片田舎での思い出

雨漏りがひどかった我が家・・
梅雨時・来る日も来る日も雨が
シトシト降り続いていた。
雨がどんどんひどくなり、部屋の中は
あちこち雨漏りが・・あっちにバケツ、こっちに
洗面器・・最後にはお椀まで・・中には、
水がはじけ飛ばないように、布切れを入れて、

畳を一枚・・一枚・・と上げて
最後に一枚の畳に5人親子が
抱き合ってじっとしていた。
夜になり、益々雨がひどくなっていた。
その時、父はいなかった。
何処かに出かけていて留守・・きっと
雨がひどくなって
帰れない状態だったのだろう

夜も家族五人は抱き合って
気味悪いほどの稲光と、雷の中で過ごす。
私は、怖くて怖くて目をしっかり瞑り、耳を
両手で押さえて、母に寄り添っていた。

そして・・いきなり 部屋が真昼のように
明るくなったかと思った瞬間、
地響きのような音がした
窓のガラスが、ビリビリ・・と音が鳴った。

雷が落ちたのだ。その夜は怖くて、
とうとう夜が明けた。
寝ていなかったけれど、
朝から雨が小雨になったので 外へ出てみたら
家の前にあった大きな木が真ん中付近に
穴が出来ていて、半分に折れ曲がっていた。

それから 裏山?に小さな神社?があったが
そこの木々も所々雷が落ちた後のような跡があった。

こんな事もあった。
我が家にはお風呂が無く、共同のお風呂だったが
時々、母と兄弟達で、何キロもある遠い町の
温泉に行っていた記憶がある。
その温泉が皮膚病に良いと・・
私たち子供は遠くに出かける事が嬉しく、
ジャンケンしたり、石ころを蹴ったりしながら、
母は末の妹をおぶって、日傘を差して、
温泉に入った後は、二キロくらい先の
バス停から・・・バスを待つ間
カキ氷を食べてうれしかった記憶がある。

もしかしたら 母は、私の火傷の跡を
治してあげたいばかりに、遠い遠い町の温泉まで
連れて行ってくれたに違いない。
母の心の苦労が見えるような気がした。

片田舎での思い出その二