* 薬の最新情報 (’08.Oct.) *

 「薬について理解することは自分の健康の第一歩である」と、最新の医学の進歩と薬の効用について解説されていた記事が目にとまった。(週間東洋経済’08.07.号)
私自身、ここ10年ぐらい血圧降下剤を服用しているが、この血圧降下剤の服用で高血圧が正常化した医学的な背景に関心がある。
高血圧と診断された10年前には、頭痛などで不愉快な日常生活を体験したが、循環器医師の指導で、現在ブロプレス(武田薬品)を服用して安定している。途中、この血圧降下剤の服用を中断してみたが、やはり血圧が高くなって高血圧の症状がでて不愉快な気分になるので、一生つきあうことになりそうだ。日本でこの高血圧の患者は3500万人ぐらいいるようで、生活習慣病の代名詞になっている。

 この高血圧の原因と薬の効用には、次の5つがあるとのこと。
 (a)昇圧作用を持つ交感神経の働きを抑えるβブロッカー
   (心臓にあるβ受容体を遮断し、ポンプ力を弱めて末梢血管を拡げる)
 (b)血管にあるα1受容体を遮断して血管を拡げる
 (c)血管細胞を収縮させるCaイオン抑えるカルシウム拮抗薬
 (d)血圧を上昇させる物質であるアンジオテンシンUになるのを防止(ACE阻害薬)
 (e)アンジオテンシンUが受容体に付いて血管や心臓に作用するのを防止(アンジオテンシン受容体遮断薬)

現在、服用している血圧降下剤は(e)項に相当する薬のようで、国内で売り上げが一番のようだ。また、この血圧降下剤は臓器保護の効果もあるとの説明を聞くと、なんとなく健康が増進した気分になる。

 この特集記事の中に、アルツハイマー型認知症の現況について解説されていた。
正常な脳は、入ってきた情報を側頭葉の内側にある海馬に一時保存した後、各部位に情報を伝達する。
アルツハイマー病の初期には海馬周辺から病気が進行するために、まず短期記憶から失われる。同じことを何度も繰り返して聞く、新しい言葉を覚えられないなどの症状が初期の症状である。

 アルツハイマー病患者の脳では2つの大きな異変が起こっている。
 第一の異変は神経伝達の化学物質・アセチルコリンの減少である。神経細胞間には隙間が空いており、アセチルコリンの放出によって情報が伝達される。だが、アルツハイマー病になると、このアセチルコリンの量が大幅に減少し、情報伝達が疎かになる。情報が伝達されないと、得られた情報が記憶として定着しない。加えてアセチルコリンを分解する酵素の機能も強まるため、アセチルコリンの濃度はさらに薄くなる。
 第二の異変は神経細胞そのものの死である。通常、神経細胞は高齢になっても新しいものが作られ続け、脳に病気がない限り、減少することはない。しかし、アルツハイマー病になると、神経細胞が死んでしまい、数が著しく減少する。患者の脳細胞には「老人斑」と呼ばれる斑点状の沈着が多発している。現在、この老人斑の増加が神経細胞の死を招くと考えられている。
 現在、アセチルコリンを分解する酵素を阻害してアセチルコリンの濃度を高めて神経の伝達がうまくいくようにする薬が実用化されているが、老人斑の主成分を脳内から排出する新薬などは開発中のようだ。
MRI検査による早期発見や、日常生活における脳への学習的な刺激が進行の抑制に有効とのことである。

* 痴呆症とアルツハイマー病のこと ('98.May) *

 凡人の悲しさ、癌や痴呆症など老人病のことが気になる歳になった。
そんなとき、痴呆症の原因とされているアルツハイマ-病の本が目についた。

 それによるとアルツハイマ-病はエイズとともに現代における世界の2大難病の一つで、いまでも世界の医学界の研究課題の焦点になっているようだ。
このアルツハイマ-病は神経細胞の病的喪失によって発病することが、ドイツの医学者アロイス・アルツハイマ-博士によって80余年前に発見されている。
その基本的病理は大脳を組織する神経細胞組織の病的喪失による大脳の著しい萎縮である。その特徴は神経細胞の異常喪失による大脳の著しい萎縮、神経細胞の連絡網の役割をもつ神経繊維の変化して絡み合った残骸と、萎縮した大脳にべったりと付着し沈着している変性蛋白の老人斑がある。

 このアルツハイマ-型痴呆症を含むアルツハイマ-病の発症原因をめぐって、現在世界の神経医学界には2つの大きな流れがある。
 一つは白木博士、八瀬博士が共同研究で突き止めたカルシウムとマグネシウムの欠乏を重大な誘因とするアルミニウムなどの神経細胞侵襲組織破壊説である。
具体的には体内のカルシウムとマグネシウムの著しい欠乏が誘因になって、アルミニウムなどの異物が神経細胞に侵入して細胞核から核仁にまで滞留し、遅れて体内補給の生理現象で脳内に送り込まれたカルシウムと結合し、中毒症状を起こして神経細胞を順次破壊、喪失させるという。
カルシウムとマグネシウムの著しい欠乏状態において、はじめてアルミニウムなどはグリアを経由して神経細胞に達することができる。パーキンソン病などの神経難病もこの発症原因によるとされている。 
 もう一つはアメリカ国立老化研究所などの共同研究の成果であるベータ蛋白の変性、即ち脳の蛋白代謝の異常による老人斑の神経細胞破壊説である。
この説はベータ蛋白とその変性した老人斑が神経細胞で構成されている大脳皮質に付着し、神経繊維が集まっている蛋白質にも沈着して神経細胞を破壊するのが原因とする。
 神経細胞の喪失によって発症するアルツハイマー病、アミトロ(筋萎縮性側索硬化症)やパーキンソン病などの神経難病は治療法が確立される望みはきわめて薄いとのこと。
一度消失した神経細胞は再生できないためにせいぜい痴呆症状の進行を抑えるのが限界のようである。
 (詳しくは真蔦栄著「アルツハイマーの夜明け」(山手書房新社)をご参照下さい)

* 人生60年をふりかえれば (’98.jan.) *

 悠々自適の生活をはじめて一年、どうにか簡単なホ-ムペ-ジができるまでになった。
これまでの人生60年をふりかえって、敗戦、戦後の民主主義の導入、安保闘争、高度経済成長、東西冷戦の終焉と目まぐるしく変化した生活を体験したことになる。
気づいてみれば日本は世界第2位の経済大国である。今では世界中の食材をあつめて世界の料理が味える。
少年期に経験した食料不足は昔語りになってしまった。だが豊かさに実感がない。外国の旅で魅力的な都市の景観と自然をみるにつけ、外国の都市の景観が輸入できないかと思うこの頃である。