テンゲングラム

 私は「12気の解説」と「顔学のヒント」に描写されている性格分類と人相学にぴったり符合する人達を数多く観察してきました。これらは天源術を創った人達の言わば生の観察記録です。仮にこの観察記録が正確なものだとしたらどんな仮説が成立し、その仮説を人生にどう役立てることができるでしょうか?「テンゲングラム」はその答えの一つです。

(1)12のチャンネルを通る心的エネルギー。

 人の一生はエネルギーが流れ込み、そして流れ出て行く過程だと見ることができます。栄養学の立場で言えば食べ物に含まれるエネルギーが吸収され、それが身体の活動によって消費されてゆく過程でもあります。(食べ物の成分の一部は身体を構築することに使われます)。しかし、これは生物学の見方に過ぎません。人間は単なる生物的な存在ではないのです。人が駅のホームから転落したのを見た瞬間に助けようとした行動は生物的なエネルギーだけでは説明できません。人の行動を「心的エネルギー」の流れる過程と考えると12気との関連はどうなるか考えてみましょう。12気には次の三つの分類法があります。そして、その分類法に従ったそれぞれの応用法があります。 

(イ)蓄積型と消費型
「心的エネルギー」は次の12のチャンネル(chと略記)を通って発揮されます。

第一表
エネルギー蓄積型
エネルギー消費型
ch1(滋) 勤勉。節約。 ch7(合) 歓楽。消費。性欲
ch2(結) 決まったことを変えない。 ch8(老) 限り無く迷う。
ch3(演) 人を指揮する。 ch9(緩) 人の評価を求める。
ch4(豊) 寛容。食欲 ch10(堕) 知恵。企画性。
ch5(奮) 体制破壊。勇気。 ch11(煉) 理想実現。忍耐。
ch6(止) 自己向上。嫉妬心。 ch12(実) 能率第一。集中心。

 これは「12気の解説」をできるだけコンパクトに整理したものです。ここで左右の性格を比べると全く対照的なことが判るでしょう。つまりch1(滋)とch7(合)の性格は正反対なのです。滋は蓄財の安心感を求め、合は散財の楽しみを味おうとします。同様にch2とch8、ch3とch9、ch4とch10、ch5とch11、ch6とch12もそれぞれに両極端の性質を持ったペアーをつくります。このようにch1からch6まではエネルギーの蓄積傾向を、ch7からch12まではエネルギーの消費傾向を代表するのです。蓄積傾向はより多くの可能性を手に入れようとする量の原理が支配し、消費傾向はより良い成果を求める質の原理が支配します。

(ロ)三種類のエネルギー
 次に12のチャンネルは生物的、理念的、社会的の3種類に分類されます。ch1(滋)ch4(豊)ch7(合)ch10(堕)の四つは人の生物的な面を表します。性欲(合)と食欲(豊)が人の行動を駆り立てるのは見やすい事実です。蓄積欲(滋)と楽をして効果的に結果を手に入れようとする欲(堕)も生物的なものです。
 ch2(結)ch5(奮)ch8(老)ch11(煉)の四つは人の理念的な面を表します。人は生物であると同時にある理想の実現に向かって行動しようとします。ある考えを固守しようとする結も、ある考えが正しいかどうか追求して止まない老も、既成の観念を一挙に打破しようとする奮も、理想の実現に向かって粘り強く努力する煉もみな人が単に生物的な欲望からばかりでなく、理念に基づいて行動していることを表しています。
 ch3(演)ch6(止)ch9(緩)ch12(実)の四つは人の社会的な面を表しています。人は生まれたときから必然的に社会のなかで生活しています。社会的場面とは立場や協力関係や競争や評価の世界です。人を指図したり(演)、自分から進んでサービスを提供したり(緩)、人と比較して競争心を燃やしたり(止)、人にかまわず能率よく実績を上げようとする(実)などすべて人間が社会的な存在でもあることを示しています。

第二表
   
蓄積型
消費型
生物的 ch1(滋)・ch4(豊) ch7(合)・ch10(堕)
理念的 ch2(結)・ch5(奮) ch8(老)・ch11(煉)
社会的 ch3(演)・ch6(止) ch9(緩)・ch12(実)

(ハ)内向型と外向型
 奇数番のチャンネル、すなわち滋、演、奮、合、緩、煉の6個と偶数番のチャンネルすなわち結、豊、止、老、堕、実の6個はそれぞれ特徴があります。奇数番のグループは自分を取り巻く外界に向かって行動し、偶数番の6個は自分の内面に向かって働きかけます。外向的性格と内向的性格に分ける考え方がほぼ当てはまると言えるでしょう。

以上をまとめると第三表のようになります。

第三表
  外向型 内向型
蓄積型 消費型 蓄積型 消費型
第一型(生物的)
第ニ型(理念的)
第三型(社会的)

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(2)心的エネルギーがスムーズに流れる状態を「本心」と呼ぶ

 人は生まれつき持っている12のchに多少ともアンバランスがあります。そのアンバランスが心的エネルギーの流れを妨げるときそれを気質と呼びます。その気質を洗い流して心的エネルギーがスムーズに流れるようにすることを「淘(ヨナ)げる」といいます。
「ヨナげる」というのは「よね上げる、つまり、お米を磨いでざるに上げる」ということです。そこから転じて不純物を取り除いて大切なものを取り出す意味に使われました。ここでは気質が不純物で、スムーズな心的エネルギーの流れ(「本心」と呼びます)が大切なものということになります。淘げることでその場その場でもっとも適切な行動が取れるようになります。(ここで行動とは最も広い意味で内面・外面の全てを含みます。)これがテンゲングラムの目的です。
 前節でのべたように12chの分類の仕方が3種類あります。このことが私達の生き方にどんな意味を持つか考えてみましょう。

(イ)蓄積傾向と消費傾向
 二つの相反する傾向が自分の心の中でバランスが取れないことがあります。(1)で述べた1ch(滋)と7ch(合)、2ch(結)と8ch(老)、・・・のような六つのペアの間のアンバランスです。ペアになっているお互い同士の強弱がアンバランスのこともあり、強弱がつり合っていても自分の中で葛藤が起きたり、状況にそぐわないようなこともあります。テンゲングラムの質問紙や十二気の解説を読んで自分のなかのアンバランスを見つけてください。そしてペアになった「気」同士の釣り合いを保つのです。それが淘げの第一歩になります。

(ロ)人間性の三種類の意味
 人間は生物であると同時に、社会人でもあり、理念を追い求める存在でもあります。状況によってこの三種類の割合が変わります。賑やかにお酒を飲んだり、歌ったりして楽しんでいる時や、家でくつろぎながら食事をしている時は生物的な面の割合が高いでしょう。事務所で仕事をてきぱきと処理している時は社会的な面が主体になっているでしょう。しかし、その中でもしきたりを重視したり、改革に取り組んでいるときは理念的な面が働いているかも知れません。場面に応じて直感を働かせながら3種類の意味の割合を変化させることが役に立ちます。なるべく多くの選択肢を持つことです。そのコツは、リラックスして息を平にすることです。心の深い所からの知らせにタイミング良く反応して生きて行くのです。

(ハ)内向と外向の意味
 自分が在って世界が在る。その関わり合いが心的エネルギーそのものです。世界を素直に、在りにままに受け入れると同時に自分を表現し世界に働きかける。これが「一度しかない今を生きる」ということです。この与えられた「今とここ」を大切に、喜んで生きるには淘げしかありません。人は皆自分自身の淘げの名人になる可能性を持っています。さあこの淘げの道、テンゲングラムを学びましょう。

 テンゲングラム・セミナーでは一人一人の性格のプロフィールを作り、解析する方法をお教えします。それによって素晴らしい人生の展望が開けます。

(3)リラ・コン・バラの名人になる

 ここで(1)と(2)で述べたことをもう一度整理しておきましょう。テンゲングラムを学ぶと「リラ・コン・バラ」の名人になれるのです。リラはリラックスの略、コンはコンセントレーションの略、バラはバランスの略です。
 リラックスとコンセントレーションは同時に成立します。例えば野球の選手がバッターボックスで投手の球を待つ時肩の力を抜いたり、呼吸を整えたりして余分な緊張を取り除くようにします(リラ)。こうして球への集中力を高めるのです(コン)。日常生活ではのびのび(コン)らくらく(リラ)と生きること、その為には癖を取ること(バラ)に尽きます。

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