学校での思い出(初恋)

中学三年生になって・・
私にもほんのり恋心が芽生えていた。
片思い・・同じクラスだけれど、一緒に遊んだことも
話したこともない、その人も大人しい性格で
周りの男の子達と騒いで遊ぶと言うことがなかった。
いつも静かに、机に向かっているような人だった。

意識し始めたのは、いつもお昼休み時間になっても
運動場に出ないし・・
私も運動場には出ていかなかったので教室に残っている
数人の中に必ずいた。いつの間にか、自然的に
意識し始めていたようだ。
声をかけることも出来ず・・向こうからももちろん
何もない。一方的に私の片思いのはず。

何かの拍子に眼と眼が合ってしまうと
すぐ目をそらしていた。
授業は嫌いだったけれど・・その人がいるばかりに
学校へ通っていたような気がする。

中学校も卒業する日が近づいていた。
私の片思い・・このまま何も知らないまま
別々の高校へ進学すのか・・と思うと
たまらなく、自分の気持ちを伝えたくなっていった。
何とかして、気持ちを伝えたい・・卒業式までには・・
と 一大決心をした。
手紙を書くことにしたのだ。
書いては書き直し・・書いては書き直し・・
そっと下書きした手紙をいつもカバンに入れて
持ち歩いていた。

ある日・・母がかばんを見たのか・・私の心を探るように
聞いてきた。
「自分を大事にしないさいね、気持はわかるから・・」と
それだけの言葉だった。

手紙は渡す機会を逃したまま、卒業式の日になった。
最後の最後の日 卒業式に出席する朝
ポストに 投函したのだ。
胸はドキドキ・・ポストの奥でポトンと音がした。
もう取り返せないと思った瞬間
投かんした後悔と、恥ずかしさが頂点に。
学校の教室に行ったら その人の顔は見れなかった。
何にも知らない彼、卒業式がすんで家に帰ったら
私からのラブレターが届いているだろう。

返事は貰えないように 住所等は伏せて、名前も
アルファベットで書いて・・・としたけれど。

卒業したあと、そのまま月日は過ぎて行った。
いつの間にかその思いは薄れて行っていた
私の淡い初恋の体験。

高校進学