トルコ史映画
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Kuruluş
"建国"(日本未公開)
1988年/トルコ
TRT
カラーTVドラマ(127分)
スタッフ○監督:ユーセル=シャクマクリ○脚本:トゥファン=グネル/タリク=ブグラ○原作:タリク=ブグラ○製作:ユクセル=タニク/メフメト=バヤジット○エグゼクティブ・プロデューサー:ケマル=トック
キャストジハン=ウーナル(オスマン・ベイ)、シェマ=シェルビ(マルフン)、アフメット=メキン(ミハイル・コッセス)、ハルク=クルトグル(エデバリ)、ヤサル=アルプテキン(オルハン)、セマ=ユナク(ニルフェル)、ベイカル=サラン(エルトゥールル)ほか
ストーリー西暦13世紀の末、アナトリア地方にはトルコ系諸部族が遊牧生活を行い、ビザンツ帝国に圧迫されながら互いに争っていた。エルトゥールルの息子オスマンは旅先で娘マルフンを見初め、彼女が映った月が胸に入りそこから木が枝葉を伸ばして生い茂る夢を見て、自分と彼女の子孫が大帝国を作り上げる前知らせだと夢解きされる。果たしてオスマンは部族をまとめて台頭、ビザンツ帝国に戦いを挑んで領土を拡大、息子オルハンや孫ムラトらにいずれコンスタンティノープルを攻め落として帝国を築くよう遺言してこの世を去る。
解説数百年にわたり中東・北アフリカから東欧まで支配した「オスマン帝国」の伝説的建国者の生涯を描いたテレビドラマ。遊牧民の話のせいかチンギス・ハーンの話とも良く似ている。TVドラマとしては結構金をかけた、恋ありスペクタクルありの大掛かりな作品なのだが、いいアクション指導がいなかったらしくチャンバラがてんで下手なのが残念。
メディア日本国内では一切ソフト化されていない。

Fatih Sultan Mehmet
"征服者メフメト"(日本未公開)
1983年/トルコ
エラ・フィルム
アル・ファテフ・インターナショナル
カラーアニメ―ション(113分)
スタッフ○監督:ハシム=バタンダス○脚本:ハシム=バタンダス/ユースフ=オザスラン/イェクタ=サラク○プロダクション・マネージャー:ファティフ=サラク○エグゼクティブ・プロデューサー:オサマ=アフマド=カリーファ
キャスト未確認(当然だがオリジナル版と英語版で声優が異なる)
ストーリー拡大の一途をたどるオスマン帝国の若きスルタンとなったメフメト2世は、ビザンツ帝国の都コンスタンチノープル攻略という宿願についに乗り出す。1453年4月、メフメトは大軍でコンスタンティノープルに押し寄せ、艦隊に山越えをさせるという奇策も用いてついに攻略に成功する。
解説世界史的事件である「コンスタンチノープルの陥落」を、子供向けのアニメで描いた作品。子供向けということもあってビザンツ側は皇帝をはじめかなり悪役、しかも戯画的に描かれ、メフメト2世はあくまでカッコイイ。トルコで製作されたものだが英語版も製作され世界各地のイスラム教徒向けに販売されたらしい。
メディア日本国内では一切ソフト化されていない。

Fatih 1453
"征服1453"(日本未公開)
2012年/トルコ
アクソイ・フィルム・プロダクション
カラー映画
(オリジナル版186分/世界公開版162分)

スタッフ○監督:ファルク=アクソイ○脚本:イルファン=サルハン○撮影:ハサン=ゲルギン○美術:セルベット=アクソイ○音楽:ベンジャミン=ウォールフィッシュ○製作:ファルク=アクソイ/アイセ=ゲルメン
キャストデヴリム=エヴィン(メフメト2世)、イブラヒム=チェリコル(ウルバトリ・ハサン)、デリク=セルベスト(エラ)、レチェプ=アクチュグ(コンスタンティヌス11世)、チェンギス=コシュクン(ジョヴァンニ・ギュスティニアーニ)、エルデン=アルカン(ハリル・パシャ)、エルドアン=アイデミル(オルバン)ほか
ストーリー7世紀のメディナで預言者ムハンマドはいずれイスラム教徒によりコンスタンティノープルが征服されると予言した。その預言者と同じ名を持つオスマン帝国のスルタン・メフメト2世は祖先以来の宿願を果たすべく、ハンガリーの大砲技術者オルバンを招くなど入念な準備の末に攻略を実行に移す。しかしコンスタンティノープルはあまりにも難攻不落、ビザンツ皇帝もローマ教皇らキリスト諸国に援軍を求め、40日かかっても攻略できないメフメトは焦り始める。艦隊を山越えさせたオスマン軍はついに最後の攻撃を開始する。
解説トルコ映画としては恐らく最大規模のスペクタクル巨編。同じテーマは過去にも映像化されているが本作はCG時代の恩恵もあってこれまでにないほどの大迫力で世界史的攻防戦が映像化された。先行作品に比べるとメフメトが血気盛んながら焦りもする等身大の若者に描かれたり、同テーマでは毎度出て来るハサンに三角関係のラブストーリーを演じさせるなど娯楽性が強い。冒頭がいきなりメディナのムハンマドから始まる、ヒロインのオルバン養女が十字軍に家族を殺されたムスリムである、ビザンツ帝国の皇帝らが頽廃的に描かれる一方でメフメトの寛大さが強調されるなど「宗教戦争」色が濃い目な内容になってるのがいささか気になっちゃうが。
メディア日本国内では一切ソフト化されていない。

Kurtuluş
"解放"(日本未公開)
1994年/トルコ
TRT
カラーTVドラマ(各1時間、全6回)
スタッフ○監督:ジヤ=オズタン○脚本:トルグート=オザクマン○撮影:コリン=ムニエル○音楽:ムアメル=スン○製作:シナン=ヤカ/ムスタファ=シェン
キャストルトカイ=アジズ(ムスタファ・ケマル)、サヴァス=ディンチェル(イスメット)、アイダ=アクセル(ハリデ)、マフムト=セヴヘル(フェブジ・チャクマク)、アイタク=アルマン(エンヴェル)、ハルク=クルトグル(ポプラス)、アスキン=ヌル=イェンギ(フィクリエ)、T.P=マッケンナ(ロイド・ジョージ)、シモン=ワード(チャーチル)、フェイジ=トゥナ(メフメト6世)ほか
ストーリー第一次大戦終結直後、敗戦国となったオスマン帝国はセーブル条約により領土を分割され、イギリスを後押しを受けたギリシャ軍がアナトリアへ進撃していた。1921年、トルコ独立を掲げるアンカラ国民議会はムスタファ・ケマル・パシャに全軍の指揮権をゆだねる。ケマルらは国民を鼓舞してサカリア川の戦いギリシャ軍を撃破、さらにアンカラ議会やスルタン、各国政府の思惑による停戦の動きの裏をかいてイズミールへ進撃、ついにトルコ独立を勝ち取る。
解説トルコ共和国を誕生させた「解放戦争」を大スケールで描いた大作ドラマ。見せ場となる戦闘シーンは実際に戦場となった高原にエキストラを大量動員して見事に再現。細かい点までは筆者にもわからないが全体的に史実にかなり忠実に、「再現」を意図したドキュメントタッチの演出をこころがけているように感じる。トルコ側各勢力の複雑な事情も描かれるし、ギリシャ・イギリス・ソ連など各国の指導部も同時並行で描かれ国際情勢にも目配りがある。
メディア日本では公開もソフト化もされていない。

Cumhuriyet
"共和国"(日本未公開)
1998年/トルコ
TRT
カラーTVドラマ(各1時間、全5回)
スタッフ○監督:ジヤ=オズタン○脚本:トルグート=オザクマン○撮影:コリン=ムニエル○音楽:ムアメル=スン○製作:シナン=ヤカ/ムスタファ=シェン
キャストルトカイ=アジズ(ムスタファ・ケマル)、サヴァス=ディンチェル(イスメット)、ヒュルヤ=アクスラル(フィクリエ)、ドルナイ=ソイセルト(ラティフェ)、アイダ=アクセル(ハリデ)、マシデ=タニル(ズベイデ)、、フェイジ=トゥナ(メフメト6世)ほか
ストーリーギリシャとの戦いに勝利したアンカラ政府は各国との交渉の末にトルコ国家の独立を勝ち取る。大統領となったケマル=パシャはスルタン・カリフ制を廃止、服装の西欧化、アルファベットの導入、男女同権など大胆な改革を強力に推進するが、保守派の抵抗も激しく、反乱やケマル暗殺計画が続発。そしてケマル自身もフィクリエとラティフェという二人の女性との関係で私生活に波乱を抱えていた。
解説「Kurtuluş」の完全な続編で、主要スタッフ・キャストもそのまま。本作では戦争のあとの建設の苦闘がテーマとなり、ケマルによる伝統破壊の大改革がいかに進められたかビジュアルでじっくり見せてくれる。また前作に比べてケマル個人の私生活の描写が多くなり、彼の母、二人の女性との複雑な関係、たくさんいた養子たちとの触れ合いも詳しく描かれる。
メディア日本では公開もソフト化もされていない。

Veda
"さらば"(日本未公開)
2010年/トルコ
カメラ・フィルム
カラー映画(115分)
スタッフ○監督・脚本・音楽:ズールフ=リヴァネリ○撮影:ピーター=スチューガー○製作:セブダ=カイジシズ
キャストシナン=チュズジュ(ムスタファ・ケマル・アタチュルク)、セルハト=キリシュ(サーリフ・ボゾク)、ドルナイ=ソイセルト(ズベイデ)、オズゲ=オズピリンシュジ(フィクリエ)、エズギ=モラ(ラティフェ)ほか
ストーリー1938年11月10日、トルコ共和国建国の父・ケマル=アタチュルクは死の床にあった。幼馴染の側近サーリフは殉死を決意し、遺言をしたためながら幼少期からのムスタファ・ケマルとの関係を回想する。バルカン半島のテッサロニキに生まれたムスタファは多感な少年時代に父の死と母の再婚を体験しながら軍人への道を歩み、第一次大戦で軍功を挙げる。戦後にはアンカラ政府を率いてギリシャを撃退、近代トルコ国家の建設を断行したケマルだったが、私生活ではフィクリエとラティフェという二人の女性との複雑な関係を抱えていた。
解説強烈なリーダーシップでトルコ共和国を作り上げた文字通りの「建国の父」の生涯を描いた伝記映画だが、歴史的事件に割かれる時間はそれほどなくケマルもそう英雄的には描かれない。強い影響を与えた母親ズベイデ、幼馴染で「妹」的な存在のフィクリエ、いきなり結婚して離婚した才女ラティフェという三人の女達を軸に「一人の男性」としてのケマルを描いている。
メディア日本では公開もソフト化もされていない。


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