初めての職場

高校のお友達が進級する頃、私は職場へ・・・

気持は寂しかった、初めての職場・父が見つけて
頼んできた職場だった
会計士をしていた父はあちこちの商店や仕事場の
会計士の仕事をしていたのだ。

私が行くようになった職場もその一つ、
条件はすべて父との話し合いで決まっていた。
待遇は 妻帯者の男性の給料と同じ、最高の条件だった。

社長も奥さまも親切にしたくれた。
職場(現場の職人さんたち)も優しかった。

朝七時に家を出て自転車で約三十分
仕事は事務の仕事・・やはり実務を勉強していた事もあり
それに父が会計士・・ということで。

でも それがかえって、私にとって負担に思えることも度々、
毎月の帳簿を会計士である父に見せなければいけないのだ、
これが親子になると、父も私に厳しく、
いつも「きちんと帳簿は付けてるか?
 計算は間違っていないか?」・・などと聞いてくる。
「うん 大丈夫」と言っているけれど

月末 父が職場にやってきて、帳簿に目を通し、
私に注意の言葉が多い、その間 私は なるべく
傍にいないように、お茶を入れたりしているけれど
すぐ呼び戻されていた。

職場は、パン製造工場でパートのおばちゃん達と
商店へ配達関係のおじさま達・・
その中で一番若いのは私一人だったのだ
子供のように可愛がってもらった。
昼休みになると、おばさま達と一緒にお弁当を広げて
おばさま達のお喋りを、何も話せない私は
ただ笑って聞いていたように思う

ある日、いつものように出勤すると 奥様から
「新しい従業員よ 名簿と出勤簿をお願いね」
見ると、若い男性で、配達の方を受け持つ・・とか
「よろしくお願いします」とその男性
私は「こちらこそ、後で出勤表を渡しますね」
消え入りそうな声でそう伝えた。

職場での出来事