中国前近代史(2)
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ムーラン
"Mulan"
1998年/アメリカ
ディズニー
カラーアニメ映画(88分
スタッフ○監督:バリー=クック/トニー=バンクロフト○脚本:リタ=シャオ/クリストファー=サンダース/フィリップ=ラゼブニク/レイモンド=シンガー/ユージニア=ボストウィック=シンガー○音楽:ジュリー=ゴールドスミス/マシュー=ワイルダー○製作:パム=コーツ
キャスト(声)ミン=ナ(ムーラン)、エディー=マーフィー(ムーシュー)、B=D=ウォン(リーシャン)、ミゲル=フェラー(単于)、パット=モリタ(皇帝)ほか 
ストーリーファ(花)家の娘ムーラン(木蘭)は、傷を負った父に代わって男装して軍隊に入る。男になりすましたまま軍隊の過酷な訓練に耐えたムーランは、北方から攻め込んできた騎馬民族フン族と戦い勝利を挙げる。しかし女であることが発覚した彼女は軍を追われてしまう。その直後にフン族の残党が都に潜入、皇帝を生け捕りにしてしまった。ムーランは再び鎧に身を固め…
解説ついにあのディズニーが中国ネタ作品を放った。元ネタは伝説の女傑「花木蘭」。彼女が男に化けてフン族(モンゴルのことらしい)と戦うストーリーだが、かなり自由に脚色されている。ビデオソフトのみだが続編「ムーラン2」も製作されている。
メディアDVD/BD発売:ブエナ・ビスタ・ホームエンタテインメント

創世の竜
李世民 大唐建国記
"開創盛世"
2006年/中国
山東電視劇中心/輝煌世紀公司
カラーTVドラマ(全44回
スタッフ○監督:王文傑○脚本:鮑海鳴・張輝利
キャスト沈暁海(李世民)、孫菲菲(月容公主)、鮑国安(煬帝)、劉文治(李淵)、張子建(李建成)、楊冬(李元吉)、李振起(李密)ほか
ストーリー名門・李家の御曹司である李世民は隋の皇帝煬帝の文化的薫陶を受けつつ、その娘・月容公主と恋に落ちる。やがて世は乱れて煬帝は自決し、月容公主とも生き別れに。世民は父・李淵の唐建国を助け、兄弟と争って後継者の地位をつかむ。
解説唐の太宗・李世民の若き日にテーマを絞り、隋の混乱から唐建国に至る過程をドラマ化。主役コンビに若手アイドル系を配し、ラブコメ要素も強くした軽いノリの歴史劇で、有名どころの史実はだいたいカバーしつつも予算のせいか戦闘結果が報告で済まされるなど手抜き感も強かった。暴君とされがちな煬帝を優れた文化人で「いい人」に描いているのは注目点。どういうわけか中国では同時期に李世民主役ドラマが三本ぐらい製作されている。
メディアDVD発売:ジェネオン・ユニバーサル

則天武后
"武則天"
1995年/中国
中国電影合作制作公司
中国中央電視台
中国華僑影視制作中心
カラーTVドラマ(全30回
スタッフ○監督:陳家林○脚本:張天民/冉平/柯章和○撮影:杜信/董印徳○美術:路奇/易振洲/張鳴○音楽:陳受謙○製作:劉大印
キャスト劉暁慶(武眉・則天武后)、鮑国安(太宗)、陳宝国(高宗)、劉毓濱(長孫無忌)、王培(房玄齢)、黄斐(魏徴)、鄭爽(王皇后)、ほか 
ストーリー唐の太宗の後宮に入った武媚はその聡明さで太宗に寵愛されるが、間もなく太宗が死去したため他の后妃ともども尼寺に入れられてしまう。武媚は以前から関係を持っていた次の皇帝・高宗にとりいって尼寺から後宮に舞い戻ることに成功。謀略によって他の后妃を次々と倒して皇后の地位に昇り、無能な高宗を操って政治を仕切り、高宗の死後に中国史上空前絶後の女性皇帝として即位する。有能な政治家として君臨した彼女だったが、その老いと共に彼女の帝国は崩壊してゆく。
解説日本では「則天武后」のタイトルで衛星放送で放映された。中国史上唯一の女帝・則天武后の波乱の生涯を描く。「芙蓉鎮」で有名な劉暁慶が武后を熱演(2006年のドラマでも同じ役を演じた)。武后を単純な悪女ではなく、有能な政治家であった事を強調して描き、また彼女の孤独で苦悩に満ちた私生活も描いていく。なお、終盤の劇中で日本の遣唐使が到着して武后に面会する場面がある。
メディアDVD発売:コニ―ビデオ

ヘブン・アンド・アース
天地英雄
"天地英雄"
"Worriors of Heaven and Earth"
2004年/中国
華誼兄弟太合影視公司
哥倫比亜電影(亜洲)制作公司
西安電影制片廠西影股分有限公司
カラー映画(118分
スタッフ○監督:何平○脚本:何平/張鋭○撮影:趙非○美術:楊鋼/滕捷○音楽:A=R=ラフマーン○製作:延芸雲/王中軍
キャスト姜文(李隊長)、中井貴一(来栖旅人)、ヴィッキー=チャオ(文殊)、王学圻(安)ほか 
ストーリー日本からの遣唐使として唐に渡った来栖旅人は皇帝直属の刺客として25年を唐で過ごし、熱い望郷の念にかられていた。彼が帰国前に最後に狙う相手は軍令に背いて逃亡した「無敵の李」こと李隊長。李は西域の砂漠をさまよううち経典を運んで長安へ向かう隊商の生き残りと偶然合流、かつての部下達と共にこれを守って長安を目指す。これをなぜか突厥の軍隊が執拗に追ってきて、李を狙う来栖、突厥に雇われる地元ボスで剣の達人の「安」も加わり、乱戦連続の旅路が続く。
解説かなり込み入ったストーリーなのだが、少々ネタばれ覚悟で言えば「中華風インディジョーンズ」。中国にとってもエキゾチックな要素満載で送る無国籍的なアクション大作だ。中井貴一が出演しているのが話題だが、実のところここに日本人が登場する必然性を感じないのが残念。
メディアDVD発売:ソニー・ピクチャーズ・エンターテインメント

ザ・エンペラー
西蔵之王
"西蔵之王"
1987年/中国
カラー映画(90分
スタッフ○監督・脚本:ヨン=カツ=ヤオ○撮影:ライ=ワンロウ/キョン=パー=ソー=パ/ヨン=マンリョン○制作:メン=マー=チョイ=ヤン/ヨン=コツ=ポー=レン 
キャストジャ=サイ=トン=チュー(ソンツェン・ガンポ)ほか 
ストーリー7世紀のチベット(吐蕃)。父王を毒殺されて即位したソンツェン=ガンポは守旧派の宰相らと対立しつつ文字の制定、仏教の導入など新しい国づくりを進める。そして唐の王女・文成公主を妃に迎え入れて唐との結びつきを深める。
解説この妙なタイトルは日本版のビデオの題名。内容はチベット統一の英雄・ソンツェン=ガンポの生涯を描いたもの。彼の統一事業、唐との戦いと和解を描いている。かつての中国史映画の定番・男一人女二人の三角関係と大将自らの一騎打ちはここでも観られる。大衆向け娯楽作品ってことなんだろうな。ラストの唐の姫との結婚も政治的匂いが漂っている。
メディア新東宝よりVHSソフトが発売されていたが、DVD以降のソフト化はない模様。

楊貴妃
1955年/日本・香港
大映
カラー映画(98分
スタッフ○監督:溝口健二○脚本:陶秦/川口松太郎/依田義賢/成澤昌茂○撮影:杉山公平○美術:水谷浩○音楽:早坂文雄○製作:永田雅一/ランラン=ショウ
キャスト京マチ子(楊貴妃)、森雅之(玄宗)、山村聡(安禄山)、小沢栄太郎(楊国忠)、進藤英太郎(高力士)ほか 
ストーリー唐の全盛期を築き華やかで多忙な日々を送る玄宗皇帝だったが、最愛の妃に先立たれ他の女性には興味もわかず趣味の管弦に気を紛らしていた。野心家の軍人・安禄山は長安の飲食店の炊事場で働いていた田舎娘・楊玉環に目をとめ、その隠れた美しさを引き出して宦官の高力士に紹介する。高力士の策謀によって後宮にあがった玉環に玄宗は最初は冷たくするが、やがてその素朴で優しい性格に魅了され深く愛するようになる。玉環への寵愛により楊一族は出世して国政も左右するようになるが、出世から外されたことを恨んだ安禄山は反乱をおこす。 
解説日本映画界を代表する巨匠・溝口健二監督が中国史に材をとった異色の一本。香港との合作映画で、名高い「長恨歌」を下敷きにした脚本には中国人の手も入っている。史実は大いに弄られ、歴史大作というよりは小粒なラブストーリーにまとめた作品だが、専門家を呼んで正確な考証を期したという美術や管弦はカラー映像とあいまって美しい。京マチ子はこの当時を代表する肉感派女優で、当時としてはギリギリであろう温泉シーンもある。
メディア以前VHSソフトが出ていた。DVDはレンタル向けはあるが、販売向けは単体ではなく溝口健二作品集に収録されている。

女帝-エンペラー-
"夜宴"
"THE BANQUET"

2006年/中国・香港
華誼兄弟影業投資有限公司
寰亜電影有限公司
カラー映画(131分
スタッフ○監督:馮小剛○脚本:盛和U/邱剛建○撮影:張黎○美術:葉錦添○音楽:譚盾○アクション監督:袁和平○製作総指揮:王中磊/袁和平
キャストチャン=ツィイー(ワン皇后)、ダニエル=ウー(ウールアン)、グォ=ヨウ(新帝リー)、ジョウ=シュン(チンニー)ほか
ストーリー王朝の興亡が相次いだ五代十国時代。皇帝が不審な死を遂げ、弟リーが新帝に即位、先帝の皇后ワンを自らの后とした。隠棲していた皇太子ウールアンは刺客に襲われるがからくも逃れ、都にのぼって父帝の死の真相を知り、ひそかに復讐をくわだてる。 
解説史実を扱った歴史映画ではなくシェークスピア「ハムレット」の翻案映画なのだが(黒澤の「蜘蛛巣城」「乱」を意識したフシもある)、五代十国期を扱ったのが珍しいのでここに入れてみた。もっとも時代考証は特に考えた様子はないが…「ハムレット」にそこそこ忠実な翻案だがチャン=ツィイーを主役にしたためまるっきり違う話にも見える。ユアン=ウーピン(袁和平)が演出したワイヤーアクションシーンはもしかすると彼の最高峰かもしれない。それにしても邦題はどうにかなんなかったか。
メディアDVD/BD発売:ハピネット

大遼太后
日本未公開"

1995年/中国
遼寧電影制片廠
カラー映画(85分
スタッフ○監督:白徳彰/黄力加○脚本:王占君○撮影:張馳/許連慶/李軍〇美術:趙振学/張雷○音楽:陳受謙○製作:劉志清
キャスト慕青(蕭燕燕=蕭太后)、楊凡(韓徳譲)、王志華(景宗)、白徳彰(穆宗)、葛人(斉王)、高長利(宋王)、魏然(蕭素素)、張華敏(蕭麗麗)ほか
ストーリー10世紀、北方草原に契丹族は遼帝国を建国していた。遼の大臣の三女・燕燕は奔放に育ち、若き漢人将軍の韓徳譲と恋仲であったが、皇帝穆宗に迫られ、その最中に穆宗は暗殺され、その跡を継いだ景宗の後宮に入ることになってしまう。やがて燕燕は景宗の寵愛を得て皇后となり、病弱の景宗に代わって政治をみるようになる。これに不満を抱く斉王・宋王らは反乱を起こし、燕燕は自ら武装して出陣、かつての恋人・韓徳譲らと共に平定を進めてゆく。そして景宗が死去すると息子を皇帝とし、燕燕は「蕭太后」として遼の実質的「女帝」となるのだった。
解説遼寧省の地方映画製作会社が製作したローカル系歴史映画。「遼」が扱われること自体が異例だし、その女傑が主人公というのも異色。史実をベースにしつつ娯楽色の強い内容で、ちょうど国営企業の自助努力が求められた時期という製作事情もあったらしい。ちなみに韓国の歴史ドラマ「千秋太后」でも蕭太后は重要人物として登場している。
メディア日本では未公開で、ソフト化もされていない。

敦煌
1988年/日本
大映/電通
カラー映画(143分
スタッフ○監督:佐藤純弥○脚本:吉田剛/佐藤純弥○撮影:椎塚彰○美術:徳田博/寇鴻烈○音楽:佐藤勝○原作:井上靖○製作総指揮:徳間康快
キャスト西田敏行(朱王礼)、佐藤浩市(趙行徳)、渡瀬恒彦(李元昊)、中川安奈(ツルピア)、原田大二郎(尉遅光)、田村高広(曹延恵)ほか
ストーリー11世紀、宋の科挙に落第した趙行徳は自らの運命を切り開くべく西域へと向かった。彼は砂漠で新興国・西夏の漢人部隊に入れさせられ、戦いの中で隊長・朱王礼と友情で結ばれる。そして戦場で出会ったウイグルの王女・ツルピアと恋に落ちるが、彼女は西夏の皇太子・李元昊に求婚され自殺してしまう。趙行徳と朱王礼は漢人の町・敦煌の太守を説得して、李元昊に決戦を挑む。
解説いわゆる「敦煌文書」のミステリーに挑んだ井上靖の小説を映像化。もともと小林正樹が熱望し、深作欣二に受け継がれた企画で、ようやく佐藤純弥の手によって実現した。中国人民解放軍を動員した大規模な現地ロケ、実際に建設した敦煌城のセットなど、総製作費は45億円と邦画としては破格のスケールをもつ。ちょっと現実離れした観のある戦闘シーンや平板なストーリーが気にならないではないが、それなりに楽しめる大作。日本人が中国史映画を作ったことでクソミソに言う人も多いが、それを言ったらハリウッドの歴史劇は全て駄作である。
メディアDVD発売:角川エンタテインメント

水滸伝
"水滸伝"

1972年/香港
ショウ・ブラザーズ
カラー映画(120分
スタッフ○監督:張徹○脚本:張徹/倪匡○撮影:龔慕鐸○音楽:陳永U○製作:邵仁枚
キャストデビッド=チャン(燕青)、丹波哲郎(盧俊義)、黒沢年雄(史文恭)、ティ=ロン(武松)、谷峰(宋江)ほか
ストーリー梁山泊の首領・晁蓋が史文恭の毒矢に当たって戦死。梁山泊は宋江を首領として結束、大名府の豪傑・盧俊義を仲間に加えようと画策する。盧俊義は仲間入りを断るが執事が盧俊義の妻と密通して官件に訴えたため盧俊義は逮捕されてしまう。盧俊義の腹心・燕青は梁山泊に救援を求め、共に大名府に乱入してゆく。
解説日本のスター二人を招いて制作された「水滸伝」で、ストーリーは晁蓋の死から盧俊義の梁山泊入りまで。丹波・黒沢の二人は適当な言葉で演技して声は吹き替えられたものだが、存在感はなかなかのもの。
メディアDVD発売:キングレコード

水滸伝
1973年/日本
国際放映/日本テレビ
カラーTVドラマ(全26回
スタッフ○監督:舛田利雄○構成:菊島隆三/山田信夫○脚本:高岩肇/宮川一郎/舛田利雄/中川信夫/池上金男/村野鐡太郎○音楽:佐藤勝○特技監督:有川貞昌○原作:施耐庵○原案:横山光輝○プロデューサー:加藤教夫/石野憲助
キャスト中村敦夫(林中)、あおい輝彦(史進)、長門勇(魯智深)、大林丈史(宋江)、原田大二郎(花栄)、ハナ肇(武松)、黒沢年男(戴宋)、丹波哲郎(呼延灼)、松尾嘉代小蘭)、土田早苗(扈三娘)、佐藤慶(高求)ほか
ストーリー宋の徽宗皇帝の時代。朝廷の高官・高求に無実の罪を着せられた林中は流刑となり、妻も非業の最期を遂げる。林中は流刑先で次々と好漢と知り合い、好漢たちの集まる梁山泊に入ってその中心的存在となり、高求らと戦う。
解説日中国交正常化記念企画、ということであったらしく、僕は地方TV局の再放送でチラッと見た。キャストを調べるとなかなか豪華でビックリ。主役は林冲(林中と表記)になっていて筋書きもかなり原典とは異なる。制作は「西遊記」も手がけていた国際放映で、街並みのオープンセットのほか、湯島聖堂を使ってロケしたりもしていたそうな。海外にも輸出されてBBCで吹き変えた英語版も存在し、世界各地で幅広く放送されている。
メディアDVD発売:バップ

水滸伝
"浪子燕青"
"Warriors of the Sung Dynasty"
1983年/香港
恵基
カラー映画(91分
スタッフ○監督:エディ=マ(馬成)○脚本:宋文法/張加毅○製作:蒋傑
キャスト魯国慶(燕青)、段章麗(上官玉環)、穆懐虎(宋江)、王海深(魯智深)、馬宗軒(武松)ほか
ストーリー百八人の豪傑たちが集結した梁山泊。その首領・宋江は武術の達人・燕青を伴って山を下りて街に出かけ、燕青は奉納相撲で怪力の男相手に大暴れ。梁山泊一味を危険視した官軍が山に押し寄せるが、梁山泊の好漢たちは奮戦の末にこれを撃退する。
解説確かに「水滸伝」の話なのだが、単なるカンフー映画。梁山泊に全員集まった後の話で、燕青の泰山奉納相撲の事件を大幅に脚色。まぁ「水滸伝」ファンはそれなりに楽しめる。端っこの方にいるセリフのないキャラクターの名前まで推測できるぞ(笑)。日本公開時の広告で王貞治監督と漫画家ゆでたまご氏の、映画本編とあまり関係ない賞賛コメントが出ていたのをよく覚えている(笑)。
メディアタキ・コーポレーションよりVHSソフトが出ていたが、DVD以降のソフト化は日本国内ではない模様。

水滸伝
〜永遠なる梁山泊〜

"水滸伝"

1998年/中国
中国中央電視台
カラーTVドラマ(全43回
スタッフ○監督・撮影:張紹林○脚本:楊争光/冉平○美術:銭運選○音楽:趙季平○アクション監督:袁和平・袁祥任○製作:任大恵/張紀中
キャスト李雪健(宋江)、周野芒(林冲)、丁海峰(武松)、趙小鋭(李逵)、宇小志(呉用)、王光輝(燕青)、鄭爽(扈三娘)、魏宗万(高俅)ほか
ストーリー宋の徽宗皇帝の時代。朝廷では遊び人あがりの高俅らによる悪政が行われていた。各地から世にあぶれた好漢たちが運命に導かれるように梁山泊へと集まり、幾多の戦いを経て頭領・宋江以下百八人が結集する。高俅らの官軍を打ち破った梁山泊軍は朝廷に投降し、方臘らの反乱軍の征伐に駆り出されて多くの仲間を失い、やがて宋江も悲劇的な最期を遂げる。
解説宋代・徽宗皇帝の時代を舞台とする大長編小説「水滸伝」の完全映像化を目指した全43回のテレビドラマ。さすが本国だけあって原作にほぼ忠実な作りで楽しめるが、現代人の感覚では理解しにくい部分は微妙に改変しているし、後半の異民族との戦いは一切カットされた。名匠ユエン=ウーピンが演出した自在のワイヤーアクションは賛否両論かも。エンディングテーマ「好漢歌」の出来がやたらによく、一度聞いたら耳から離れない。
メディアDVD発売:コニ―ビデオ

奇皇后
〜二つの愛・涙の誓い〜

"기황후"

2013〜2014年/韓国
MBC
カラーTVドラマ(全51回
スタッフ○監督・ハン=ヒ/イ=ソンジュン○脚本:楊チャン=ヨンチョル/チョン=ギョンスン○美術:銭運選○音楽:趙季平○アクション監督:袁和平・袁祥任○製作:任大恵/張紀中
キャストハ=ジウォン(奇洋=奇皇后)、チュ=ジンモ(ワン・ユ=忠恵王)、チ=チャンウク(タファン=トゴン・テムル)、チョン=グクファン(ヨンチョル)、キム=ジョンヒョン(タンギセ)、ペク=ジニ(タナシルリ)、キム=ソヒョン(皇太后)、キム=ヨンホ(ペガン)、トン=イハン(タルタル)ほか
ストーリー14世紀、母を殺された高麗の少女ヤンは男になりすまして成長、運命のいたずらで高麗の太子ワン・ユと元の太子タファンと知り合う。やがて女性であることがばれたヤンは高麗から元へおくる貢女として元宮廷に入る。ここでヤンは皇帝となったタファンに愛されると同時に人質として元に来たワン・ユとも愛し合うようになる。宰相ヨンチョル一派の陰謀で一度は何もかも失ったヤンは復讐のために後宮に入り、激しい闘争の末に皇后の座へと上り詰める。だが元の落日は間近に迫っていた。
解説どこに分類したものか迷ったのだが、紫禁城ロケも敢行して元の宮廷劇に多くの時間を割いているのでここに入れた。高麗からの貢女から皇后となった「奇皇后」なる女性がいたことは史実だが詳細は全く不明で、ドラマも創作と毎回断りつつ男女三角関係を軸とした波乱万丈の物語に仕立て上げている。
メディアDVD発売:バップ

大明帝国 朱元璋
"朱元璋"

2006年/中国
上海三九文化発展有限公司
中国国際電視総公司
カラーTVドラマ(全46回
スタッフ○監督:馮小寧○脚本:朱蘇進○撮影:馮小寧/鄭傑/馮馮○美術:夏南○音楽:李戈○製作:楊玉冰/方全林
キャスト胡軍(朱元璋)、劇雪(馬皇后)、鄭暁寧(劉伯温)、陳長海(李善長)、尹国華(胡惟庸)、鄂布斯(徐達)、楊洪武(湯和)、李明(陳友諒)、侯祥玲(朱標)ほか
ストーリー貧農の子として生まれ、飢えのために両親も失った少年・朱重八は寺に入って僧となった。成長した重八は白蓮教徒の紅巾軍に参加、有能な部下たちを得てめきめきと頭角を現し「朱元璋」と改名、元末の群雄割拠の情勢を勝ち抜き、南京に都を置く「明」王朝を建設する。意欲的に国造りに励む朱元璋だったが、理想と現実の乖離、功臣たちの権力闘争を見て疑心暗鬼に陥り、次々と粛清を行って皇帝の独裁体制を強めてゆく。
解説漢の高祖・劉邦と並ぶ中国史上の出世頭・朱元璋の波乱の生涯をドラマ化。およそ20回で皇帝に即位してしまって出世街道が終わり、残りが延々と続く暗い権力闘争と粛清の嵐なので見る人を選ぶだろう。出来自体は非常に堅実だが娯楽性はあまり高くない。なお、同時期にもう一本朱元璋ドラマが存在するし、妻の馬皇后や参謀の劉伯温を主役にしたTVドラマも存在する。
メディアDVD発売:エス・ピー・オー

忠烈図
"The Valiant Ones"
1975年/香港・台湾
香港金銓電影公司
カラー映画(101分
スタッフ○製作・監督・脚本:キン=フー(胡金銓)○撮影:陳清渠
キャスト喬宏(兪大猷)、徐楓(伍若詩)、白鷹(伍継園)、洪金寶(博多津)、韓英傑(許棟)、元豹(倭助)、火星(才門)、趙雷(嘉靖帝)、屠光啓(朱紈)ほか
ストーリー明の時代の中国。沿岸の警備に当たる隊長のイー(兪大猷)は、襲い来る倭寇と戦うべく、様々な能力を持つ男女を配下に集めた。そして首領「博多津」に率いられた倭寇が襲来し、イーらはその拠点「双嶼」に乗り込んでいく。
解説カンフー映画草創期の名匠・キン=フーが製作した「対倭寇映画」。倭寇を専門とする僕の目から見ると兪大猷などの武将や許棟といった倭寇の頭目がちゃんと出てくるのが楽しい。中でも「博多津」をサモ=ハン=キンポーが、「倭助」をユン=ピョウが演じている!これ「博多津倭助才門」っていう同一人物なんだけど・・・スタッフが参考にした中国研究者の誤解そのまんまなんだよね。基本は無茶苦茶なカンフー映画だが、妙にちゃんと資料に当たっている所が面白い。そうそう、ジャッキー=チェンが斬られ役で何度も登場(顔は見えない)することでも有名。
メディア以前大映からVHSソフトが発売され、LDソフトもどこからか出ていたが、DVD以降のソフト化は日本国内では実現していない。

新忠烈図
"The Valiant Ones New"
2007年/中国・香港
北京博納影視文化交流有限公司
長春電影制片廠
カラー映画(89分
スタッフ○監督:劉新○脚本:朱姝○製作:陸川○プロデューサー:于冬/梁戈/趙国光/呉偉健
キャスト呉奇隆(曹頂)、黄奕(阿珠)、尹子維(博多津)ほか
ストーリー時は明の嘉靖年間、倭寇の沿海への侵略は激しさを増していた。官軍は倭寇鎮圧のために塩の密売人・曹頂やチワン族の女武将・阿珠らを戦力に招く。曹頂らは協力者と偽って倭寇の拠点に潜入、総大将・博多津と対面する。曹頂らにおびき寄せられた倭寇軍と官軍、そして曹頂・阿珠らの大激戦が始まる!
解説上記古典アクションのリメイクだが、なぜか主役は変更された。曹頂はレッキとした実在人物で実際に塩の密売人だったし、チワン族女武将も一応元ネタはある(そもそも前作にも同じキャラがいた)。ただしそれ以外はほとんどフィクション。倭寇はあくまで純日本人集団に描かれ、「博多津」なんか日本の源平時代スタイル。日本人は一人も出演してないため妙な日本語が連発され、「中村一郎」なんて首領が出てきたり、やたら「コンニチワ!」と挨拶するなど日本人としては失笑しちゃう場面多し。最初のほうにチラッと嘉靖帝や厳嵩が出てくるところなど倭寇専攻としては興味深かったが、やはりリメイクが前作を超えたためしなし。
メディア日本では未公開でソフトも一切出ていない。

ヌルハチ
"努尔哈赤"
1986年/中国
カラーTVドラマ(全46回
スタッフ○監督:陳家林○脚本:兪智先/高原/劉恩銘○撮影:杜信/董覚○美術:魏紅宇/苑広思○音楽:金復○製作:曹恵/林兆良/龍森林○プロデューサー:矯広礼/楊宝華
キャスト侯永生(ヌルハチ)、陳志仁(袁崇煥)ほか
ストーリー女真族に生まれたヌルハチは奴隷として苦難の少年時代を送り、やがて同志らを率いて連戦、ついに女真族を統一して「後金」を建国する。明に戦いを挑んだヌルハチは戦場の傷がもとでこの世を去るが、その子孫たちは中国を統一して大清王朝を築きあげるのだった。
解説日本で深夜帯にこっそりやっていたのでほとんど見逃してしまった。中国歴史ドラマのパターンは一通りやっていたような記憶がある程度。
メディア日本では現時点でソフト未発売。

大明劫
Fall of Ming
2013年/中国
電影頻道節目制作中心
江蘇衆道影業投資有限公司
中央新聞記録電映制片廠
カラー映画(110分
スタッフ○監督:王竟○脚本:謝暁東/周栄揚○撮影:劉又歳○美術:白昊○プロデューサー:謝暁東
キャスト馮遠征(呉又可)、戴立忍(孫伝庭)、馮波(馮氏)、銭学格(趙川)、楊暘(趙雲舒)、余少群(崇禎帝)ほか
ストーリー1642年(崇禎15年)、李自成の乱が起こり明王朝は滅亡の瀬戸際に立っていた。崇禎帝は投獄されていた孫伝庭を許して乱の鎮圧を命じる。孫伝庭は規律の乱れた軍を立て直そうとするが、社会全体の乱れは手の施しようがない。折も折、兵士や周辺住民に疫病が蔓延。旅医者の呉又可は多くの患者を観察するうちに疫病は原因となるものが空気に混じって鼻や口に入ることで伝染するとの仮説を立て、孫伝庭の軍の兵士たちの治療に当たる。
解説主人公の呉又可(「又可」は字で、名は「有性」)はこの時代に実在した医師で、伝染病についての先駆的な研究を含んだ医学書「温疫論」は日本にも多大な影響を与えている。この医師の話と孫伝庭(こちらも実在)が苦闘する明帝国そのものの「病」を重ねて描くという、とても客を呼べそうにない実に地味な素材の歴史劇ながら、カネも手間もかけたしっかりとした作りに好感が持てる。
メディア日本未公開。

英雄 国姓爺合戦
"英雄鄭成功"
"Sino-Dutch War 1661"
2001年/中国
中国電視音像交流有限公司
創智電影制作発行公司
カラー映画(98分
スタッフ○監督:呉子牛○脚本:張冀平○イ=フホウラ○美術:林g○音楽:章紹同○製作:李寧
キャスト趙文卓(鄭成功)、水霊(薛良)、島田楊子(マツ)、杜志国(鄭芝竜)ほか
ストーリー北から中国の征服を進める清軍に対し、明朝に忠節を尽くして戦う鄭成功は明の皇帝から「朱」の姓を賜り「国姓爺」と呼ばれた。しかし成功の父・芝竜は清軍に降伏し、日本人の母マツも戦いの中で命を落としていく。大陸での拠点を失った成功は台湾住民の声に応じてオランダ軍との戦いに臨む。
解説日本では無理やり「近松門左衛門原作」と銘打って「国姓爺合戦」のタイトルで公開された(もちろん元ネタが共通ではあるが内容的には全く無関係。「日中合作」とも謳ったが単に「日本公開版」ということである)。僕は日本公開以前にイギリスへ向かう香港機の機内放送で鑑賞、ロンドンの中華街でVCDを買った経緯がある。清との戦いよりも「台湾回復」をやたらに強調するつくりは中国ならではというところで、オランダ軍との大激戦は何だか太平洋戦争中の日本の「鬼畜米英」を連想したりもした(笑)。正直なところB級としかいいようのない映画なのだが、日本の国際スター・島田楊子を引っ張り出して、幼少時代のために平戸ロケを敢行している(チラッとしか映らないけど)
メディアDVD発売:日活

康熙王朝
2001年/中国
中国国際電視総公司
カラーTVドラマ(全50回
スタッフ○監督:陳家林/劉大印○脚本:朱蘇進/胡建新○原作:二月河○製作:劉大印/劉印剛/応麗娟
キャスト陳道明(康熙帝)、斯琴高娃(孝荘太后)、劉均(順治帝)、曹永吉(呉三桂)、高蘭村(納蘭明珠)ほか
ストーリー清の第三代皇帝・順治帝は愛妃の死を悲しんで出家してしまい、聡明な皇子・玄Yが皇位についた。これが康熙帝である。少年皇帝・康熙は曾祖母・孝荘太后の薫陶を受けて育ち、三藩の乱など難局を切り抜けて清帝国の基盤を固めていく。
解説中国最高の名君とされる康熙帝の一代記ドラマ。康熙帝の長い治世を50回かけて描き、中国では空前の大ヒットを記録した。史実に忠実な硬いドラマかと思うとそうでもなく、かなり俗説やフィクションを混ぜて娯楽性の高い内容でもあった。
メディアDVD発売:コニ―ビデオ

宮廷の諍い女
"後宮・甄嬛伝"
2011年/中国
北京電視芸術中心
カラーTVドラマ(全76回
スタッフ○監督:鄭曉竜/高翊浚○脚本:流瀲紫/王小平○撮影:謝澤○音楽:劉歓○原作:流瀲紫○製作:曹平○プロデューサー:鄭曉竜
キャスト孫儷(甄嬛)、陳建斌(雍正帝)、李東学(果郡王)、蔡少芬(皇后)、斕曦(沈眉荘)、陶マ然(安陵容)、蒋欣(華妃)、孫茜(槿汐)、藍盈瑩(浣碧)、張曉龍(温実初)ほか
ストーリー清朝・雍正帝の時代、漢族の重臣の娘・甄嬛は気の進まぬまま後宮の秀女に選ばれ、やがてその美貌と教養から雍正帝の深い寵愛を受ける。しかし後宮で権勢を誇る華妃や策謀に長けた皇后に敵視されて次々と苦難を経験する。罠にはまって失脚し、後宮での生活に疲れた甄嬛は後宮を離れて尼寺に住みこむ。ここで彼女をひそかに愛していた皇帝の弟・果郡王と心安らぐ日々を送るがそれも短く終わり、甄嬛は自らが生き抜くため、復讐を果たすために策をめぐらして後宮に舞い戻る。
解説原作はネットで発表されたまったく架空の後宮小説。ドラマ版は雍正帝の時代に設定して史実と巧みにからめつつ、美女と策謀が入り乱れる波乱万丈の「大奥闘争ドラマ」を展開して大人気となった。本物の紫禁城や華麗なセット・衣装といった大道具・小道具も見どころ。
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