タバコン温泉リゾートへ


コスタリカ日記

12月26日(木) その1

コスタリカ最後のツアーは、アレナル火山とタバコン温泉リゾートである。最後はやっぱり温泉で締めくくりと決めていたのである。アレナル火山は、コスタリカで最も活動的な活火山で、標高は1,683mの円錐形の優美な姿の山で、さしずめコスタリカ富士である。温泉につかりながら空を赤く染める山を眺めるという趣向である。
今日の出発時間は10:00なのでゆっくりとした朝をむかえる。本間さんのはからいで、モルフォ蝶とフクロウ蝶の標本をホテルロビーまで売りにきてもらい、11名全員が購入した。どこの蝶々園でもこんなに大量の需要にはなかなか応えられないため、事前にお願いしておいたのである。
 定刻にホテルを出発しアラフェラへむかう。アラフェラはコスタリカの英雄ファン・サンタマリアの出身地としても有名である。彼は軍人ではなく、ドラマーであったが、1856年、反乱を起こした米国軍人ウイリアム・ウォーカーに対して祖国を守るためトーチをもって敵陣に単身乗り込んで、敵の建物に火を放ち、味方に攻撃目標を知らせのである。彼の死の代償として味方に勝利がもたらされたのである。現在、美しい花々がきれいに手入れされたファン・サンタマリア公園にはトーチを持った彼の像がたっている。また、コスタリカの国際空港は彼の名にちなんでいる。
車はポアス火山の麓を通る。この辺りは火山が生み出す豊かな土壌を利用して、コーヒーの栽培が盛んに行われている。車窓から眺めるコーヒー畑は山麓に茶畑のように広がっている。途中、コーヒー畑により実際にコーヒーの実を摘んでみる。コーヒーの実は最初緑色をしているが熟してくると赤い色を呈し、この中に対をなして入っている種子がコーヒー豆である。種子を包む果肉はたいへん薄いが、とても甘かった。コーヒーの木は熱帯地方でも適当な降雨量(年間1,800mm 前後)があり、清涼な山岳地帯によく生育する。優良種にキリマンジャロとかブルー・マウンテンなど山の名前がついているのもうなずけるところだ。首都サンホセやアラフェラ自体が平均標高1,000〜1,500mの高原地帯であり、そこから山道を上がってきたこの辺りは、コーヒーの生育には最高の土地である。コーヒーの収穫時期は11月〜3月の5ヶ月間で、季節労働となるため、通年労働を希望するコスタリカ人はこの仕事を希望せず、小学生などが休み中に小遣い稼ぎをする程度だそうだ。コーヒープランテーションの主要な労働力は、ニカラグワからの出稼ぎ者で、コーヒー摘みの賃金は3時間で1.5USドルだそうだ。
ポアス火山山麓の山道は牧歌的な村が点在する昔ながらのコスタリカといった感じでる。道ばたには畑で栽培したもぎたてのイチゴを売る店があったりして、ゆったりと時間が過ぎて行った。途中、道ばたの滝のそばで、ハムサンド・ポテトチップス・クッキーにコカ・コーラといつた軽食を食べ、ちょっとしたピクニック気分を味わった。

コスタリカ日記

12月26日(木) その2

軽食をとったあと、ハミングバード(ハチドリ)が餌付けしてある滝のよく見える休憩所による。ハミングバードの餌代として100コロンを払い入場する。たくさんのハミングバードが蜜を吸いに集まってくる。また、毒のないタランチュラを触らせてくれる。たくさん写真を撮っていたのだが、カメラの調子がおかしい。フィルムのまきとりがうまくいかず今日撮ったこれまでの写真は全部ダメになってしまった。サブカメラに切り替えることにする。
天候はだんだん悪くなり、途中雨も降ってくる。ガイドのホルヘは、夕方雨が降っても夜は晴れることが多いから、夜空が赤くなっているのが見れるといっている。 車は牧歌的な村が点在する山道を進んで行く。ガイドのホルヘが言うには、コスタリカでは、どんな小さな村でも、必ずある物が3つある。それは、教会と学校とバーだそうだ。さすが国家予算の1/3を教育費に当てている国である。こんな山村にも学校があることに感心する。
車は小さな川にさしかかり、橋の手前で止まる。川沿いの木にホエザルがいたのである。カメラを持って車をおり、写真を撮る。道ばたにはオジギソウがあり、そっと触ってみると、すばやく羽状複葉の小葉をすばやくたたんだ。オジキソウは、俗に眠り草、英語ではセンシティブ・プラントといい、我が国には天保12年(1841)にオランダ人によって伝えられた。南アメリカ原産で、最初ヨーロッパに移入され珍しがられたが、現在では熱帯各地に広がり路傍の雑草と化している。反応は面白いが、やや赤味をおびた茎や枝にはトゲがあるのでうかつに触らない方がよく、慎重に葉に触れて、反応をビデオにおさめた。 
タバコン温泉リゾートの前を通り過ぎアレナル湖に向かう。アレナル湖はコスタリカで一番大きな細長い人工湖で、ウインドサーフィンや釣り(ニジマスなど)のメッカだそうだ。ダムの堰堤からしばらく湖を眺めた後、タバコン温泉リゾートに戻る。
タバコン温泉リゾートは、中米の温泉にしては近代的な設備が整っており、リゾートの名にふさわしい所である。天然の温泉の川を利用して大小8つの温水プールとジャグジー、人工的に整備された温泉の川などがある。プールサイドにはバーがあり、温水プールに入りながら、飲物が楽しめるようになっている。大粒の雨が降る中温水プールや温泉の川、温泉の滝にはいり、飲物を楽しんだ。夕暮れ時を過ぎても雨が上がる気配はなく、結局、アレナル火山の姿は全く見る事は出来なかった。温泉リゾートのレストランで夕食とり終わると、20:00頃になっており、火山で夜空か赤くなるのも見る事なく帰路に着く。ガイドはしばらく待ってみようかと言うが、雨は上がりそうもなく、またサンホセのホテルまでは約4時間はかかるので、あきらめる。途中、立ち寄った町は急に停電になったり、トイレ休憩をしたバーでは、「謝謝」と言われたりしながら、24:00時にホテルに到着する。この後我々には、恐怖のパッキングが待っていたのであった。


ホエザル ホエザル撮影中
オジギソウ アレナル湖
温泉プール 温泉の滝
バー