昭和の初め (父と母)
  

母は二十一歳の頃 ある役所に勤めていた。
母は四人兄弟の末っ子で長男とは八歳も年が
離れており、父のような存在だったそうだ。
母の父は、母が幼少の頃、病死した・・・と
聞いている。
お互いに、思いやりがあって、仲の良かった
兄妹は、通っていた学校から、表彰されるほどで
あったそうだ。一方、その頃の父は終戦で
郷里に帰り、国鉄マンであった実兄の伝で、
国鉄に臨時で勤めていた。

出会い
ある日・・母は何も知らされずにある駅に
連れられて行ったそうです。
そこで遠くから見せられた、
腰にタオルをぶら下げて働く男性の姿への
母の印象は、

「何て汚いタオルを下げている人だろう・・・」
 ただ後姿だけ見て帰った母に告げられた言葉は
「あの人がお見合い相手だよ!?」

結婚式
当時は親同士が決めた相手と結婚しなくてはならない風潮があり、母には好きな人がいたらしいのだが、
「いや」とは言えなかったそうだ。
結婚式当日。
当時は盛大な式などは無く、両家の家族だけで挨拶、
写真に納まって、それで結婚式は終わり。
母は父の顔をじっくり見たのは
結婚式の当日だったとか。
その日から結婚生活が始まった

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