インド史映画
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釈迦1961年/日本
大映
カラー映画(157分)

スタッフ○監督:三隅研次○脚本:八尋不二○撮影:今井ひろし○美術:伊藤熹朔○音楽:伊福部昭○製作:永田雅一
キャスト本郷功次郎(シッダ)、チェリト=ソリス(ヤショダラ)、勝新太郎(ダイバ・ダッタ)、千田是也(スッドーダナ)、細川ちか子(マーヤー)、京マチ子(ヤサ)、山田五十鈴(カリティ)、小林勝彦(アナン)、川口浩(アジャセ)、中村玉緒(オータミー)、市川壽海(ビンビサーラ)、中村鴈治郎(アショカ王)、市川雷蔵(クナラ王子)ほか
ストーリー古代のインド、カピラ城に一人の王子が生まれた。王子は「天上天下唯我独尊」と声を上げ、シッダと名付けられた。成長したシッダ王子は苦しむ人々を見て思い悩み、悟りを開くべく城を出て出家した。やがて悟りを開いたシッダは仏陀となり、多くの苦悩する人々を救っていく。しかし彼を長年の宿敵と狙うダイバダッタは修行で神通力を身に付け、仏教教団に挑んでいく。 
解説仏教の開祖・釈迦の生涯を描く日本初の70o超大作。明らかにハリウッド史劇を意識して製作された歴史映画で、大がかりなセットや大量の動員が目を奪う。シッダ(なぜシッダルタでないのか?)を演じるのは本郷功次郎だが、悟りを開いて仏陀となると「ベン・ハー」のイエスのように後ろ姿やシルエットで表現されるようになる。「鬼子母神」や「アジャセ王子」などおなじみの仏教説話が映像化されているが、勝新演じるダイバダッタのストーリーはかなり改造されている(なんとダイバダッタが釈迦に謝罪し帰依してしまう)。力作なのは認めるが、やっぱり日本人がインド人を演じるのは無理があるよなぁ。
メディアDVD発売:角川書店

リトル・ブッダ
"Little Buddha"
1993年/イギリス・フランス
レコーデッド・ピクチャー・カンパニー
サヴィ2000
カラー映画(141分)

スタッフ○監督:ベルナルド=ベルトルッチ○脚本:マーク=ペプロー/ルディ=ワーリッツァー○撮影:ヴィットリオ=ストラーロ○美術:ジェームズ=アシュソン○音楽:坂本龍一○製作:ジェレミー=トーマス
キャストキアヌ=リーブス(シッダルタ)、イン=ルオ=チェン(ノルブ)ほか
ストーリーシアトルに住むある少年のもとをネパールの僧侶が訪れる。なんとその少年が先頃亡くなった高僧の生まれ変わりだというのだ。少年は僧侶に仏教の開祖・ブッダの生涯を語り聞かせられる。やがて生まれ変わりの候補者が他にも現れて・・・
解説「ラスト・エンペラー」のベルトルッチ監督が作った異色の「仏教映画」。ご本人も「社会主義者にして仏教徒」のつもりらしいのだが、欧米人の仏教観を垣間見せる「珍作」である(仏教文化圏の人間から見るとね)。ブッダの生涯を悟りを開くところまで映像化しており、この部分はけっこう見せてくれる。しかし本筋となる現代の輪廻転生のお話が、いくら「ファンタジー」とはいえ付いて行きにくい。それにここで描かれる仏教ってあくまでチベット仏教のことなのだが・・・
メディアDVD/BD発売:IVC

手塚治虫のブッダ
2011年〜/日本
「手塚治虫のブッダ」製作委員会
カラーアニメ映画
第一部「赤い砂漠よ美しく!」111分
第二部「終わりなき旅」85分
第三部(未公開)

スタッフ○監督:森下孝三(第一部)/小村敏明(第二部)○脚本:吉田玲子○キャラクターデザイン・総作画監督:真庭秀明○美術:行信二○音楽:大島ミチル○原作:手塚治虫
キャスト(声)吉岡秀隆(シッダールタ)、堺雅人(チャプラ)、観世清和(スッドーダナ王)、水樹奈々(ミゲーラ)、大谷育江(タッタ幼少期)、松山ケンイチ(タッタ青年期)、真木よう子(ルリ王子)、沢城みゆき(アッサジ)、吉永小百合(ナレーション・チャプラの母など)ほか
ストーリー動乱が続く古代インド。シャカ族のカプラバストゥの王子として生まれたシッダールタは幼い時から生と死の問題や苦悩に満ちた人生の意味について考え続け、ついに出家して修行の旅に出る。
解説手塚治虫の代表作の一つである「ブッダ」はかなり前からアニメ化が期待されていたが、作者没後20年以上たってようやく実現。原作を生かしつつ「今風」なアレンジもほどこしていて、インド古代史ものアニメとして見てもまずまずの出来と思う。ただ第二部以降原作よりも「仏教臭さ」が悪い意味で強くなってきた気もする。あと、いくらなんでも第二部、第三部公開までの時間が長すぎやしないか。
メディアDVD発売:東映

Chanakya
“チャーナキャ”(日本未公開)
1991〜1992年/インド
DDナショナル
カラーテレビドラマ(全47回)
スタッフ○監督・脚本:チャンドラプラカシュ=ドウィデヴィ○撮影:ラジャン=コタリ○美術:ニティッシュ=ロイ○音楽:アシット=デザイ
キャストチャンドラプラカシュ=ドウィデヴィ(チャーナキャ)、ディネッシュ=シャクル(チャンドラグプタ)、シャールク=イラニ(アレクサンドロス)、ニレイシュ=マルホトラ(ピリッポス)、スーラジ=チャディア(ダナナンダ王)、プラモド=モウト(シャクタル)ほか
ストーリー紀元前3世紀、マガダ国に生まれたヴィシュヌグプタ(のちのチャーナキャ)は大臣であった父を無実の罪で陥れられ、復讐を果たすため学院で修行して戦略家・政治学者に成長する。王様ごっこをしていた少年チャンドラグプタの才能を見出したチャーナキャは彼を弟子にとって教育、折からインドに侵攻してきたアレクサンドロス大王のギリシャ軍にインド諸国の兵を募って抵抗する。インド諸国統一の必要を感じたチャーナキャはマガダ国で権謀術数を用いて政権を奪取、チャンドラグプタを王位につける。
解説マウリヤ朝の始祖チャンドラグプタの参謀で「インドのマキャベリ」の異名をとる政治学者チャーナキャ(カウティリヤ)の生涯を描く大河ドラマ。インド最初の統一やアレクサンドロスの侵攻もあるせいかインドでは人気のテーマらしく映画・ドラマで何度かこの時代は描かれていて、本作は当時を再現する大掛かりなセットや戦闘スペクタクル、入り乱れる権謀術数の群像劇などリアルさを追求していて見どころが多い。アレクサンドロスらがみんな英語を話してるとか、やたらインド愛国心を強調するところとかはツッコミどころだけど。
メディア日本では放送・ソフトかは今のところない。

Asoka
"アショカ"(日本未公開)
2001年/インド
アークライツ&フィルムズPvt
ドリーム・アンリミテッド
カラー映画(180分)
スタッフ○監督・撮影:サントシュ=シヴァン○脚本:サントッシュ=シヴァン/サケット=チャウダリー/アッバス=ティレワナ○音楽:サンデープ=チョウタ/アヌ=マリク○製作:マーク=バートン/ジュヒ=チャウラ/サンジブ=チャウラ/シャー=ルク=カーン
キャストシャー=ルク=カーン(アショカ)、カリーナ=カプール(カウワキ)、フリシター=バット(デヴィ)、シルファ=メータ(アショカの母)、ダニー=デンゾンパ(ヴィラット)、スーラジ=バラジ(アーリャン)、ラフル=デブ(デーマ)、ゲルソン=ダ=チュンハ(ビンドゥサーラ王)、ウメッシュ=メーラ(チャンドラグプタ)ほか
ストーリーマガダ国の王子アショカは武勇に優れたたくましい青年で、異母兄弟と次期王位をめぐって争っていた。マガダ国を離れたアショカは旅先で流浪の王女カウワキと出会って激しい恋に落ちるが、行き違いからカウワキが死んだと思い込んでしまう。失意のアショカは仏教徒の娘デヴィを妃に迎え、異母兄弟との争いに勝って王位につくと、近隣諸国への征服戦争を開始する。血に飢えた征服者と化したアショカと戦うべく、かつての恋人カウワキがそうとは知らぬまま敵軍を率いて戦場にやってくる。
解説仏教を興隆させたことで有名なアショカ王を主役にした歴史映画なんだけど、アクションありラブストーリーあり合戦スペクタクルありのとにかく盛りだくさんな内容。インド娯楽映画のお約束「突然始まる歌とダンス」のミュージックビデオ状態も挿入され、事前に知らないと目が点になること請け合い。正直なところ主人公がアショカである必然性すら感じない内容だったが…。冒頭で祖父のチャンドラグプタが出て来るところは歴史マニア心をくすぐる。
メディア日本では現時点でソフト化されていない。

秘剣ウルミ
バスコ・ダ・ガマに挑んだ男
"Urumi"
2011年/インド
オーガスト・シネマ
カラー映画(オリジナル160分、日本公開版118分)
スタッフ○監督・撮影:サントシュ=シヴァン○脚本:シャンカール=ラマクリシュナン○美術:スニル=バーブ○音楽:ディーパク=デーブ○製作:シャジ=ナデサン/サントッシュ=シヴァン/プリトヴィラージ=スクラーマン
キャストプリトヴィラージ=スクラーマン(チラケル・ケール・ナヤナー)、プラブ=デーヴァ(ババリ)、ジュネリア=デソーザ(アイシャ)、ニトヤ=メノン(バラ)、ジャガティ=スリークマル(チェニチェリ)、アレックス=オニール(エスタヴィオ・ダ・ガマ)、ロビン=プラット(バスコ・ダ・ガマ)ほか
ストーリー遊び暮らす現代インドの若者に「先祖の土地を三倍で買う」との外資系企業の話が飛び込んでくる。喜んで故郷に帰った彼に、謎の男がバスコ・ダ・ガマに戦いを挑んだ祖先の物語を聞かせ始めた。ポルトガルからインドに到達したガマは胡椒を手に入れて莫大な利益をあげ、二度目の来航時に接触した船を襲撃、女子供もろとも虐殺する。そのとき両親を殺されたケールはたくましい戦士に成長し、友人ババリや女戦士アイシャと共に、軍事力でインドを支配しようとするガマに戦いを挑む。
解説上記の「アショカ」と同じ監督が製作したインド歴史冒険活劇。インド植民地化の歴史の始まりと現代とを重ね合わせて「歴史を繰り返してはならない」というテーマを訴えていて、当然ガマらは大変な悪役(中国の娯楽系歴史映画によく似てる)。話自体はほとんどフィクションらしいが序盤で描かれる船の虐殺は実際にあったことをモデルにしている。突然始まる歌とダンス、過剰なまでにスローモーションと短いカットをつなぐアクションシーンなど、インド娯楽映画のお約束はきっちり抑えている。
メディア日本ではNHKアジアフィルムフェスティバルで上映され、NHK・BSでも放送された。今のところソフト化はされてない。

ガンジー
"Gandhi"
1982年/イギリス・インド
ゴールドクレスト・フィルム
コロンビア映画
カラー映画(188分)

スタッフ○製作・監督:リチャード=アッテンボロー○脚本:ジョン=ブライリー○撮影: ビリー=ウィリアムズ/ロニー=テイラー○美術:スチュアート=クレイグ○音楽:ラヴィ=シャンカール/ジョージ=フェントン○製作総指揮:マイケル=スタンレー=エバンス
キャストベン=キングズレー(ガンジー)、ロシャン=セス(ネルー)、アリク=パダムゼ(ジンナー)、キャンディス=バーゲン(ホワイト)、マーティン=シーン(ウォーカー)、エドワード=フォックス(ダイヤー)ほか
ストーリーイギリスに留学し、弁護士となった青年ガンジーは、南アフリカで一等車に座ったため列車から引きずり下ろされた。これをきっかけに人種差別との闘いを開始したガンジーは、インドに帰国後、イギリスに対しインド独立のための闘争を開始する。それは「非暴力・不服従」という全く新しい闘争だった。苦難の末、インド独立は達成されたが、イスラム・ヒンズー両教徒の対立が激化、ガンジーは平和を訴えて断食を決行する。そして…
解説現代史に偉大な足跡を残したインドの巨人・ガンジーの生涯を描く3時間の大作。とにかく主演のベン=キングズレーが本人ソックリ(ロケ地で「マハトマ復活!」と騒ぎになったとかなんとか)。もと俳優(今でもたまに演じるが)のアッテンボロー監督入魂の一作ではあるが、ちょっとダラダラと長いという印象も否めない。
メディアDVD/BD発売:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント


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