モンゴル史映画
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征服者
The Conqueror
1956年/アメリカ
RKO
カラー映画(111分)
スタッフ○監督:ディック=パウエル○脚本:オスカー=ミラード○撮影:ジョゼフ=ラシェル○音楽:ビクター=ヤング○製作:ディック=パウエル/ハワード=ヒューズ
キャストジョン=ウェイン(テムジン=ジンギスカン)、スーザン=ヘイワード(ボルタイ)、ペドロ=アルメンダリス(ジャムカ)、トーマス=ゴメス(ワン・カーン)、ウィリアム=コンラッド(カサル)ほか
ストーリーモンゴルの若き族長・テムジンはタタールの姫・ボルタイを連れ去った。しかしボルタイは逃亡し、今度はテムジンがタタールに連行されて辛酸をなめる。ところがいつしかテムジンに恋してしまったボルタイは彼を逃がしてやり、やがてテムジンはタタールに決戦を挑む。 
解説なんと!あの西部劇のスーパースター・ジョン=ウェインがジンギスカンを演じていた!ウェイン作品のみならずハリウッド史上でも屈指の駄作・珍作として知られる。ようやく全編を見る機会があったのだが、素材がチンギスハーンの話であることを忘れれば大規模な騎馬戦シーンなど、そこそこ見どころはあるかも。上のストーリーでは触れなかったが、ジャムカが敵役ではない複雑なキャラクターに描かれ、ラストシーンでも強い印象を残す。なお、この映画の撮影がネバダ州の核実験場近くで行われたためにジョン=ウェインがガン死したとの説もある。
メディア日本ではソフト未発売。

ジンギスカン
Genghis Khan
1965年/アメリカ
コロンビア映画
カラー映画(129分)
スタッフ○監督:ヘンリー=レビン○脚本:ビヴァリー=クロス/クラーク=レイノルズ○撮影:ジェフリー=アンスワース○音楽:デュシャン・ラディック○原作:バークリー=マザー○製作:アーヴィング=アレン
キャストオマー=シャリフ(ジンギスカン)、スティーブン=ボイド(ジャムカ)、ジェームズ=メイスン(カム・リン)、イーライ=ウォラック(ホラズム王)ほか 
ストーリー青年テムジンはジャムカに捕えられて奴隷としてこき使われていたが、脱走して仲間たちを集めて自立する。妻ボルテをジャムカに奪われるなど苦難を乗り越え、万里の長城を越えて中国に入り人暴れする。 テムジンに敗れたジャムカはホラズム王と手を組んで最後の決戦を挑んでくる。
解説アラブ出身の世界的俳優・オマー=シャリフがなんとジンギスカンを演じてしまった、これまた珍作。アメリカの西部としか思えない砂漠だらけのモンゴルはまあ良いとして(ユーゴスラヴィアロケも行ったという)、金髪の美女ボルテが登場したり、ジンギスカンが仲間数人と万里の長城を超えて中国(金かと思いきや「満州族」が攻めてくるので違うみたい。風俗は完全に清朝のそれ)で大暴れしたりとなかなか楽しい映画。ラストは宿敵ジャムカと一騎打ちだ!そしてジャムカを倒したジンギスカンは「モンゴルを統一したぞ!」と言って息絶えるのでした(やれやれ)。「その後世界の三分の一が彼の子孫の支配下に入った」とのナレーションも。ティムールやムガール帝国もカウントしてるようだ。
メディアDVD発売:復刻シネマライブラリー7(過去にソニーピクチャーズよりVHSビデオが出ていた)

蒼き狼 成吉思汗の生涯
1980年/日本
テレビ朝日/国際放映
カラーTVドラマ(290分)
スタッフ○監督:森崎東/原田隆司○脚本:大野靖子○撮影:村野信明○美術:末広富治郎○音楽:佐藤勝○原作:井上靖○プロデューサー:勝田康三/原田昇/古賀伸雄
キャスト加藤剛(テムジン=ジンギスカン)、若林豪(ジャムカ)、平幹二朗(エスゲイ)、倍賞美津子(ボルテ)、大楠道代(ホエルン)、田中邦衛(ボオルチュ)、中谷一郎(トオリルカン)、財津一郎(テップテングリ)、神崎愛(クラン)ほか 
ストーリー部族同士の争いが続くなか、エスゲイに連れ去られて妻とされたホエルンは男子テムジンを産んだ。エスゲイが殺され、部族にも見放された少年テムジンは苦難のなか成長、やがて許嫁のボルテを妻に迎える。しかしボルテはメルキト族に奪われ出生に疑いを残すジュチを産む。テムジンは義兄弟ジャムカやトオリルカンらと死闘を繰り広げてモンゴルを統一、さらに万里の長城を越え、大帝国を建設してゆく。
解説日本のテレビ局が中国の協力を得て製作した大作。原作はもちろん井上靖。テムジンの誕生から死まで、かなりの時間をかけて描いている。かなり原作に忠実なので日本人の感性にはマッチするかも。でもロケ地は内蒙古自治区だしね。やたら砂漠のシーンばかり入ったり、馬の乗り方などモンゴル人が見るとやっぱりヘンみたい(モンゴル版の監督がそう言ってた)。だいたい加藤剛のジンギスカンはいくらなんでもミスキャストだ。田中邦衛は妙にハマっていたが(笑)。
メディアDVD発売:エムスリイエンタテイメント

ジンギス・カン
成吉思汗
1987年/中国
カラー映画
(195分、日本ビデオ版106分)
スタッフ○監督:ジャン=シャンチー
キャストドリ=グアル(成吉思汗)ほか 
ストーリー若き英雄ジンギス・カンがモンゴルを統一するまでの物語。
解説中国も作ってました、チンギスハン映画。当然セリフは全て中国語。ジンギスカンが「ニーハオ」なんて言ってくれます(まぁ英語よりは近いが…)。ただストーリーの方も何かおかしい。中国歴史ドラマ黄金のパターン(男一人女二人の三角関係・大将一騎打ち)がここでも観られる。そしてラストはモンゴルの統一でおしまい。「その後のことはよく分からない」という、それこそよく分からないナレーションで終わる。実はこれ、モンゴル帝国のロシア支配を否定的にとらえていたソ連への配慮なのである。
メディア過去に宇宙企画よりVHSソフトが発売されていた。ただし大幅なカット版。

チンギスハーン
原題「永遠なる蒼天の力によりて」
1992年/モンゴル
チンギス・フィルム
カラー映画
(240分?、日本公開版140分)
スタッフ○監督:ベグズィン=バルジンニャム○脚本:ダラミーン=バトバヤル/ドゥゲルジャビーン=マーム/センギーン=エルデネ○撮影:ローザンシャラビーン=シャラブドルジ○美術:ボドツェンディン=プレブスフ○音楽:ナツァグ=ジャンツァンノロブ○製作:ロンビーン=ゼネメルデル
キャストアグワンツェレーギン=エンフタイワン(チンギスハーン)、ジャムスラニー=スフホヤグ(チョルーゲン)、ツェベグミディン=トムルバートル(ジャムカ)、サンボーギーン=サラントヤ(ボルテ)、ベヒチリーン=ジャルガルサイハン(カサル)、ナムスライン=ソブド(ホエルン)ほか
ストーリー12世紀のモンゴル。かつてテムジン(チンギスハーン)の父の殺害に手を貸したチョルーゲンは、テムジンに罪を告白し、その舌を切り取られ声を失い、テムジンの従者となる。彼の目から見たチンギスハーンの波乱の生涯。
解説ソ連崩壊によりモンゴルがようやく自国の英雄としてチンギスハーンを映画化。数多くのチンギスハーン映画が存在するが、やはり本場モンゴル版が最高である。他国製作のものでは少年時代の苦労やボルテ強奪が山場となるが、本作はそれらのエピソードの後から話が始まるため、物足りない印象が多く日本での公開は散々だったが、そもそもオリジナル(4時間)の半分近くフィルムをカットしては「映画」になろうはずがない。チンギスハーンを悩める征服者として描く辺りが現代風か。架空のキャラクター・チョルーゲンの声なき名演技も忘れがたい。
メディア以前東和ビデオよりVHS、パイオニアLDCよりレーザーディスクが発売されていたが、DVD以降のソフト化は実現していない。

蒼き狼
〜地果て海尽きるまで〜

2007年/日本
「蒼き狼地果て海尽きるまで」製作委員会
カラー映画(136分)
スタッフ○監督:澤井信一郎○脚本:中島丈博/丸山昇一○撮影:前田米造○音楽:岩代太郎○原作:森村誠一○製作:岡田裕/徳留義明/大杉明彦/海老原実○製作総指揮:角川春樹
キャスト反町隆史(テムジン)、菊川怜(ボルテ)、若村麻由美(ホエルン)、松山ケンイチ(ジュチ)、Ara(クラン)、平山祐介(ジャムカ)、松方弘樹(トオリルカン)、野村祐人(ボオルチュ)、保阪尚希(エスゲイ)ほか  
ストーリー苦難の少年時代を送ったテムジンは成長して部族を率い、許嫁のボルテを妻に迎えた。しかしボルテはメルキト族に奪われ、テムジンは彼女を奪回するもののボルテは父親が不明の子・ジュチを産み落とす。テムジンはジャムカやトオリルカンとの戦いを経て大帝国を築いてゆく。
解説名物プロデューサーの角川春樹が「大和」に続いて製作したチンギスハーン映画。大規模なモンゴルロケでモブシーンも力は入っているのだが、モンゴル統一で話が終わっちゃうし、本来の狙いがチンギスハンのホームドラマ(女性視点を重視したらしい)なんで、小粒観が否めない。一部にビックリの歴史改変があったりするが、やはり日本人が作ると湿っぽい話になっちゃってイカン。
メディアDVD発売:エイベックス・エンタテインメント

モンゴル
Монгол
2007年/カザフスタン/ドイツ/ロシア/モンゴル
カラー映画(125分)
スタッフ○監督・脚本:セルゲイ=ボドロフ○撮影:セルゲイ=ボドロフ/ロジェ=ストファーズ○音楽:トゥオマス=カンテリネン○製作:セルゲイ=ボドロフ/セルゲイ=セリリアノフ/アントン=メルニク
キャスト浅野忠信(テムジン)、スン=ホンレイ(ジャムカ)、クーラン=チュラン(ボルテ)ほか
ストーリー西夏王国の都市の牢の中に数年にわたり幽閉されたテムジンは、自分の幼少期からの半生を回想していく。父を殺され、部族から追放のうえ命を狙われ、妻を奪われ、盟友ジャムカと共に妻を奪回するも、今度はジャムカとも戦い…苦労の連続だったテムジンだが、妻ボルテの献身で脱出に成功、再びジャムカとの決戦に臨む。 
解説主役は日本人、メインスタッフはロシア、セリフはすべてモンゴル語、撮影は内モンゴル・ウイグル・カザフ…とえらくインターナショナルな体制で製作された異色のチンギスハーン映画で、米アカデミー外国語映画賞にノミネートされ話題となった。前半は元朝秘史にほぼ沿っているのだが登場人物は整理され、中盤から大きくオリジナルな展開となっている。あくまで幼年〜青年期を描くストーリーで一応まとまっているが、続編の製作が予定されている。
メディアDVD発売:東映

マンドハイ
Мандухай сэцэн хатан
1988年/モンゴル
カラー映画(180分)
スタッフ○監督:ベグズィン=バルジンニャム○脚本:ベグズィン=バルジンニャム○撮影:ローザンシャラビーン=シャラブドルジ○音楽:ナツァグ=ジャンツァンノロブ
キャストナムスライン=ソブド(マンドハイ)、ジャムスラニー=スフホヤグ(ダヤン=ハン)、B=ダムチャー(イスメル)、L=ニャムスレン(マンドール=ハン)、A=ダシペルジェー(ウヌボルト)ほか 
ストーリー明に北方に追われ、内部抗争に明け暮れる15世紀後半のモンゴル。少女マンドハイは恋人ウヌボルトと引き離され、マンドール=ハンの妃として強引に後宮に入れられた。やがて娘が生まれるが、マンドールは謎の死を遂げ、娘も変死してしまう。かつての恋人・ウヌボルトがハン位を狙うが、マンドハイは国のためにこれを阻止し、少年ダヤン=ハンを即位させてこれの妻となる。マンドハイは自ら甲冑に身を固めて連戦し、モンゴルの再統一を図るが、そこに明とイスメル大臣の謀略の罠が潜んでいた。  
解説個人的な話だが、僕がこの映画を劇場で初めてみたときのショックは忘れがたい。壮大なモンゴルの自然を背景に展開する群像ドラマ。人馬数千を動員した本場の騎馬戦スペクタクル。そして美しい音楽と息を呑む映像美。ダヤン=ハンが「マリンドール(馬に乗れ)!」と叫ぶラストシーンは戦慄ものだ。このスタッフが後に「チンギスハーン」を製作している。出演者も一部共通している。歴史映画ファンの方々、これは必見の名画ですぜ!
メディア以前バンダイより2巻組の完全版VHSソフトが発売されていたが、残念ながらDVD以降のソフト化は実現していない。

Tsogt Taij
“ツォグト・タイジ”
1945年/モンゴル
ウランバートル・フィルムスタジオ
白黒映画(155分)
スタッフ○監督:T=フルリー○脚本:B=レンチン/U=V=タリチ○撮影:D=ジグジド/デムベレル/ガンジュル○美術:U=V=タリチ○音楽:ダムディンスレン○製作:M=ボルド○製作総指揮:M=ルブサンジャムツ
キャストツェグメド(ツォグド・タイジ)、ツェレンデンデブ(アルスラン)、バトオチル(リンダン・ハーン)、ジグミドルジ(グエン・バートル)、ドルゴルスレン(クラン)、ツェヴェーン(グシ・ハーン)ほか 
ストーリー17世紀のはじめ、モンゴルには満州から起こった清朝が勢力を伸ばし、それと共にダライ・ラマを頂点とするチベット仏教ゲルク派(黄帽派)が強まりつつあった。これに抵抗するチンギス・ハーンの末裔であるリンダン・ハーンは死に際してハルハ部の族長ツィグト=タイジに玉璽を託す。ツォグト=タイジはカギュ派を擁護して他勢力と戦い、1630年代にチベットへ侵攻して制圧を図るが、息子のアルスランが敵に篭絡されてダライ・ラマに臣従してしまう。ツォグト=タイジは息子を処刑し、モンゴル民族を象徴する旗を掲げて最後の決戦を挑む。
解説独立国家としてのモンゴルの最後の輝きを描く民族叙事詩で、1945年という公開念を考えると驚くほどの大作。実は当時の社会主義政権のチベット仏教(とくにダライ・ラマの)を否定しようという政策意図のもとに作られた「国策映画」でもあるのだが、それを抜きにしてもモンゴルならではの騎馬戦スペクタクル、父子の葛藤など風格ある歴史映画となっている。映画のラストでツォグト=タイジが掲げる旗の意匠は現在のモンゴル国旗にもあしらわれているものだが、ツォグト=タイジと本当に関係があるかは未確認。
メディア日本での公開・ソフト化は確認できないが、youtubeで英語字幕入りが鑑賞できる。


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