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#11040 
徹夜城(久々に執筆するとリハビリが必要だった管理人) 2020/10/13 23:14
南北朝ネタはちらちらと

 どうも、また少しご無沙汰です。どうにか今日付で「史点」を二か月ぶりに更新しました。おかげで首相交代もふくめてスパンの長い話題が目につきます。アルメニアとアゼルバイジャンの紛争は書いてる間にも状況が変転、しつつなかなか終わりません。
 日本学術会議の件もいろいろ書きました。バラージさん同様のことも書いてますね。昭和初期と違う点も多々あるのですが、やはり余裕がなくなってくると似たような動きが出てくるってことでしょうかねぇ。国立大の文学部廃止論なんてのも最近出てますが、それって東条英機内閣でやったことですし。


>南北朝ネタ
 少ない、少ないと思いつつ、最近はひところより多いんじゃないかな、と思う南北朝ネタテレビ番組。今日になって気づきましたが、Eテレの「知恵泉(ちえいず)」で今回と次回、後醍醐天皇が取り上げられてます。
 最近この番組では足利義満をとりあげましたが、ゲストに元AKBの人とか呼んで無理やり結び付けて正直面白くなく、後半は見なかったんですよね。今回は漫画家のヤマザキマリさんがゲストで、ローマ史の話題に絡めたり、後醍醐の無礼講の話からベルルスコーニの乱痴気パーティーに連想を持っていくなど、まずまず面白く見てます。後醍醐の直筆綸旨の話からトランプ大統領のツイッターにつなげたのも、ああ、そういや似てるかも、と。
 ちょうど今、NHKのBSで再放送してる「太平記」も建武の新政がいろいろ行き詰まってくるあたりですね。

 それと書籍では中公新書で石原比伊呂「北朝の天皇」を先日読了しました。タイトルのとおり南北朝の北朝天皇たちを扱ってますが、南北朝の経緯から室町時代、戦国期の入り淵くらいまでの天皇事情が語られててなかなか面白い。
 南北朝の経緯から天皇は幕府=将軍におんぶにだっこで頼り、幕府も権威付けの意味で天皇の執事的役割を果たしていた。それが応仁の乱で天皇と将軍が長い同居をすることになり、朝廷の儀礼の衰退、幕府にも金がなくなって天皇の譲位や即位礼もなかなかできない事態になったり…といった話は昨年「史点」でも取り上げましたが面白いもんです。
 あと、下世話ではありますが、天皇周辺の女性たちの「密通事件」が相次いで起こっていた話もなかなかで(笑)。源氏物語からしてそうですが、日本の後宮ってえらくルーズだからなぁ。




#11039 
バラージ 2020/10/12 23:02
令和と昭和はどこか似ている?

 早くも馬脚を現した菅政権。嘘を隠すためにさらに嘘を重ねて自らの首を絞めていく悪循環ですな。日本学術会議任命問題では映画人も抗議声明を出してましたが、僕も最初にニュースを聞いた時、「学問の次は芸術文化だな」と思ったので、当然のことでしょう。なんとなく時代状況が昭和初期に似てきてるようでちょっと不気味。ちなみにタイトルは、昔テレビでやってた「えさし藤原の郷」の地方CMの「平成と平安はどこか似ている」というキャッチコピーのパロディです(パチンコ屋のCMだったかな?・笑)。
 そしてまたも低レベルなろくでもない失言をした杉田水脈議員。安倍さんや菅さんのお気に入りのこの人がいかにどうしようもないかを知るためにも、一刻も早くドキュメンタリー映画『主戦場』をDVD化か動画配信(以下略)。


 先日フジテレビで放送していた『実録ドラマ 3つの取調室 〜埼玉愛犬家連続殺人事件〜』という番組を観ました。内山理名が主演の1人だからという理由だけで観たんですが、予想外になかなか面白かったです。
 1993年に起こったという埼玉愛犬家連続殺人事件そのものは僕はさっぱり記憶にないんですが、そのちょっと後に起こった阪神大震災やサリン事件で世間でも印象が薄れちゃったらしい。容疑者3人の自供が食い違い何が真実かわからないという展開が、黒澤の『羅生門』というか芥川の『藪の中』といった感じで、僕は事件の記憶が全くないおかげで最後まで結末がわからず、ドラマから目が離せませんでした。3パターンのキャラクターを演じ分けた容疑者役の鶴見辰吾・内山理名・内田朝陽の演技がすごかったですね。映画『羅生門』では目撃者という第4の視点で真実が明らかになるんですが、現実にはそんな都合のいいものがあるはずもなく、一応の判決は出ているもののまさに真相は「藪の中」という感じ。内山さん演じる容疑者の本物の息子が最後にテレビに初めて出演し(もちろん顔は映さない)、当時のことを回想したり現在の母親について語ったりするのも印象的でした。
 個人レベルの犯罪事件なので、サリン事件のような歴史的事件とは言いがたいと思うんですが、それはそれとしてドラマとしては面白かったです。ま、個人的には作品の題材よりも、作品としての面白さのほうがずっと大事なんで。


>隋唐ドラマ
 古典『隋唐演義』が『三国志演義』『封神演義』と並ぶ三大演義の1つというのは、DVD販売会社か放送局の煽り文句でしょうね。そうでも言わんと売れんだろうという(笑)。昔、中国古典事典だったかで読んだ記憶では、『封神演義』『隋唐演義』『楊家将演義』は四大奇書よりも文学的完成度は劣るが、庶民的人気は昔から高いとか書いてたような。
 『武則天 The Empress』『隋唐演義 〜集いし46人の英雄と滅びゆく帝国〜』と隋唐時代を舞台にした中国ドラマの話題が出たので、ちょいとその他の隋唐ドラマも列挙紹介しちゃおうかな。といっても僕は以前紹介した『麗王別姫 〜花散る永遠の愛〜』以外は全然観てないので、わかる範囲で軽〜く紹介しちゃうというだけです。すでにちょこっと紹介した『武則天 秘史』は割愛で。

『独弧伽羅 〜皇后の願い〜』(原題:独弧天下、2018年)……正確には隋唐ではなく南北朝時代を舞台としたドラマなんですが、主人公が隋の建国者・楊堅の妻で後に皇后となる独弧伽羅で、隋の建国までが描かれるんで隋前史ドラマとしてご紹介。

『ムーラン』(原題:巾幗大将軍、2012年)……ディズニーアニメ映画でも有名な木蘭(ムーラン)を主人公としたドラマで、時代は隋に設定されています。本作では主人公は「華若蘭」という名前に変えられ、文帝楊堅の三男・楊俊と恋に落ちるという設定。揉冉(じゅうぜん)という架空の北方異民族が登場するなど、かなり自由奔放な脚色がされているようです。

『皇帝 李世民 〜貞観の治〜』(原題:貞観之治、2006年)……すでに隋が滅亡して群雄割拠の620年から始まり、李世民の死までを描いてるとのこと。今回紹介したドラマの中ではちょっと古め。

『則天武后 〜美しき謀りの妃〜』(原題:唐宮美人天下、2011年)……邦題は「則天武后」ですが、主人公は架空人物の宮女で、則天武后は準主人公。武后がまだ側室時代の話で、武后が産んだ赤ん坊を殺した疑いをかけられた王皇后を救うために、皇后を恩人と慕う女性が宮廷に潜入するという、陰謀渦巻く後宮を舞台とした宮廷ミステリーのようです。

『二人の王女』(原題:太平公主秘史、2012年)……上の『則天武后〜』で殺されたと書いた赤ん坊(安定思公主。日本語版では安公主)が、実は乳母に助けられ生きていて、自分を殺そうとした母・則天武后への復讐のために、瓜二つの妹・太平公主と入れ替わって母に近づくという入れ替わりドラマ。これも邦題は「二人の王女」ですが、ほとんど太平公主に化けた安公主だけが活躍してるみたい。2役なんでめんどくさかったのかも(笑)。高宗時代から李隆基(玄宗)即位あたりまでを描いていて、大まかには歴史通りの展開なんだけど史実をかなりいじっているようです。

『謀りの後宮』(原題:唐宮燕、2013年)……これまた架空の宮女姉妹を主人公として、武則天の晩年から李隆基(玄宗)即位あたりまでを描いたドラマ。これも邦題に「後宮」と付いてるけれど舞台は後宮ではなく、武則天の後釜を争う権力闘争劇と、それに巻き込まれた宮女姉妹を描いているようです。上の『二人の王女』とかぶる題材ですが、途中退場する武則天よりも韋皇后とその娘の安楽公主とか上官婉児とかがラスボスってところも同じ。主人公姉妹が架空なので創作部分も多いようですが、基本的には史実通りで、ラブ要素も少なめとのこと。

『楊貴妃』(原題:楊貴妃、2000年)……昔レンタル店でエロチックコーナーに置いてあるのを見つけた香港ドラマ。テレビドラマでそんなエロいの放送できるの?と疑ってたんですが、今回観た人の感想を調べたらほんとにエロチックドラマらしい(笑)。日本版ビデオ&DVDは1本100分の5巻組でしたが、本国では1時間×20話のようなので編集版でしょうか?

『楊貴妃』(原題:大唐芙蓉園、2007年)……後に映画でも楊貴妃を演じるファン・ビンビン主演のドラマ。映画のほうの出来があれだったんで(笑)、ドラマのほうが出来がいいという人が結構いました。玄宗役は名優ウィンストン・チャオで、実質ダブル主演という感想も。

『皇帝と私の秘密 〜櫃中美人〜』(原題:櫃中美人、2018年)……歴史ドラマではないんですが、扱ってる時代が珍しいのでご紹介。17代文宗の時代が舞台で、宮殿拡張のために山を開発しようとする皇帝を暗殺するために、山に太古から住む狐族が送り込んだイタチの精と九尾の狐が美女に化けて宮廷に潜入する。しかし2人(2匹?)ともが文宗と恋に落ち……というラブ史劇。



#11038 
徹夜城(いろいろあって執筆に集中できない管理人) 2020/09/21 23:25
内閣も変わってしまいましたが

 どうも、ちょいとまたご無沙汰しておりました。「史点」もなかなか書けないうちに内閣総理大臣まで変わってしまい…かっこうのネタなんだけど、ずるずる遅れてます。今回の総理交代につきましてはそのうちに「史点」の方で。

>訃報
 昨日報じられましたが、俳優の藤木孝さんの訃報が飛び込んできました。高齢だったのですがどうも自殺ということらしくショックです。
 かつて大人気の歌手だったなんて経歴はあとから知ったのですが…僕にとってはなんといっても「太平記」の坊門清忠。ちょうど現在BSで再放送中の「太平記」は建武新政編に突入していて、もう坊門さん大活躍ですから。公家たちの悪い部分を一手に引き受けたような役で凄い存在感でした。極めつけは湊川の戦いの前には正成の献策を退けて死地に追いやったり、戦後には自分の責任を棚に上げて義貞を非難する、あのあたりの名演というか怪演は強烈でした。あれがはまったせいか、その後も公家役をいくつかやっておられたような。
 訃報といえば斎藤洋介さんも。個人的には「翔ぶが如く」の板垣退助役がハマってました。あのドラマ、配役が実に「そっくり」なチョイスでした。


>ここんとこの自分の歴史映像探索。
 いま公開中の「ミッドウェイ」はなんとか見たいと思ってるんですけどねぇ。
 「武則天」は見逃したんですが、その後番組、ろんたさんもご紹介の「隋唐演義」は見始めてます。妙に長いサブタイトルがついてますが、内容的には水滸伝っぽいと思ったからつけられたのかなぁ。
 BS-TBSでは「王の顔」という韓国歴史ドラマが始まってたんでこれも並行してみてます。こちらも何度か映像作品のネタにされてる光海君(カンヘグン)の話ですね。「顔」がタイトルにあるのは人相占いと絡んでくるからで、そういや「観相師」なんて映画もあったな、と。
 この二本に加えて「オスマン帝国外伝」の第3シリーズの最初の方をチビチビ進めてます。まぁしかし、あちこちの歴史ドラマがいろいろ見られる時代なのは結構ですが、いずれも本数が多くてチェックするのが大変で。




#11037 
バラージ 2020/09/21 21:43
再びの『バビロン・ベルリン』

 BS12で土曜深夜にSEASON1&2の再放送が始まったドイツのドラマ『バビロン・ベルリン』。以前、本放送が終了した時に感想を書いたと思うんですが、まだ過去ログになってないので(2回分ほど溜まっているような……。今年は学習塾もアクシデントなスケジュールになって大変だと思いますが、できればよろしくお願いします)、書き漏らしたことを書こうと思っても何を書いていて何を書いてないのかよくわからない。まぁ、とりあえず以前書いたかどうかは気にせずに書いていきたいと思います。
 『バビロン・ベルリン』は1929年のワイマール共和国を舞台としたミステリードラマですが、かなり歴史要素が強く、歴史ミステリーと言ったほうが適切です。原作はフォルカー・クッチャーの小説「ベルリン警視庁殺人課ゲレオン・ラート警部」シリーズで、日本でも創元推理文庫から『濡れた魚』『死者の声なき声』『ゴールドスティン』の3作が刊行されているとのことですが、現在ではいずれも絶版のようで、またドラマは原作から大きく改変されているようです。主人公はとある事情でケルン警察からベルリン警察に転任してきたゲレオン・ラート警部と、貧しい家族を養うためにベルリン警察の臨時雇用記録係をしながら夜は売春婦という別の顔も持つシャルロッテ・リッター。彼らはある事件を捜査するうちに、巨大な国家的陰謀に巻き込まれていく……といったストーリー。
 復員兵と戦争後遺症と暗示療法、ナイトクラブやポルノ映画や売春窟といったデカダンス(退廃的)文化、亡命トロツキストとスターリンの秘密警察、ドイツ共産党と血のメーデー事件、黒い国防軍、そしてわずかに見えるナチスの影。様々な歴史要素を含んだサスペンスフルなミステリードラマですごく面白かったです。主演の2人、ゲレオン役のフォルカー・ブルッフと、シャルロッテ・リッター役のリヴ・リサ・フリースもいい。特にリヴ・リサ・フリースは個人的に去年の大ヒットでした。
 BS12では今年の12月から待望のSEASON3が放送開始予定。今度は翌1930年が舞台となります。


>最近DVDで観た映画
『デスティニー・イン・ザ・ウォー』
 デンマークのビレ・アウグスト監督が、中国で撮った第二次世界大戦を背景とした文芸映画。原題は「烽火芳菲」で英語題は「The Chinese Widow」なのに、なぜかこんなわけわかんない邦題に。太平洋戦争初期、米軍のゲリラ的反撃として有名なドーリットル空襲を終えて中国に向かう途中、墜落する機体からパラシュートで脱出した米軍機長が、貧しい中国の未亡人とその娘に助けられ、彼女たちのあばら家に匿われる。だが彼を捜索する日本軍の手が徐々に迫り……というストーリー。ビレ・アウグスト監督の映画は大学時代にデンマーク映画『ペレ』を観て以来ですが、必要以上に劇的にはしない落ち着いたというかちょっと重い作風は変わっていませんね。脚本もヨーロッパの人で、どことなくヨーロッパ映画っぽい雰囲気ですが、同時に中国映画らしくもあるのが、米国とは違う欧州の歴史深さと言うべきか。機長役のエミール・ハーシュという俳優はよく知らないんですが、どっちかというと未亡人のほうが主人公っぽく、演じているのは『ムーラン』の主演で今何かと話題のリウ・イーフェイ。儚げで美しい未亡人を好演していて、やはり彼女のほうが印象に残ります。彼女の出演映画はジャッキー&ジェット共演ハリウッド映画『ドラゴン・キングダム』や歴史映画『項羽と劉邦 White Vengeance』『曹操暗殺 三国志外伝』を観ましたが、この映画の彼女が1番良かったかも。空襲される東京のCGが今一つ東京っぽくなかったり(ヨーロッパか中国っぽく見える)、未亡人に目をつけて家捜しに来る日本軍の少佐がなぜかいつも部下も連れずに1人で来るのはちょっと不自然でしたが、全体的にはなかなかの佳作でした。

>『武則天 The Empress』
 高宗役がイケメンと聞いて誰だろ?と調べてみたらアーリフ・リーという俳優で、どこかで聞いたことのある名前だなと思ったら、ジャッキー映画『カンフー・ヨガ』に出てた若いイケメン俳優ですね。

>吉備真備
 『大仏開眼』は未見ですが、手塚治虫のマンガ『火の鳥 鳳凰編』にも出てきてましたね。確か史実とは違って、権力者の橘諸兄を追い落とすが、後に自らも藤原仲麻呂に追い落とされるという描写だったような。

>名画座修正情報
『ラスト・サムライ』……正確には『ラスト サムライ』と、「・」ではなく半角スペースが入る邦題が正しいようです。



#11036 
ろんた 2020/09/16 18:13
「武則天 The Empress」最終回

「武則天 The Empress」最終回を確認しました。武照は茶髪。白髪交じりということか(でもお肌ツルツル)。これがOPに出てきた姿でデヴィ夫人似。高宗が最終回の中盤まで生きていて、死ぬとダメ男の皇太子がクーデターを起こす。これを潰すと即位させて幽閉。叛乱の鎮圧に失敗するけど、そのままスルー。ここでは叛乱軍の檄文に感動するという有名な逸話があるはずが、なぜか鼻で笑うという全く逆の話になっている。この辺、史書と違っているところ多数。「皇帝を解放しないと叛乱は続く」と諫言した宰相を排除して狄仁傑が登場。「実権を握っているのになぜ皇帝の座を望むのか?」とズバッと切り込むものの、武照の答がグズグズで何言っているか分からない。この後、「武周」の建国を宣言。ところが、場面転換すると髪の毛が真っ白になってて杖ついてヨボヨボ(でもお肌ツルツル)。そして字幕。「八十二才で死にました」(笑)。
 全編通してはちゃんと見てないんですが(録画だけはしている)、印象としては武照を善人として描いていて、「?」な展開が多い気がしました。高宗が格好良かったり、長孫無忌と和解したり。まあ、メロドラマなんでしょうね。ひょっとしたら薛懐義、張易之・昌宗というのが出てきては都合が悪いので、武周時代を省略したのかも。
 考えたら、このドラマを面白そうと思ったのは、むか〜し『武則天』(原百代/講談社文庫/全八巻)を読んだからでした。これ、フェミニズム的に史料を再解釈していて凄く面白い。日本では"則天武后"という表記が多いけど、あえて"武則天"としているのもそのため。武照もちゃんと「悪人」で武周時代も描いている。さらに同時期、『西遊妖猿伝』の玄武門の変の下りを読んでたりして、李(世)勣、尉遅敬徳、李靖、長孫無忌が頭に入ってたりしたのでした。
 で、次の日から始まったのが「隋唐演義〜集いし46人の英雄と滅びゆく帝国〜」。原作は『三国志演義』『封神演義』と並ぶ三大演義の一つとのことですが、そんな括り知らなかった。雰囲気としては三国志風味の水滸伝。桃園の誓いみたいなこと(違う日に生まれたが同じ日に死ぬことを願うってヤツ)やってたし、今は隋朝廷内の暗闘と「好漢」のエピソードを描いている。原作は隋建国から滅亡、唐の建国から安史の乱の顛末まで描いているらしいけど、ドラマは玄武門の変まで。実在の登場人物はこの時代のオールスターキャストなんだけど、李淵の息子らしいアホの子だけは誰か分からない(笑)。

>バラージさん
「武則天 The Empress」については、やはり一番盛り上がったところで終わらせた、というのが正解でしょうか。武照って、武周建国時点で66歳。お相手はいるのですが、さすがにメロドラマの主人公はきつい(笑)。しかし、政治ドラマとしては一波乱も二波乱もあるわけで、そこも面白いはずなんだけどなぁ。
 尚巴志ですが、RBC(琉球放送)はラジオ局も持っていて、「琉球を創った男たち 懐機・尚巴志」(全130話 2002)、新録「〜琉球を創った男たち〜 懐機・尚巴志」最終話(2019)、デジタルリマスター版「連続放送劇 成化風雲録」(全26話 1963)というラジオドラマもあるようです。radikoとかで聞けるのかな?

>ユダヤ人埴輪
 ユダヤ人かぁ。こんな恰好した人、韓国の時代劇でいっぱい見たことあるんで、きっとアレもユダヤ人なのでしょう。

>NHKスペシャル 戦国〜激動の世界と日本〜
 録画して塩漬けになっていたのを視聴。冒頭、信長が長篠の戦いで使った鉄砲の弾、原料がタイで採掘された鉛だったとの話にかなり期待するが、信長編は目新しさは無し。石山合戦の勝利はキリシタン大名のお陰(当然、背後に宣教師がいる)って、ちょっと大げさだし、「本能寺の変イエズス会黒幕説」をやるんじゃないかと冷や冷や(笑)。秀吉編では、山崎の合戦の勝利はキリシタン大名のお陰みたいになっていて「?」(ここでも背後に宣教師)。朝鮮出兵も「日本に明を征服させてキリスト教国にする」という宣教師の陰謀が影にある、みたいになっていたけど、NHKらしく律儀に伴天連追放令に触れていて説得力ゼロ。っていうか、そんなこと本気で考えいる宣教師、頭のネジが緩んでるとしか思えない。さらに、朝鮮との戦争に行き詰まった秀吉が金目当てにフィリピン征服を計画しスペインとの世界戦争になりそうだった、という話もどれだけ信憑性があるのか。ただ[お隣との戦争がうまくいかない>南方進出>世界中と戦争]ってのはどっかで聞いた気がする。この戦争はフェリペ二世と秀吉が五日違いで亡くなって回避される。
 家康編では定番のヤン・ヨーステン、ウィリアム・アダムスの話から始まって、大阪の陣がオランダとスペインの代理戦争の側面があるとの指摘。スペインが家康に食い込めなかったのは、貿易と宣教をセットにしていたから、というのは新味無し。そして出ました「ブリキトース」(笑)。ここで一番興味深かったのが、元和偃武後に侍が傭兵として"輸出"されていたという話。オランダによってスペインとの植民地戦争に投入され大活躍したとか。山田長政伝説の元ネタか。これが続いていたら、由井正雪の乱とか無かったのかな?
 全体として、宣教師の報告書ってどれだけ信用できるのか、という疑惑が湧いてきました(笑)。

>「大仏開眼」
 前編は台風が来たわけじゃないのに受信障害。「大化の改新」みたいに受信不能ではなく、低解像度状態になった。南西の方が荒天だったからか? 再放送を望む。ドラマの方は「大仏開眼」というタイトルに偽りありで(?)、まるで吉備真備伝。しかも文武両道のタフガイなのでビックリ。いや、史実から見ればそういうことになるんだろうけど、演じてるのが吉岡秀隆なんで文弱の徒のイメージがついてしまった。だって吉岡秀隆が高橋克典(藤原仲麻呂)に勝てると思わないじゃないですか(笑)。

>訂正と追加情報
 鞍馬天狗の杉作、大人向けにも登場してました。第二次長州征伐を背景にした『地獄太平記』。天狗さんの泊まっている部屋に坂本竜馬がやってきたりする。
 乱歩の映像化ではBSPで放映された「シリーズ江戸川乱歩短編集」は要チェック。江戸川乱歩の短編小説を気鋭のクリエーターたちが映像化。満島ひかり主演。明智小五郎も演ずる。



#11035 
バラージ 2020/09/05 21:57
中国の歴史ドラマあるある?

 次の最高首脳がごく少数の最高幹部の秘密会議で決められるって、鎌倉幕府北条氏の「深秘の御沙汰」かよ。そういや森首相の時もそうだったっけ。とりあえず菅(すが)さんがどんな人かは、ドキュメンタリー映画『i 新聞記者ドキュメント』でご覧ください。エンタメとしても普通に面白い映画ですから。そして徳川将軍のごとく幕閣よりも側用人を重用して政治運営を行った安倍さんについてはドキュメンタリー映画『主戦場』を……と言いたいところですが、こっちはなぜかまだDVD化も動画配信もされてないんだよな。
 そして世界に目を向ければ、米国も中国(香港)もロシアもベラルーシもブラジルもレバノンもモーリシャスもマリもルワンダも……とどうにもこうにもキナ臭い雰囲気だらけでイヤになっちゃいますねえ。


 さて、本論。実在人物を主人公とした中国の歴史ドラマって、その人が死ぬまでは描かず、ちょっと中途半端なところで終わるというのがわりとよくあるみたいで、歴史映像名画座に掲載されているドラマも『孫子兵法』『クィーンズ』『曹操』『後宮の涙』『創世の龍』といったあたりはそういう終わり方になっているようです。僕はこのうち『曹操』だけレンタルDVDで途中まで観て挫折したんですが、サブタイトルを見たら赤壁の戦い直前で終わるんで、なんで?と不思議でしたね。他にも名画座にはありませんが『賢后 衛子夫』『武則天秘史』『フビライ・ハン』『瓔珞』なんかも同様に主人公の死までは描いてないみたい。
 理由はよくわからないんですが、推測するに1つにはあまり物語のペースを計算してないのでは?という疑いがあります。歴史ドラマというのはそもそも結末がわかってる上で作るため、主人公の死から逆算してペース配分しながら作ると、こう言っちゃ何ですが純粋な意味でのストーリーメーキングやストーリーテリングの面白さが追求しづらいという欠点があると思うんです。そういう制約を捨てて、結末を考えず、ドラマ的な面白さを優先してストーリーメーキングしていくと、(放送回数の制限はあるので)主人公の死まで到達せずに終わるということも十分考えられると思うんですよね。
 もう1つ、おそらくはこちらの可能性のほうが高いと思われますが、これまたドラマとしての面白さを優先して、ドラマとして1番盛り上がったところで終わらせるというパターン。歴史ドラマというのは第一義的にはあくまでドラマですから、ドラマとしての面白さや完成度のほうを優先するというのも当然と言えば当然の話。『武則天 The Empress』や『武則天秘史』が皇帝に即位するあたりで終わるのも、その後の武則天はドラマにしても面白くないという判断からだと思われます。日本の大河ドラマでも『太閤記』や『秀吉』が、秀吉がダメになる晩年をほとんど描かなかったのも同じ理由でしょう。
 そもそも歴史ドラマはどの国でもドラマ全体の中では圧倒的に少数派のジャンルで、現代劇ドラマが最も一般的なドラマのはず。米国ドラマのように、人気がある限り何シーズンでも続き、人気がなくなったら打ち切りという週刊少年ジャンプ方式みたいな国もありますし、ひょっとしたら放送回数の中である程度物語を終わらせる日本のドラマのほうが珍しいのかもしれません。そう考えると、終末点がある程度決まっている歴史ものは、もともとテレビドラマとして難しいのかも。


>未見琉球史ドラマ
 現在アクシデンタルにめちゃくちゃ忙しくなってしまいふらふらの中、気分転換にレンタルDVD店に行ってぶらぶらと店内を物色していたら、歴史・時代劇コーナーで「琉球歴史ドラマ『尚円王』」というDVDがレンタルされてました。RBC(琉球放送)創立65周年特別番組とのことで、あれ? そういえば……と思って調べてみると、以前に徹夜城さんがここで触れていた尚巴志のドラマと同じ放送局。全3話が1枚のDVDに収められており、レンタルが開始されたばかりのようでまだ新作でした。Paraviで動画配信もされているようで、そういや『尚巴志』のほうはどうなんだろ?と調べると、こちらはDVD化はされておらずParaviでの動画配信のみのようです。

>『いだてん』の裏側で……
 論座にちょっと面白い記事が出てました。

首相が病で倒れると何が起きるのか?〜1964年東京オリンピックの裏で
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020082800006.html?page=1

 阿部サダヲが大騒ぎしてる裏側で、桐谷健太や浅野忠信も巻き込んでこんなことが起こっていたとは(笑)。個人的には物心ついた頃に首相だった田中・三木・福田・大平の名前が見えるのが興味深かったですね。

>名画座修正情報
『クィーンズ 長安・後宮の乱』……厳密には『クィーンズ 長安、後宮の乱』が正しい邦題のようです。



#11034 
ろんた 2020/09/01 18:19
BS時代劇

 変に喧伝してたんで──体調不良ってことにしておけば、火だるまになるに決まってる国会開かなくていいし、同情が集まって支持率も回復するし、10月になればコロナも収まってるし(<根拠はない)一石三鳥──とか悪いこと考えてる、と想像してたんだけど、下衆の勘ぐりでした。安倍さんってわたしが思ってたよりも「善人」だったんですね。とすると第一次の時に、参院選に負けて退陣ってのがイヤで難病を言い訳にした、というのも下衆の勘ぐりだったんだなぁ。海より深く反省。でも、「善人」は政治家になるんじゃねぇよ、と下衆人間は思うのでした。

 で、ふと気がつくとBS−Pで「鞍馬天狗」が放送されている(毎週金曜日、日曜再放送)。これは野村萬斎主演で比較的原作に忠実にドラマ化され、地上波で放送されたもの。「原作に忠実」というのは、一般に記憶されている「鞍馬天狗」が、実はアラカンこと嵐寛寿郎の創造したものだから。さすがに、アラカン流に覆面して白馬に乗って現れるけど。で、原作では鞍馬天狗と近藤勇が<「敵」と書いて「とも」と読む>的な関係になったり、御一新後も活躍したりするのです。あと、鞍馬天狗といえば「杉作、日本の夜明は近いぞ」だけど、杉作って少年向けの作品以外には登場しないんじゃないかな。もっとも、わたしが読んでいるのは鶴見俊輔編集の「鞍馬天狗」(小学館文庫5巻)だけなので、定かではありませんが。あと、桂小五郎役の石原良純が似合わない(笑)。
 同じBS−Pでは「大仏開眼」(09/05,12)が放送されます。吉備真備(吉岡秀隆)、孝謙天皇(石原さとみ)、藤原仲麻呂(高橋克典)を中心にした、地上波で放送されたドラマ。同じNHK大阪放送局で制作された「大化の改新」が6月にBS−Pで放送されたんだけど、大雨のせいで見られなかった。再放送してくれないもんだろうか。
 BS朝日では「無用庵隠居修行」が09/01から毎週火曜日に3本再放送。4本目が新作。時代設定は田沼から定信に政権交代があった頃。江戸城の大番士・日向半兵衛(水谷豊)は、剣の達人だがどこか浮世離れした男。妻を亡くし子も無いのに、後添えももらわずやもめ暮らし。出世ばかり考えている同僚に愛想を尽かし、早く隠居したい、と考えている。跡継ぎがいなければ隠居などできない、と用人・勝谷彦之助(岸部一徳)は松田家の出戻り娘・奈津(檀れい)との縁談を進めるが、半兵衛は奈津のことが気に入っているくせに、今さら妻を娶る気はない、などと言い出す。本当なら親類縁者がよってたかって再婚させるか、養子をとらせるかすると思いますが、そこはそれ、時代劇なので至ってのんびりした日常描写が続きます。(後に養子をとって本当に隠居する) 実在人物としては松平定信(杉本哲太)や長谷川平蔵(榎木孝明)が登場。この人たちとの絡みで大事件が起きて、そこが見せ場。「相棒」ファンだと、右京さんと亡き官房長の共演、そこに神戸尊の元嫁が絡むという話(笑)。
 BSフジでは仲代達矢主演の「帰郷」を09/27に放送。てっきり大佛次郎原作かと思ったら、藤沢周平原作の股旅もの。三十年前、親分の罪をかぶって江戸へ出奔した宇之吉が、木曽福島に戻ってきた。三年のつもりが三十年。そこには江戸での大きな事件が関わっていた。そして、故郷に戻った宇之吉は、かつての兄貴分・野馬の九蔵(中村敦夫)がおくみ(常盤貴子)という女に岡惚れし、その思い人・源太(緒形直人)をつけ狙っているのを知る。全然知らなかったのですが、時代劇専門チャンネル制作で劇場公開されたらしい。まあ、仲代さん主演なので、面白くないわけがないとは思います。
 BSテレ東の「竜馬がゆく」は蛤御門の変が終わったあたり。新春の長時間ドラマを1時間ドラマ×10本に再編集したもの。でも竜馬役の市川染五郎(現・松本幸四郎)は、なんか違う気がする(汗)。もっと長身じゃないと竜馬っぽくならない。育ちがよさげなところは面白いと思うんだけど。竜馬って才谷屋のボンボンだから(笑)。ああ、井川遥さんのお田鶴様はいいです。で、この間は天然過激派・高杉晋作(葛山信吾)が熱血ジジイ・来島又兵衛(石橋蓮司)に怒鳴りつけられていて笑ってしまった。高杉って、この前に御殿山の公使館焼き討ちとか無茶苦茶やってるんだけど(幕末太陽伝)、来島又兵衛から見ると臆病者ってことになっちゃうらしい。ただその後、馬上の又兵衛をCCDで撮った画像はいただけない。全然揺れないから、トラックに乗ってるのが見え見え。
 その他だと、日本のものじゃないけど「オスマン帝国外伝3」(BS日テレ)と「武則天」(BSイレブン)が最終回を迎えます。しかし、「オスマン帝国……」は長いなぁ。次の「4」(チャンネル銀河で放送中)で最後らしいけど、全312話とのこと。「武則天」は、最終話のタイトルが「そして皇帝へ」……!? え? 即位して終わりなの? OPにデヴィ夫人みたいなのが出てくるから、死ぬまでやると思ってたのに(笑)。

>バラージさん
 乱歩の話を続けていいのかと思いつつ……(汗)。
「妻に失恋した男」は青空文庫で読めますが、(なぜこれを映画にしようと思ったかなぁ)というのが正直な感想(笑)。それに「失恋殺人」って、タイトルがネタバレしちゃってますね。明智さんの奥さんってことは文代さん。ネタバレになるので詳細は控えますが、前半生に色々あって探偵もこなせるだけの経験をしています。あと、宮地真緒の無駄づかいという話は、KINENOTEのレビューにもありました。
「キャタピラー」には、そもそも芋虫という意味があるので両者の関係は明白ですし、キャラクターもほぼ小説通り。ただ映画は時代を10年ほどずらし、若松イズムが強く出ているので、「原作」というより「原案」という感じでしょうか。
「人間椅子」は究極のストーカーものでして、かなり恐いですね。



#11033 
バラージ 2020/08/30 00:13
いろいろ小ネタ

>最近観た、ちょっとだけ歴史関連の映画
『ノー・サレンダー』
 WOWOWで放送されてたエジプトのアクション映画。エジプト映画を観たのは初めてです。WOWOWのガイドブックを見たら、1940年のエジプトを舞台としてイギリスの圧制に立ち向かうアクション映画とあったんで、歴史要素のある社会派アクションかと思って観てみたんですが、全然違いました(笑)。
 エジプトに駐留してるイギリス兵がエジプト人少女をレイプし、エジプト警察に逮捕される。イギリス軍は警察に引き渡しを求めるが、署長(主人公)は拒否。イギリス軍は警察署を包囲して、エジプト警察と壮絶な銃撃戦が始まるというストーリー。おそらくは全くのフィクションで、なんというかきわめてベタでコテコテな娯楽映画です。脚本も演出も役者の演技もやたらと大げさでクサイ。なんとなくインドの娯楽映画に似てるような感じ。イギリス軍もわかりやすいくらいあからさまな悪党だし、逆にエジプト人にはほぼ悪人がいないし、とにかく全編ベタすぎるほどベタな展開で、観ててちょっと笑ってしまうほどでした。またWOWOWサイトでも書いてたんですが、時代背景の説明などが劇中に全くなく、1940年ということにすら触れられていません。たぶんエジプト人にとってはそのあたりはどうでもいいんでしょう。時代的には第二次世界大戦が始まってますが、劇中でそれに触れてるような部分は、エジプト警察に捕まっている元エジプト兵について、自分はドイツとの戦争には関係ないとイギリス軍の徴兵を拒否したため逮捕されたと説明される部分くらい(でも1940年という説明がないと第一次世界大戦でも当てはまる話だよなあ)。ちなみに歴史的には1940年9月にイタリア軍がエジプトに侵攻してきたので、その前の事件とすればつじつまが合うのかな。当時のエジプトには、独伊の力を借りてイギリス軍を追い出そうという世論も強かったとか。
 文化の違いなのか、冒頭で妹に名前で呼ばれて怒り、「お兄様」と呼べと妹を軽くビンタしまくる男が出てきて、てっきりこいつは悪役かと思ったら、それが主人公の署長でした(笑)。妹も文句を言いながらもそこまでひどく憤ってるわけでもないようだし、なんか不思議。署長は自らムキムキの肉体でイギリス兵とバトルしちゃうし、マッチョイズムが強く男尊女卑的な文化があるのかも。あと輸入されたのは英語版で、エジプト人も全員英語でしゃべり、口の動きと合ってないのも何とも。日本人から見るとあらゆる意味でB級アクションとしか言い様がないんですが、エジプト映画としてはこれが普通なのかも。ふーん、エジプト映画ってこんなんなんだ、とそこが1番興味深かったです。

>初登場将軍
 いよいよ再開される『麒麟がくる』に室町幕府14代将軍・足利義栄が登場するとのこと。大河ドラマに限らず映像作品初登場になると思われます。まあ出番はほんのちょっとだけでしょうし、それを目当てにまた観ようとまでは思いませんが。
 ちなみにこれで足利15代将軍のうち大河ドラマ未登場なのは、3代義満・4代義持・5代義量・12代義晴の4人となります。徳川15代将軍では11代家斉のみが未登場。鎌倉9代将軍では8代久明親王のみが、北条得宗9代では4代時氏・5代経時が未登場となっています。

>乱歩映画
 改めて調べたら江戸川乱歩原作映画では『失恋殺人』という映画もDVDで観てました。乱歩に興味があったわけではなく、当時ちょっと話題になった主演の宮地真緒のヌードが目当てでもなく、好きな女優の星野真里が脇役で出演してたから観た映画でして(笑)。調べてみるとなんでも『妻に失恋した男』という小説をベースに、原作には登場しない明智小五郎の妻(これが星野さん)を探偵役にした映画だそうで。星野さん目当てで観たんで、可愛い探偵さん大活躍といった感じでそこそこ観れましたが、お話自体はちょっとわけわかんなくて、せっかくヌードになった宮地さんもいまいち魅力的に撮られてなくて、はっきり言って映画としてはいまいちでしたね。
 あとはこれも観た映画の『キャタピラー』が、当初は乱歩の『芋虫』が原作と言われてたけど、その後製作者側は公式には乱歩原作という表記を撤回したそうで。

 『偉大なる夢』のスパイ団、確かに普通に日本人にしちゃうと、「あなたの隣にもスパイが」的疑心暗鬼というか世に不安を醸し出す隣組的発想になっちゃってたかもですね。そういう意味では、現実には存在しない文久年間に定住したアメリカ人の子孫にしたほうが良かったとも言えるのかも。
 「変なことを変な風に描いてしまう変な人」というのは、読んでないし映像化作品も観てないけど『屋根裏の散歩者』とか『人間椅子』のあらすじを読んでも、なんかわかります。僕はそのあたりがちょっと……という感じでして。1997年の映画『人間椅子』も、好きな女優の清水美砂(現・清水美沙)が主演でちょっとエロチックなシーンがあると聞きながら、なんとなく敬遠しちゃって観ないまま今に到ります。



#11032 
ろんた 2020/08/24 22:00
「古代戦士ハニワット」(武富健治)

 同じ導入部で恐縮ですが、「Landreaall」を五冊も買い逃しているのに気づき本屋に行ったのに置いてない。で、べそをかきながら回っていると、「宇崎ちゃん」を見かけたので応援のため買いました(<何か見たらしい)。そしてふと横を見ると「古代戦士ハニワット」が三巻まであるではないですか。以前、「気分はもう戦争3……だったかもしれない」が掲載された「アクション」誌を購入した際に読んで、異様な印象を受けた作品。で、今回三冊一気読みしたところ……

 長野県長野善光寺市長野善光寺の境内にあった井戸が不思議な光に包まれ、その中から高さ2.5mほどの土偶「仮面の女神」(蚩尤 コードネーム「ドグーン」)が現れた。何をするでもなく歩くだけなのだが、障害物は破壊し人間は踏みつぶす。警察は機動隊を配備するが、その目的はドグーンの排除ではなく人々を近づけないこと。これに業を煮やし攻撃した地元青年団は二名死亡、直後にドグーンは光学兵器による無差別攻撃を行い、長野善光寺市は炎に包まれる。だがドグーンはかつて静岡、熊野、宮崎高千穂にも出現しており、それに対処すべく準備を進めている者たちもいた。戸隠神宮は、形態を変化させるドグーンに戸惑いつつも、「寺社会議」と協議のうえ「特殊祭祀」(蚩尤収め)を決行すべく、仮具土の埴輪徒たる仁を招集する。しかし仮具土の埴輪土は無残にも敗北、仁は重体、祭祀グループからも二名の犠牲者が出る。だがそこへヤヨイ・ジョー(弥生縄 ヤヨイ・オグナ)から、真具土の埴輪徒・凛を連れて行くとの連絡が入り……

……というお話でした。四巻(手に入らなかった)でこの長野善光寺編は終わり、現在は新章が展開中とのこと。何やら変身ヒーローものとの見方もありますが、あくまで神事というところに注目しなきゃダメでしょう。確かに真具土の埴輪徒は埴輪土(ハニワット)に「変身」するし、その姿はウルトラマンのようでも仮面ライダーのようでもガンダムのようでもエヴァンゲリオンのようでもあるんだけど、ベースはあの埴輪の兵士(怒る前の大魔神)だし、「戦闘」といっても神事としての「相撲」なんだから。そして周辺では神官が弓弦をかき鳴らし、巫女が鈴を鳴らして舞い、埴輪土はその祈りを力に戦うわけです。わたしなどより古代史や民俗学に詳しい人ならもっと楽しめそうですが、とりあえず土偶vs埴輪……燃えるぜ!(笑)

>バラージさん
 スパイ団の設定ですが、「スパイ」といっても諜報員じゃなくて破壊工作員なんで、日本人を出すと差し障りがあったんじゃないですかね。「売国奴を描くとは何事か!」とか。あと、首領の葛藤が小説の一つのテーマになっています。しかし、確かに「アメリカ人の血」とか言っても「?」ですねぇ。しかもドイツ系やイタリア系だったら何やら複雑なことになりそうで……。
 乱歩については私見ですが、「変なことを変な風に描いてしまう変な人」なので、その辺りを楽しむ境地になれないとなかなか難しいかと。作品集T収録の「孤島の鬼」なんて、密室殺人+フリークス+ホモセクシャル+洞窟探検だし、「黒蜥蜴」の女賊は、美少年や美少女の剥製を飾って喜んでいるド変態ですし。その境地になると、天知茂主演(明智小五郎役)の「美女シリーズ」も楽しめるんですが……(笑)。
 あっ、そう言えば『少年探偵団・超人ニコラ』の解説を担当している小中千昭氏(脚本家)は、駆け出し時代、円谷プロの鈴木清氏に『少年探偵団』(BD7)の企画書を書かされたと述懐しています。

>徹夜城さん
 迎合といえば迎合なんですが、それでも探偵小説を書こうとしているので、そう言ってしまうのは個人的には可哀想な気がします(汗)。探偵小説は、恐らくエログロナンセンス文化の一つと考えられていたんでしょう。紙の配給をしない、という形で弾圧されたようです。で、多くの作家は捕物帖に転向するんですが、乱歩はそれも許されなかった。捕物帖だって、ホームズものをお手本にした「半七捕物帳」(岡本綺堂)がルーツなわけですけど。それでも横溝正史などは「人形佐七捕物帖」の連載中絶に追い込まれます。理由は、佐七が浮気者だから(笑)。まあ、そのお陰で岡山に疎開し、金田一耕助のデビュー作「本陣殺人事件」を思いつくんで、世の中、何が幸いするか分からない。
『怪人二十面相・青銅の魔人』の解説(佐野史郎)と解題(吉田司雄)によると、二十面相がアルセーヌ・ルパンなのは、乱歩もはっきり認めているようです(『わが夢と真実』)。「怪盗」じゃなくて「怪人」なのは、当時の出版コードのせいだとか。それでも物語の主人公であるルパンが愛国者であるのに対し、敵役の二十面相はあくまでも国家・社会への反逆者なのが決定的違い。明智小五郎の方は愛国者で、満州国政府のために働いたりしてますけど。あと「コジマ」「ファントマ」という二本の無声映画の影響も指摘されています。いずれも怪盗が大活躍する話で、前者は子供だった乱歩が大ファンだったそうですし、後者はシルクハット+燕尾服+アイマスクというビジュアルが怪人二十面相そのもの。さらに「青銅の魔人」の「鉄人28号」への影響を指摘する向きがある。すると、ガンダムやエヴァのルーツも大乱歩、という話になりそうです(笑)。

 で、角川文庫には『怪人二十面相と黒蜥蜴』(「怪人二十面相」と「黒蜥蜴」をそれぞれ収録)があるようで茫然。それ「混ぜたら危険」なヤツだろう。まあ、二人とも「明智さんラブ」ではありますが。



#11031 
バラージ 2020/08/23 22:04
ありゃ

 文字化けしちゃいましたね。『JIN-仁-』で相島一之が演じてるのは多紀元えん(王偏に炎)です。



#11030 
バラージ 2020/08/23 21:45
歴史映像作品感想追記・タイムスリップ歴史映画編

 名画座未掲載の歴史映像作品の感想の追記、ついにようやく最後のタイムスリップ編です。

『テラコッタ・ウォリア 秦俑』……#9726、映画板#1222
 え〜、いきなりですが、タイムスリップものではなく、輪廻転生ネタの歴史関連映画です。1989年の香港・中国合作映画なんですが、中華圏の映画にはなぜかタイムスリップやタイムトラベルよりも輪廻転生ネタの映画のほうが多かったりするんですよね。ま、広い意味での時間移動ものってことで。日本では91年に公開されましたが、僕は映画館では観逃し、レンタルビデオで観ました。ビデオ&LD邦題はただの『テラコッタ・ウォリア』で、DVD化はされていません。原題は中国では『古今大戦秦俑情』、香港・台湾では『秦俑』とのことで、上映時間についても日本公開版は110分ですが、中国語版Wikipediaでは145分とある一方で、百度百科では106分とあり、この辺どうもよくわからない。監督は『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』などのチン・シウトンで、主演がなんとチャン・イーモウとコン・リー。監督&主演コンビというイメージだったんで、チャン・イーモウが役者としてコン・リーと共演ってなんか変な感じでした。愛し合う者同士の役なんですが、本人たちもこの頃は絶賛不倫中だったんだよな。今となってはもう懐かしい話だけど。
 チャン・イーモウ演じる始皇帝側近の将軍が、不老不死の仙薬の材料を求めに蓬莱国へ旅立つ徐福率いる派遣団員の1人であるコン・リーと恋に落ちる。派遣団の女性は純潔を守らなければならないため、始皇帝の怒りをかった将軍は兵馬俑へ生き埋めとなり、女性は火刑に。しかし不老不死の試薬をひそかに得ていた女性は口づけするふりをして将軍にそれを飲ませ、自らは火に身を投じる。そして時は流れ1930年代、兵馬俑の中からよみがえった将軍は、女性が転生した売れない女優(コン・リー)と出会うが、当然ながら女優には前世の記憶などない。そんな2人に、兵馬俑の盗掘を企む売れっ子男優が絡んで、一大アクションが展開していく……というお話。ストーリーのメインは1930年代のほうですが列強の侵略とかは描かれておらず、もっぱらインディ・ジョーンズ張りのアクション冒険譚となっています。#11015でも触れたような「香港映画が中国人俳優を起用して中国ロケを行うといった性格のもの」で、兵馬俑でロケもされており、なかなか面白い娯楽映画でした。秦朝時代は純真な乙女で、転生した1930年代はちょっとオツムの足りないハスッパ女優と、自在に演じ分けちゃうコン・リーの演技力も堪能できます。2010年に中国で連続ドラマとしてリメイクされてるらしいんですが、そちらは日本に上陸していません。

『THE MYTH 神話』……#9726、#10680、映画板#1222、#1680
 これまた輪廻転生ネタの香港・中国合作映画。#11015にも書いたように、ジャッキー・チェンが拠点をハリウッドから香港に戻した『香港国際警察 NEW PORICE STORY』に次いで主演した香港回帰の2作目で、中国との初めての合作作品となります。合作なのは、やはり中国ロケがされてるからかも。
 ジャッキーは考古学者のジャックと秦の始皇帝の将軍モンイー(蒙毅)の2役。3ヶ月前から自分が古代の武将になっている夢ばかり見るジャック。その武将は、朝鮮(古朝鮮?)から始皇帝の妃に差し出されたユシュウ姫(キム・ヒソン)を護衛するモンイーだった。やがてモンイーとユシュウ姫は惹かれ合っていく。一方、ジャックは反重力を研究してる親友の物理学者(レオン・カーフェイ)の頼みでインドの古代遺跡に同行する……といったお話。蒙毅は実在の人物ではありますが、名前と始皇帝の家臣という設定以外は全編フィクションで、史実とはほぼ関係ありません。当然ながらジャックの前世がモンイーなわけですが、ジャックの現代シーンのほうがメインでやっぱりちょっとインディ・ジョーンズ風味。ヒロインのキム・ヒソンは当時の中華圏で最も人気のあった韓国女優らしい。実は意外に流行に敏感なジャッキーが、当時の流行りだった武侠もの・韓流ブーム・ボリウッドなどを全部詰めこんだ欲張りな映画なんだけど、それぞれが上手く噛み合ってなくてバラバラな感じ。まあまあという程度の出来でした。
 中国で連続テレビドラマ版も作られていて、そちらも日本でもDVD化されています(邦題は同じ)。ただしそっちはタイムスリップもので項羽と劉邦の時代が舞台らしく、ストーリーは大幅に異なるようです。ドラマ版のほうが歴史度は高そうですが、まぁジャッキーがいないんじゃジャッキーアクションを目玉にできないもんな(笑)。

『信長のシェフ』(第2シリーズまで)……#9320、#9351、#9646、#9684
 2013年と2014年にテレビ朝日で放送された連続ドラマで、『週刊漫画TIMES』というマンガ誌で連載されているマンガのドラマ化とのこと(現在も連載中らしい)。現代から戦国時代にタイムスリップしたシェフの青年が織田信長の料理人に取り立てられ、料理で信長や他の人々を助けて活躍するというストーリー。主人公は過去の記憶を(料理のことを除いては)自分の名前も含めて失っており、なぜタイムスリップしたかも不明で、その謎や未来に帰る方法なども同時並行で探求することになります。
 テレ朝金曜11時台からの金曜ナイトドラマ枠での放送で、低予算をカバーする演出や脚本が上手く、現代若者向けの娯楽要素もバランスよく作られていて、なかなか面白いドラマでした。意外に史実考証がしっかりしており、要所要所の史実もきちんと押さえられている上に、定番を外して新説を取り入れてる部分もありましたね。深夜帯でありながら平均視聴率が10%を超える好調さ(金曜ナイトドラマ歴代ベスト10に入る高さ)で、第2シリーズは木曜8時からというゴールデンタイムに進出。おそらく予算がかかる時代劇だけにゴールデンのほうが良いという判断があったんでしょうし、同じ頃にフジの月9で放送された『信長協奏曲(コンチェルト)』が好調だったことも後押ししたんではないかと思われます。ところがゴールデンに進出した第2シリーズは視聴率が1度も10%に届かないという惨敗に終わり、以後続編は作られていません。木曜8時はもともと木曜ミステリーというテレ朝によくある2時間サスペンス的連ドラ枠だったらしく、金曜11時と木曜8時では視聴層も違っていたと思われ、ゴールデン進出が完全に裏目に出てしまったようです。う〜ん、残念。結局描かれたのは原作の途中、室町幕府滅亡あたりまででした。

『JIN-仁-』『JIN-仁- 完結編』……#9684、映画板#1217
 2009年と2011年にTBSで放送された連続ドラマで、原作は『スーパージャンプ』で連載されていた村上もとかの同名マンガ。幕末にタイムスリップした現代の医師が、自分が命を救うことによってその人の運命や過去の歴史をも変えてしまうことに葛藤しつつも、目の前の人々の命を救うために現代の医療知識を駆使して治療を施していく姿を描いています。原作は大ヒット漫画ですが僕は未読。村上もとかのマンガは『六三四の剣』や『NAGISA』『龍-RON-』なんかは読んでるんですけどね。最初のドラマ化がものすごく中途半端なところで終わってしまったため、続編や映画化の可能性が取り沙汰されたんですが、その予定はないと公式発表されたため不満の声が多数あがりました。しかし結局続編の制作が決定し、無事完結しています。
 非常に質の高いドラマで、毎週楽しみに観てました。主演の大沢たかおにとっても代表作の1つになったと言っていいでしょうし、ヒロインの綾瀬はるかも良かった。大河『八重の桜』の主演に決まったのも、あるいはこれが影響したのかも。また内野聖陽の坂本龍馬と、小日向文世の勝海舟がめちゃくちゃハマり役で、そのため翌年の大河『龍馬伝』はいまいち観る気が起きませんでした(笑)。手塚治虫の『陽だまりの樹』では悪役まわりだった多紀一族の多紀元琰が、自らの利害より医師としての使命感を優先する人物として描かれてるのも興味深い(演じてるのは相島一之)。原作はかなりの長編マンガのため、ドラマでは省略されたエピソードや登場しなかった人物もいるようです。またドラマオリジナルの設定もあり、結末も原作とは異なるそうです。
 韓国でも李朝末期に舞台を移してリメイクされ、日本でもDVD化されています。邦題は『Dr.JIN』。

『ミッドナイト・イン・パリ』……#9165、#9684
 追記することは特にありません。

『帰ってきたヒトラー』……#10342
 追記することはあまりありませんが、#10342でも触れた映画の中のドキュメント部分についてちょっと補足。ヒトラー(のそっくりさんタレントと思っている)に目をつけたテレビ番組のディレクターが、彼を連れて街角で市民にインタビューするシーンが、本当の市民にインタビューしているドキュメンタリーとなっています。そこだけ切り取ればなかなか面白い試みなんですが、劇映画としては残念ながら完全に逆効果。ストーリー的には(あるいはおそらく原作小説では)、「市民はヒトラーのそっくりさんだと思ってインタビューに答えている。しかし実は彼は本物のヒトラーなのだ……」という場面なのでしょう。しかし劇映画に挿入されたドキュメンタリー映像(であることは明白)として観てしまうと、ヒトラーのそっくりさんだと思ってインタビューに答えている人たちの認識のほうが実は正しい、要するに劇中のヒトラーはもちろん本物などではなく役者が演じているそっくりさんに過ぎないということが明白になって、観客も否応なくそれを意識させられることになってしまいます。おかげでその後は何があろうと「どうせ芝居」「どうせ役者」という感情で観ざるを得なくなってしまうんですよね。終盤のメタフィクション展開が今一つ効果的にならないのもそのためで、メタフィクションというのは虚実曖昧にする手法ですが、結局はお芝居=虚構という冷めた認識で観てしまいます。やっぱり監督や脚本に問題があったんじゃないかなあ。
 ムッソリーニに置き換えたイタリア映画『帰ってきたムッソリーニ』も日本公開されましたが、そちらは未見。同じ枢軸国でも日本は政治構造の違いもあって、リメイクは難しいですね。『帰ってきた東条英機』とか『帰ってきた昭和天皇』ってのもちょっと違うもんなあ。1人の導き手に率いられてファシズムに突入していったのではなく、なんとなくみんなで戦争に向かっていったという一種の無責任体制は、戦争責任の所在を曖昧にしてしまったという意味でも日本人に重い課題を含んでいるように思います。

『WINDS OF GOD ウィンズ・オブ・ゴッド』
 戦後50年の1995年に作られた戦争映画の1本。今井雅之作・主演の舞台(初演は1988年)の映画化で、舞台を演出した奈良橋陽子が監督しています。交通事故のショックで太平洋戦争末期の神風特攻隊基地にタイムスリップした漫才師コンビが主人公。意識のみがタイムスリップして他人である特攻隊員に乗り移っており、彼らは特攻隊員として生きることになってしまうというストーリー。戦時中にタイムスリップして価値観の違いに戸惑うという設定はさほど目新しくもないと思うんですが、舞台は米国公演も成功したとのことだったし、アート系っぽい単館上映だったんで隠れた良作かもとちょっと期待して観てみたところ、これが全くの期待外れ。ストーリーが想定の範囲内なのはある程度予想してましたが、低予算も相まって舞台人が舞台を映画化した時の悪いクセが見事に出ちゃってる映画でした。とにかくあらゆる意味でチープ。どうにもいまいちの出来でしたね。
 その後も何度か映像化されているようで、2005年には『零のかなたへ〜THE WINDS OF GOD〜』というタイトルでテレビドラマ化されており、そちらもDVD化されています。主演は山口智充と森田剛。また2006年には『THE WINDS OF GOD -KAMIKAZE-』というタイトルで今井自身が主演の他に監督も兼ねて再び映画化されています。DVD化がされていないようで、僕は今回調べるまで存在を知りませんでしたが、タイムスリップして特攻隊員に乗り移るのが米国人という設定で、戦時中の日本のシーンも全編英語という変わった映画だったようです。米国向けに作ったんだろうか?

『スローターハウス5』……#9687
 現代米国文学の巨頭カート・ヴォネガットの傑作SF小説をジョージ・ロイ・ヒル監督が映画化した1972年の作品。いわゆる時間移動ものとは違っていて、自分の意思とは無関係に自分の人生の過去や未来に意識が飛んでしまう主人公ビリー・ピルグリムが、第二次大戦後の米国での中産階級的成功から、第二次大戦中に戻って西部戦線でドイツ軍の捕虜になったかと思えば、空を飛ぶ不思議な物体に連れていかれたトラルファマドア星でのガールフレンドとの生活、フィラデルフィアでの自らの暗殺といった、人生の様々な局面を行ったり来たりする奇想天外なお話です。その中でも最もフィーチャーされるのがビリーがドイツ軍捕虜として遭遇した連合軍によるドレスデン爆撃。ヴォネガット自身が同じ体験をしてるそうですが、原作が出版された1969年当時は歴史学者や退役兵もほとんど触れることがなかったためあまり知られておらず、小説によって認知度が高まったそうです。僕は原作未読のまま映画を観たので、正直今一つわかりにくいところがありました。原作も買ってあるんだけど、ずっと積ん読状態なんだよなあ。いつか読まねば。
 原作は出版当時、保守派(政治的というより社会文化的な)から相当な反発と批判を受けたそうで、そういえば映画『フットルース』の冒頭でも、舞台となる保守的な田舎町で大人たちが小説『スローターハウス5』を批判してるところに登場した主人公の都会からの転校生が、読んだことがあるか尋ねられて「ええ、あれは傑作です」と答えて嫌な顔をされるというシーンがあったっけ。

『リンキング・ラブ』……映画板#1686
 追記することは特にありません。しかしこれを入れちゃうと『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とかも入れなきゃならなくなっちゃうかなあ。あれにも主人公が「ジョニー・B.グッド」を演奏してそれを電話越しに聞くチャック・ベリーなんてシーンがありましたね。


>てこ歴
 田中英道さん、お名前を見かけたことはあっても著書を読んだことはありませんでしたが、「てこ歴」を読むかぎり、かなり「キてる」と言わざるを得ませんなあ(笑)。もうほとんど末期症状というか、右とか左とかいった問題ではないですね。

>ペパーミント・キャンディー
 『はちどり』のキム・ボラ監督も、好きな映画の1つとして『ペパーミント・キャンディー』や『オアシス』の監督であるイ・チャンドン監督の作品をあげてました。僕はイ・チャンドン監督の作品は、村上春樹の短編小説『納屋を焼く』を映画化した『バーニング 劇場版』しか観ていませんが、これはちょっといまいちでしたね。他にキム・ボラ監督は、台湾のエドワード・ヤン監督の遺作となった『ヤンヤン 夏の想い出』と、韓国の女性監督チョン・ジェウンのデビュー作『子猫をお願い』(主演はペ・ドゥナ)をあげています。僕はそっちは2作とも観ていて、いずれも面白かったです。
 『はちどり』については、ベストセラーになった韓国の女性小説家の『82年生まれ キム・ジヨン』との類似性を指摘するものも多く、こちらの小説も日本でも話題になった作品です。僕は未読だけど、ちょっと気になってる小説だったんだよな。

>戦争番組
 戦後75年というわりとキリのいい年であるにも関わらず、コロナのおかげで戦争特集番組はちょっと低調。僕が観たのは、TBSの『終戦75年スペシャル 第1部・女性たちの8・15 第2部・綾瀬はるか「戦争」を聞く』と、『報道特集』の「戦争と感染症」。どちらもなかなか興味深かったです。三浦春馬が主演の1人のNHKドラマ『太陽の子』は録画したまま、まだ観ていません。

>ドイツ史ドラマ再放送
 去年BS12で放送されていたドイツのテレビドラマ『バビロン・ベルリン』がようやく9月12日から毎週深夜3時に再放送開始。ワイマール共和国時代が舞台なんですが、めっちゃ面白かったんだよな。今度は全話Blu-ray保存せねば。



#11029 
徹夜城(次はしりとりかな、と意気込む管理人) 2020/08/20 20:22
「ヘンテコ歴史本」やっと更新。

 実は昨年来、「これはいける」(笑)と思って用意していた素材ですが、この夏になってやっととりかかって形にしました。今年この掲示板や史点でちょこっと触れていた人の本です。あれやこれや言ってるんで絞り込むのに苦労しまして。
 それにしても、昨年そのコーナーで公開した「南北朝は日本の機密は不思議と連日アクセスが多い。調べてみるとどうも「裏天皇」だのといったキーワードで見つけてくるようなんですが、あのページはそういうのを全面否定してるんだけどなぁ。そしかしあれだけ連日アクセスがそこそこあるというのは、そういう話を気に掛ける人が結構いるってことなのか。


>ろんたさん
 ずいぶん遅れたレスになりますが、乱歩の時勢迎合のスパイ小説の話、面白く読みました。まぁ乱歩も大変だったんでしょうが、世の中余裕がなくなってくると探偵小説も書かせてもらえない、という怖い話です。
 「少年探偵団」も戦前から始まった作品なんですよね。「怪人二十面相」の元ネタがアルセーヌ・ルパンであることはほぼ確実ですが(名前は他の小説から)、あれって「ルパン隊ホームズ」さらには「黄金仮面」の少年向けバージョンという面もありますね。僕も小学校の時に何冊か読みましたが、一部の話に「えらく古い時代の話じゃないのか」とぼんやり思ったことがあります。


>バラージさん
 前にもここで書いてるかな、と思いつつ書きますが、韓国現代史を通して描いた行くション映画として、「ペパーミントキャンディー」というのがありました。
 大胆にも時代を逆行していく構成になってまして、一人の男の人生を逆にたどりつつ、アジア通貨危機時代、その前の民主化と好景気の時代、その前の軍事政権時代…とここ半世紀くらいの現代勧告がずいぶん変わっていったことがわかる映画ではありました。

 歴史映像名画座もそろそろ更新しないとなぁ。



#11028 
バラージ 2020/08/15 12:02
1994年の韓国社会

 『はちどり』という韓国映画を観ました。韓国が空前の経済成長を遂げていた1994年を舞台とした女子中学生が主人公の思春期映画です。
 子供から大人へと変わり始めた少女と、新たな国へと生まれ変わろうとする韓国の歪みと矛盾と苦しみが二重映しに描かれているんですが、81年生まれの女性でこれが初監督だというキム・ボラ監督は最初からそれを意図して製作したとのこと。
 映画そのものについては映画板のほうにくわしく書いたんで、こちらではその背景として出てくる歴史的事象について。

 まずストーリーは映画板のほうにも書きましたが以下の通り。
 主人公は団地に住む14歳の中学2年生。小さな餅屋を営む両親と、姉と兄の5人家族。学歴偏重のスパルタ教育がのさばる学校にはなじめず友だちもいない。家庭では権力的な家長の父親に誰も口答えできず、高校受験に失敗して隣町の高校に通う姉は彼氏と遊びまくっては父親に叱責されて泣き、ソウル大学を目指すよう父親からハッパをかけられている中学生徒会長の兄はそのストレスから親に隠れて主人公に暴力を振るう。家庭にも学校にも居場所がないと感じる主人公は、同じ漢文塾に通う別の中学の親友とカラオケやディスコで遊んだり、やはり別の中学に通うボーイフレンドや同性愛的に慕ってきた年下の少女とデートを楽しんだりして過ごす。
 孤独を抱える彼女が出会ったのは、新たに漢文塾に来た女性講師だった。ソウル大学を長く休学中という講師はどこか不思議な雰囲気を持ち、中学生の主人公にも子供扱いせず同じ目線で話を聞いてくれた。彼女は主人公に「誰かに殴られても黙っていてはダメ」と言葉をかける。初めて自分を本当に気にかけてくれる大人に出会った主人公は、女性講師に徐々に惹かれていくが、やがて講師はなぜか突然塾を辞めてしまう。そして10月21日、ソウル中心部の漢江にかかるソンス大橋が崩落する大事故が発生した……。

 映画に描かれる韓国の1994年という時代の空気がとても興味深い映画でした。民主化運動の末に軍事政権が終わり文民政府の時代となった90年代ですが、政治体制が変わっても社会風俗や生活文化は一夜にしては変わらない。家庭には強い家父長制が残り、また男尊女卑文化も根強く、学歴主義と相まって男児優先文化が家庭を、そして社会を支配していたことがよくわかります。最初、主人公が父親にずっと敬語で話してるので、養子とか親戚に預けられた子なんだろうか?と思ったんですが、姉兄も同様に父親には敬語だったので、韓国はもともと家父長制文化が強い国だと聞いていたことを思い出しました。それでいて映画は誰かを断罪したりはせず、父親や兄もまたそのような家父長制的男尊女卑文化のある種の犠牲者として描いているのも興味深い。
 また1994年に起こった大きな出来事である北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席の死去も描かれてます。耳の裏のしこりを除去する手術のために主人公が入院した病院でテレビが速報を伝えると、同室のおばちゃんやおばあちゃんたちは、「まさか死ぬなんて」「ずっと死なないと思ってた」「これって喜べばいいの?」なんて戸惑っている(笑)が、主人公にとっては特に関心もない出来事という描写でした。
 こういう小さな世界の小さな社会文化って、いわゆる「歴史映画」では描き得ないもので、やはり近現代——特に戦後以降の現代史を描く映画は、こういう「歴史」というよりも「時代」が描かれているもののほうが興味深いですね。そのクライマックスとして起こるのがソンス大橋崩落事故。これは主人公にもものすごく大きな出来事となるんですが、主人公の人生のある種の転機と韓国社会の転換点を見事に重ね合わせた構成の巧みさに感心しました。とても初監督作とは思えない。とても良い映画でした。


>「文久年間に定住したアメリカ人が、日本人女性との間に生まれた子に「お前はアメリカ人だ。アメリカのために働け」と教育(洗脳?)し、それを子々孫々続けて結成されている。」
 いやぁ、笑えるような笑えないような話で(笑)。いくら創作とはいえ「んなアホな」って話ですし、乱歩自身ももちろんそれはわかった上で戦時下の物語のネタとして書いてるんでしょうが、いかにも日本的な血の思想と、そういうものとは最も縁遠い米国人を掛け合わせると、なんともおどろおどろしいというか不気味というか気持ち悪い。そういう血の思想って下手すりゃ間違いなく、いや下手しなくても間違いなく差別につながっていく思想なんだよな。
 ちなみに僕が読んだ乱歩作品はポプラ社版の『鉄塔王国の恐怖』だけで……という話は、あれ? 前もしたっけ?と過去ログをさかのぼってみたら、#10851でしてました。また少年探偵団というと子供の頃によく観てたのがテレビドラマ『少年探偵団』(1975〜76年)。「♪7人、7人、7人そろえば、くじけはし〜な〜い〜。ぼ〜くらは仲間だ〜兄弟だ〜。魔人怪人ドンと来い。知恵と勇気で戦うぞ。き〜たぞ、それ! 取り囲め〜。BD7、BD7、BD7は、しょうねんたんていだ〜ん!」と主題歌もなんと今でも全部覚えてました(自分でもびっくり)。このドラマの怪人二十面相の変装はどう見ても変身といった感じで、女性やロボットにまで化けちゃうのは子供心にも無理があるだろと思ってましたね。演じているのは団次郎なんですが、クレジットでは「怪人二十面相  ?」となってて、これまた子供心にも「いや、なんで「?」なんだよ。団次郎さんでしょ。『帰ってきたウルトラマン』の人だよ」と思ってましたね(笑)。あとは乱歩本人が主人公の1994年の映画『RAMPO』の奥山監督バージョンを観たくらいかな。



#11027 
ろんた 2020/08/09 17:16
八月だから江戸川乱歩「偉大なる夢」

 さる理由で横溝正史の短篇集『花髑髏』(角川文庫)を買いに行ったのですが、どこにもない。確かに発売日を数日過ぎてはいたのですが、他の新刊はあるのに『花髑髏』だけがない。結局、車で30分かけ地域で一番大きい店で購入できました、最後の一冊だったけど。で、店内をぐるぐる回ると、岩波のHPでも「残部僅少」となっていた『江戸川乱歩作品集』(全三冊)があるではないですか。早速、買いそびれていた「T」を購入しました。この作品集、三冊で「孤島の鬼」「陰獣」「黒蜥蜴」「パノラマ島奇談」「芋虫」が読めてお買い得。
 一番興味深かったのは「V」収録の「偉大なる夢」。初出は『日の出』(S18.11-S19.12)で、探偵小説が壊滅状態にあった時期。さらに「芋虫」以来、軍部に睨まれていた乱歩は、新作の発表も単行本の増刷もできない状態に追い込まれ、執筆はわずかに別名義の科学読み物に限られていた。それが連載なんてできたのは不思議ですが、編者・浜田雄介の解説によると小栗虫太郎や海野十三も同時期に新作を発表しているので、軍部の方で何らかの方針変更があったのかも。
 そうした発表時期のせいもあって非常に軍事色が強い。強すぎたからか、戦後は単行本未収録、没後の全集に初めて収録され改稿がされていません。そのため、当時の空気が缶詰のように保存されていて、冒頭にある(作者の言葉)も勇ましい。

 夢を尊重せよ。われらの陸海軍は皇国三千年の夢を実現しつつあるではないか。偉大なる夢と月々火水木金々の努力、かくして偉大なる現実は生まれるのだ。夢無くして科学は無い。科学の進歩は天才の夢に負う所如何(いか)に多大であるか。科学史の毎頁がこれを証明している。現実に先行する夢なくして現実の進歩はない。今や完全なる勝利か、然(しか)らずんば国民一人残らずの死あるのみである。眼前の現実に跼蹐(きょくせき)して、徒に物資の不自由を喞(かこ)つことをやめよ。卑小なる保身を離れて、偉大なる夢を抱け。私は一つの夢を語ろうとする。無論、昔日の悪夢を語るのではない。昔日の悪夢は悉(ことごと)くかなぐり捨て、私の力の許す限りに於て、大いなる正夢を語ろうとするのである。

 「新しい夢」を「皇国三千年の夢」、「昔日の悪夢」を「エログロな探偵小説」と解釈すれば転向宣言となりそうですが、「偉大なる夢」はアリバイ崩しなど本格探偵小説の結構を持っているので、むしろ、これからも探偵小説を書くぞ、という決意表明と受け取りたい。
 ストーリーは、画期的な新型航空機エンジンをめぐるアメリカ側スパイと憲兵隊との暗闘を描くスパイもの。ところがこの新型エンジンは、東京−ニューヨーク間(1万q余り)を五時間で結ぶので時速2,000q/h。超音速です(笑)。このエンジンを乗せた爆撃機を量産し戦局を一変させる、と憲兵隊長が夢を語るのですが、機体の開発の方が大変だろうな。
 またルーズベルト大統領が、日本人侮りがたし、と語るんですが、ワシントンD.C.が灯火管制されている。いや、ロンドンなら分かるんだけど、ワシントンは大丈夫じゃない?(笑) 東京がやってるからワシントンもやってるはず、と筆が滑ったのか、そう書くように強制されたのか?
 日本で暗躍するアメリカのスパイ団という設定もユニーク。「007は二度死ぬ」のジェームズ・ボンドみたいのを想像しちゃうけどさにあらず。文久年間に定住したアメリカ人が、日本人女性との間に生まれた子に「お前はアメリカ人だ。アメリカのために働け」と教育(洗脳?)し、それを子々孫々続けて結成されている。どっかで聞いたことあると思ったら、公儀隠密の「草」ってヤツですね。一般人として暮らしつつ、公儀からの指令で隠密として活動を始めるという。ああ、「スリーピーセル」ってのもありましたね(笑)。
 作中、東京が空襲されて、「病院を狙い撃ちしやがって、鬼畜米英許すまじ」という話になるんですが、この爆撃機、大陸から飛んできている。実際、九州北部など成都からの爆撃があったようですが、航続距離の問題でその辺が限界だったらしい。太平洋から来ることにすると、日本軍の「転進」を描かなきゃならなくなるからでしょうか。
 岩波文庫では他に短篇集と少年探偵団ものが二冊(『怪人二十面相・青銅の魔人』『少年探偵団・超人ニコラ』)出てます。少年探偵団の第一作「怪人二十面相」では、少年に追いかけ回されて捕まっちゃう二十面相がかなり情けない(笑)。ただ発表が昭和11年と聞くと、この少年たちのうちどれだけが戦後に生き残れたのか、しんみりとしてしまう八月某日。「青銅の魔人」(S24)でも小林少年は相変わらず少年のまま。でも世相を反映して、浮浪児が捜査に加わっています。その方が元ネタの「ベイカーストリート・イレギュラーズ」に近いんだけど。

>徹夜城さん
 「角栄に花束を」は生誕一世紀と銘打って連載が開始されたようです。でも角栄が生まれたのは1918年で、連載開始は2019年(笑)。角栄を描くとなると、自民党の暗黒面を描き、「コンピューター付ブルドーザー」という側面を描き(これはやりやすい)、そのうえに信濃川の河川敷をアレしたとかピーナッツをナニしたとかというヤラカシも描かかなきゃならない。でもそれが田中家の「あらまほしき角栄像」に合致するかというと……(汗)。「角栄に花束を」がどこまでやるか、というのは興味深いですね。
 公平を期すと「角栄に花束を」では、角栄を劇画的熱血野郎とだけ描いているわけではありません(その傾向は強いけど)。渋る海運業者に資材の運搬を承知させる場面。業者のほっぺたを札束(百円札×100)じゃなくて札束の山でひっぱたくと同時に、相手を「国士」と持ち上げる。その後「"男が欲しがるモノ"が3つある。"金"と"地位"と"名誉"だ」「そのうち2つも差し出したんだ。働いてもらわなくちゃ困るぜ」と嘯きます。悪党です(<ほめている)。
 でも畳に叩きつけた札束が「シュウウウ……」と湯気を立てるのはやり過ぎ(笑)。あと海運業者がほとんどヤクザ(亜貴多組!)なのは、荷役業者と混同しているのかな。

>バラージさん
 五島勉さん、その時々の読者の不安を取り込むのはうまかったと思います。でも、コロナ禍は予言できてない、と突っ込まれてましたね。大体、第一作からして石油ショックを予言できてたかな? 核の恐怖というのは冷戦時代、通奏低音のようにあったわけですけど、80年代に入る頃にはソ連のアフガン侵攻やレーガン大統領の登場などで顕在化したように思います。「マッドマックス」「北斗の拳」、反核運動もこの時期。あと「核の恐怖」というのは「科学技術への不信」という形で「オカルト」や全共闘運動と繋がっていて、社会派以前の探偵小説の再評価もここから始まっていたりするのでした。



#11026 
バラージ 2020/08/04 23:30
歴史映像作品感想追記 第二次世界大戦・アジア太平洋戦線編A

 名画座未掲載の歴史映像作品の感想の追記、第二次世界大戦・アジア太平洋戦線の後編。

『君を忘れない』
 これまた戦後50年の1995年に作られた戦争映画。いや、戦争映画というより青春映画といった雰囲気かな? こっちは映画館で観る気が起きず、後になってレンタルビデオで観ましたが、レンタル店でも戦争映画コーナーではなくドラマ映画コーナーや青春映画コーナーなんかに置いてあります。神風特攻隊の話で、当時僕は正直言ってすでに神風特攻隊ものは食傷気味だったんでいまいち映画館で観る気が起きなかったんですよね。唐沢寿明・木村拓哉・袴田吉彦・反町隆史などのイケメンたちの中に1人だけ松村邦洋がいるというわかりやすい配役で内容はもうあまり覚えてないんですが、豪華キャストのわりには低予算の映画でした。良く言えばしつこくないというかくどくない作風のあっさりとしたやや薄味の映画で、そういう意味で戦争映画というより青春映画風味。可もなく不可もなくといった感じの、さほど面白くない作品でしたね。

『戦争と青春』……#9726
 意外に珍しい東京大空襲を題材とした1991年の映画。名匠・今井正監督の遺作となりました。原作・脚本は早乙女勝元。ビデオ化のみでDVD化はされていませんが、複数の動画配信サイトで動画配信はされています。これも僕が大学生の時の映画だなぁ。
 残念ながら出来はいまいち。工藤夕貴が演じる現代の女子高生が、伯母が体験した東京大空襲の話を父親から聞かされるという形式で戦時中の物語が展開し、その伯母の若い頃を工藤が2役で演じています。女子高生が伯母の体験した戦争を追体験していくという演出なんでしょうが、これがどうも……。タイムスリップネタと同じで、当時の若者に戦争を自分のこととして考えてもらうためだったんでしょうが(そういや平成に入ったばかりの頃なんだな)、なんというかかえって押し付けがましく、なおかつなんだか嘘くさく感じられてしまいました。ストーリーも全体的に平板で面白くなかったですねえ。また最後のほうで脇役の松村達雄が日本の加害の側面にも台詞でちょっとだけ触れるんですが、これがまた本当に取って付けたような台詞で、あれなら無かったほうが良かった。今井監督が巨匠なことは知ってたし、だからこそ期待して観たんですが、衰えたりと思わせる凡作でした。

『ひめゆりの塔』(1953年)……#9726、映画板#1348
 沖縄戦における、ひめゆり学徒隊の悲劇を描いた1953年の映画。石野径一郎の小説の映画化で、こちらは今井正監督の代表作の1つです。確か中高生の頃にNHK総合か教育でテレビ放送されてるのを観ましたが、たぶん途中からだったんじゃないかなあ。何しろ昔のことなのでよく覚えてないんですが、ラストがそれまでに僕が観たことがなかった「これが戦争だ」と観ている人を突き放すような救いのない終わり方で、強い衝撃を受けた記憶があります。
 当時は沖縄返還前で当然ながら沖縄ロケはできず、千葉の海岸などで撮影したとのこと。そのためか今井監督は同じ水木洋子の脚本で、1982年に現地沖縄ロケのカラー版でリメイクしています。タイトルは同じ『ひめゆりの塔』で、ビデオ化のみでDVD化はされていませんがこれまた動画配信はされています。1995年の下記『ひめゆりの塔』は、その水木脚本と仲宗根政善の『ひめゆりの塔をめぐる人々の手記』が原作。また1968年の日活映画『あゝひめゆりの塔』も石野径一郎の小説が原作です。1962年の『太平洋戦争と姫ゆり部隊』という映画もありますが、そちらはタイトルと違って沖縄戦全体を描いているらしい。新東宝を追放された大蔵貢が設立した大蔵映画で作った日本でも珍しい70o映画だそうです。僕は1953年の本作と1995年の下記『ひめゆりの塔』以外は未見。

『ひめゆりの塔』(1995年)……#9988
 追記することは特にありません。戦後50年の1995年に作られた戦争映画の中では唯一の良作でした。

『鬼が来た!』……#9592、映画板#1201
 アジア太平洋戦争末期の中国華北地方で、「私」と名乗る何者かから銃で脅され日本兵捕虜を預けられた中国人農民とその日本兵捕虜との奇妙な交流と、戦争の狂気、有為転変する運命の皮肉を描いたチアン・ウェン監督・主演のドラマ映画。2000年のカンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞しました。中国政府機関の審査を受けないままカンヌに出品したため本国では上映禁止となり、チアン・ウェンも以後しばらく監督はできなかったとか。日本兵捕虜役で出演した香川照之の『中国魅録:「鬼が来た!」撮影日記』も出版されましたが、香川さんの出世作でもあるかな。
 実在の人物や実際の事件を扱っているわけではないんですが、日本人の性質をこれほど上手く描いた映画は日本映画にもあまりないと言えるほどの作品で、日本人の心性を中国人監督がここまで理解してるのかと驚きました。それでいて日本人とか中国人とかを超越した普遍的なものを描いている傑作です。とにかくすごい映画でした。


>名画座・アメリカ合衆国史編・追記
『ホッファ』
 DVD化はされていませんが、複数の動画配信サイトで動画配信がされています。

>大河ドラマ代替番組
 先々週は、ここ10年の大河ドラマの制作舞台裏を紹介した番組をやってましたが、なかなか面白かったですね。その前にやってた00年代以前の大河名場面番組よりも個人的にはずっと楽しめました。『麒麟がくる』序盤の草原や山々の緑が鮮やかすぎて不自然だったのは、やっぱりCGによる着色だったのがわかっちゃいましたが(笑)。しかしまあドラマを作るのはほんと大変なんだな。

>高嶋政伸
 ご紹介の記事を読みましたが……すいません、僕は『太平記』以外のところが印象に残ってしまいました。1番興味深かったのは、やはりデビュー作となった『純ちゃんの応援歌』のエピソード。山口智子と唐沢寿明の馴れ初めともなった朝ドラですが、高嶋さんが出てた記憶はありません。まあ、ほとんど観てませんでしたからね。
 『太平記』に続いて主人公の弟役だった『秀吉』は、監督に「弟に見えるんだよ」と言われた話が面白い。ま、実際にも弟ですし(笑)。でも政宏さんはあんまり兄貴キャラをやってないなあ。『人生はフルコース』というドラマは全然知らなかったんですが、主人公のモデルになった村上信夫さんってひょっとして……と思ったら、やっぱり『いだてん』にも出てきた人でした。今回改めて検索してお顔を拝見したら、どこかで見たことのある有名な顔。高嶋さんや『いだてん』の黒田大輔さんよりも芋洗坂係長に似てるような。『真田丸』は、演じた北条氏政が父氏康から「汁飯を一度に食べる分量も分からないで、天下は取れない」と言われたことについて、高嶋さんも父の忠夫さんからお茶漬けの食べ方で同じようなことを言われたことがあり、氏政のことだったんだと気づいたというのが面白かったですね。
 かつては『HOTEL』などのような好青年役が多かった高嶋さん。プライベートのなんやかんやがあってからいつの間にか最近ではすっかり悪役を怪演するのが板についちゃいましたが(笑)、でもなんだか今のほうが楽しそう。役者さんは正義側をやるより悪役のほうが面白いっていう人も多いですしね。



#11025 
徹夜城(いろいろ書いてて順調に遅らせている管理人) 2020/08/03 23:02
高嶋政伸さんインタビュー

 いきなり芸能ネタなタイトルですが、NHKのサイトで高嶋政伸さんのインタビューが出てたのでご報告まで(さっきツイートもしてますが)。
https://www2.nhk.or.jp/archives/jinbutsu/detail.cgi?das_id=D0009070141_00000&og=D0009121676_00000

高嶋さんがこれまでに出演したNHK作品について思い出話をしてるんですが、どうしても注目したのは「「太平記」。当然ながら当時はまだ20代半ばで初の時代劇、しかも大河。周囲の出演者のあまりの豪華さにプレッシャーで帯状疱疹にまでなった、という話が明かされています。しかも当時は長回し撮影が多く先輩俳優が長いセリフを言ったあとで自分の番が回ってくると…という重圧は確かに大変なもんだったでしょう。

 伝説といっていい、最終回の毒殺シーンについても、やはり思い入れが強いようで、詳しく撮影ばなしをされてます。あれ、NGなしで5テイクも撮ったんですね。ディレクターがそれでももっともっと、と気分を高めていって、あの芝居になったわけです。

 で、日曜朝のアンコール放送の方ですが、早くも「帝の脱出」の回。後醍醐天皇が隠岐を脱出、楠木正成は千早城で籠城戦、その戦場に新田義貞の姿が…という盛沢山な回。こっから歴史もドラマも急展開していくのであります。当時の人たちにも目が回るような状況だったでしょうね。



#11023 
バラージ 2020/07/29 21:35
歴史映像作品感想追記 第二次世界大戦・アジア太平洋戦線編@

 名画座未掲載の歴史映像作品の感想の追記、オセアニア・南極史、第一次世界大戦、第二次世界大戦・欧州戦線の作品はないので一気にすっ飛ばして、第二次世界大戦・アジア太平洋戦線の前編です。

『少年義勇兵』……#9726、映画板#1222
 太平洋戦争前夜から初頭のタイ軍の少年義勇兵を描いた2000年のタイ映画。太平洋戦争は日本軍のイギリス領マレー侵攻で始まった(真珠湾攻撃の1時間前)わけですが、その際に起こったのがマレーの隣国タイへの上陸と中立侵犯。日本軍はマレー侵攻のために、当時の東南アジアで唯一の独立国だったタイを同盟国にはできないまでも親日的なピブンソンクラーム首相に領内通過を認めさせたかったのですが、日本に容認的な政策を採ることに将来的な危険性を感じたピブンソンクラームは雲隠れしたため、上陸した日本軍とタイ軍の間で戦闘が発生。数時間後に姿を現したピブンソンクラームと日本軍の間に軍隊通過協定が結ばれ、停戦命令が出されました。
 映画はタイの隣国フランス領インドシナ(仏印)への日本軍の進駐で不穏な空気が漂う1941年5月に、タイ軍が兵力増強のため少年義勇兵を募集するところから始まります。前半は少年義勇兵になった主人公たちの訓練の合間に恋や友情も挟まれる青春ストーリー。後半は12月8日未明に上陸してきた日本軍との激しい戦闘が描かれる戦争映画となります。おそらく実際の戦闘よりもちょっと大規模すぎるんじゃないかという気もしますが、映画的にはそうしないと盛り上がらないでしょうしね。主人公の姉の夫がタイで写真屋を開いている日本人なんですが、実は日本軍特務機関員という描写もあります。青春映画&戦争映画としてなかなか面白い佳作でした。
 歴史的にはその後タイは実質的に大日本帝国の同盟国に組み込まれ、事実上の占領下に置かれるんですが、その時代を舞台とした『メナムの残照』というタイ人女性と日本軍人の恋愛小説があります。女性作家トムヤンティーが1960年代に発表した作品で、今までに5度の映画化、7度のテレビドラマ化がされるほどの人気作とのこと。1988年の2度目の映画化(主演は当時の国民的人気女優チンタラー・スカパット)は日本でも映画祭上映の後にビデオ化されていて、2013年の5度目の映画化も映画祭上映されているそうです。欧米映画や中華圏映画・韓国映画と違って、東南アジアの映画は日本公開されることが少ないこともあって、太平洋戦争を描いた東南アジアの映画もまた少なく、他には映画祭上映された『アドナン中尉』というマレーシア映画と、ビデオスルーされた『戦場のアンジェリータ 従軍慰安婦の叫び』というフィリピン映画ぐらいしか知りません。僕はいずれも未見。

『風の輝く朝に』……#9549、映画板#1201
 日本軍の香港侵攻を背景に2人の男と1人の女の恋愛と友情を描いた1984年のドラマ映画。香港ニューウェーブの代表作の1つで、その高い評価を伝え聞いた香港映画ファンの間では日本公開前から原題の『等待黎明』で知られていた作品です。1990年にようやく日本公開され、大学生だった僕は翌年か翌々年に当時住んでた都市のホールでの上映会か何かで観ました。いや〜、懐かしい。戦争映画ではなく青春映画に近いんですが、日本軍の香港侵攻を描いた映画は珍しいのでご紹介(といっても戦闘シーンはありませんが)。
 日本軍の侵攻が始まり、オーストラリアへの脱出を試みるも失敗した青年(チョウ・ユンファ)。彼は仕方なく米倉庫の日雇い仕事につくが、そこで意気投合した青年(アレックス・マン)とその恋人(イップ・トン)と今度は中国内地に逃れようとするがその日に香港が陥落。香港は無政府状態の混乱から日本軍による圧政が始まり、彼らの運命もそれに巻き込まれていく……。
 男2人と女1人の三角関係を描いた青春映画ということで、フランス映画の『冒険者たち』や『突然炎のごとく』(僕はいずれも未見)と比べられることも多い映画ですが、日本軍による暴虐もよく描き込まれています。若き日のチョウ・ユンファの出世作で、ユンファは80年代末頃には『獣たちの熱い夜 ある帰還兵の記録』(1981年。僕は未見)、本作、『男たちの挽歌』(1986年)、『誰かがあなたを愛してる』(1987年)の4本が自分の出演作の中で気に入っていると言ってた記憶あり。イップ・トン(セシリア・イップ)、アレックス・マンも好演でなかなかの佳作です。

『戦場のメリークリスマス』……#9726
 小説家のローレンス・ヴァン・デル・ポストが自らの実体験を反映させた、ジャワ島の日本軍捕虜収容所における日本軍人とイギリス軍人捕虜との邂逅を描く中編小説集『影の獄にて』を、大島渚監督が国際的キャストで映画化した1983年の日英合作映画。原作のうち、ハラ(ビートたけし)とロレンス(トム・コンティ)のエピソードを描いた『影さす牢格子』と、ヨノイ(坂本龍一)とセリエ(映画ではセリアズ。デヴィッド・ボウイ)のエピソードを描いた『種子と蒔く者』という別々の中編を組み合わせて構成されています(残る一編『剣と人形』のエピソードはロレンスが台詞の中でわずかに触れるのみ)。戦場が舞台ではないんですが、日本史に入れるのもイギリス史に入れるのも違うし、ましてやインドネシア史の映画でもないんで、第二次世界大戦に入れてみました。
 僕は確か90年代半ばから後半あたりにビデオで観たかなぁ。大学時代に読んだ心理学者・河合隼雄氏の『影の現象学』でまず原作の一編『影さす牢格子』を知り、それから90年代前半から半ばぐらいにその原作を読んで、しばらくしてから本作がその映画化だと知ってビデオで観たという順番でした。『影の現象学』で紹介された『影さす牢格子』については、河合氏がスイスのユング研究所に留学中に分析医からすすめられ、読んで深く感動したというエピソードが素晴らしく、それで原作を読んだんですよね。確かにとても良い小説でした。
 映画は個人的には小説に比べればやや落ちるものの、それでもなかなか面白かったです。坂本龍一による有名なピアノ音楽が印象的。公開時にテレビCMが流れてた記憶があるんですが、今思えばあのたけしがどアップになったシーン、映画のラストシーンなんじゃないかな? それをCMで先に流しちゃダメなんでは?(笑)

『きけ、わだつみの声 Last Friends』
 戦後50年の1995年に作られた戦争映画の1つ。1950年の映画『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』のリメイクとしているサイトもありますが、ストーリーが全く違っていてリメイクではありません。1950年版はビルマでのインパール作戦を舞台としているのに対して、本作はフィリピン戦線や神風特攻隊、徴兵拒否など複数の題材を同時平行的に扱った群像劇作品となっています。僕は1950年版は未見ですが、戦没学徒兵の手記を集めた『はるかなる山河に 東大戦歿学生の手記』とその続編『きけわだつみのこえ 日本戦歿学生の手記』をヒントに製作されたとのことで、クレジットにも原作の表記はありません。それらの手記も未読ですが、おそらくは手記なので明確なストーリーがあるわけではないでしょうし、そのまま原作としては使えないでしょう。本作もまたクレジットに原作の表記はなく、どの程度手記を反映しているのか、あるいはタイトルのみいただいたのかは、僕は原作を読んでないため不明です。
 映画はラグビーをしていた青年(緒形直人)がなぜか突然1943年10月の学徒出陣壮行会が行われてる神宮外苑にタイムスリップするところから始まります。この手のネタはこのころに作られた戦争映画にやたら多かったもので、おそらく戦争が遠い昔のこととなり身近に感じられなくなった当時の若者たちに自分のこととして考えてもらうための手段だったんだろうけど、ちょっと安易というか少なくともこの映画においてはあまり効果的になっていません。演出が悪いのか脚本が悪いのかタイムスリップがあまりに唐突ですし、そもそもなぜタイムスリップしたかの説明が最後までないのもなんとも。結局、当時の価値観が理解できない青年は徴兵拒否をして逃亡しまくるんですが、このパートが全体的に支離滅裂というか辻褄が合ってなくて首をひねるばかり。あるいは実はタイムスリップではなくて、青年が見た夢の話だったのかな? そう考えれば一応辻褄は合うんですが、でもタイムスリップにしか見えなかったよなあ。
 壮行会で青年が会った3人の学生のうち、2人(織田裕二、風間トオル)はフィリピン戦線へ送られ、1人(仲村トオル)は神風特攻隊に志願。フィリピンでは従軍看護婦(鶴田真由)の他に、バイクに乗って上半身に弾帯を巻いたランボーみたいな兵隊(的場浩司)も出てきたりして、どうにもリアリティが……。ただ日本軍人の現地人に対する暴虐や、朝鮮人従軍慰安婦の存在などが描かれてたのは、おお、と思いました。日本映画に朝鮮人従軍慰安婦が登場したのは今のところこれが最後なんじゃないかなあ。神風特攻隊のパートは印象が薄かったのか、あまり記憶にありません。
 この3つのエピソードが冒頭以外は特に関係なく別々に進むため全体的に散漫だし、他にもいろんな要素てんこ盛りなためそれぞれの掘り下げが浅く、また若者向けエンタメ要素が中途半端に取り入れられてそれがちぐはぐな印象を与えてしまっており、残念ながらいまいちとしか言い様のない映画でした。

『従軍慰安婦』……#9689
 従軍慰安婦を題材とした1993年(1991年としているサイトもあり)の韓国映画。日本では1995年にビデオスルーされたのみで、DVD化はされていません。当時はマクザムやアルバトロスなどからこの手のアジア映画がやたらとビデオスルーされていて、以前取り上げた『南京1937』『黒い太陽七三一』や前記の『戦場のアンジェリータ 従軍慰安婦の叫び』の他、『香港大虐殺』とか『従軍慰安婦2』なんてのもリリースされてましたね。『従軍慰安婦2』は香港映画で本作とは何の関係もないんですが、発売元のアルバトロスが勝手にシリーズみたいな邦題にしてました(笑)。パッケージデザインやタイトル文字もやたらおどろおどろしく、そういう線で売ろうとしたんでしょうねえ。本作は1998年にハピネット・ピクチャーズ(ファイブウェイズとするサイトもあり)から再発売されたんですが、その時はもっとまともなデザインになってました。
 映画は1943年8月に強制的に集められた慰安婦たちがフィリピン戦線へ送られるところから始まり、ほぼ全編フィリピンが舞台ですが、正直言ってB級としか言い様のない出来です。明らかに低予算で、女優たちもおそらく当時日本でちょっと流行ったコリアン・エロス映画に出てたような人たちでしょうし、主要人物以外の俳優たちはフィリピン現地の人だったような。日本兵たちも当然全員韓国語ですが、明らかに侮蔑的なニュアンスの「バカヤロー」と「チョーセンジン」だけは日本語なのがちょっと興味深かったかな。戦死する日本兵が慰安婦に最後におっぱいを触らせてくれと頼み、「お母さん……」と言って死んでいくシーンがあったり、ラストが主人公慰安婦の「果たして悪かったのは日本人なのか、私たちを見捨てた祖国だったのか……」みたいなモノローグなど、日本=悪という構図を避けるためか、妙なバランス感で陳腐な描写を入れてますが、とにかく映画としてつまらんので好事家以外は観る必要はないと思われます。


>名画座情報訂正
 歴史映像名画座の古代ローマ史にある『La leggenda di Enea』について、Amazonの情報を引用して、『トロイ』という邦題でビデオメーカーという会社からビデオが出ていると紹介しましたが、「ビデオメーカー」というのは会社名ではなく、一般的な意味でのビデオ販売会社という意味かもしれません。というのも今回調べた『従軍慰安婦』はアルバトロス、『戦場のアンジェリータ』はマクザムからの発売なのに、Amazonでは発売元が『トロイ』同様「ビデオメーカー」になっているからでして。Amazonのシステムはよくわかりませんが、出品者が発売元を記入しなかった場合には「ビデオメーカー」と表記されるのかもしれません。いろいろ調べましたが、『トロイ(La leggenda di Enea)』の発売元はわかりませんでした。


>オカルトと第三次世界大戦の思い出(追悼・五島勉)
 五島勉氏が亡くなられたということで、子供の頃読んだなぁと懐かしく思い出してしまいました。いつ頃のことだっけ?と著作の出版時期を見てみると、おそらく1982〜85年あたり。ちょうど僕の中学生(&予備校生)時代ということになります。何がきっかけだったかも最初に読んだのがどの本だったかももう覚えてないんですが、確か『ノストラダムスの大予言』は4ぐらいまで出てたはず。当時はとにかくとりつかれたように夢中になって、ノストラダムスばかりでなく五島氏の著書(祥伝社ノン・ブック&ノン・ノベル)を過去作までさかのぼって読み尽くしましたね。まるごと信じて読んでたというよりも、半信半疑ながら面白くてやめられなかったという感じかな。初期の作品なんかはさすがに時代的な古さを感じたり(最初の『〜大予言』は1973年出版)、作品同士で相互の主張が微妙に矛盾してたりもしたんですが、そういうところも含めてエンターテイメントとして面白がってたような気がします。徹夜城さんがTwitterで触れてた惑星直列とかグランドクロスも著書のどれかで取り上げてた記憶があるし、ポールシフトなんてのも取り上げてたなあ。
 僕が読んだ著作群は、『ノストラダムスの大予言』(1973年、以下特に記載のないものはノン・ブック)、『実説大予言』(西丸震哉・共著、1974年)、『宇宙人謎の遺産』(1975年)、『カバラの呪い』(ノン・ノベル、1976年)、『ツングース恐怖の黙示』(1977年)、『超兵器戦争(スーパーウェポンゲーム)』(ノン・ノベル、1978年)、『カルマの法則』(1978年)、『〜大予言2』(1979年)、『〜大予言3』(1981年)、『ファティマ・第三の秘密』(1981年)、『〜大予言4』(1982年)、『ノストラダムスの大秘法』(1983年)、『影の軍団』(ノン・ポシェット、1983年)、『第三の黙示録』(1983年)、『幻の超古代帝国アスカ』(1985年)といったあたり。『〜大予言5』(1986年)は読んだかどうか記憶が曖昧で、このあたりで卒業したようです。本当に憑き物が落ちるようにきれいに卒業しちゃったんですよね。思春期の流行り病とでも言うべきか(笑)。ノストラダムス本だと、川尻徹という精神科医の『滅亡のシナリオ』(1985年)なんてのも読んだなあ。
 特に面白かったのは『ノストラダムスの大予言』ではなく(笑)、『ノストラダムスの大秘法』『幻の超古代帝国アスカ』と、小説の『超兵器戦争(スーパーウェポンゲーム)』『カバラの呪い』といったあたり。高校生になると五島氏の本はほとんど古本屋に売っちゃったんですが、『アスカ』と『超兵器戦争』だけは大学生の頃まで持ってましたね。あるいは最初に読んだ五島氏の本は『超兵器戦争』だったかも。一種の近未来戦争小説でして、出てくる超兵器がなかなか面白かった記憶があります(ミサイルの最高速度が戦闘機より遅いなど変なところもあったけど・笑)。オカルトの文脈で語られることの多い『ノストラダムスの大予言』(をはじめとする五島氏の著作)ですが、核戦争の危機とか第三次世界大戦の可能性といったものも背景にあったと思うんですよね。だからこそベストセラーにもなったんじゃないかと。

 第三次世界大戦ということでこれまた思い出したんですが、同じ頃に二見書房から出てた第三次世界大戦シリーズという近未来戦争小説も読んでました。実際に近未来に起こりうる第三次世界大戦のシミュレーション小説といった感じの作品で、改めて調べるとサラ・ブックスというレーベルから出てたようです。確か僕が買ったのは、『第三次世界大戦』(ジョン・ウインスロップ・ハケット、1983年)、『悪魔の軍団』(フランソワ、1983年)、『ソ連軍日本上陸』(久留島竜夫と軍事研究グループ、1983年)、『北海道占領さる』(岩野正隆、1983年)、『ホルムズ海峡封鎖す』(久留島竜夫と軍事研究グループ、1984年)といったあたり。ただ最後まで読み通したのは『ソ連軍日本上陸』だけで、他はいずれも途中で放り出してしまいました。なぜかというとどれも小説としては面白くなかったからで、興味は急速にしぼんじゃいましたね。シミュレーションと小説(物語)は相性が悪いのかも。
 その頃はちょうど中学の友人の誘いでボードシミュレーションゲームにハマり始めた時期でもあり、近未来シミュレーション小説への興味もそれと連動してるところもあるのかもしれません(この辺、どっちが先だったか記憶が定かでない)。シミュレーションゲームには近未来戦(もしくは現代戦)のジャンルも数は少ないながらもあったんですが、そちらに手を出したのは高校時代。『サード・ワールド・ウォー』という邦訳された海外ゲームで、第三次大戦ものではお決まりの東西ドイツ国境で米ソ両軍が激突というものでしたね(続編にペルシャ湾を舞台とした『ペルシアン・ガルフ』というのもあった)。しかし大学時代になるとソ連崩壊と冷戦終結であっという間に過去の遺物になるのであった(笑)。すぐ古くなってしまうのが近未来ものの欠点です。
 ま、これも80年代サブカルチャー史ってことで、五島氏のご冥福をお祈りします。



#11022 
バラージ 2020/07/19 15:33
いろんな話題

>最近観た歴史映画
『ハリエット』
 19世紀米国の元奴隷の黒人女性である奴隷解放活動家ハリエット・タブマンの伝記映画。逃亡奴隷を助ける秘密組織“地下鉄道”の助けを借りて、奴隷州のメリーランド州から、奴隷制が廃止された自由州のペンシルベニア州フィラデルフィアまで逃亡。後に自らが“地下鉄道”における逃亡奴隷の先導役“車掌”として10度以上南部に潜入し、70人以上の奴隷を自由州まで逃亡させたというハリエットの半生が描かれています。
 ハリエット・タブマンについては奴隷の身から逃亡し、他の奴隷たちをカナダに逃がす“地下鉄道”に従事したという程度のことは知ってましたが、くわしいことは知りませんでした。地下鉄道っていうからてっきり地下道みたいなところを通って逃げたようなイメージがあったんですが、カナダまでそんな長いトンネルが作れるわきゃないか(笑)。1913年に93歳で亡くなったそうですが、20世紀まで生きてたんですねえ。もっと昔の人だと思ってました。
 映画は丁寧に作られていてなかなか面白かったんですが、ちょっと堅実な作り過ぎてややインパクトに欠けるというか、よくできてはいるんだけど2〜3年後には印象が薄れちゃってそうな気がしないでもありません。主演女優のシンシア・エリヴォ、自由黒人女性役のジャネール・モネイはとても良かったです。

>秀吉
 大河ドラマ3作目の『太閤記』でも、やはり秀吉晩年の負の面は描かれなかったらしいですね(原作が小牧長久手までしか描かれてない。信長の助命嘆願が殺到し本能寺の変が2ヶ月延びた、など別の理由もあるようですが)。そして主演の緒形拳は、やはり後の大河『黄金の日日』で秀吉晩年の負の面を演じることに。晩年のダメになっていく秀吉を演じたいというのは、昔ビートたけしも言っていたような記憶があります。
 臨床心理学者の故・河合隼雄氏は、秀吉が日本人に人気がある理由として、道化(トリックスター)→英雄→王→権力にとりつかれた独裁者→幼い息子を心配するただの死にゆく老人、というシェークスピア悲劇のような一生が、人生のロールモデルとして日本人の琴線に触れるからだと書いてましたね。
 大河中断中の代打番組は、一応『政宗』『国盗り』『利まつ』『秀吉』とちょこちょこずつ観てますが、勝新太郎、火野正平、香川照之、竹中直人と並べると、やっぱりカツシンだけが異質というか正直ミスキャストだよなあ(笑)。渡辺謙がカツシンの迫力にびびったという話は何度もしてて、確かにすごい存在感なんですが。

>上皇の奥さんの呼称
 そう言われてみれば、という話で、僕もあまり考えたことがなかったですね。僕の興味範囲は源平合戦期という、まさに院政時代なんですが、上皇の奥さんについての特別な呼称は聞いた覚えがありません。皇太后は「上皇の后」というより「天皇の母」とか「前の天皇の后」(上皇が同時に複数いることもよくあった)に用いられた称号ですし、女院(門院)は天皇の娘などにも与えられた称号です。基本的には天皇時代の呼称が持ち越されたんじゃないですかね。

>愛の奴隷
 僕は今回前記のアルゼンチン映画を改めて調べた際に、同じ邦題のソ連映画があったのを初めて知りました。まあ、「愛の奴隷」という言葉もそこまで突拍子もなく珍しい表現というわけでもないし、あるいは邦題を付けた人も知らなかったのかもしれませんね。さすがに古今東西の映画のタイトルを全部覚えているわけでもないだろうし。むしろ有名なのは同タイトルの昔の日本の歌謡曲のほうで……と思ってよくよく調べたら、そっちは『恋の奴隷』だった(笑)。案外、ソ連映画もアルゼンチン映画も邦題の元ネタはその歌謡曲かも。
 ニキータ・ミハルコフの名前はもちろん知ってたんですが、『機械じかけのピアノのための未完成の戯曲』とか『黒い瞳』あたりからで、実際に観たのはこれまた前記の『太陽に灼かれて』だけ。出演映画だと日ソ合作映画『オーロラの下で』も観ています(期待外れでつまんなかった)。



#11021 
Kocmoc Kocma 2020/07/18 16:21
愛の奴隷違い

アジェンデの映画「愛の奴隷」は1995年日本公開だったようですが、新宿のチケットぴあで「愛の奴隷」のチケットを見かけて、「え?『愛の奴隷』上映あるの?」心ときめいて購入。
新宿駅改札に入ろうとした直前にチケットをもう一回観て「あら???」と不審に感じ、よ〜〜〜く見て、「あ!スペイン語の映画?これ、何か違う!」とあわやのところで自分の間違いに気が付いて、チケットぴあまで戻って、「すみません、さっきここで買ったんですが、『愛の奴隷』違いでした。別の作品だと勘違いして買ってしまいました」と言ったら、「あ、はい」という感じで払い戻ししてくれました。

私はてっきり、ニキータ・ミハルコフの「愛の奴隷」だと思ったのですよ。
1970年代のソ連映画を今どき公開するなんて珍しいな(映画祭上映じゃなくてちゃんとしたチケット作って)と思ったら、やっぱり違っていました。がっかり。

ミハルコフの「愛の奴隷」はロシア革命後の内戦期の南ロシアの映画撮影所を舞台にしていて、彼自身は否定していますが、ヒロインのオリガはロシア帝国無声映画時代のスター女優、ヴェラ・ホロドナヤ(「人生には人生を」http://www.athenee.net/culturalcenter/database/title/title_s/shi/jinseiniha.html 等)を思い出させるものです。
ミハルコフの長編第一作「光と影のバラード」も革命後の国内戦の頃が舞台で、こちらはわくわくドキドキのアクション映画。大好き。
国内戦の頃を題材にしていて女性が主役のだと、チュフライの「女狙撃兵マリュートカ」(←この邦題嫌い)もありました。

当のアジェンデの「愛の奴隷」も、この時はパスしたものの、その後どこかの映画館で観ることになりました。
でも、何故全く同じ邦訳をつけるのかしらん
アルゼンチン映画の方は直訳だと「奴隷」は出てこないのだけど。
思い出話で始まり、まとまりない話になりましたが、要は、この時代(ロシア革命後の内戦期)の作品もリストに加えて欲しいなーというリクエストです。





#11020 
徹夜城(久々に図書館から本を借りてきた管理人) 2020/07/18 15:34
上皇のお妃

>マナさん
 「上皇后」という単語自体、昨年からの登場ですからねぇ。大昔の中国で使用例があるそうですが、それは前皇帝の后ではなく皇帝の皇后が風数いた場合の一番上の人、ということだったようで。

 日本では「上皇」の出現自体200年ぶりだったわけですが、そもそもそれ以前にも「上皇后」という地位は存在しませんでした。というか、皇后自体がめったにいません。中宮が実質正妻扱いになっていたり…
 上皇のお妃はなんと呼んだのか、という話なんですが、僕の知る限りでは決めてなかったんじゃないかと。まぁ僕の知ってる範囲も中世にかたよってますけどね。中世では天皇はとっとと退位して上皇になってから院政で本番、みたいなかんじですから、上皇も複数の后妃を抱えているのは普通でした。ただそうした后妃たちの呼称がちゃんとあったような覚えがないんですよね。形式的とはいえ上皇って引退した存在ですから、それに仕える女性たちもあくまで私的な関係の女性たちということになっちゃうのでは。

 さらにいえば、中世の皇室からみの女性たちは、相手を結構「乗り換え」てしまうことも多くて、天皇の後宮にいた女性が上皇のほうに乗り換えたり、兄の後宮の女性を弟がとっちゃったり(みんな後醍醐がらみの例だったりして)、ときには叔父の皇子とされてる人について「あれは私の子だ」と言い出す上皇がいたり(光厳)、出家して法皇になってからもお子様を作っちゃったりと、同じ建物の中に同居してるせいもあってか、実態はかなり乱婚状態になってたような…「とわずがたり」もそんな感じですしね。



#11019 
マナ 2020/07/17 22:41
この話大丈夫ですか?

今さらですが、今年は、香淳皇太后の薨去20年だったんですね。それで昨年から上皇后の呼称に違和感を感じていた理由が分かった気がします。平安時代以降上皇のお后はなんと呼ばれていたんでしょうか?ー門院は、側室というか、正式な結婚ではないですよね?
昭和から平成のときは、小6であまり記憶に無く、教育てれびばかり見ていたように思います。




#11018 
徹夜城(そういえば最後に東京行ったのはいつだっけと考える管理人) 2020/07/16 22:47
ヒゲと天皇

 やや遅れて報告ですが、昨日付けで「史点」更新しました。間が10日しか空いてないのも珍しい…というか、記事の半分くらいは前回の予定だったりします。

>大河「太平記」のこと。
 先日の日曜日早朝に放送された大河アンコール「太平記」は第15回。高氏と正成が初めて顔合わせをする回ですが、ほかにも囚人となった後醍醐が「ひげ面」に変身する重要な回です。吉川英治の原作の方にもある描写ですが、笠置山でとらわれた後醍醐が京の幽閉先で、自分にヒゲが生えてきたことに気づいて感慨深く語ります(宮中では知らぬうちに誰かが剃ってくれていたらしい)。
「生きておれば、ヒゲも伸び、垢も出る。朕にも人間のにおいがしてきたぞ」
いやぁ、これ、ほんとにいいセリフで、ドラマではこれを後醍醐のひげ面への変身、外見だけでなく中身もワイルド化していくという演出に生かしていたわけです。

 もちろん後醍醐がいつからあのようなひげ面であったのかは不明です。どの肖像画も同じような長いひげ面になっているので、少なくとも後半生はあの姿だったと思いますが。
 「天子摂関御影」という、平安末〜南北朝の歴代天皇の肖像画を並べた画像資料があります。いずれもかなりリアルにモデルを描いたものと考えられ、僕も「南北朝列伝」で画像を使わせてもらってますが、やっぱり後醍醐ほどのヒゲ面はいないですね。生やしても口ひげを八の字に、あごのさきにちょっとだけ、といった形で、やはり後醍醐の異様さが際立ちます。それ以後の天皇の肖像画の全部チェックはしてませんが、やっぱりかなり珍しいんじゃないかなぁ。
 明治時代に突入すると地位の高い人の多くがかなりのヒゲ面化しますが(これは欧米の流行でもあるようで)、明治天皇も後半生はかなり伸ばしたヒゲ面になってますね。あれは後醍醐以来なのかなぁ。

 話が飛びますが、「上皇がハゼ新種発見」という見出しは、なんだか不思議な言葉のとりあわせだなあと思いましたね。今上天皇がいずれ歴史上の新説を発表したりすることがあったりするのかも。


>大河「秀吉」と「官兵衛」
 バラージさんが「軍師官兵衛」に触れていたので連想で書きますが、先日の「麒麟がくるまでお待ちください」の戦国大河特集は竹中直人主演の「秀吉」でした。当時僕はあんまり見てなかったんですけどね。「太平記」の主役とその妻役と弟役が出てましたが(妻役と弟役は本作でも同じでした)。

 番組で印象的だったのは、主演の竹中さんはオファーがきたとき「最低の秀吉を演じたい」と希望、特に人生終盤の秀吉の醜態を演じることに意欲を示したそうなんですね。しかし秀吉を主役にした同ドラマではその辺はカットして終わってしまいました。これがのちに「軍師官兵衛」で秀吉を再演するにあたって宿願を果たすことになるわけで。
 竹中直人=秀吉のイメージはカードローンのCMでも定着してしまってましたな(笑)。


>ろんたさん
 「ヤングチャンピオン」とは、チェックしてなかったなぁ。大和田秀樹さん、そっちで角栄書いていたんですか。「疾風の勇人」が打ち切られたののリベンジみたいなものですかね、「勇人」のときも読み切り外伝で角栄をかいたのがあったはず。
 角栄の評価はまだまだ難しいところですが、人気がまだまだあるのは確か。伝記ドラマだって絶対企画されてると思うのですが、風のうわさでは田中家側が許可しないらしい。



#11017 
バラージ 2020/07/13 23:21
歴史映像作品感想追記・中南米史編

 名画座未掲載の歴史映像作品の感想の追記、中南米史編。ふう、やっと終わりが見えてきた。

『エビータ』……#9703、映画板#1221
 第二次大戦後のアルゼンチンの大統領フアン・ペロンのファーストレディで、エビータの愛称で呼ばれたエバ・ペロンを描いたアンドリュー・ロイド・ウェバー作曲、ティム・ライス作詞のミュージカルの1996年の映画化。彼女が田舎町からブエノスアイレスに出てきた1930年代から、1952年に33歳の若さで死去するまでが描かれてます。監督はアラン・パーカーで、主演はマドンナ。狂言回しとして出てくる、チェ・ゲバラをモデルとした「チェ」を演じてるのはアントニオ・バンデラス。一時オリバー・ストーン監督で企画が進んでるという噂を聞いたんですが、いつの間にか降板したようです。そもそもミュージカルが上演された1978年頃から映画化の企画はされてたらしく、当初の監督候補はケン・ラッセル。主演にはバーブラ・ストライサンド、ライザ・ミネリ、カーラ・デヴィート、エレイン・ペイジ、ミシェル・ファイファーなど、完成までに7人の監督と7人の女優が候補に上がるという約20年に及ぶ紆余曲折があったらしい。映画は全編ミュージカルのためもあってか、マドンナが演じてるわりに意外と薄口であっさりとした感じ。ストーンが監督だったらどんな映画になってたんだろ? ただ、マドンナが歌った「アルゼンチンよ、泣かないで(Don't Cry for Me Argentina)」は非常に印象的な曲でした。
 エバ・ペロンはアルゼンチンでは非常に人気があるらしく、「聖女」などと呼ぶ向きもあるらしい。そのためかエバをしたたかで上昇志向の強い女として、その聖俗両面を描いた原作ミュージカル及びその映画化である本作には本国アルゼンチンからは反発も強く、同じ1996年にアルゼンチン政府の全面支援で『エバ・ペロン エビータの真実』というエバの最期の2年間を肯定的に描いた映画も作られたとのこと。そちらは日本ではビデオスルーでしたが僕は未見。DVD化もされていません。

『汚れた心』……#9351
 追記することは特にありません。

『エルネスト』(『エルネスト もう一人のゲバラ』というサブタイトル付きの邦題にしているサイトもあり)……#10634
 追記することは特にありません。

『ミッシング』……#9703、映画板#1221
 1973年の軍事クーデター下のチリで行方不明となった米国人男性を捜す妻と父親の実話を描いた米国の社会派映画。1982年の映画で、監督はギリシャ出身のコスタ・ガブラス。確か大学時代にビデオで観たんだったかな? クーデターの背後にいる米国の影などハードでシリアスな事実を描く一方で、思想信条の異なる舅と嫁(&夫=息子)の和解というテーマも含んでいます。力作ではありますが映画としてはストレートで遊びが少ないように感じられ、もうちょっと娯楽性も欲しいなあなどとも思ったり。

『愛の奴隷』……#9703、映画板#1221
 こちらはクーデター後の軍事政権下チリにおける軍の非道を描いた米国・アルゼンチン・スペイン合作による1994年の社会派映画で、クーデターで死んだアジェンデ大統領の従兄弟の娘イザベル・アジェンデの小説『Of Love and Shadows』の映画化。主演は当時アイドル的人気のピークがやや過ぎていたジェニファー・コネリーと、ブレイク直前だったアントニオ・バンデラス。邦題といい(原題は原作と同じ)ポスターデザインといい、明らかに『愛の嵐』を連想させるデカダンス的エロスを思わせ振りにして売ろうという意図が見え見えだったんだけど、僕もそこをちょっと期待してビデオを借りちゃったのもまた確かだったりします(笑)。しかし実際に観てみたらそんなシーンはほんのちょっとだけ。軍部による残虐行為を告発・報道しようとするジャーナリストを描いた、極めて真面目な社会派映画でした。なかなか面白い映画で、意外な拾い物の一本でしたね。
 チリ・クーデターやピノチェト政権を描いた映画は意外と多く、他にも1975年のフランス・ブルガリア合作映画『サンチャゴに雨が降る』(ビデオ邦題は『特攻要塞都市』。DVD邦題は劇場公開邦題と同じ)や、やはりイザベル・アジェンデのデビュー作である大河小説『精霊たちの家』をビレ・アウグスト監督が1993年に映画化した『愛と精霊の家』なんかがありますが、僕はいずれも未見。『愛と精霊の家』は劇場公開時から興味を感じつつ、今にいたるまで観てないんですよね。

『サルバドル 遥かなる日々』……#9703、映画板#1221
 1980年に始まったエルサルバドル内戦を取材したフォトジャーナリストのリチャード・ボイルが実体験をもとに書いた小説を、オリバー・ストーン監督が1986年に映画化した社会派映画。確か大学時代にビデオで観たかな。1980年を舞台としており、政府軍によってロメロ大司教が暗殺されるシーンがあります。ジェームズ・ウッズ演じる主人公のボイルが必ずしも正義感の強いジャーナリストではなく、酒や女やドラッグに溺れたりもしているのが面白い。そんな彼が右派政府軍の残虐さを見て徐々にジャーナリストとしての使命感を取り戻していく描写も良い。政府軍の裏にちらつく米国の影を容赦なく描いたり、米国大手メディアの偽善性を暴き出したりするのはストーンの真骨頂ですが、一方で左派の反政府ゲリラも手段を選ばぬ勢力だったりして、何が正義かわからない混沌とした状況も描かれます。しかし映画はヒットせず、次の『プラトーン』でストーンはブレイクするんですが、個人的には出来はこっちのほうが上なんじゃなかろうか。非常に面白かったです。


>果たして大河復権か?──『軍師官兵衛』『真田丸』『西郷どん』感想追記
 大河ドラマの思い出最終回。2014年の『軍師官兵衛』、2016年の『真田丸』、2018年の『西郷どん』についての追記をまとめて。

 『軍師官兵衛』は例年のごとく序盤で脱落し、記憶にもあまり残っていません。平均視聴率15.8%というのも、『平清盛』『八重の桜』よりは上がったものの『江』よりは下で、この頃はまだ低くはないものの高くもないといった程度であったためか、良くも悪くも世間的にも特に話題にはならなかったように記憶しています。そんなわけで特にこれ以上言うこともないなあ。

 『真田丸』も最初はいまいち面白くなくて、待望の真田幸村にも関わらず序盤でやはり一時脱落したんですが、4月頃だったか秀吉編になったということでまたちょっと観たら、これが意外に面白く、そこからは毎週ではないものの結構観てました。特に竹内結子が演じた茶々(淀殿)のキャラクターが良かった。ああいう茶々の描かれ方は珍しく、その茶々との関係性が最後に信繁(幸村)を大坂の陣へと引っ張っていく……という展開が予想され、ちょっとワクワクしましたね。小日向文世の秀吉も好演でした。
 ところが肝心の大坂の陣に入ったら失速。あれほど輝いていた竹内茶々もなぜか出番が減ってしまったし、肝心要の合戦シーンがなんかいまいち。今になって思えば大坂の陣編になってから作風がちょっと変わったというか、なんか舞台(演劇)っぽくなったような気がするんですよね。脚本だけで演出はしてないとはいえ、いよいよクライマックスということで三谷幸喜が表向きの作風をかなぐり捨てて、本当にやりたい作風に戻したようにも感じられます。だとするとやっぱり俺は三谷とは合わんなあ。ただ最後は長澤まさみが演じる「きり」が全部持ってった感じで、彼女にかなり救われました。あと、少なくとも秀吉編までは意外にも史実重視の姿勢だったんですが、逆にあまりに個々の史実や新説にこだわりすぎて、なんだか物語としてのまとまりというか流れが悪くなっていたように感じます。
 平均視聴率は16.6%と、1年を通して完全地デジ化となった2012年以降では最高となりました。そのようなこともあってか主にスポーツ紙系ネットメディアが毎回のように視聴率が高いと騒ぎ、“大河復権”などと書き立てました(今年の『麒麟がくる』にもその傾向が見られる)が、冷静に見て果たして16.6%というのは高い数字でしょうか? 本作も『官兵衛』もBS先行視聴の分を合わせても、不振と言われた00年代男性主人公大河の平均的な視聴率とさほど変わらないように思えます。世間でも本作が話題になったというような実感はそこまで感じませんでした。

 『西郷どん』も序盤で一旦脱落というか、観たり観なかったり状態に。しかしたまたま観た回がやはり結構面白く、これまた4月頃から毎週観るようになりました。ところがこの年は7月から勤務体制が臨時で2ヶ月変更になって日曜の夜にテレビが観れなくなり、面白かったとはいえ個人的には録画して観るほどまででもなかったため、そのままなんとなくフェードアウトしてしまいました。9月になっても視聴復帰する気がいまいち起きなかった理由として、明治になってからはかつての盟友と内ゲバ状態になる陰鬱な展開が予想されたことと、征韓論が絡んできちゃうというところがありました。かなり無理のある遣韓論で押しきるしかないよなあと思ったし、実際そうなったみたいだけど、それでもやや引っかかるところはありましたね。明治編に入るのがずいぶん遅れましたが、たぶん原作の林真理子氏も同じことを感じてたんじゃないかなあ? 平均視聴率は12.7%とまたも惨敗。幕末大河は視聴率が取れないことを証明する形となってしまいました。

 去年の『いだてん』は散々書いたんで特に追記することはありません。まだほんの去年のドラマだし。というわけで大河ドラマの感想追記もこれでおしまい。ふう、長かった。

>DVDで観た映画
『The Crossing ザ・クロッシング PartT』『The Crossing ザ・クロッシング PartU』
 ジョン・ウー監督による二部作の大河ドラマ中国映画。DVD邦題はそれぞれ『ザ・クロッシング Part1:戦場』『ザ・クロッシング Part2:運命』。原題は『太平輪』『太平輪 彼岸』(『The Crossing』は英語題)で、国共内戦末期の1949年に上海から台湾に出港した中華民国の豪華客船「太平輪」の沈没事故を題材としています。中国版タイタニックみたいな事件らしいですね。中国・台湾・韓国・日本と、アジアのスターを集めた2014年(PartUは翌2015年)の大作でしたが、中国本国で大コケにコケたためか日本にはなかなか来ず、去年ようやく大都市限定で公開されました。もちろん僕の地元には来ず。
 PartT(前編)ではなんとタイトルになってる太平輪がほぼ出てきません(笑)。『赤壁(レッドクリフ)』二部作もそうだったとはいえ、あっちは一応赤壁の戦いに物語が向かってましたが、こっちは必ずしもやらなくていいような話をずっとやってるような。アジア太平洋戦争末期から国共内戦までが描かれる戦争映画といった趣きで、国民党将軍のホアン・シャオミンと富豪の娘のソン・ヘギョ(韓国女優ですが中国人役を演じています)、国民党軍兵士のトン・ダーウェイと貧困女性のチャン・ツィイー、元日本軍医台湾人の金城武と日本に帰国した長澤まさみという3組の男女のラブストーリーなんですが、ラブロマンス描写の苦手なジョン・ウーだけあって古色蒼然とした陳腐なメロドラマといった感じでどうにもいまいち。それが戦闘シーンになるとお得意のドンパチと男の友情で途端にイキイキし始めるんだけど(笑)、あまりに派手すぎて戦争のリアリティにはやや欠ける気も。あと家屋のセットやCGを使ってると思われる自然の風景がやたらと作り物くさく見えます。また従軍看護婦から街娼にまで身を落とすチャン・ツィイーが他の誰より美しいってのもどうかと思いますが、彼女目当てで最後まで観れてしまったのも確か。最後はPartU(後編)の予告編みたいな感じで終わるんで、壮大な予告編を見せられた感じでした。
 PartU(後編)でようやく主人公たちが太平輪に乗るかと思いきや、再編集された前編終盤のシーンが振り返りのように30分近く続き、主人公たちが太平輪に乗るのはなんと後編も1時間以上過ぎてから。それまでは前編と同じくベッタベタに古くさいメロドラマです。ただ、乗り込んだ後の他の船との衝突・沈没シーンからは特撮とスペクタクルでなかなか見せてくれますし、海に投げ出された人々のドラマもそれなりに良いかな。とはいえ前後編で4時間以上もかけるような話じゃないよなあ。もっとコンパクトにまとめられたんじゃないかと。まあ、チャン・ツィイーとソン・ヘギョの美しさが眼福だったこともあって、最後までそれなりに見れてしまいましたが。台湾の白色テロのシーンもあったりと歴史要素が意外にあるんですが、映画として大事なのはそういうとこじゃないんだよな。肝心の本筋がどうも……。やっぱりジョン・ウーにはラブロマンス描写は向いてないよなあ。
 ちなみにホアン・シャオミンは前編でほぼ出番が終わっていて、後編は回想でちょっと出てくるだけ。ソン・ヘギョは前編ですでに台湾に渡っていて、長澤まさみはそもそも前編が始まった時点で日本に帰国している設定なので全編回想シーンでしか出てきません。そのため太平輪に乗るのはチャン・ツィイーと金城武とトン・ダーウェイだけでした。



#11016 
ろんた 2020/07/12 21:37
ヤングチャンピオン

お久しぶりです。あんまり久しぶりなんで連投になるかもです。

「ヤングチャンピオン」誌(月二回発行)に「角栄に花束を」(大和田秀樹)、「ちらん」(魚乃目三太)が連載されていたのは承知していたのですが、このほど「日本を創った男」(星野泰視)という渋沢栄一の伝記マンガが始まりました。ただ雑誌の性質上、歴史物というよりも娯楽性やわかりやすさ重視。
 冒頭の紹介では渋沢栄一は農夫出身ってことになってるのに、家は名字帯刀を許されてて、親類の尾高家と一緒に陣屋の代官から「百両貸せ(返さないけど)」「二百両貸せ(返さないけど)」とやられてるんで、控えめに言って豪農ですな。あと、これは幕藩体制の矛盾を意識させるためだと思うけど、嘉永五年という設定なのに陣屋の代官が切捨御免しかねないほど高圧的なのは「?」。もう一つ、「討幕の志士」がうろちょろしているのも「?」。まだ、ペリーも来てねぇよ(笑)。
 んで、第一回の引きは、傷ついた討幕の志士と栄一少年の出会い。そして栄一少年は「テロリスト」への道を一直線! しかし、この現代の観念を歴史的事象に貼り付けてしまうというのも「なんだかなぁ」と思います。
 そして「角栄に花束を」は、「私の履歴書」を劇画的想像力で演出している感じ。最初に読んだのが第15話で、肺炎で満洲から内地へ送還される話(昭和16年の除隊直前)。今回読んだ第18話では、なんと戦争が終わってしまう。展開早すぎないか? そして、建設した工場を「新生朝鮮の役に立ててくれ」と現地に残して引き上げる感動の展開。でも、あらためて絵にされると「その工場って角さんのものじゃなくて理研のものだよね!?」と突っ込みたくなってしまう(笑)。
 それにしても田中角栄って「刑務所の塀の上を歩いているような男だが、落ちる時は必ず外側に落ちる」って言われてるし、その政治手法は、金で権力を握り権力で金を生む、というもので、いろんなフィクションに出て来る「汚い大人」の原型だと思うんだけど、今後の展開どうするんだろう、と思っていたら──そんな老婆心は無用でした。第一巻の帯に「米国が最も恐れた戦後最高の天才!」とあります! そう、石原慎太郎史観(?)であります!! 悪いことはみんなCIAの陰謀なのであります!!!! なお「新潟県内書店、売り切れ続出御免なさい」だそうであります!
 ついでですが、「別冊ヤングチャンピオン」連載の「信長を殺した男」(藤堂裕)が最終回。明智憲三郎氏、「原案」ってなってるけど最初からそうだったかな?

>BLMと「風と共に去りぬ」
 最初の頃は、暴動を起こしている、と右方面から批判されていたけど、ああいう抗議行動があると「ヒャッホ〜イ!」とショーウィンドウ壊して回ったり、盗んだスマホが使えない、と抗議して捕まるヤカラが出て来るのはいつものことなわけで、「アンティファがやってる」「極右がやってる」というのも陰謀論っぽいと思ってました。しかし最近の騒ぎでは、より過激な言動をすることで運動の主導権を握ろうとする勢力があるんじゃないか、とも思えてきます。奴隷農場主だからマイナス100万点、みたいなことやってたら焼け野原になって誰も残らないぞ(笑)。建国神話の中で神格化されてきた事への反動と考えれば理解できないこともないですが、あの有名なリンカーン像を引き倒そうというのは意味不明。像の前で「引き倒せ」と叫ぶ白人活動家の前に黒人たちが立ちはだかって「俺たちの先祖が金出して建てたんだ」と言い返すのって、もう地獄絵図。
 で、「風と共に去りぬ」も批判にさらされたわけですが、今回の批判は至極真っ当。現役の脚本家によるものらしいので当たり前といえば当たり前だけど、これまでの「批判」って、小説や映画を鑑賞する能力があるのか疑わしいものが多かったんですね。じゃあ真っ当な批判って何かというと、一本の映画を見ただけで南部が分かった気になるなよ、ってことなんですよ。そもそもあの映画、黒人奴隷がどんな風に労働しているか(させられているか)の具体的な描写が全くないんですね。これは原作でも同じなんですが、さらに映画が罪深いのは、原作にはっきり書いてある、奴隷農場主が女奴隷を犯して奴隷を増やしていたり、登場する男性キャラが(レット・バトラーを除き)全員KKKであることが、割愛されているんです。難民区でスカーレットを襲うのが、白人と黒人のコンビであるところまで原作通りなのに! つまり「風と共に去りぬ」は(特に映画は)、描かれていることよりも描かれていないことが差別的ということになるわけです。ということで、映画を見る際は原作も参照するのがお勧め。特に岩波文庫版。解説が全部で実に300ページあって訳注も豊富ですから。

>史点:中印のどつきあい
 これ、人民解放軍は投石器使ったんじゃないかなぁ。ダビデがゴリアテを殺したヤツ。次はインド軍が「投石機」使ったりして。(火器じゃないもんね、って笑い事ではない)。



#11015 
バラージ 2020/07/10 22:52
史点について

 といっても本論ではなく脇道の話題。

>「男子の面子、軍の権威、それが傷つけられても北朝鮮が勝利すればよろしい!」「この北朝鮮、みくびっては困る」「恥を知れ、俗物!」
 金与正(キム・ヨジョン)氏、キシリア・ザビやハマーン・カーンに比されてましたか(笑)。キシリアはともかく、ハマーン様(とつい言ってしまう)はガンダムシリーズでも屈指の人気キャラですからねえ。その辺は与正氏とは大いに違うような。しかし上記のような名台詞を当てはめちゃうと、なんだか与正氏がかっこよく思えてきちゃって困るなあ(笑)。
 実を言うとハマーンはもちろん、キシリアも劇中ではそんなに悪人には描かれてないように思うんです。もちろん善人ではないんですが、なんというかかっこいい女性として描かれてるのは間違いなく、おそらく富野由悠季監督のある種の理想の女性像の1つなんじゃないかという気がしますね。それが『ORIGIN』のキシリアになると紛れもない悪人になっちゃうんですが(わずかなシフトチェンジで完全悪人化できるキャラなのも確かなんだよな)、そのあたりは富野監督と安彦良和の女性観の違いで、安彦さんは多分ああいう女性が好きじゃないんだろうな。『アリオン』や『虹色のトロツキー』など他の作品からもそれがうかがえます。

 ボルトン元大統領補佐官の暴露本ですが、まあこの人もネオコンでゴリゴリの右派だから、トランプ大統領がもしこの人の言う通りにしてたとしてもそれはそれで問題だったとも思います。もっともそれが正しいかどうかはともかくとしてボルトンさんはある種の理念を持った人ですが、トランプさんの理念は右とか左とか真ん中とかではなくて、俺様にとって得か損かだけなんでしょうね。そのあたりはいかにも商売人というか。パフォーマンスもやたら派手ですが、それもかつて自らが参加したWWEのようなもんで、どこまで本気なのかわかりにくい。しかしまあ政権にいた人たちがネオコンから穏健派までことごとくクビにされていくのもすごいなあ。

 朝鮮戦争の陸上戦にも日本人が参加していたというのは、僕は以前確かTBSの『報道特集』で見ました。それともNHKのドキュメンタリーだったかな?


>香港映画の盛衰
 ジャッキー・チェンが以前から中国寄りの発言をしていたのは事実なんですが、仕事の中心を中国本土に移したのは必ずしも他の香港映画人に比べて早くはなかったように思います。そもそも香港が中国に返還された1997年前後には多くの香港映画人がハリウッドに進出しました。その中の1人がジャッキーで、他にチョウ・ユンファやジェット・リー、サモ・ハン・キンポーなどもその時期にハリウッド進出しています。もちろん映画俳優として単純にハリウッド進出を狙っていたという面もあるでしょうが(ジャッキーはそれ以前の80年代にもハリウッド進出をはかり失敗している)、中国政府の文化統制によって映画製作の自由が失われるのを危ぶんだのがその理由の1つと言われています。
 ジャッキーの場合はカナダのバンクーバーで全面ロケをした(舞台はニューヨークのブロンクス)1995年の香港映画『レッド・ブロンクス』がアジア映画初の全米興行収入初登場1位となったのを足掛かりに、1998年の『ラッシュアワー』でハリウッド映画に進出し、これも大ヒット。2004年の『80デイズ』までハリウッド中心に活動しましたが、映画製作や文化の違いに辟易したのと、おそらくこの時点では思ったほど香港映画への中国政府の介入がなかったために香港へ回帰したようです。中国映画への進出は香港との合作だった2005年の『THE MYTH 神話』が最初ですが、この映画自体は韓流やボリウッドの取り込みが特徴で、中国色はあまり強くありません。中国色が強くなったのは10年代に入ってからで、『ラスト・ソルジャー』(2010年)、『1911』(2011年)あたりが嚆矢となります。
 ユンファの場合もハリウッド進出は1998年の『リプレイスメント・キラー』で、すでに1993年の『ハード・ターゲット』で一足早くハリウッドに進出していた盟友ジョン・ウーのプロデュース作でした。そして今のところ2010年の『シャンハイ』が最後のハリウッド映画で、中国映画へは2006年の『王妃の紋章』で進出しています。ジョン・ウーもハリウッド映画は2003年の『ペイチェック 消された記憶』が最後で、2008年の『レッドクリフ part1』で中国に進出。サモもやはり1998年のテレビドラマ『L.A.大捜査線 マーシャル・ロー』で米国に進出するも2000年の同作終了とともに香港に帰っています。ジェットも1998年の『リーサル・ウェポン4』でハリウッドに進出し、以後はハリウッドと中国・香港映画に並行して出演。最初の中国映画は2002年の『HERO』ですが、彼はもともとが大陸出身でデビュー作の『少林寺』からして中国・香港合作なので中国進出というのとはちょっと違うかな。

 香港映画が中国返還後に衰退したのにはいくつかの理由があると思いますが、1つにはまず上記のような00年代前半のスターのハリウッド流出が挙げられると思います。もちろんその時期にも『少林サッカー』(2001年)や『インファナル・アフェア』三部作(2002〜03年)などのヒット作はあったわけですが、1997年のアジア通貨危機から2002〜03年のSARS流行以降、香港が深刻な不況に陥り中国資本が流入したことによって一気に中国との合作映画が増えたようです。中国との合作は古くは80年代の上記『少林寺』(1982年)や『西太后』二部作(1983年)、『天山回廊 ザ・シルクロード』(1987年)などがありましたが、いずれも香港映画が中国人俳優を起用して中国ロケを行うといった性格のものでした。それが80年代末から90年代に入ると、チャン・イーモウら中国第五世代とホウ・シャオシェンら台湾ニューシネマの台頭で国境を越えた中華圏映画のコラボレーションが行われるようになり、その最初の集大成となったのが1993年の中香合作映画『さらば、わが愛 覇王別姫』。以後この流れは加速していき、2000年には台香中米合作の『グリーン・デスティニー』が国際的にもヒットしています。また1994年に中国政府が外国映画を解禁したことで中国映画もハリウッド映画などへの対抗上娯楽大作化する必要に迫られ、その流れで香港俳優を大量動員して作られたのが『HERO』(2002年)、『LOVERS』(2004年)、『PROMISE』(2005年)などでした。
 一方で不況下の香港映画界も中国史上に活路を求め、映画監督たちも中国へと進出していきます。『2046』(2004年)、『ウィンター・ソング』(2005年)、『レッドクリフ』二部作(2008・09年)、『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』(2011年)などがそのさきがけです。そもそも一都市に過ぎない香港では製作費をペイできないため、香港映画は昔から海外展開を前提にするのが普通でした。古くは台湾や東南アジアで、ブルース・リーの登場で香港映画が世界に知られるようになってからは日本や韓国がそれに加わります。80年代のジャッキー最盛期には地元香港より先に日本で公開されるほど海外市場が重視されてました。それが21世紀になると最後の巨大市場中国となったわけです。
 また香港映画は台湾や東南アジア華人の俳優の進出が古くからあり、ブリジット・リンやジョイ・ウォン、金城武、スー・チーは台湾出身、ジェット・リーは中国出身、ミシェール・ヨーはマレーシア華僑出身の俳優です。彼ら彼女らが主体的に進出するというより、香港映画界の側が引っ張ってきたことも多く、さらに90年代にはレスリー・チャンが中国映画に出る一方で、コン・リーが香港映画に出たり、トニー・レオンが台湾映画に出たりといったことも行われてました。もはや現在では中香台の俳優がそれぞれ別の地域の映画やドラマに出るのは一般的なことになっています。こうなってくると中国・香港合作というのがやたら多くなったこともあって、中国映画と香港映画の境界が極めて曖昧になってくるのも当然で、香港映画の独自色が消えていくと同時に、中国映画もまた90年代から変容を遂げ、様変わりしてしまいました。有り体に言えば、中国映画が(かつての)香港映画化してしまったと僕などには感じられるのです。もはや80年代末から90年代のチャン・イーモウやチェン・カイコーが台頭した頃の中国映画はどこにもありません。もちろんこれは自然の流れであって仕方のないことなのですが。

 話を戻すと、香港国家安全維持法については映画人ばかりでなく、実は香港の富裕層にも一定の支持があるという記事を読みました。法律の支持というよりは、彼ら富裕層にとってはここ数年のデモ続きで市場経済が麻痺することのほうが迷惑ということで「何よりも秩序と安定を」という意見のようです。富裕層ではありませんが、街の個人商店などにも「これじゃあ商売あがったり」という声もあるようで。デモの参加者に若者が多いのももちろん良い面もあるものの、生活を背負ってない年齢層という意味ではやや危うさを感じなくもありません。それにしても権力というものは真綿で首を締めるように巧妙に時間をかけて締め上げてくるもんですね。
 しかし改めて思ったのは、よくよく考えると彼ら若者はイギリス植民地時代を経験していない世代ということで、考えてみりゃ当たり前のことなんですが、うわー、そんな時代になっちゃったか、と。中国でも天安門事件をリアルタイムで知ってる人は40代以上なわけで、時というのはどんどん後ろに過ぎ去っていきます。


>歴史映像作品感想・アメリカ合衆国史編で書き忘れた映画の追記
『ゲット・オン・ザ・バス』
 かつてマルコムXも所属した黒人(アフリカ系米国人)イスラム団体ネイション・オブ・イスラムの指導者ルイス・ファラカンの主導で1995年にワシントンDCで行われたデモ運動「百万人大行進」に参加するためのバスに乗り合わせた黒人たちを描いたスパイク・リー監督の1996年の群像劇映画。製作年代が完全に同時代なので歴史映画とは言いがたい上に、映画の内容は全編フィクションなんですが、時代状況をよく映し出した映画だと思うんで紹介します。『アイ、トーニャ』と『ブッシュ』の間あたりの時代かな。なかなか面白い映画でした。



#11014 
徹夜城(今朝は地震にたたき起こされた管理人) 2020/07/09 23:13
夜中に見かけた現代史ドキュメンタリー

 どうも、しばらくぶりで書き込みます。次回「史点」はネタがが早くたまったのでもう書き始めてますが、同時にこのサイト内某コーナーの「新作」の作業も進めてます。

>夜中に見たドキュメンタリー
 先日、録画だめしてる歴史ドラマを夜中に鑑賞してまして、見終えて再生を止めたらNHKのBS1で何やら面白そうなドキュメンタリーをやってたんで、ついつい見入ってしまいました。あとで調べたら昨年秋に放送したものの再放送でした。

 その番組は「よみがえる悪夢・知られざる核戦争危機」と題する現代史ドキュメンタリー。1973年に勃発した「第四次中東戦争」は日本ではトイレットペーパーで何かと引き合いにされる「石油危機」を引き起こしたことでもっとも有名ですが、この戦争の影で米ソが危うく核戦争突入の危機、キューバ危機並みの危うい状況だった、という話を、当時の関係者インタビューや各種資料をもとに再構成した力作です。

 第四次中東戦争はエジプトがイスラエルに奇襲攻撃をかけ、序盤はイスラエルを亡国の危機まで陥れるが後半はイスラエルが巻き返し、結局はエジプト・イスラエルの直接対話につながることになった、という戦いです。その背後で米ソ両国が外交軍事の駆け引きを展開、当人たちの思惑を超えていつの間にやら核戦争危機、ということになっていた、というあまり知られてない話でした。

 当時のソ連はブレジネフ、アメリカはニクソンですが、ニクソンはちょうどウォーターゲート事件の真っ最中で、あのキッシンジャー博士がホワイトハウスの外交を仕切ってました。お互いに戦争なんてする気はなく、むしろデタント(緊張緩和)を進めていたのですが、それがちょっとでも情勢を自国に有利にしようともくろんで変な画策をし、その中でエジプトとイスラエルがいずれも米ソ両国の言うことを聞かずに勝手な行動をとり、米ソ両国は疑心暗鬼でお互いに相手を信用できず戦争一歩手前までエスカレートしてしまう…という、誤算に次ぐ誤算の連続で、映画「博士の異常な愛情」を思わせる、「怖いコメディ」になってました。

 特にブレジネフもニクソンもそろって酔っぱらって正常な判断ができない状況になっちゃってた、ってくだりは、歴史というのはときどきフィクションよりずっと面白い偶然を作ってしまう例になるなぁ、と。
 
 この手の現代史裏面、とくに外交駆け引きのドキュメンタリーというのは過去にもなかなか面白いなと思ったものがありましたが、いざ挙げようとすると何があったっけ、となっちゃう。
 ドキュメンタリーとドラマを掛け合わせたもので、ドイツ制作の「ドイツ統一の舞台裏」というのがあって、これがえらく面白かったのですが(当時の東西各国の首脳が俳優に演じられぞろぞろ出てくる)僕も録画保存しませんでしたし、ソフト化もされてない。ネット上にも転がってなくって、今も惜しいことをしたと思ってるんですが…



#11013 
バラージ 2020/06/29 22:33
歴史映像作品感想追記・アメリカ合衆国史編B

 名画座未掲載の歴史映像作品の感想の追記、アメリカ合衆国史編の最終回。

『ドアーズ』……#9703、映画板#1220
 1960年代後半から70年代初めに活躍したロックバンド・ドアーズのボーカルで、ジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンと並ぶ時代のカリスマだったジム・モリソンを主人公としたオリバー・ストーン監督による1991年の映画。当時僕が住んでた仙台では1週間しか上映されず、映画館では観逃してレンタルビデオで観ました。1965年のドアーズ結成から71年のモリソンの死までが描かれており、伝記映画であっていわゆる歴史映画と言えるかは微妙なんですが、ドラッグやヒッピーに彩られた1970年前後という時代の空気は上手く表現されているように思いますし、個人的には現代史映画においてはそういうもののほうが重要だと思うんだよな。僕はこの映画がドアーズ初体験なんですが(本物ではなく伝記映画が初体験という・笑)、主演ヴァル・キルマーのジム・モリソンになりきりぶりがすごく、劇中に流れるドアーズの楽曲の数々も素晴らしい。また恋人のパメラ・カーソン役がメグ・ライアンで、キーボードのレイ・マンザレク役がカイル・マクラクランてのも、製作当時の時代を感じて今となっては懐かしい気分にさせられます。チラッと出てきたアンディ・ウォーホル役が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で主人公の父親役だったクリスピン・グローバーだったってのは今回調べて初めて知ったけど。なかなか面白い映画だったんですが、マンザレクは劇中のモリソンの描写について大いに不満で、インタビューでも「大嫌いな映画だ」と言ってましたね。

『ドアーズ/まぼろしの世界』……#9665、映画板#1274
 こちらは2010年に公開されたドアーズのドキュメンタリー映画。原題は『When You're Strange』。初のドアーズ公認劇場用長編ドキュメンタリー映画とのことで、やはりレイ・マンザレクとジム・モリソンがUCLAで顔を合わせていた1964年ごろから、モリソンが死去した71年までが範囲となっています。モリソンが69年に監督・主演した幻の映画『HWY(ハイウェイ)』のフッテージを含む当時のオリジナル映像と、ジョニー・デップによるナレーションのみで構成されていて、新たな撮影は一切行われていません。前記『ドアーズ』について、時代の空気を上手く映し出していると書きましたが、本作を観たらやはり本物の前では霞まざるを得ないなと思わされます。本物には勝てないなと。当時の映像と、そこに映し出される本物のドアーズのライブ音楽の中には間違いなくあの時代の空気が流れていて、スクリーン越しにもそれが伝わってくるのです。
 僕はオリバー・ストーンの『ドアーズ』を観てしばらく経ってから、90年代前半に買った安いオールディーズベストのCDに収録されていたドアーズの『Light My Fire(ハートに火をつけて)』を聞いて心をつかまれ、そこからドアーズのCDを買い集めたんですが、このドキュメンタリー映画は素晴らしい出来でした。ポスター&チラシのデザインもやたらとカッコ良く、「すべては滅びても、詩と歌は残る……」というモリソンの言葉を使ったキャッチコピーも秀逸。オリジナルTシャツも通販で買ってしまった(笑)。

『ブラック・クランズマン』……#10898
 追記することは特にありません。

『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』……#10767
 追記することは特にありません。

『キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!』……#9703、映画板#1220
 ウォーターゲート事件の密告者ディープ・スロートの正体はおバカ女子高生2人組だった!というティーンズ向けおバカ青春コメディ映画。いや、米国のティーンズもウォーターゲート事件なんて知らないし、わかんないか(本国公開された1999年時点でも。日本では2004年にビデオ&DVDスルー)。だとしたら通向けのハイブロウなパロディおふざけコメディとでも言うべきかな。キルスティンとミシェル・ウィリアムズが主演で、なぜかミシェルがニクソン大統領に恋い焦がれており、浜辺でディック(ニクソンの名前リチャードの愛称)と愛し合うことを夢想したりする冒頭から笑ってしまいます。このおバカ女子高生2人のダメっぷりは、同じダメ女子高生2人組が主人公の青春映画『ゴーストワールド』とか、ヒーローアクション映画『キックアス』にも通じるようなキャラクター。この2人が社会科見学で訪れたホワイトハウスでひょんなことからニクソンの飼い犬の散歩係に採用され……というようなストーリー。ニクソン大統領とその政府関係者から事件をスクープしたワシントンポストの記者2人組まで全員をおちょくり倒し、こけにしまくってるのが、なんとも偉いというかすごいですね(笑)。日本ならこんなことしたら絶対怒られそうだ。原題の『Dick』はニクソンの愛称であるとともに男性器の隠語でもあったりして、「ディープ・スロート」の語源と考え合わせると、ああなるほどというタイトルだったり、パロディ映画として秀逸で芸が細かい。完全にキルスティン目当てで観た映画ですが、意外な拾い物の一本でした。面白かった。

『ホッファ』……#10591
 1930〜70年代の労働組合指導者で全米トラック運転組合委員長だったジミー・ホッファの伝記映画。1992年の映画で主演はジャック・ニコルソン、監督は助演もしている俳優のダニー・デビート。ビデオ&LD化はされてますがDVD化はされていません。ビデオ邦題は『ホッファ JFKが最も恐れた男』(LD邦題は劇場公開邦題と同じでサブタイトルは無し)というあからさまな便乗邦題ですが、ケネディ大統領は名前だけしか出てこないんだよな。ホッファは全米トラック運転組合を米国最大の労組に押し上げる一方で、マフィアと癒着し長年に渡って不正を働いていたと言われ、ロバート・ケネディ司法長官に追求されて1967年に不正運用などで有罪となり収監されるも、ニクソン政権下の71年に特赦で出獄。その後、マフィアとの関係が悪化し、75年に人と会うため自宅を出た後、行方不明となりました。映画ではその最期を推測して描いています。細かいところはもう忘れたけど、出来はまあまあといったところだったような。
 つい最近、限定劇場公開の後Netflix配信となったマーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ主演の映画『アイリッシュマン』もホッファを題材にしているとのことで、ホッファを殺害したと告白したフランク・シーランをデ・ニーロが、ホッファをパチーノがそれぞれ演じてるそうです。

『7月4日に生まれて』……#9703、映画板#1220
 ベトナム戦争で負傷して車椅子生活となり、後に反戦活動家となったロン・コビックの自伝的小説をオリバー・ストーン監督がトム・クルーズ主演で映画化した1989年の作品。コビックは1946年7月4日という米国の独立記念日に生まれ、64年に海兵隊に入隊。しかし68年に下半身不随となる重傷を負い、69年に故郷へと戻ることになります。そこで米国での反戦運動の盛り上がりを目の当たりにしてショックを受け、自暴自棄になって彷徨を経た上で、72年に自ら反戦運動に身を投じ、76年に『7月4日に生まれて』を出版するエピローグまでが描かれます。ベトナムの戦場のシーンもありますが、基本的には米国内における反戦運動の映画。まあまあ面白かったです。

『フロントランナー』……#10875
 追記することは特にありません。

『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』……#10750
 追記することは特にありません。

『ブッシュ』……#10867
 追記することは特にありません。

『記者たち 衝撃と畏怖の真実』……#10886
『シチズンフォー スノーデンの暴露』……#10736
『スノーデン』……#10736
 以上3作は完全に21世紀に入ってからが舞台の映画なんで、まだ歴史映画とは言いがたいんですが、歴史の流れから紹介してしまおう。といってもいずれも追記することは特にありません(笑)。


>史点について思い出したこと
 前回書き込んだ後で思い出したんですが、上で紹介したスパイク・リー監督の『ブラック・クランズマン』が、今回の黒人差別問題についてのタイムリーな映画でした。冒頭シーンが映画『風と共に去りぬ』から始まって、ラストは白人至上主義団体KKKの指導者デビッド・デュークで終わるこの映画こそ、今観るべき映画なのかもしれません。
 ちなみに『ドクター・ドリトル』は、ロバート・ダウニーJr.主演の最新版がただいま公開中。

>女子大河の落日──『花燃ゆ』『おんな城主 直虎』感想追記
 順番的には2014年の『軍師官兵衛』ですが、話の流れ的に今回は2015年の『花燃ゆ』と2017年の『おんな城主 直虎』についてまとめて追記。
 実は僕はどちらも題材についてはある程度予想が当たりました。当時は男女交互に主人公になっていたので、いずれも順番的に女性主人公であることは予想がつきましたし、2015年については2年連続で戦国はないだろうしマイナーな時代の可能性も低いんでおそらく幕末。また当時は完全版が残っていない大河と同じ題材の2度目のドラマ化という流れがあったんで、井伊直弼や勝海舟の可能性はまずないだろうから龍馬の次は長州。ということで幕末の長州の女性主人公だろうという予想をしてたんですよね。2017年についてはそこまではっきりとは予想できませんでしたが、女武将主人公というのはいつかはやるだろうと予想してましたし、女性大河は幕末が続いていたんでそろそろ戦国になるんじゃないかという予想はしてました。この頃は男女交互だから予想しやすかったんだよなあ。
 平均視聴率はそれぞれ12.0%、12.8%と『八重の桜』以上の大惨敗。『花燃ゆ』は『平清盛』に並ぶ当時の最低記録となりました(厳密には0.01%低く、当時の歴代最低だったとのこと)。10年代に大河の主人公が男女交互になったのは、00年代に平均視聴率が高かったのがいずれも女性主人公だったから。ところが10年代は逆に女性主人公のほうが低くなってしまいました。そうなるとネタ的にも苦しい女性主人公をそんなに頻繁にやる理由はなくなるわけで、『直虎』が惨敗に終わったあたりで僕は「女子大河もそろそろ終わりかな」と思ったんですが、やっぱりその通りになりました。
 僕自身も序盤で脱落したんですが、いずれも『八重』の失敗を教訓として、当初はなんとか主人公を物語の中心に置こうと努力してたとは思います。しかしやはりそれは難しかったのか、徐々に主人公が傍観者的立ち位置になってしまったり、別の人物が主人公のようになって主人公がほとんど出てこなくなったりしてたようで、それでは物語としてはやっぱりまずいですよね。また、大河ドラマの視聴者層は70〜80%以上が65歳以上と言われており、要するにほとんどがジジババとなっています。なのでそういう年代の人たちに面白がってもらえないと視聴率は取れない。00年代の女性大河『利家とまつ』『功名が辻』『篤姫』(&『天地人』)は高齢男性に加えて高齢女性にもウケたからこそ高視聴率となったんでしょうが、それに対して10年代の女性大河『江』『八重』『花燃ゆ』『直虎』は高齢男性にも高齢女性にもウケなかったわけで、簡単に言えば高齢者から見てドラマとして面白くなかったんでしょう。

>大河ドラマの視聴率に関する追記
 前回『八重の桜』について、初回視聴率は高かったが平均視聴率は低くなってしまったと書きましたが、00年代の大河でそうだったのが2004年の『新選組!』。初回視聴率は00年代最高の26.3%だったのに、最終的な平均視聴率は17.4%と00年代で下から2番目になってしまいました(ワーストの『武蔵』は初回も高くないので、落差的には『新選組!』のほうが大きい)。初回が高かった理由は、@香取慎吾ファンが観たAその他の俳優のファンが観たB三谷幸喜ファンが観たC新選組ファンが観た、といったあたりかなぁ。それが下がったのは、上記それぞれのファンが期待したものと違ったのか、あるいは大河の固定ファン層が離れたんでしょうか。



#11012 
バラージ 2020/06/22 21:50
歴史映像作品感想追記・アメリカ合衆国史編A

 『アンタッチャブル』は、実在のギャングで有名なのはなんといってもアル・カポネというのと、禁酒法時代を描いてるっていうのと、映画自体が80年代末という懐かしさから、つい入れてしまいました(笑)。そういや映画の後日談的なテレビ映画らしい『新アンタッチャブル カポネの逆襲』ってのもビデオ化されてたな。『ゴッドファーザー』は僕は1作も観てないんですよねえ。『3』の予告編だけは当時映画館で観たんですが、あの有名な音楽が3度も流れたので、さすがに3度目では笑ってしまいました。


 名画座未掲載の歴史映像作品の感想の追記、アメリカ合衆国史編その2。

『チャーリー』
 あまりにも有名なチャールズ・チャップリンの半生を描いた1992年の伝記映画ですが、ハリウッド草創期からナチスの台頭と第二次大戦、そして赤狩りまで至る米国史映画として観ることもできます。監督はリチャード・アッテンボローで、主演はロバート・ダウニーJr.。若き日のダウニーJr.もがんばってはいるものの、やっぱりチャップリンには見えない。映像作品が残っている有名俳優を別の俳優が演じるのは──ましてやそれがほとんど伝説的な俳優となると──やはり難しいものがあります(他にはブルース・リーとかジェームス・ディーンとかマリリン・モンローとかもね)。その他の配役も当然ながらと言うべきかやたらと豪華で、個人的には3番目の妻ポーレット・ゴダート役のダイアン・レインや、初恋の人ヘティ・ケリーと最後の妻ウーナ・オニールの2役を演じたモイラ・ケリーがお気に入り。最初の妻ミルドレッド・ハリス役で、デビューしたてのミラ・ジョヴォヴィッチ(当時はただのミラ)も出ています。しかし残念ながら映画の出来はダイジェスト的で今一つ。

『真実の瞬間(とき)』……映画板#1219
 マッカーシズム(赤狩り)を描いた1991年の社会派歴史映画。基本的には架空人物の架空物語ですが、ロバート・デ・ニーロ演じる主人公のモデルは赤狩りでフランスに亡命したジョン・ベリーという映画監督とのこと。またマーティン・スコセッシが演じる赤狩りで海外へ亡命する映画監督のモデルは、『暗殺者のメロディ』などを監督したジョゼフ・ロージーらしい。赤狩りの恐ろしさを描いた秀作でしたね。デ・ニーロはこの頃映画に出まくってたなあ。

『グッドナイト&グッドラック』……#9703
 マッカーシズムに立ち向かったCBSのニュースキャスターのエド・マローと番組のスタッフたちを描いた社会派歴史映画。俳優ジョージ・クルーニーの監督2作目で、番組プロデューサー役で出演もしています。タイトルはマローがニュース番組の最後に言うお決まりの台詞から。全編モノクロの作品で、権力や世間の空気やそれに迎合するテレビ局経営陣による抑圧と、それに抗するジャーナリズムという絶好の題材ながら、全編に渡ってあまりにも淡々と物語が進んでいくので映画としての盛り上がりに欠け、ちょっと退屈な映画でした。

『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』……#10445
 追記することは特にありません。

『リトル・モー』……#9602
 1950年代に活躍した女子テニス選手モーリン・コノリーの半生を描いた1978年の伝記映画。あんまり歴史映画とは言えないんですが、個人的趣味で紹介してしまおう。子供の頃(80年代)にたまたまテレビ放送で観て、とても印象に残ったんですが、実在の女子テニス選手の伝記映画ということしか記憶になく、タイトルも主人公の名前も出演俳優も記憶になかったんで、自分でも長く「あれはなんていう映画だったのかなあ?」と心に引っ掛かってた映画です。やがて21世紀に入ってから、テニス誌でこの映画の話題があがっているのをたまたま読み、そこで初めてもろもろを知った次第。TVムービーらしいんですが日本では劇場公開されたそうで、ビデオ化もされたようですが僕はレンタル店で見かけた記憶がありません。DVD化もされてないんだよな。モーリン・コノリーは1953年に女子テニス選手初の年間グランドスラム(その年の四大大会全てで優勝すること)を達成し、時代の女王となりましたが、翌54年に事故による大怪我のため19歳で選手生命を絶たれ、69年に癌によって34歳の若さで亡くなったとのこと。身長160pと小柄だったことから「リトル・モー」と呼ばれたそうです。実は某有名動画サイトに日本語字幕版が全編アップされてるのを見つけたんで、そのうち観ようとずっと思ってるんですがいまだに観てないんですよね。

『LBJ ケネディの意志を継いだ男』……#10990
 追記することは特にありません。

『フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国国防長官の告白』……#9665
 ケネディ政権とジョンソン政権で国防長官を務めたロバート・マクナマラが自らの半生と米国史を語ったドキュメンタリー映画。ハーバード大学院卒、フォード社社長、国防長官、世界銀行総裁という知的エリートの道を歩んできたマクナマラが関わった第二次大戦からキューバ危機、ベトナム戦争までの20世紀米国史が綴られていくとともに、それらに対するマクナマラの悔恨と教訓、逃避と自己弁護が語られていきます。米国最高の頭脳と呼ばれた人物が世界を見誤り失敗した事実と、それを認めながらも「仕方がなかった」と自己正当化しようとする矛盾が心に残るドキュメンタリーでした。


>『八重の桜』感想追記
 2013年の大河ドラマ『八重の桜』についての追記。最初の発表時には、なにも大河ドラマで東日本大震災復興応援企画をせんでも……と正直思いましたね。復興応援企画なら普通に現代劇ドラマでやりゃあいいのにと。史劇って自由にストーリー作れるわけじゃないし、そもそも現代を舞台にしてないんだから復興応援には向いてないと思うんですよ。
 平均視聴率は14.6%とまたも低迷。その原因を題材や主人公に求める意見もありますが、僕はそうではないだろうと考えます。なぜなら初回の視聴率が21.4%と高かったから。前年の『平清盛』の初回視聴率は17.3%。翌年以降にも初回視聴率が20%を越えた例はなく、2011年4月の完全地デジ化以降では最高視聴率回となっています。つまりこのドラマ、最初は視聴者から大いに期待されてたんですよね。それなのに最終的な平均視聴率は非常に低いものになったんだから、低視聴率の原因は始まる前からわかってた題材や主人公ではなく、単純にドラマの内容に問題があったと考えられます。まず初回の高視聴率はなぜかと考えると、1つには復興応援という言葉に惹かれた視聴者心理もあったんじゃないかと推測しますが、それ以上に主演が綾瀬はるかだったからというのが最大の理由なんではないでしょうか。というかそれ以外の理由が思いつかない。彼女の出世作は2004年のテレビドラマ版『世界の中心で、愛をさけぶ』で、さらに一段とブレイクしたのが2007年の主演ドラマ『ホタルノヒカリ』。以後は映画にドラマに主演にヒロインにと快進撃を続けてたところでの大河登板で、この頃の彼女は紛れもなく「数字を持ってた」んだと思います。
 となれば視聴率が急落した理由もまた明白で、これは放送中にも書きましたが、主演であるはずの綾瀬さんの出番が序盤少なく、ほとんど脇役的立ち位置に終始してたことが挙げられます。オープニングでは綾瀬さん出ずっぱりなのに本編に入った途端パタッと出なくなっちゃうんだもんなあ。綾瀬さんということを抜きにしても、主人公がまるで脇役みたいというのはドラマとして破綻してると言われても仕方がない(初回の子役からしてそうだった)。視聴率が20%を越えたのは初回だけで、5話までが18%台。6話では15%台まで落ち、7話は17%台だったものの、その後はほぼ15%台以下に終始しましたから、その辺で不満な人がほぼ脱落したんでしょう(かく言う僕もその1人)。まあ、「ひょっとしたら面白くなるかも」となんとか付き合えるのはそれぐらいまでですよね。まあ同情できるところもあります。急遽の題材変更だった上に脚本家複数人体制では、オリジナルストーリーとして脚本を練り上げる時間がなく、史実を追いかけるばかりの展開にならざるを得なかったんでしょう。そうなると史実のあまり残ってない八重は出番が少なくなり、脇役のような存在になってしまったんだろうと思われます。
 さらに言えば、主人公の八重がいつも肩をいからせて怒ってばかりいるような感情移入しがたいキャラクターだったこともマイナスでした。綾瀬さんはシリアスからコメディまで硬軟自在に演じ分ける女優だと思いますが、一般的に人気だったのは『ホタルノヒカリ』で演じたようなちょっと天然なところのあるコミカルなキャラクター。役だけでなくご本人もそういうキャラクターだったことが相乗効果となり、今でもCMで演じてるのは専らそういうキャラクターばかりです。僕は始まる前は新島八重のことをほとんど知らないこともあって、主人公が戦火などの困難を乗り越えていく朝ドラ的な明るいドラマになると予想してたんですが見事に大ハズレでした。
 それでも地元福島では視聴率は好調だったようですし、観光地の集客も増加したらしいんで復興応援にはなったのかな。何よりも綾瀬はるかと福島の人々の間に強い絆が生まれ、彼女がその後もたびたび福島を訪れているのが本作が残した最もポジティブな遺産だと言えるかも。

>史点
 米国のアフリカ系(いわゆる黒人)差別の現状については、スパイク・リー監督の1989年の映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』を取り上げた考察が複数ありましたね。あの頃から30年か……。

>歴史とほとんど関係ない映画の中の歴史
 先日、1〜2年前に公開された『レディ・バード』という米国の青春映画を観たんですが、その中の本筋とは関係ない部分で興味深い歴史ネタがありました。女性監督の半自伝的映画で、21世紀初頭のイラク戦争の頃のカリフォルニア州サクラメント市に住む、ミッション系高校に通う3年生の女子高生が主人公。自分で付けた“レディ・バード”というニックネームで自らを呼ぶ彼女は、退屈な田舎町を出てニューヨークの大学に行きたいと考えているんですが、この映画の中で時折テレビでイラク戦争のニュースが流れるシーンがあります。しかしレディ・バードは気のない感じでニュースを眺めたりといった程度で、ひどい目にあった時には「戦争じゃなくたって悲惨なことはあるわ」とひとりごちたりします。ニューヨークの大学に補欠合格したシーンでも、9.11テロのためにニューヨークの大学を忌避する高校生が多くて競争率が下がったから、なんて台詞もありました。田舎町に住む高校生の彼女にとっては、イラク戦争はおろか9.11もどこか遠い世界の出来事で、家族、特に母との確執や、進路や恋や友情や初体験のほうが重要、というのもまた1つの真実なのでしょう。そういうのって歴史映画や戦争映画では描き得ないもので、なかなか興味深かったです。



#11010 
マナ 2020/06/21 21:19
お久しぶりです

10年程ぶりに大河ドラマを見ているうちに懐かしく、こちらを思い出し、書き込みました。
その間に、産んだ子が、小学校で歴史を習ってまして、江戸時代に興味を持っているようです。
今風の歴史漫画で好きになったようで、ここにも時代の流れを感じます。
また室町時代の本を読んでみたいと思っています。




#11009 
徹夜城(止まっていた仕事の一部が動き出してる管理人) 2020/06/16 23:51
「太平記」再放送も佳境へ

 NHK-BS早朝にやってる「太平記」再放送もはや11回「楠木立つ」まで来ているそうで、ここからまさに怒涛の展開でありますね。ツイッター眺めてると案外「初めて見た」という人が多くて感想が楽しいんですが、やがて出てくる赤坂城・千早城の攻防戦は今見ても見ごたえがあると思いますね。
 後醍醐挙兵以後は、先日「麒麟がくる」で斎藤道三役を終えた本木雅弘さんが千種忠顕役で登場し巻いて、「出ていたんだ!」と驚いてる人も多いですね。

 その「麒麟がくる」ですが、コロナ禍の影響でついにいったん休止。確かにこの辺でひとまずの感想が言えるかな、と。ちょうど桶狭間もやって区切りにはなりました。
 まぁ予想されたことなんですが、光秀は前半生がまるきり不明なので、自由に描けるぶん動かし方が難しいんですよね。なんか毎回あっちこっちと「お使い」に出かけてる印象で、伏線にはなっていくんでしょうが今のところ特に大事件に関与するでもない(道三戦士くらいか)ので、ドラマとしては今一つ盛り上がらない。
 まぁ同じ池端脚本の「太平記」だって、事件はやたら多いけど主人公の高氏自身が主体的に動き出すのはだいぶかかりましたけどね。

 「麒麟」が休みの間にNHKは戦国大河スペシャルをやることになり、先日の「独眼竜政宗」の回はやっぱり見入ってしまいました。渡辺謙さんのインタビューも貴重ですし、出演はしてないけど大河常連の高橋英樹さんがゲストでリモート出演し、名場面にあれこれコメントしてたのも見もの。高橋英樹さんは民放の大型時代劇でほぼ話が同じ「政宗」をやってるんで場面場面に覚えがあるでしょうしね。
 もうずいぶん前のドラマだから当然ですが、出演者たちの「当時○○歳」と表示されるたびに「へぇ〜」と驚いてしまうばかりでした。

 次回は「国盗り物語」で、高橋英樹・近藤正臣の信長光秀両氏がゲスト出演するようでこれが楽しみ。


>Kocmoc Kocma さん
 いやあ、ご指摘どうもです。恥ずかしながら「首相が感染」と聞いてただけでメドヴェージェフさんだと勝手に思い込んでました。「史点」更新と同時に修正しておきました。
 それにしてもプーチンの次は誰がでてくるんでしょうかねぇ。ロシア指導者の「法則」から気になるところで(笑)。

>バラージさん
「アンタッチャブル」が出てきましたか…今回ご紹介ぶんではそれだけは見ています。でパルマ監督の映画版だけしか見てないけど、もともとテレビドラマとかいろいろあるんですよね。
 こういうのも扱いに困るところで…史実ベースの話だし、モデルはあるとはいえフィクションの「ゴッドファーザー」入れといてこっちは迷うんですね。「歴史」を感じるかどうか、という僕の感覚的なものが左右しちまいまして。
 「アンタッチャブル」って、主役のエリオット=ネス当人の宣伝によるところが大きいようで、カポネを主役にした佐藤賢一さんの小説「カポネ」だと、ネスがえらくひどい奴に描かれていました。あの映画版はその方向をさらに煎じ詰めた感もあります。



#11008 
バラージ 2020/06/14 22:40
歴史映像作品感想追記・アメリカ合衆国史編@

 東(香港)も権力がデモを暴力で鎮圧、西(米国)も権力がデモを暴力で鎮圧……。


 名画座未掲載の歴史映像作品の感想の追記、今回はアメリカ合衆国史編その1。

『クルーシブル』……#9602、映画板#1218
 1692年の英国植民地マサチューセッツ州で起こった「セイラムの魔女狩り」を描いたアーサー・ミラーの1953年の戯曲『るつぼ』の1996年の映画化。監督はニコラス・ハイトナーで、脚本はミラー自身が書いています。主演はダニエル・デイ・ルイスとウィノナ・ライダー。原作は、「セイラムの魔女狩り」を通して、ミラー自身も経験した当時の“赤狩り”を描いたものだそうです。とにかく救いようのない悲劇的な結末へと向かっていく号泣必至の映画で、すすり泣きが映画館のあちこちから聞こえました。映画館で泣くのは気恥ずかしくて泣かないようにしてた当時の僕も、到底こらえきれず涙が止められなかったですね。特にラスト手前でのデイ・ルイスの魂の叫びがヤバい。嫉妬で狂気に走っていくライダーの演技も圧巻。ま、この人もその後いろいろありましたが。
 『るつぼ』の映画化はこれが2度目で、それ以前にフランスで1957 年に映画化されているそうです。邦題は『サレムの魔女』で、なんとジャン・ポール・サルトルが脚本を書いているとのこと。主演はイヴ・モンタン、シモーヌ・シニョレ、ミレーヌ・ドモンジョ。また、セイラムの魔女狩りは1937年にも米国で映画になっており、そちらの邦題は『セイルムの娘』。ただし、こちらは登場人物や展開などがかなりフィクションで、なぜか最後はみんなが魔女狩りの間違いに気付きハッピーエンドになっちゃうらしい。主演はクローデット・コルベール。

『バース・オブ・ネイション』……#10843
 追記することは特にありません。

『死刑台のメロディ』……#9703、映画板#1218
 1920年に起こったサッコ・ヴァンゼッティ事件(イタリア系移民のニコラ・サッコとバルトロメオ・ヴァンゼッティが、身に覚えのない強盗殺人犯として逮捕され裁判の末に死刑判決を受けた冤罪事件。1927年に死刑執行)をなぜかイタリアが映画化した1971年の社会派歴史映画。当然全編イタリア語です。確か90年代前半にレンタルビデオで観ました。原題はまんま「サッコとヴァンゼッティ」。2人は無政府主義者で徴兵拒否をした過去があり、第一次大戦後米国の不況による社会不安が当時勃興した共産主義への恐怖と結び付いてそのような冤罪を生み出したという、第二次大戦後の赤狩りに通じる事件だったようです。米国ばかりでなく世界中で抗議運動が起こりましたが、死刑執行が行われました。映画は作風がやはりヨーロッパ映画で、米国映画とは雰囲気が違っており、冤罪の恐ろしさを描いたなかなかの佳作でした。

『アンタッチャブル』……#9703
 1930年代の禁酒法時代のシカゴを舞台に、財務省捜査官エリオット・ネス率いる捜査班がアル・カポネを逮捕し有罪判決に持ち込むまでを描いた1987年の映画。ケビン・コスナーとアンディ・ガルシアの出世作で、ロバート・デニーロ、ショーン・コネリーの共演もあり、日本でも大ヒットしました。僕はテレビで観ましたが、まあまあ面白かったってぐらいかなあ。ブライアン・デ・パルマ監督は当たり外れが大きいとのことで、確かに『ミッション・インポッシブル』は面白かったけど、『虚栄のかがり火』なんかはいまいちでした。本作はネスの自伝に基づいてるとのことですが、自伝には自身を飾る虚構が多く、事実とはかなり異なるとのこと。
 自伝を原作とした連続テレビドラマも1959〜63年に放送され、日本でも『アンタッチャブル』の邦題で放送されたそうで、そのパイロット版は『どてっ腹に穴をあけろ』の邦題で劇場公開されたとか。そのパイロット版は『ザ・アンタッチャブル どてっ腹に穴をあけろ』の邦題でビデオ化もされてましたね。

『栄光のランナー 1936ベルリン』……#10427
 追記することは特にありません。

『ジュリア』……#9629、映画板#1215
 劇作家リリアン・へルマンの短編自伝を映画化した1977年の映画。反ナチス・ドイツ闘争に身を投じた幼なじみジュリアとの友情と、小説家ダシール・ハメットとの愛が描かれています。これも確か90年代前半にレンタルビデオで観たな。主演のジェーン・フォンダとジュリア役のバネッサ・レッドグレーブの熱演と、フレッド・ジンネマン監督の堅実な演出でなかなか面白い映画でした。ただし原作であるへルマンの自伝には創作の疑いがあり、ジュリアという人物の実在性についても客観的証拠はないようです。

『愛と哀しみの旅路』……#9703、映画板#1218
 第二次大戦前夜の白人男性と日系米国人二世女性の恋愛・結婚から、大戦勃発により主人公の家族ら日系人がマンザナール収容所に強制収容される悲劇を描いたアラン・パーカー監督による1990年のヒューマンドラマ映画。原題は『Come See the Paradise』。主演の白人男性役はデニス・クエイドで、もう1人の主演である日系人女性役のタムリン・トミタをはじめ日系米国人俳優が大挙出演しています。日系人たちの台詞が英語と日本語がちゃんぽんになったような言葉なんですが、同じシーンを英語の台詞バージョンと日本語台詞バージョンで別々に撮り、編集だか録音の段階でミックスしたらしい。日系人の描写が非常にリアルで、この頃の外国映画によくあった勘違い日本人になっていません。まあ日本人ではなく日系米国人だからかもしれないし、あるいは日系人から見たら不自然なところもあるのかもしれないけど。架空人物の架空の物語ですが、社会派要素とドラマ要素のバランスが上手くとられている佳作でした。


>大河ドラマ『平清盛』追記
 2012年の大河ドラマ『平清盛』からはリアルタイムでこちらに感想を書き込んでたので、過去ログを読んで書き漏らしてたり後から思い付いたことを追記するだけにしようと思います。
 感想は以前も書きましたが、序盤から保元の乱までの展開はほとんど文句なしの出来。キャスティングも最高の顔触れと言ってよく、特に松田翔太の後白河や山本耕史の藤原頼長は最高でした。深田恭子、加藤あい、武井咲、田中麗奈といった女優陣も良かった。ただ、保元の乱後はやや失速した印象でしたね。前半と後半で人物設定にやや齟齬も見られました(史実では親平家の明雲を清盛の対立キャラにしたため後半でキャラ変をしなければならなくなった。史実では早い段階から仲が悪かった源為義・義朝親子を仲良し設定にしたため後半で突然親子仲を悪くしなければならなくなった。後半における清盛の突然の悪人化など)。とはいえ全体としては源平ファンとして非常に満足のいく出来のドラマでした。
 ただ平均視聴率は12.0%と歴代最低記録を更新。わが家でも初回で清盛の母・舞子(吹石一恵)が惨殺されるシーンで老母が「イヤねえ、昔の人は残酷で」と嫌悪感を示し、戦国好きの老父も「面白くねえ」とチャンネルを変えたがり、松ケンファンの妹も全く興味を示さず、僕1人が意地になって観続けている状態でした。なので低視聴率の実感を身をもって感じております(笑)。擁護する声も結構ありましたが、やはり『新選組!』や『いだてん』同様にマニア受けのドラマだったということなのかなあ。実は21世紀に入ってからのドラマには放送時には視聴率は必ずしも高くなかったにも関わらず、コアな人気を獲得して最終的に続編映画化までされたというパターンの作品が結構あります(『トリック』『木更津キャッツアイ』『SPEC』『モテキ』『みんな!エスパーだよ!』『賭ケグルイ』など)。でも歴史ドラマって続編が作れないことがほとんどなんで映画化なんてこともないんですよねえ。『新選組!』の単発ドラマも厳密には続編というよりスピンオフですし。
 そういえば過去ログを読んで思い出したんですが、同じく平清盛が主人公の大河ドラマ『新・平家物語』においては、小沢栄太郎演じる信西について視聴者から「早く殺せ」という声があったほどの悪役だったという話がありました。僕は初耳だったんですが、源平ファンからするとそもそも信西がそれほどの悪役に設定されるほうが意外。史実はもちろん、『平治物語』でも信西は別に悪役回りじゃないんですよね。むしろ悪役なのは信西と対立して平治の乱を起こす藤原信頼のほうでして。まあ『保元物語』では比較的悪役っぽい描写もあるようですが、それを言ったら清盛だってそうですし、なぜ信西だけそんな設定になったんだろ? 僕は原作未読ですが、原作でもそうなんでしょうか? あるいは同じ原作の人形劇『平家物語』とかも?(こちらも未見)

>『麒麟がくる』
 やっぱり越年して全44話放送することになったそうで。まあ久々の視聴率好調大河だからNHKも放送したいでしょうしねえ。これでジャンプの打ち切りマンガ的結末は回避されそう。ただ、収録では出演者同士は原則2メートルの距離を取るなど感染防止のための制作マニュアルに基づいて行うとのことで、それで撮影ができるもんなんだろうか? もちろんドラマの完成より出演者やスタッフの安全のほうが大事なのは当然なんですが。
 俳優の演技についてはそれぞれの主観的評価なので何とも言えないんですが、個人的には本木雅弘の斎藤道三は好演かつ怪演だなぁと思っております。怪演すぎて主人公を食っちゃってるのはバランス的にちょっとあれですが(笑)。『信長』はほぼ未見なんで道三役が芦田伸介だったことすら知らなかったんですが、今回の道三は親子二代による国盗り説を採っているので比較的若めの道三になったんでしょう(というか当時の芦田伸介は旧説の道三としても歳を取りすぎのような)。そのようなこれまでの定番イメージを外した配役が、最初に聞いた時から新鮮だったんですよね。一方、高政(義龍)役の伊藤英明は以前書いた通り1〜3月期のTBSドラマ『病室で念仏を唱えないでください』の主演がかなりハマってたのに比べると、せいぜい可もなく不可もなくといった感じ。
 ドラマそのものについては、たまたま僕が観た回がそういう回ばかりだったのかもしれないけど、主人公の光秀の出番が全体的に少なく、物語の中心に立っていないように感じます。休止前最後の回もたまたま観ましたが、光秀は桶狭間に関係ないから仕方がないとはいえほとんど脇役に近く、ドラマとしてはどうなんだろ?と。あるいは光秀を狂言回しに戦国の群像を描こうという意図なのかもしれないけれど、それにしても主人公である以上物語の真ん中にいるべきなんじゃないかと思うんですよね。なんか『八重の桜』を思い出しました。もっとも『八重』と違って視聴率は好調のようですが。主演の長谷川博己も、僕は二番手以降で輝くタイプの俳優だと思ってたんで、大河の主演に抜擢されたのはミスキャストのように思えたんですが、物語の中心にいない脇役的立ち位置がかえって妙にハマってしまったということなんだろうか? ま、どっちにしろ僕はモックン退場であとはどうでもよくなったんでここで完全離脱いたしますです。

>中国史ドラマ
 前に書いたWOWOW放送中のタン・ウェイ主演中国ドラマ『大明皇妃 Empress of the Ming』。僕は1話でもういいやとリタイアしたんですが、僕が観ていた『如懿伝』をときどき横で観ていた妹が興味を持ったようで毎回録画視聴しています。僕も付き合いでこの間たまたま観たら、大航海から帰還した鄭和が登場。彼が連れてきた各国からの使節をもてなす園遊会が出てくるんですが、その使節たちの格好がみんなどこかちょっと……いや、かなり変(笑)。永楽帝(演じているのはワン・シュエチー)に謁見する日本から来た足利将軍の使者は江戸時代のバカ殿みたいな衣装でちょんまげも妙ちくりんだし、なぜか園遊会で踊りを踊る女性たちも大量に来ているんですが、芸者みたいな格好でほとんど現代の盆踊りに近い。これまた大勢来ている朝鮮の女の人たちも現代のお祭り(四天王寺ワッソとか?)で踊る人みたいだし、インドとかアフリカとかモンゴルとかみんななんか変なんですよねえ。まあ、ありがちっちゃありがちな話ですが。ちなみに足利将軍の使者は永楽帝に倭寇を取り締まれとか言われてました。



#11007 
Kocmoc Kocma 2020/06/13 19:31
メドヴェさん

管理人様
この度のニュースな史点の「夏も近づく75年」に、
>ロシアではメドヴェージェフ首相や閣僚も新型コロナに感染
とあって、あれえ?メドヴェさん感染してたっけ?と思ったんですが、いや、そもそもメドヴェさん、もう首相じゃないですよね。
メドさんは大統領退任後長く首相でしたが、ロシアでは何といってもプーチンさんがビッグすぎて首相が誰っていうのは殆ど意識されませんが。
メドヴェさんはそれでも”プーチンが演説している前で眠り込んでも解任も叱責もされない、意外と度胸のある人物なのかも?”と噂されていました。

新型コロナウイルスに感染したのはミシュスチン首相、ヤクシェフ建設住宅相、リュビーモヴァ文化相などです。あと、ペスコフ大統領報道官の妻でトリノ五輪アイスダンス金メダリスト、タチヤーナ・ナフカさんもですね(政治家じゃないけど)。



#11006 
カプラン 2020/06/07 22:42
『麒麟がくる』:私的な中間評価など

 お世話になります:カプランでございます。
 大河ドラマ『麒麟がくる』が已むに已まれぬ一時中断となり、しばらくお休みと
なります。
 この機会を捉えて(普段でしたら年1回くらいのカキコのペースなのですが)、私の
中間評価を5つほど挙げさせていただきたく存じます。

 まあ、正直申し上げて、全体として期待外れの出来になってしまっているというの
が率直な印象です:しかし、(共同執筆ではあるものの)池端俊策先生の作品ではある
のですが、ブランドイメージで語られすぎな感じがしますねえ――大御所クラスで
あることは認めるのですが、出来/不出来の評価は当然別個であるはずなのに、その
尻馬に乗ろうとする雰囲気があるようで(制作者をも含む)…。

以下、思いつくままなのですが…。
1)当て書き要素が強く、ストーリー展開に訴求力が欠ける:お目当ての俳優さんを
 ファン的な視点から評価して満足する方々にとっては、この評価は当たらないの
 かもしれません。とはいえ、ストーリーそれ自体だけを取り出してみた場合、
 展開に無理/不自然がある部分(例:なぜ平和を希求するシーン説明として「麒麟」
 の存在が持ち出されるのか、(そしてなぜ登場人物皆が知っているのか、)説明され
 ない…。民間伝承の流布でもあったという説明付けがあるならば、いざ知らず…。)
 や無関係な部分(例:光秀を無理やりストーリーに絡めるシーンが 結構ある。
 『太平記』ならば、ストーリー展開の自然さを優先させる形で、足利尊氏不在の
 鎌倉攻めシーンを描くぐらいの大胆さがあった。しかし、今回はそういう割り切り
 がない…。)が散見されるんですよねえ…。
2)(当て書き要素との関連で、)キャラクターの魅力が俳優さんの個性や演技力に依存
 してしまっている:つまり、俳優さんの個性や(こう書くと顰蹙を買うかもしれま
 せんが ^_^;)演技力がキャラの出来/不出来に反映してしまうということ。
 あくまで、個人的評価ですが、本木雅弘さんの斎藤道三って好演でした?? 私には
 ミスキャストの印象が…。例えば『信長 KING OF ZIPANGU』の芦田伸介さんと比べ
 てしまうと、やっぱり(頑張ってはいるのは分かりますが)貫禄不足…。(反対に、
 伊藤英明さんの斎藤高政はハマっていたように思います。とはいえ、この場合は
 「当て書きがうまく機能している」が故の評価なので、額面通りとはいかないのが
 私としても苦しいのですが…。)
3)伏線の未回収:最終的判断は保留になりますが、(見落としていないのならば)明智
 光安の扱いは気になりました。一時期、織田へ寝返りって いた(らしい)時期が
 あったはず…。結局、種明かしされずに終わってしまうのであれば、おしいかな
 と…。この伏線を利用してエピソードが作れそうなものなのに…。
  逆に、駒を救ったのが光秀の父であったという謎解きは、出来としてどうなん
 でしょう?? わざわざ引っ張る必要があったのか、と…。
  後、菊丸が三河の忍びという設定…。あっさりとバラしすぎのような気が…。
 (そうでもしないと、説明するタイミングを逃しかねないということか?? )
4)未処理エピソードの存在:まあ、どんなドラマでもありますけどね…。ただ、光秀の
 婚儀に関しては拙速でしょう…。
5)ビジュアル・インパクトの重視:というか、ストーリーの貧しさを、ビジュアルの
 出来で補正しようとしているのか…、と勘繰りたくなる…。デフォルメ・ビジュ
 アルの多さも気になります…。

 まあ、こんなことを書いてしまいましたが、今後の展開を楽しみにはしています。
 とはいえ、『坂の上の雲』の出来を見て、池端先生のストーリー構築力に緩みが
出てきたのかなあ…、と気にはしていましたが…。(尤も、脚本監修としてどこまで
関与していたのかは不明ですが…。この作品、映像はよかったんですけどね…。
ストーリーが視聴者にどのように映ったのか、気にはなりますが…。)

こんな感じですが、しかし…、災難を吹き飛ばしてよい続編となることを願って
います:これは本心です。

 以上、お目汚し、失礼いたしました。(シーンの見逃し/思い違いがありましたら、
ゴメンナサイ。)



#11005 
バラージ 2020/06/05 22:38
またまた、激動の韓国現代史映画

 ようやくNHKの公式発表で、『麒麟がくる』がお休みの間は過去の戦国大河名場面スペシャルを放送するとのこと。緊急事態宣言が解除されたため収録はなるべく早く再開したいが、再開時期については現時点では未定で、放送再開や放送回数も収録再開後に検討するんだとか。来年の『青天を衝け』は現時点では放送期間を見直す予定はないが収録開始時期は例年より遅れるそうです。やっぱり最初に予想した通りの展開だなあ。『麒麟がくる』、僕はすっかり脱落してたんですが、モックン道三の最期は観ておこうと久々に観ました。やはりモックンの存在感が強烈で、相変わらず長谷川光秀の影が薄い。というか光秀、まだ信長に仕えてなかったのか。ようやく朝倉義景に仕えたところで放送休止ということで、さすがに斎藤氏パートを引っ張りすぎたんでは? 結局、「あれから○年……」でいきなり本能寺とか、超ダイジェスト展開でいきなり本能寺とか、本能寺まで行かず「光秀の戦いはまだまだこれからだ!」エンドとかに……ってジャンプの打ち切りマンガかよ。


 緊急事態宣言が解除ということで僕の地方では映画館が営業再開されたため、まだ新作があるうちにと『スウィング・キッズ』という韓国映画を観てきました。
 舞台は朝鮮戦争の時代。巨済島にある米軍の捕虜収容所の所長が宣伝戦略のために、元ブロードウェイのメインダンサーだった黒人下士官に捕虜たちによるダンスチームを編成するよう命令する。集まったのは問題児の北朝鮮兵捕虜、臨時通訳の貧困女性、妻を探す民間人捕虜、太った中国兵捕虜の4人。このでこぼこチームは衝突や紆余曲折を繰り返しながらクリスマス公演に向けてタップダンスを練習する中で1チームとしてまとまっていくが、その裏では様々な不穏な思惑が進行していた……といったストーリー。
 いやぁ〜、面白かった! 前半こそコミカルなタッチがリアリティを損ねてるというか、ちょっと漫画チックに感じられて、だいじょうぶか?と心配になるんですが、全ては後半一気にハードでシリアスな悲劇的展開へと暗転していくための前奏でした。人種・民族・性差・イデオロギー、そういったあらゆる障害に囚われながらも、それを越えていくタップダンスの響き、躍動。そしてそれをも無惨に打ち砕く非情な現実。クライマックスの公演のタップダンス・シーンでは感動でちょっと泣いてしまいました。タップダンスと演出の素晴らしさに泣けたのです。歳のせいですかね(笑)。そしてそこからのラストの落差。いや、すごかった。架空人物による架空の物語であって、史実を扱ったいわゆる歴史映画ではないんですが、これはおすすめです。やはり今は韓国映画の時代なのかもしれません。
 監督は『サニー 永遠の仲間たち』のカン・ヒョンチョル。『サニー』は評価の高さを聞きながらもなんとなく観逃したんですが、DVDで観てみようかな。主演はEXOというグループのD.O.。黒人下士官役が本物のブロードウェイ・ダンサーのジャレッド・グライムス。紅一点の4か国語に通じた跳ねっ返りの「パンパン」役のパク・ヘスは、決して美人な顔立ちではないんですが、その佇まいというか雰囲気がとても美しい。いい女優です。

>DVDで観た映画
『国家が破産する日』
 1997年のアジア通貨危機で起こった韓国の通貨危機を描いた韓国の社会派映画で、通貨危機をいち早く予測して対策を上層部に進言する韓国銀行通貨政策チーム長の女性、やはりいち早く予測して絶好のチャンスと大勝負に出る若い金融コンサルタント、経済情勢を知らず倒産の危機に陥る町工場の経営者という3人の架空人物が主人公。他の登場人物もほぼ架空の人物で、実在人物は金泳三大統領がチラッと出てくるくらいです。経済という門外漢には難解でドラマ性にも乏しい題材を、事実をわかりやすく再構成してエンタメ系社会派映画に仕上げていて、まあまあ面白かったですね。ただ、やはり経済理論的な話は難しくてところどころわかりにくかったし、物語的には逆にエンタメ的にわかりやすくしようとしすぎて単純な勧善懲悪(といっても正義が勝つわけじゃないんだけど)になってしまっているのも否めません。


>史点
 本丸とは別のところで失脚してしまった黒川検事長。本丸の件をうやむやにしちゃいたい安倍首相にとってはむしろ好都合だったんじゃないかという見方も一部ではあるようですね。ひょっとしてウヨクな文春がお仲間の安倍首相をアシストしたのでは? ウヨク仲間の産経も攻撃することになりますが、雑誌と新聞の確執もあるだろうし、宿敵朝日も道連れにできるわけだから……。ま、実際には単にスクープネタを飛ばしたかっただけなんだろうけど(笑)。文春も『諸君』が廃刊になったあたりから、生き残りをかけて方針転換し、今やすっかりスキャンダル誌になった感があります。
 賭け麻雀は、法律を守るべき検事長なのにとか、この三密を避けるべき非常時にとかいうことはあるにしても、それ自体は正直言って大したことじゃないと思うんです。このニュースを何人かの芸人たちが、「あれ? お前もやってたよな?」「や、やってねえよ!(焦)」というネタにしてたように、ぶっちゃけそれほど珍しいことでもないですし。いっしょに雀卓囲んだ記者もネタ探しというより単に麻雀やりたかっただけで、検事長も同様の要するに“雀友”だったんでしょうね。接待ゴルフと言いながら、接待は言い訳で単にゴルフがしたいだけ、みたいなのといっしょで。
 しかしまあ安倍首相もあっさり黒川さんを切り捨てちゃいましたな。森友の籠池さんなんかもそうですが、安倍さんは自分が目をかけた人でも、自分自身がヤバくなると冷たく切り捨ててしまいます。その一方で昔からの友だちの加計さんは切り捨てないし、奥さんにいたってはかばいっぱなしなのがなんとも。それにしても安倍さんが目をかけた人はほんとしょーもない人が多くて、やっぱり人を見る目がないんだな。

>歴史映像名画座
 過去ログ(#9851〜9856)を読んで思い出したんですが、オリエント・聖書関係史の『キング・オブ・キングス』の解説の「動いてしゃべる生身のイエスが描かれた最初の映画」という部分は、「アメリカ映画におけるイエス像の時代的変遷」(https://doors.doshisha.ac.jp/duar/repository/ir/16395/003074010006.pdf)という論文を見ると誤りなので修正したほうがいいと思います。なお、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督による1935年のフランス映画『ゴルゴダの丘』でもイエスの顔や全身が映っており、(フランス語を)しゃべってます。

>戦国ガールズ(特に意味はない)
 大河ドラマの思い出もついに10年代に入り、2011年の『江 姫たちの戦国』です。さすがに10年代となると、思い出と言っていいのかとも思うんですが、10年前(正確には9年前)と考えるとそれなりに年月は経ってるとも言えるんですよね。
 最初に主人公が浅井三姉妹の末っ子の江と聞いた時には、え? 長女の淀殿じゃないの?と思ったんですが、正室ではなく側室ということや、最後が悲劇的で暗くなって終わることが敬遠されたのかな。江というと戦国っていうより大奥初期の敵役のイメージのほうが強かったんですが(本作の数年前に観た『大奥 第一章』では高島礼子が演じてた。大河だとやはり『葵』の岩下志麻が印象的)、それだけにそれ以前の江については淀殿のおまけみたいな描かれ方でしかなかったため、そういう意味では目新しかったのかも。とはいえ僕が観たのは最初の2話くらいで、これはちょっとなあという出来だったのでそのままリタイア。ただ女性だし戦国だしで我が家ではチャンネル回してたんだっけかなあ? どうも今一つ記憶がありません。というのもこの年の3月11日に東日本大震災が発生。それどころではなくなったこともあって記憶が飛んじゃってます(まあ僕のところはライフラインの停止だけで電気も数日後には復旧しましたが)。あと、この年の4月から(東北以外では)完全地デジ化となってBS2がなくなり、BSハイビジョンがBSプレミアムに変わって、ほとんどの視聴者が地上波放送より先にBS放送で観れるようになったんですよね。
 平均視聴率は17.7%と惨敗し、00年代の救世主となった女子大河初めての躓きとなりました。理由についてははっきりとはわかりませんが、主人公の夫がいろんな理由で3人も変わるため、夫婦ものとして展開させづらかったというのも一因かもしれません。理由はどうであれ、00年代女子大河のように中高年女性の支持を得られなかったことが低視聴率の原因なのは間違いないでしょう。しかしこの時はこれが10年代大河最高の平均視聴率になるとは、まだ誰も知る由もないのであった(笑)。
 視聴率が低かったためもあって週刊誌やスポーツ紙やネットメディアで相当叩かれてた印象がありますが、僕も最初のほうでリタイアしちゃったんで言えた義理ではないけれど、それにしたってちょっと叩かれ過ぎてたような気も。ドラマそのものばかりでなく、主演の上野樹里の演技についてもやたら叩かれてましたが、時代劇初出演ということもあって確かに今一つの印象があったとはいえ、彼女の演技そのものへのオヤジ系(もしくはジジイ系)メディアの低評価には首を捻るものがありました。彼女の出世作は2004年の映画『スウィングガールズ』ですが、僕が強く印象に残ったのはそれより後にDVDで観た2003年の映画デビュー作『ジョゼと虎と魚たち』での主人公の恋敵役。“演技の怪物”池脇千鶴を相手に、薄っぺらい善意の優等生という難役を見事に演じ、弱冠17歳でベッドシーンまでさらりと演じちゃう肝っ玉に驚嘆しましたね。『スウィング〜』以後は主演やヒロインクラスで次々に映画出演。お茶の間に名前が知れ渡ったのは連ドラから最終的に劇場版まで作られた『のだめカンタービレ』(2006〜2010年)で、以後主演から助演まで、コミカルからシリアスまで硬軟自在に演じ分ける若手演技派女優として活躍しています。去年主演した『監察医 朝顔』も好演でしたし、特別出演だった今年の『テセウスの船』でも場をさらう演技でした。



#11004 
バラージ 2020/05/24 11:16
名画座情報

 歴史映画の感想追記はちょっと一休み。『麒麟がくる』はまたまた一転して、越年してでも全44話放送するというニュースですね。で、来年の『青天を衝け』が遅れて始まり、少し短くなるという。NHKも何やらいろいろ混乱してますな。
 最近、『百田尚樹をぜんぶ読む』(杉田俊介・藤田直哉・共著、集英社新書)という本を読みました。実は百田尚樹自体には僕はあまり興味がなく、小説等の著書も1冊も読んでなければ映像化作品も全く観ていないんですが、この本は本屋でなんとなく──本当に何の気なしに、手に取ってパラパラと立ち読みしたら面白くてついつい読み込んでしまったため買ってしまいました。2人の批評家の対談による百田に批判的なリベラルな姿勢からの批評ですが、その一方で小説作品についての評論でもあり、諸作品それぞれの評価は両者で違っているところもあって、興味深く読みました。こちらの掲示板でも百田の『日本国記』についての話題があがったことがありましたが、興味のある方は読んでみてはいかがでしょう。小説以外の著作に関しては1作ごとの評論はありませんが。

 さて、今回は今までに書いた歴史映像名画座収録作品の修正情報を総ざらい。気づいた都度にちょこちょこ書いてきたんで1度まとめておこうと思いまして。いつか情報を追加・修正する時にご参考にしていただければ幸いです。
 ちなみにVHS&LD化情報はallcinemaが充実していたためそちらを参考にし、それをAmazonや駿河屋で確認する方法をとりました。Amazonには案外出品情報がない場合も多く、特にLDに関しては駿河屋で確認したものが多いです(品切れのものも含めて過去の出品情報が掲載されている)。パッケージ画像もだいたいあるので重宝しました。まれにAmazonにも駿河屋にも情報がない場合もありましたが、その時はYahoo!やGoogleで「○○ VHS」「○○ LD」で直接検索するとオークションに出品された情報が結構引っかかりましたね。動画配信についてはfilmarksが充実していて参考になりました。

『卑弥呼』……キングレコードから「ATG初DVD化BOX」という他のATG9作品とのBOXセットでDVDが発売されています。単品バラ売りはありません。
『鶴姫伝奇』……「興亡瀬戸内水軍」というサブタイトルが付いています。
『戦国疾風伝 二人の軍師』……「〜秀吉に天下を獲らせた男たち〜」というサブタイトルが付いています。
『家康、江戸を建てる』……NHKエンタープライズよりDVDが発売されています。
『江戸城大乱』……LDはポニーキャニオンから発売されていたようです。また動画配信もされています。
『花燃ゆ』……完全版・総集編ともにBlu-rayも発売されています。
『永遠のニシパ 〜北海道と名付けた男 松浦武四郎〜』……NHKエンタープライズよりBlu-ray&DVDが発売されています。
『HERO』……チャン=ツィイー、ドニー=イェンが、チャン=ツ「イ」イー、ドニー=イ「エ」ンと大文字になっちゃってます。
『創世の竜 李世民 大唐建国記』……『創世の「龍」 李世民 大唐建国記』が正しい邦題です。
『ザ・エンペラー 西蔵之王』……劇場公開邦題はただの『ザ・エンペラー』で、「西蔵之王」というサブタイトルが付いているのはVHS邦題です。
『水滸伝(1983年の映画)』……DVD化はされていませんが、VHSの他にLDもパイオニアLDCから発売されています。また動画配信もされています。
『忠烈図』……LDはパイオニアLDCから発売されていたようです。
『ウォーロード 男たちの誓い』……日本で劇場公開されたのは113分の短縮版のみで、DVDは逆に126分の完全版のみ。
『観相師』……厳密には『観相師 ―かんそうし―』という邦題のようです。
『怪傑 洪吉童』……『洪吉童 ホン・ギルトン』の邦題でブロードウェイからDVDが発売されています(北朝鮮映画の全貌シリーズ)。
『ブラザーフッド』……ウォン=ビンは「=」の入らない「ウォンビン」が正しいです。
『ジンギスカン(1965年の米国映画)』……劇場公開邦題は「・」の入った「ジンギス・カン」だったようで、VHS化の際に「・」の抜けた「ジンギスカン」という邦題になったようです。
『チンギスハーン』……「・」の入った「チンギス・ハーン」が正確な邦題のようです。
『マンドハイ』……DVD化はされていませんが、VHSの他にLDもパイオニアLDCから発売されています。
『ソドムとゴモラ(1962年)』……DVD化はされていませんが、VHSの他にLDも日本コロムビア株式会社から発売されています。
『ダビデとゴライアス』……DVD化はされていませんが、VHSが東芝映像ソフト株式会社から発売されています。
『キング・ダビデ 愛と闘いの伝説』……DVD化はされていませんが、VHSの他にLDもパラマウントホームエンタテインメントジャパンから発売されています。
『ジュリアス・シーザー(1970年)』……Blu-ray&DVDが復刻シネマライブラリーから発売されています。
『侵略者』……DVD化はされていませんが、『侵略王アッチラ』の邦題でVHSが東宝から発売されています。
『パン・タデウシュ物語』……DVD化はされていませんが、VHSがエムスリイエンタテイメントから発売されています。
『ヴァイキング・サーガ』……「・」無しの『ヴァイキングサーガ』が正確な邦題のようです。
『ルードヴィヒ』……最初に公開された際の邦題は『ルー「ドウ」ィヒ 神々の黄昏』で184分。完全版の邦題は『ルー「トヴ」ィヒ』。DVDは両バージョンともあり。
『リベレイター』……「南米一の英雄 シモン・ボリバル」というサブタイトルが付いています。
『戦うパンチョビラ』……VHS邦題は正確には劇場公開邦題と違って『戦うパンチョ・ビラ』と「・」が入っているようです。
『モアイの謎』……DVD化はされていませんが、VHSの他にLDもパイオニアLDCから発売されています(邦題はVHSと同じ)。

 以下の作品はいずれもDVD化はされていませんが、動画配信がされています。
『火の鳥(実写映画)』『徳川家康(映画)』『かぶき者慶次』『江戸城大乱』『竜馬を斬った男』『足尾から来た女』『ドラマ「東京裁判」 TOKYO TRIAL』『三国志&三国志II 天翔ける英雄たち』『水滸伝(1983年の映画)』

 中国史作品に出演している以下の中華圏俳優はそれぞれ同一人物です。
『墨攻』のウー=チーロンと、『新忠烈図』の呉奇隆。表記はニッキー=ウーが一般的ですね。徒然草の『墨攻』の項ではニッキー=ウーになっています。
『墨攻』『始皇帝暗殺』の王志文と、徒然草の『墨攻』のワン=チーウェン。
『ヘブン・アンド・アース 天地英雄』の王学圻と、『孫文の義士団』のワン=チェシー。後者のカタカナ表記は間違いで、ワン=シュエチーが正しいです。
『水滸伝(2011年)』の張函予と、『孫文の義士団』のチャン=ハンユー。
『岳飛伝 THE LAST HERO』の劉承俊と、『ラスト・ソルジャー』のユ=スンジュン。韓国出身の俳優です。
『大明劫』『蒼穹の昴』の余少群と、『1911』のユイ=シャオチュン。
『ラストエンペラー』のウー=ジュンメイと、『宋家の三姉妹』のヴィヴィアン=ウー。同一人物ですが間違いというわけではなく、『ラストエンペラー』の時はウー=ジュンメイと表記されてたんですが、その次の日本公開作(というか日本映画)『チャイナシャドー』からヴィヴィアン=ウー(またはビビアン=ウー)と表記されるようになりました。


>Majiで大政奉還する5秒前(特に意味はない)
 大河ドラマの思い出、ついに00年代最後の2010年『龍馬伝』です。主人公が大河で2度目の坂本龍馬ですが、すでに秀吉や義経も2度目の主人公になってたんで龍馬もそのうちやるだろうなと思ってました。ただ主演が福山雅治というのは男前すぎというか、ちょっと狙いすぎのようにも感じましたね。前年の10月〜12月にTBSで放送してたタイムスリップ幕末ドラマ『JIN 仁』の内野聖陽が演じる坂本龍馬(と小日向文世が演じる勝海舟)があまりにもハマり役で、ドラマ自体も面白くて毎回観てたので、また龍馬かよという感じでいまいち興味がわきませんでした。ちなみに本作で勝海舟を演じた龍馬マニアの武田鉄矢は『JIN 仁』では緒方洪庵役で特別出演。武田はもちろん龍馬も演じたことがありますが、もう1人、本作でジョン万次郎を演じたトータス松本も市川準監督の映画『龍馬の妻とその夫と愛人』で龍馬を演じたことがあります。それから『JIN 仁』では中岡慎太郎だった市川亀治郎は本作では今井信郎と、殺される人から殺す人になってしまいました。
 平井加尾(広末涼子)、千葉佐那(貫地谷しほり)、楢崎龍(真木よう子)、お元(蒼井優)の4人のヒロインをリレー形式に登場させるという前宣伝だった記憶があり、レンタルビデオ店でDVDパッケージ裏のあらすじを読むと実際その通りの展開だったようです。中でもやはり話題になったのは高知出身No.1有名人となった広末涼子が高知の英雄・龍馬のドラマに出演というところで、大河ドラマ全作品公式サイトの『龍馬伝』の項でも主な出演者として掲載されているのは4人の中では彼女だけです。広末さん自身は以前から乙女姉さんを演じたいと言ってたんですが、やっぱり彼女のイメージとはちょっと違うよなあ(笑)。平井加尾は司馬遼太郎の『竜馬がゆく』に登場する「お田鶴」のモデルになった女性とのことで、そのためもあってかそれまで映画やドラマに登場したことがなく、本作がドラマ初登場となったそうです。また龍馬の姪・坂本春猪役で、当時ブレイクし始めたAKB48の絶対センター前田敦子が出演したのも、彼女がすっかり女優となった今では今昔の感あり。
 僕は前記の通りいまいち興味がわかず、戦国じゃないし女性主人公じゃないしで我が家でもほとんどチャンネルを回してなかったんで、ほんのちらっとしか観ていません。観たのは確か蒼井優が演じるお元が出てきたあたりだったような記憶。しかし実は最近になってレンタルDVDで最終回だけ観ました。なぜかというと好きな女優の星野真里が最終回にだけ出演してたから。龍馬が暗殺された時に宿泊してた近江屋の妻・スミ役でして、なんで最終回にだけそんなちょい役で出たんだろ? 武田鉄矢が演じた坂本金八の娘の乙女ちゃん役だったからだろうか?(笑) てか、これが彼女の唯一の大河出演なんだよなあ。NHKももうちょっとちゃんとした役で出してほしいもんです。それはともかく最終回を観た限りではハードでシリアスなドラマで、なかなか面白かったです。幕末にはあまり興味がないんですが、これはドラマとして面白そうだし配役的にもちょっと興味があるので、観てみても良かったかなあ。平均視聴率はまたも20%を切り18.7%。やはりこういう重厚タイプの大河ドラマは視聴率が取れない。おそらく中高年女性が敬遠するんでしょうねえ。うーん……。



#11003 
バラージ「 2020/05/09 22:27
歴史映像作品感想追記・ヨーロッパ史編A

 確かに実話をモデルにしたフィクションの映画は歴史映画の範疇に入れていいか微妙ですね。僕は掲載するわけではない無責任さで、映画として面白いから紹介しちゃいましたが(笑)。社会派映画と言われるジャンルも結構観てまして。
 『麒麟が来る』は、スポーツ紙の記事によると収録が終わってるのが6月7日に放送される21話までとのことで放送中断の可能性が濃厚。一時は越年かなんて噂もありましたが、新たな記事では放送話数を減らして年内に終了するという話で、こっちのほうが現実的な気がします。役者やスタッフのスケジュールも今年の分しかおさえてないでしょうし、来年は来年で『青天を衝く』の吉沢亮くんのスケジュールがすでにおさえてあるはず。今は全員がSTAY HOME状態で来年の見通しもわからないとはいえ、当初の予定を変えたらスケジュールの再調整が大変なことになってしまいます。しかし全44話の予定がさらに短縮となると、物語がかなり駆け足になってしまいそう。ドラマが再開したと思ったら、「あれから○年……」とかナレーションが入って、いきなり本能寺の変になってたりして(笑)。穴埋め番組はとりあえず放送回までの総集編をやるみたいな話がありますが、その後はどうするんですかねえ? 大河って1年ドラマだからこういう時、小回り利かないんだよなあ。
 あ、大河ドラマといえば、『いだてん』を6話に再編集して英語字幕&ナレーションを付けたワールド版『IDATEN The Epic Marathon to Tokyo』がNHK国際放送のNHKワールドJAPANで放送されるそうで。


 名画座未掲載の歴史映像作品の感想の追記、ヨーロッパ史編の後半。

・ドイツ・オーストリア史
『不滅の恋 ベートーヴェン』……#9629、映画板#1215
 ベートーヴェンの死後に発見された「不滅の恋人への手紙」の「不滅の恋人」とは誰かをめぐるミステリー仕立ての伝記映画。1994年の英米合作映画です。
 映画はベートーヴェンの死後、秘書のアントン・シンドラーが発見したベートーヴェンの遺書にしたためられていた「不滅の恋人」を探すために、ジュリエッタ・グィチアルディ、アンナ・マリー・エルデーティーら「不滅の恋人」と思われる女性たちのもとを訪れ、彼女たちの回想でベートーヴェンの半生が描かれていくという構成で、最後に「不滅の恋人」の意外な正体が明らかになります。非常によくできてて面白い映画だったんですが、ずっと後になってから調べると必ずしも史実通りではなく、かなりフィクションが含まれているようです。「不滅の恋人」の正体にしても史実的にはかなり無理があるようですが、それはそれとして物語としてはすごく面白いんだよな。ベートーヴェンの楽曲が全編に散りばめられていて耳にも心地いい映画で、主演のゲイリー・オールドマンや、イザベラ・ロッセリーニ、ヴァレリア・ゴリノら女優陣も好演。
 バーナード・ローズ監督は去年公開された日本映画『サムライマラソン』(未見)でもなぜか監督をしてましたが、企画・プロデュースもジェレミー・トーマスということでイギリス発の企画だったみたい。

『敬愛なるベートーヴェン』……#9943
 こちらは交響曲第九番初演前後を舞台に、ベートーヴェンとある女性写譜師(作曲家が書いた楽譜を清書する職業)の交流を描いたイギリス・ハンガリー合作映画。こちらのベートーヴェン役はエド・ハリスで、アンナという女性写譜師はダイアン・クルーガーが演じています。へえ〜、そんな女性いたんだと思って観ていたら、聞いたこともないようなエピソードが続き、首をひねりながら観ていたところ、第九初演の場面になってその疑問は頂点に。第九初演時のベートーヴェンには有名なエピソードがありますが、根本的にそれとは異なる描写になっていて、さすがにこれはおかしいと思って観終わった後に調べたら、なんとアンナは映画のために創作された架空の人物でした。映画はそのアンナとベートーヴェンのダブル主人公と言ってよく、2人の関係性が物語のメインなのでほぼ全編フィクションだったんですね。それでも映画として面白ければ別にいいんですが、その肝心の面白さも今一つなんだよなあ。

『ローザ・ルクセンブルク』……#9629、映画板#1215
 20世紀初めのドイツのマルクス主義革命家ローザ・ルクセンブルクの半生を描いた1985年の西ドイツの伝記映画。日本公開は1987年とのことで、僕は大学時代にビデオで観ました。当時、映画本で知って、レンタルビデオで見つけたんじゃなかったかなあ。監督&主演は『ハンナ・アーレント』のマルガレーテ・フォン・トロッタとバルバラ・スコヴァで、同作公開時に本作もリバイバル上映されたみたいですが、VHS&LD化はされているもののDVD化はされていません。
 1906年にローザがポーランドで投獄されるあたりから、ドイツ社会民主党内の妥協主義者との路線闘争、第一次世界大戦への反対、ドイツ革命とドイツ共産党の結成、そして1919年に反革命右翼軍人に惨殺されるまでの半生が描かれています。全く知らない人物で、全く知らない歴史だったので非常に興味深く、ラストの衝撃的な展開に暗澹とした気分になりました。ハリウッド的な劇的さを排したヨーロッパ映画的というかドイツ映画的な作風がすごく新鮮に感じた記憶があります。当時はベルリンの壁が崩壊して東西ドイツが統一された時代で、ドイツ史としても大きな曲がり角でした。

『バビロン・ベルリン』……#10937、10947、10953
 追記することはあまりありません。DVD化はされていませんが、Amazonprimeで動画配信が始まりました。BS12で再放送されんかな。

『ヒトラー暗殺、13分の誤算』……#10095
 追記することは特にありません。

『チャップリンの独裁者』……#9629
 これも同時代を描いた映画で、歴史映画ではないんですが個人的な趣味で紹介してしまおう。まあ内容は説明不要でしょう。喜劇王チャップリンが、床屋のチャーリーとナチス・ドイツのヒトラーをモデルとしたトメニア国の独裁者ヒンケルの2役を演じ、ファシズムを痛烈に風刺し批判した1940年の歴史的な喜劇映画です。当時は第二次世界大戦は始まっていたものの米国とドイツはまだ開戦しておらず、米国でも映画は大ヒットしたにも関わらず右派や保守層からは反発もあった他、製作中には政治的圧力もかけられたとのこと。戦後にはナチスやヒトラーを批判した映画はたくさん作られましたが、ヒトラーが破竹の快進撃を続けていたリアルタイムで、米国の対独開戦前からこういう映画を作ったところにチャップリンのすごさの1つがあるのでしょう。

『さよなら、アドルフ』……#9583
 追記することは特にありません。

『僕たちは希望という名の列車に乗った』……#10909
 追記することは特にありません。

『顔のないヒトラーたち』……#10030
 追記することは特にありません。

『ハンナ・アーレント』……#9523
 追記することは特にありません。

・オランダ史
『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』……#10939
 追記することは特にありません。

・フランス史
『カミーユ・クローデル』……#9629
 有名な彫刻家ロダンの弟子で愛人でもあった19世紀末から20世紀初めの女性彫刻家カミーユ・クローデルの伝記映画。1988年のフランス映画で、日本では1989年の公開。僕は当時大学生で映画館で観ましたが、地方なので上映は遅れて翌年ぐらいだったと思います。イザベル・アジャーニが次第に精神を病んでいくカミーユを熱演。芸術家の伝記映画なので、これも歴史映画と言えるかはちょっと微妙なんですが、他に観たフランス史映画がないもんで(笑)。そもそもフランス現代史の映画ってあんまりないんだよな。ちなみにアニメ『機動戦士Ζガンダム』の主人公カミーユ・ビダンの名前はカミーユ・クローデルから付けられたそうです。

・イギリス史
『炎のランナー』……#9602、#10189、映画板#1210
 追記することは特にありません。

『最後のランナー』……#10937
 追記することは特にありません。

『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』……#9874
 追記することは特にありません。

『ナッシング・パーソナル』(VHS邦題:ナッシング・パーソナル 報復の無差別爆破)
 テロによる事実上の内戦状態が続く1975年の北アイルランドを舞台に、プロテスタントのユニオニスト(イギリス領であることを望む人々)側のテロリスト(ロイヤリスト)を描いた1995年のアイルランド・イギリス合作の社会派ヒューマンドラマ映画。VHS化はされてますがDVD化はされていません。北アイルランド紛争についてはアイルランド併合を目指すカトリックのIRA(ナショナリスト)が題材とされることが多く、逆の側が題材になることは珍しい。とはいえ主人公は両派の抗争に巻き込まれたカトリックの一般市民の男性で、物語は悲劇的結末を向かえます。観た当時から最近までずっと現在(公開時点)を舞台とした映画だと思ってたんですが、少し前にたまたま改めて調べたら1975年が舞台だったと知りました。あくまで架空の物語で実際の事件を描いてるわけではないんですが、北アイルランド紛争という歴史的題材を描いた、とてもいい映画だったのでご紹介。夫のテロに反対するロイヤリストの妻を『ザ・コミットメンツ』のマリア・ドイル・ケネディが演じています。この頃は他にも『マイケル・コリンズ』などアイルランドを舞台とした映画が多く作られた時期でした。

・アイルランド史
『麦の穂をゆらす風』……#9835
 追記することは特にありません。

『ジミー、野を駆ける伝説』……#9835
 追記することは特にありません。

・イタリア史
『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』……#9229
 追記することは特にありません。

・ヨーロッパ史その他
『バック・ビート』……#9629、#9874
 ビートルズ幻の初期メンバーで「5人目のビートルズ」とも呼ばれるスチュアート・サトクリフの伝記映画。ビートルズは言うまでもなくイギリスのバンドですが、映画の舞台は終始ハンブルクなので「ヨーロッパ史その他」に入れました。ビートルズのレコードデビュー前の話で、スチュアートが親友ジョン・レノンの誘いでビートルズに加入する1960年から始まり、演奏旅行のために訪れたハンブルクでの女性写真家アストリッド・キルヒヘルとの出会いと恋、ジョンとの友情、ビートルズからの脱退、そして1962年に21歳の若さで死ぬまでが描かれます。当時のビートルズのメンバーは、スチュアート、ジョン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリソン、やはり「5人目のビートルズ」と呼ばれる初期メンバーのピート・ベストで、加入前のリンゴ・スターは1シーンしか登場しません。1994年のイギリス映画で、さほどビートルズにくわしくない僕は知らなかったことも多く、なかなか面白い青春映画でした。

『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』……#10799
 追記することは特にありません。

『否定と肯定』……#10700
 追記することは特にありません。


>こども家老
 大河ドラマの思い出、今回は2009年の『天地人』。最初に主人公が直江兼続と聞いた時には、またずいぶんとマイナーなところを持ってきたなあと思いましたね。安土桃山もやり尽くしてネタがなくなってきたんだろうけど、直江兼続なんてよほどの戦国ファン(もしくは『信長の野望』ファン?)以外は誰それ状態だったのでは? だいたい主の上杉景勝だって相当マイナーなんだし(まあ、利まつ夫妻や千代一夫妻だって似たようなもんか)。
 しかし蓋を開けてみると、主人公の子供時代を演じた加藤清史郎くんの人気が大沸騰。序盤わずか2話の出演だったにも関わらず、「わしはこんなところに来とうはなかった!」の台詞が流行語になるほどで、NHKにも問い合わせや再出演の要望が殺到したらしく、「大河ドラマ+時代劇登場人物配役事典」によると、以後1・2話の出演シーンが回想として、3・4・7・8・19・23・27・34の各話に挿入されたようです。さらに39〜45話に兼続の息子の竹松(直江景明)役で再出演。最終47話でも回想で1・2話出演シーンが登場したそうで、これだけ出演した子役も大河では珍しいのでは? 放送終了後に何かのイベントに清史郎くんといっしょに出演した妻夫木聡も、「このドラマは全部清史郎に持っていかれた(笑)」と冗談ぽく話してたという記事を見た記憶がありますが、実際その通りでしょう。我が家でも老母がテレビにかぶりついて清史郎くんを見ておりました。僕はあんまり観てなかったけど(笑)。
 そんな清史郎くん人気のおかげか平均視聴率も21.2%と、今のところ21世紀の男性主人公大河で唯一平均20%以上を記録しました。女性上位夫婦大河の『功名が辻』(20.9%)よりも上なんだもんなあ。まさに清史郎くん様々ですな。でも子役人気ってあらかじめ計算できるもんではないんだよなあ。以後の大河でこれほど子役が人気となったドラマはまだありません。ちなみにこれまた有名な「こども店長」のCMもこの年の4月から始まっており、相乗効果で清史郎くん人気が爆発したんですよね。
 ほとんど観てなかったこともあって清史郎くん以外に触れるところはほとんどないんですが、兼続や景勝らが成人しても前髪あるのは絶対『花の慶次』を意識してるよね?とか、長澤まさみはここでも忍び役だったのか、ますます『功名が辻』『真田丸』とごちゃついてくるなあとか、そんなことぐらいかな。

>中国史ドラマ
 WOWOWで新しい中国史ドラマ『大明皇妃 Empress of the Ming』の第1話が先行放送されました。明の5代宣徳帝の2人目の皇后孫氏をモデルとした孫若微という女性が主人公で、主演は映画『ラスト、コーション』のタン・ウェイ。10年ぶりのドラマ出演だそうです。中国(香港・台湾含む)は米国同様に映画がテレビドラマよりも格上なんですが、近年ジョウ・シュン、タン・ウェイ、さらにチャン・ツィイーまでもテレビドラマに回帰または進出しており(チャン・ツィイーのドラマはまだ審査中。“章子怡電視降臨”なんて言われてるらしい)、彼女たちがいずれも出産からあまり日が経ってないことを考えると、育児のためには撮影時間の計算ができるテレビドラマのほうが好都合なのかも。
 それはさておきドラマのほうは靖難の変で幕を開け、宣徳帝の祖父永楽帝や、倒された建文帝が登場。主人公・孫若微の父は建文帝の御史大夫で殺されたという設定で、宣徳帝の最初の皇后胡善祥は孫若微の生き別れの妹という大胆な改変がされているようです。娯楽ドラマ要素が強く、主人公が刺客たちと永楽帝暗殺計画に参加したりしてます。まあ、それはともかくとして肝心のドラマとしての出来が『如懿伝』に比べるとどうもいまいち。時代劇初挑戦というタン・ウェイもあまり似合ってない感じです。永楽帝役のワン・シュエチーも映画の時に比べるとなんかちょっと。後半は主人公の息子の英宗(正統帝)も登場し、土木の変も描かれるようですが、僕は1話でもういいかなという感じ。
 土木の変といえばその時代を舞台にした『女医明妃伝 雪の日の誓い』もBS11で放送中。実在の女医・談允賢が主人公のモデルで、彼女が名医になっていくまでの物語。主人公・允賢は正統帝、その弟の景泰帝、オイラトのエセン・ハーンの3人に愛されちゃうというモテモテっぷりとのこと。韓国ドラマばかり放送してたNHK総合でもついに中国史ドラマ『コウラン伝 始皇帝の母』が放送開始……される予定だったんですが、コロナの影響で放送延期に。海外のドラマなんだからもう完成してるものを流すだけなのでは?と思ったんですが、たぶん吹替の収録ができないんだろうと推測してる人がいて納得。そうだ。NHK地上波は吹替版だったんだ。
 しかし今僕が観てる中国ドラマはそれらのどれでもなく、BS12で再放送中の『海上牧雲記 3つの予言と王朝の謎』。本放送の時は同じBS12の『三国志 SECRET of THREE KINGDOMS』と放送時期がかぶってて、週5放送のドラマを2つも掛け持ちできねーやってことで観てなかったんですよね。観てる理由はまたまた好きな女優のレジーナ・ワンが脇役で出てるから。史劇ドラマではなく架空世界を舞台にした史劇風ファンタジードラマなんですが、これが予想外に面白い! 結構ハマって観ています。でも週5放送はやっぱり録画消化がきついんだよな。しかもまた80話以上もあるし。



#11001 
サラマンサ 2020/05/01 23:29
謝罪

攻撃的な書き込みになってしまいすみませんでした。反省しております。管理人さんの穏やかな対応に頭が下がります。

前回、隠れキリシタン・潜伏キリシタン云々に関し書き直すと自分から言いだして結局そのままになってしまいました。お恥ずかしい限りです。

書きたいことは色々あるのですが、上手くまとめられませんので、これで失礼いたします。



Fri Oct 30 16:03:35 2020
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