ドイツ・オーストリア史映画
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○「アマデウス」1984・アメリカ
◇スタッフ
○監督:ミロス=フォアマン○脚本:ピーター=シェーファー
◇キャスト
F=マーリー=エイブラハム(サリエリ)、トム=ハルス(モーツァルト)、ジェフリー=ジョーンズ(ヨゼフ2世)ほか
◇ストーリー
自殺を図った元宮廷作曲家サリエリは精神病院で「自分がモーツァルトを殺した」と告白し始める。サリエリはヨゼフ2世に仕える作曲家として地位を得ていたが、天才モーツァルトと出会い、その才能を誰よりもよく理解しつつも「神はあの下品な男に才能を与え、私にはそれを理解するだけの力しか与えてくださらなかった」と激しく嫉妬する。彼はモーツァルトを抹殺することで神への復讐を果たそうとする。
◇うんちく
ピーター=シェーファーの同名戯曲の映画化。18世紀の雰囲気を色濃く残すチェコのプラハ市街(ちなみに監督の出身国である)でロケを行い、当時の劇場を使用するなど時代の雰囲気の再現にかなり成功した豪華巨編である。エイブラハムのサリエリ役も印象的だが、何と言ってもトム=ハルス演じる下品でおしゃべりでそれでいて天才のモーツァルトが本作の見物。各映画賞の主演男優賞は主役のサリエリにほとんど奪われてしまったが…
○「會議は踊る」1931・ドイツ
◇スタッフ
◎監督:エリック=シャレル◎音楽:ベルナー=R=ハイマン
◇キャスト
リリアン=ハーヴェイ(クリステル)、ビリ=フリッチュ(アレクサンドル、コレルスキー)、コンラート=ファイト(メッテルニヒ)ほか
◇ストーリー
ナポレオン失脚後のヨーロッパ秩序を決めるため、ヨーロッパ中の君主・要人がウィーンに集結。そんな中オーストリア首相メッテルニヒは会議を思い通りに進めるため策謀をめぐらし、とくにロシア皇帝アレクサンドル1世を色仕掛けでたぶらかそうと画策する。そのアレクサンドルはふとしたキッカケでウィーンの手袋屋の娘と恋に落ちてしまった。
◇うんちく
オペレッタ映画の最高傑作と言われる、白黒時代の音楽・恋愛映画の名作。名曲に乗せて語られるロシア皇帝とウィーン娘の軽やかな恋物語と、色仕掛けのメッテルニヒと「影武者」を駆使するアレクサンドルの知恵比べなどなど、楽しい仕掛けに満ちた映画。歴史物としてもタレーランやウェリントンなど有名人が多々出てきて楽しめる。ラストにエルバ島からナポレオンが脱出する一幕も出てくる。
○「プリンセス・シシー三部作」1955〜1957・オーストリア
◇スタッフ
◎監督・脚本:エルンスト=マリシュカ
◇キャスト
ロミー=シュナイダー(エリーザベト)、カール=ハインツ=ベーム(フランツ=ヨーゼフ1世)、ウタ=フランツ(ヘレーネ)、マグダ=シュナイダー(ルドヴィカ)、グスタフ=クヌート(マクシミリアン)、シルマ=デギッシャー(ゾフィー)、ウォルター=レイヤー(アンドラーシ)ほか
◇ストーリー
19世紀半ば、田舎で自由奔放に育った公爵令嬢エリーザベト(愛称シシー)は、本来姉が嫁入りするはずだったオーストリア皇帝フランツに見初められ、その皇后になってしまう。娘をもうけたシシーだったが、姑のゾフィーとの対立など宮中の息苦しさを逃れて実家に帰ったり、支配下のハンガリーへ出かけたりと奔放にふるまう。独立志向のハンガリー貴族たちや、領土問題で対立するイタリア人たちもシシーの美貌と魅力に引かれていくのだった。
◇うんちく
「プリンセス・シシー」「若き皇后シシー」「シシー・ある皇后の運命の歳月」の三部作構成(約300分)だが、これだけかけても彼女の若き日の話だけ。続きを作る気があったようにも見えるのだが…その後の悲劇的運命をそこはかとなく示唆しつつ、全体的に明るく楽しい「お姫様映画」に仕立てており、オーストリアでは今なお定番の人気作とか。元気いっぱいの皇后を演じたロミー・シュナイダーは愛称も「シシー」となり、一世一代の当たり役となって下の「ルードヴィヒ」でも同役を演じることになった。
○「ルードヴィヒ」1972・イタリア
◇スタッフ
◎監督・脚本:ルキノ=ヴィスコンティ◎撮影:アルマンド=ナンヌッツィ
◇キャスト
ヘルムート=バーガー(ルードヴィヒ2世)、トレバー=ハワード(ワグナー)、ロミー=シュナイダー(エリーザベト皇后)ほか
◇ストーリー
19世紀後半、バイエルンの国王となったルードヴィヒ2世は芸術を深く愛し、作曲家ワグナーに傾倒して国費を浪費する。彼は従姉妹であるオーストリア皇后エリーザベトに熱い恋心を抱くが、エリーザベトは妹のゾフィーをルードヴィヒと結婚させようとする。エリーザベタやワグナーとの愛憎、プロイセンによるドイツ統一の進行で国を奪われる恐怖におびえるルードヴィヒは次第に精神を病み、やがて謎の死を遂げる。
◇うんちく
「狂王ルードヴィヒ」として知られるバイエルン国王の悲劇的な生涯を、関係者の証言をつづっていく形式で描く4時間・五部構成の大作。本物の貴族出身のヴィスコンティ監督ならではのデカダンス豪華作品だが、その延々としたスローペースな長さにはいささか疲れるところも。ルードヴィヒを演じたヘルムート=バーガーはヴィスコンティの「愛人」だったことでも有名である。
○「ブリキの太鼓」1979・西ドイツ・フランス
◇スタッフ
○監督:フォルカー=シュレンドルフ○音楽:モーリス=ジャール
◇キャスト
ダーヴィット=ベネント(オスカル)、マリオ=アドルフ(アルフレート)、アンゲラ=ヴィンクラー(アグネス)、ダニエル=オルブリフスキ(ヤン)ほか
◇ストーリー
ところはドイツとポーランドが混在する町ダンチヒ。父と母、そして母の従兄弟の三角関係の中で生まれてきたオスカルは大人の醜さに幻滅し、自ら成長を止める。その際に叫び声でガラスを割ってしまう能力も身に付けた。やがてナチスが台頭し、ダンチヒはドイツ領として激動の中へ巻き込まれていった。オスカルはお気に入りのブリキの太鼓を叩きながら大人達の醜い現実を見つめていく。
◇うんちく
歴史映画と言うよりはファンタジー的寓話映画というべきか。3歳で成長を止め特殊能力を持ってしまう少年というSFみたいな設定からダンチヒという町の現代史を綴っていく。何と言っても強烈なのはオスカル役の少年の名演(当時12歳だった)!カンヌ映画祭グランプリを受賞。
○「ワルキューレ」Valkyrie2008・アメリカ
◇スタッフ
○監督:ブライアン=シンガー
◇キャスト
トム=クルーズ(シュタウフェンベルク)、ケネス=ブラナー(トレスコウ)、ビル=ナイ(オルブリヒト)、ハーベイ=フリードマン(ゲッペルス)、デビッド=バンバー(ヒトラー)ほか
◇ストーリー
第二次大戦のさなか、ドイツ軍人のシュタウフェンベルク大佐はナチスの横暴を憎み、祖国ドイツの滅亡を憂えていた。北アフリカで片目片腕を失う重傷を負って帰国した彼は、ひそかに政治家・軍人らで進められていたヒトラー暗殺計画に参加し、その実行の中心を担う。1944年7月20日、ヒトラーを爆殺し、クーデターで一挙に政権を奪取する「ワルキューレ計画」が実行されるが…
◇うんちく
実際に成功寸前までいった有名なヒトラー暗殺計画の史実の映画化。映画としてはむやみに美化や感情移入は避けて史実を堅実に映像化しているが、そのぶんトム=クルーズが浮いている、という気もする。このテーマをハリウッドが映画化することにドイツ側が反発してちょっと騒ぎになったこともあった(ドイツ本国でも映像化はされている)。
○「ヒトラーの贋札」Die Falscher2007・ドイツ/オーストリア
◇スタッフ
○監督・脚本:シュテファン=ルツォヴィツキー
◇キャスト
カール=マルコヴィックス(サロモン)、アウグスト=ディール(ブルガー)、デーフィト=シュトリーゾフ(ヘルツォーク少佐)ほか
◇ストーリー
第二次大戦下、偽札と証明書偽造の名人のユダヤ人・サロモンは逮捕され、強制収容所送りになる。ところが彼はその偽造の腕を買われ、ナチスによる偽札偽造・イギリス経済撹乱作戦「ベルンハルト作戦」の現場指揮をとらされることになる。ユダヤ人技術者たちを集めたチームはイギリス中央銀行さえもだますほどの精巧な偽札を作ることに成功するが、ナチスへの協力を拒否してサボタージュする技術者も現れる。自身の偽札技術を誇るサロモンも疑問を感じ始め…
◇うんちく
実際に行われたナチスによる偽札作戦をフィクションをとりまぜて描いた作品で、劇中に登場する実在人物ブルガーの証言をもとにストーリーが作られている。米アカデミー外国語映画賞を受賞。
○「ニュールンベルグ裁判」The Judgement at Nuremberg1961・アメリカ
◇スタッフ
○監督:スタンリー=クレイマー
◇キャスト
スペンサー=トレイシー(ダン・ヘイウッド)、バート=ランカスター(エルネスト・ヤニング)、マクシミリアン=シェル(ロルフェ)、マレーネ=ディートリッヒ(ベルトホルト夫人)、リチャード=ウィドマーク(ローソン)ほか
◇ストーリー
1948年、ナチス戦犯を裁くニュルンベルク裁判は続いていた。アメリカからやってきた老判事ヘイウッドが担当するのはユダヤ人迫害や障害者の断種に司法官の立場から協力したとして起訴されたドイツ人判事たち。中でも最大の大物はワイマール憲法の策定にも参加した世界的に著名な進歩的法律家でナチス政権で法務大臣を務めたヤニングだった。本当に彼らに罪があるのか、戦勝国に彼らを一方的に裁く権利があるのか、ドイツ人弁護人ロルフェとアメリカ人検事ローソンが激しい攻防を繰り広げる。
◇うんちく
原作は戯曲でTVドラマや舞台にもなっている。この映画版は大スターを取り揃え、3時間の長丁場が気にもならない見事なシナリオ、ベテラン・クレイマー監督の冴えた演出もあって「裁判映画」の傑作となった。実話ではなくあくまでフィクションの裁判なのだが、ベースとなった史実はあり、またフィクション仕立てにしたことで「戦争責任を裁く」ことの難しさをうまく提示した映画となった。若い弁護人役を熱演したマクシミリアン=シェルがアカデミー主演男優賞を受賞している。
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