すると、解らないと言っていた。
このツアーの最後は休憩小屋に連れて行かれ、アンケート用紙が配られる。その用紙には、一般的なアンケート項目とガイドの評価をおこなう欄が付いていて、ガイドはあまり悪い評価をつけないでくれと言っていた。なかなか厳しいシステムの様だ。
熱帯雨林を十分楽しんだ後、昼食をとるためアエリアル・トラムを後にし、幹線道路32号線をリモン方向へ向かう。トルトゥゲーロ国立公園へ行くとき朝食を食べたドライブインで昼食をとる。3人の黒人の爺さんが、マリンバで乗りの良いカリブ風の音楽を演奏している。この辺りには、バナナプランテーションの労働力としてジャマイカあたりから連れて来られた人の子孫が多く住んでおり、カリブの文化の影響を大きく受けているのだ。
昼食を楽しんだ後、来た道を引き返し、15:30頃ホテルに到着した。ホテル向かい側のショッピングセンターを覗くが、映画館とゲームセンター以外はほとんど店を閉めている。12月25日はコスタリカの祝日だからだ。映画館の入り口には若いアベックの行列が出来ている。店は閉まっているがウィンドーショッピングをする人は多く、館内は活気に満ちあふれている。
ホテルに戻り、シャワーを浴び、服を着替える。実はこの後、ホテルのオーナー、コスタ・ソル・グループ社長朝田夏雄氏からホームパーティーの招待を受けているからである。
朝田夏雄氏のお父さんは、魚津高校等で教鞭をとっていた人で、魚津高校の旧職員の息子さんがコスタリカでホテルを経営していると言う話を聞き、コスタリカの
情報を聞きに訪ねたところ、偶然、我々が泊まるホテルのオーナーと言う事が解り、
我々が、コスタリカへ行くを連絡しておいて下さったそうで、この日の招待となったのである。
この招待は、我々にとって、素晴らしいクリスマスプレゼントとなった。日が暮れた庭には色とりどりの電球が飾り付けられ、所々ライトアップされ、窓際の大きなクリスマスツリーが我々を暖かく迎えてくれた。

コスタリカ日記

12月25日(水) その3

朝田夏雄氏は、魚津市に生まれ魚津大火で富山市に移り住み芝園中学から富山中部高校、青山学院大学に学ばれた方で、高校時代から、歩こう会を始め富山から泊までとか金沢まで歩いたそうである。大学の時は東京から富山まで12日間かけて歩いたり、ヒッチハイクで日本一周をしたりし、その後世界をまわり最終的にコスタリカに出合ったそうである。コスタリカでは観葉植物の輸出をてがけ、「幸福の木」のブーム(氏が命名したそうだ。)をつくり財をなしたそうである。その後、産地間競争が激しくなり撤退し、観光等を中心としたコスタ・ソル・グループの社長として現在に至っているそうである。コスタリカを訪れた多くの日本人は氏のお世話になっているようで、開高健の「オーパ、オーパ!!宝石の歌コスタリカ編」や「地球の歩き方77中米'97〜'98編」にも氏の名前が出ており、また最近ではグレートジャーニーの探検家関野吉晴がコスタリカに訪れた時にも協力したり、ペプシコーラのキャンペーン、コスタリカ50名招待も氏の仕事だそうである。
食前酒を楽しみながら、様々なお話を聞く。コスタリカが他の中米諸国にくらべ治安がよく人々のマナーが良い事について訪ねると、他の中米諸国と同じようにコロンブスの最後の航海(1502年)ではじめてヨーロッパに知られることになりスペイン人の植民者が入植してきたのだが、他の国のように地主がたくさんの使用人を連れて入植し支配階級を作り上げていった歴史ではなく、個々の農民がおおく入植したコスタリカでは最初から物事を決めるに民主主義的実践が行われていたこと、また軍隊を廃止し教育に国家予算の1/3をあてる政策をおこなってきたことで、国民の教育水準が高いからだそうだ。
食事は、ホテルの日本料理レストラン「さくら」の料理長の奥さんが日本食を準備してくださり、またクリスマスの七面鳥にもはじめておめにかかった。ホテルからはボーイが来ており、Serve してくれ、またコスタリカのシンガーソングライターのサビーが来ており、ほとんどクリスマスディナーショー状態であった。
サビーは、バンドの一員として、日本の大都市でコンサートを開いた事もあり、日本の歌も歌ってくれた。
楽しいひとときは、あっという間にすぎそろそろ失礼する時間になる。帰りぎわに、蝶の標本や、タランチュラ(毒グモ)の標本、ガーフィシュ(古代魚)の剥製を富山県の高校生に見せてあげて下さいと言う事で、プレゼントされる。ワシントン条約を気にしながらも、ご好意をうけ、ホテルに帰ることになる。
コスタリカは、欧米では比較的有名であるが、日本では、ほとんど知られていない。しかし、あと数年できっとブームが来ると感じながら朝田夏雄氏の豪邸を後にした。


熱帯雨林 熱帯雨林
着生植物 ホットリップス
キリストの血 表面 キリストの血  裏面
ハキリアリ マリンバ演奏